U-NEXTやAmazonプライムビデオで配信が開始された
【キャラクター】を鑑賞してみました。
劇中に使われる〖キャラクター〗の意味とは裏腹に
しっかりとしたキャラクターの持ち主な俳優さんたちの共演で
皆が主役級な見応えアリな本作。
気になるラストは
後はご想像にお任せします
を匂わせつつ不穏な終わり方でした。
あの後の展開はどうなっていくのか
気になりますよね。
そこでこの記事では
それぞれのキャラクターの深堀考察
そして
あくまで一つの解釈に過ぎませんが
映画上で描かれていたことを頼りに
ラストで生じた4つの疑問について推察してみました。
多少なりとも誰かのモヤモヤの解消になったら幸いです。
クレームは受け付けていませんwww
【キャラクター】のあらすじを紹介
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漫画家志望の山城圭吾は有名漫画家のアシスタントをしながら
自身の作品を描いては出版社に持ち込んでいた。
山城の描く画にはその才能が滲み出ていたが
山城自身が良い人すぎてリアルな事件や悪人のキャラクターが
描けないため、漫画家デビューまで行けず時々入賞するにとどまっていた。
魅力的なキャラクターが描けないという漫画家としては致命的な指摘を受けた
山城は漫画家アシスタントを引退することを決意する。
アシスタントとしての最終日、師匠の漫画家の依頼で
誰もが羨む幸せそうな家のスケッチに出かけた山城は
まさにスケッチをするのに選んだその家で起きていた
殺人事件に遭遇してしまう。
犯人と目が合った山城だったが、刑事の取り調べで
犯人の顔は見ていない
と嘘をつく。
悪人のキャラクターが描けなかった山城は
目撃した本物の悪人をモデルにしてサスペンス漫画を描く。
山城が描いたその漫画は『34(さんじゅうし)』というタイトルで
悪人のキャラをダガーとした。
『34』は瞬く間に大ヒットするのだがやがて
ダガーを模倣した事件が起こり始める・・・。
以下、作品のネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意くださいませ。
本記事の情報は2023年月時点のものです。
最新の配信状況は各サイトにてご確認くださいませ。
物語のキーとなるキャラクターを深堀り
『幸せとは4人家族である』
と強制的に洗脳されてきた両角には主体性が欠けている。
だから
辺見というお手本をみつけて真似をしてみたのだと思う。
両角が事件を起こした動機
ラストの裁判では戸籍が無い両角は
本当の名前も生年月日も出生地も答えることは出来ませんでした。
そんな両角が育った
幸せの一単位を4人家族とするコミュニティ。
このコミュニティの崩壊のきっかけとなったのは
妻とは別居に至った代表者による大量殺人。
代表者は逮捕され、両角と家族は引き離された。
傍からはカルト的に見えるこのコミュニティでさえも
両角にとっては幸せの記憶なのでしょう。
両角が4人家族を狙うのは
4人家族は幸せである。
でも自分の幸せは奪われた。のに幸せそうにしている4人家族が妬ましい。
4人家族なんてなくなればいい。
と言ったところでしょうか。
そのコミュニティの殆どの子どもと同様無戸籍であったこと、
通学も許されず、そのコミュニティの中の大人
から学ぶことしかできなかった両角。
しかしその閉鎖的で幸せを象徴したコミュニティはやがて
彼らにとっての理想郷は崩れ去り、暴力の地へと変貌して行った。
その光景が自分の世界であった両角もまた
自身のはけぐち、自身の表現方法、それらを示す手段が
暴力になったのは避けられなかったことなのかもしれません。
本作1番の謎キャラ辺見について
やってもいない罪で捕まったかと思いきや
覚えていませんの一点張りで通す辺見。
我らが?清田刑事にあんなことをしておきながら
映画のラストまで逮捕されない辺見。
辺見は一体何だったの?
34年前の事件は本当に辺見の罪なのか⁈
両角が辺見に魅了されたきっかけとなった
34年前の事件。
しかし今となっては
本人は事件のことを全く覚えていませんでした。
両角が犯した事件の罪を被った際にも
覚えていない
と発した辺見。
そうなると
実は34年前の事件も冤罪なのでは??
という疑念がよぎりますが、
過去の事件までも冤であるような伏線は描かれていないのと、
隙をついたとはいえ刑事を一人で殺めていることから考えると
初犯とは言い難いのかもしれません。
34年前の事件では医療少年院に収監されたことを考慮すると
サディズムである他にも何らかの持病があり、
罪は犯すがそのことは覚えてはいない。
という可能性も。
しかしながらラストの裁判での両角の証言
辺見のファンだった両角が辺見に近づいたいつの間にか逆に
辺見が両角のファンになってしまった
という証言は実は元々辺見が有していた凶悪犯のキャラは
両角に移ってしまったのではないか。
それならば
キャラクターを奪われた両角が
『僕は誰なんだ?』
と言ったように、
34年前の事件さえ
〖覚えていない〗
と発言するのもキャラクターを奪われた後の
辺見であったなら納得ができる。
視聴者には善人に映らない⁉山城
『いいヤツすぎて悪人が描けない』
と言われていた山城。
皆が断る仕事を率先して引き受けたり
知らない人からの頼まれごとさえも断れない
良い人の鏡ではある。
しかしながら
殺人犯を目撃していた事実を自身のために隠した。
自分の実家の家族(継母とその連れ子)に対しては
『今まで酷い態度』をとっていた。
犯人逮捕のためとはいえ、自分の家族を実際の連続殺人犯をおびき寄せる囮に使った。
と言ったような、善人らしからぬ行動も垣間見える。
ましてや一見良い人である山城が、
得意ではないのにホラーの話を描きたいと思うのは
山城の内に秘めた悪の部分が溢れ出さないように
漫画の中のような、現実ではない場所で放出していた
のではないでしょうか。
やはり100%善人なんて存在しないし、
誰もがちょっとしたトリガーで自分を見失ってしまったり
悪行をしてしまう可能性を持っているのだという証なのでしょう。
ラストで投げかけられた4つの疑問
無念の最後を遂げた清田を除けば、
両角も逮捕され、山城夫妻は無事だったし、双子も生まれた様子。
辺見は逮捕されずじまいだけれど、
今の山城家は不幸中の幸いというポジションではないか
と思われるラストでしたが
当の本人は浮かない表情でした。
両角と対峙して以来、山城の目立った台詞がなかったのも
どことなく危うさを残す印象になってしまいました。
意味深なラストに委ねられた結末。
気になることについて推察してみました。
①ダガーのキャラクターは誰の元へ?
山城は両角と目が合った瞬間
両角が自分の中に入ってきたのだ
という話をしています。
終盤、山城と両角がもみ合った末、
漫画の画とは逆の立場になった2人。
ここで2人のキャラクターが入れ替わったことが示唆され、
裁判での両角の
『逆にお尋ねしたい。僕は誰なんだ?』
という台詞が、もう両角はダガーではないことを
意味していると思います。
そして
僕は誰?発言と同時に病室で意識を取り戻した山城。
この描写は
両角にとどめを刺そうとしたダガーが乗り移った山城は
真壁に撃たれ制止されますが、
両角と対比するように映し出された描写
病室に居る自分の双子の赤ちゃんを一度も見ない
といった場面からは
山城の家族を思う人間味のある優しいキャラクターは
押しつぶされ
悪のキャラクターが目覚めたまま
山城の中にまだ存在する
そんな予感のする演出ではなかったでしょうか?
②清田の絵を描く山城の心理
山城にとって清田は心から山城を肯定し、山城が漫画を描くことを
応援してくれた人物。
そして事件を追う正義の味方。山城にとっても正義の象徴であり
味方になってくれる存在だった。
そんな清田を描く理由は
ダガーのキャラクターを貰ってしまった山城が
漫画の中で正義の象徴である清田をモデルにしたキャラクターを作り上げ
正義の物語りを欲することで
自身が悪に打ち勝つために葛藤している。
もしくは
ダガーのキャラクターを受け継いでしまった自分を
受け入れ、あらがうことを諦めた山城であったが
漫画を描くことは続けて行こうと思った。
しかし魅力的な悪人キャラのモデル両角を
失った山城は、魅力的なキャラクターが描けず、両角の代わりに
次回作のメインキャラとして清田をモデルにしようと構想を練っていた。
その中で悪に染まった山城も登場し山城のキャラに打ち勝つのが
清田のキャラの役目なのだろうか?
③双子と夏美を見ている者
画面に一度も双子の赤ちゃんの画が流されなかったことに
違和感がありましたが、
これは視聴者に双子は生まれなかったのでは?
と思わせるために故意にしたことなのか?
それとも単に大人の事情か何かなのか?
迷いましたが、夏美の元同僚らしき女性がベビーカーを見て
『大きくなったね』
と言っており、さすがにそこに赤ちゃんが居ないのに
発している言葉だったとしたら怖すぎるので
双子は無事に生まれた
ということで良いのではないかな?と考えました。
何らかの気配を感じた夏美が振り返った先に居る人物。
それはやはり辺見なのでしょうね。
④エンディングが流れた後の刃物の音が不吉すぎる
エンディングが流れ終わるとともに響き渡ったのが
刃物を削るような音。
清田が言っていた
『殺人事件ってね、終わりがないんですよ』
という台詞を彷彿とさせました。
この事件はまだ終わっていませんよ
という暗示と共に、誰かが襲いかかるのかもしれません。
それはもちろん、志半ばで逮捕された両角の
作品を仕上げるために山城一家を諦めていない
辺見かもしれません。
もしかしたらこの事件で有名になってしまったであろう山城一家を
狙った模倣犯かもしれません。
山城がもっと早く犯人の正体を話していてくれたら
他の事件は防げたかもしれない
という遺族の恨みかもしれません。
筆者のイチ押しとしては
ダガーというキャラを受け継いでしまったであろう
山城自身がまさにダガーとしての罪を犯す準備をしている音
なのかなと。
いずれにせよ
事件に終わりはない。
そして誰でも犯人になり得る。
そんな不穏さを漂わせる演出でした。
【キャラクター】を見た感想
良い意味で色々と裏切られた作品でした。
安定の菅田将暉は特筆すべき点がないくらいの素晴らしさでしたが
何といっても小栗旬が良かったです(上からの感想で失礼しますww)
刑事役が小栗旬だと認識した場合、
まさか小栗旬が途中退場するとは潜在的に思わないので
筆者にとっては清田が殺られるあの場面が本作いちばんのホラーでしたww
元族であるという設定は『クローズ』の小栗旬を思い出させ、
警察に嘘をついていた山城の弱さを理解し、
漫画を描き続けることを応援する、
という心の大きさは『銀魂』の銀さんを彷彿とさせました。
そんな器量を持つ清田こそが
本作の中で一番の良い人キャラだったのではないでしょうか。
それにも増して、取り調べ中のシーンでは
族出身なのにデキル刑事であるという所以を目の動き一つで示し、
退場場面でもきれいな最期ではないのが逆にリアルで
見ている側に清田の生存というかすかな望みも持たせないような
清田の最後の表情も圧巻でした。
そしてFukaseは両角のような複雑なキャラにも関わらず
ピッタリでしたね!
何を考えているのかわからず、超悪人のような顔でもなく
4人家族に執拗に執着するしか生きる術がないような
哀しき殺人者を見事に演じていました。
中村獅童さんにしても高畑充希さんにしても
もっと何かありそうだと疑いたくなる
『ふつう』のポジションに置いておくのが勿体ないキャラwww
凄いキャラクターの宝庫な一作でした。