亀梨和也主演【正体】ドラマと原作の違いをネタバレ考察!結末に託されたテーマとは?

ドラマ
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亀梨和也主演のWOWOW連続ドラマ
【正体】

原作は染井為人の同名小説【正体】です。

原作とドラマでは
多少の設定の違いがみられるもののストーリーの大筋はほぼ一緒である本作。

しかし驚くべきなのは原作とドラマとでは決定的に物語の結末が違うのです。

本記事ではそれぞれの『結末』について
深堀考察していきます。

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〖正体〗あらすじ

事件が起こったのは埼玉県。
2歳の長男とその両親が何者かによって殺害された。

隣人の通報で踏み込んだ警察官によって逮捕されたのは
その場に居た鏑木慶一という男だった。

やがて鏑木には極刑が言い渡された。
その後移送中に警察官の目をかいくぐって逃走する鏑木は
指名手配犯として追われることとなる。

名前を変え、変装をし、素性を偽った潜伏生活の日々を始める
鏑木だったが、一か所には居られず転々とすることになる。
それぞれの場所で彼は出会った人が
困っている姿を見るたびにその人を救っていった。

そんな鏑木が指名手配犯だと判明した後、周りの人たちは鏑木の優しく誠実なその人柄に
触れ、凶悪犯罪者であることが信じられずに戸惑うのだった・・・。

キャスト
亀梨和也、黒木瞳、市原隼人、貫地谷しほり、堀田真由、
濱田崇裕、若村真由美、高畑淳子、音尾琢真、上川隆也
 他

【正体】を視聴するなら

U-NEXTでは亀梨和也出演作品を多数配信中!

Huluならバラエティ『カネ梨和也』も見れちゃいます!

ドラマ版とは違う結末の小説〖正体〗もコミックシーモアで必読です!

以下、原作・ドラマの結末までのネタバレを含みます
ご視聴、ご一読されていない方はご注意くださいませ。

本記事の情報は2024年4月時点のものです。
最新の配信状況等は各サイトにてご確認くださいませ。

原作との違いを解説

結論から言うと
鏑木慶一は事件の犯人ではありませんでした。

事件現場に偶然通りかかって異変を心配し助けに入った
むしろ善良な人物だったわけです。

そんな鏑木の運命は原作とドラマで
どんな違いがあったのでしょうか。

まずは真犯人の正体は誰だったのか?

真犯人の正体

ドラマ版、小説版ともに真犯人の正体は
足利清人でした。

足利は群馬県で起こった新婚夫婦の殺害事件で既に逮捕起訴されており、
鏑木事件の模倣犯であると自称していたのです。

足利は極刑が決定された後、控訴もしていませんでしたが、
余罪をほのめかしていました。

ドラマ版の結末

桜井翔司という偽名で事件の唯一の目撃者である
井尾由子が居る介護施設で働いていましたが、
同僚の酒井舞に正体がばれてしまい、所長により通報されてしまいます。

警察官に囲まれる中、真実を舞に託す鏑木でしたが、
警察官が踏み込んできて足を撃たれ窓から転落してしまいます。

昏睡状態から復活するも証拠の録音が消えたことに
意気消沈していました。

そんな中かつて鏑木に助けられた人たちが
今度は鏑木を助けるために集結します。

紗耶香と渡辺は足利から自供をとるべく留置所へ足を運び、
舞は隠蔽された証拠のレコーダーを再現しようと、
由子に会って事件の証言を録音しに行きました。

そうして再審は開かれ、鏑木は無罪を勝ち取り
涙ながらに大切な人達と生きられる喜びを分かちあうのでした。

小説版の結末

ドラマ同様に由子の居る施設で働いていたが正体に気付かれ
通報されてしまった鏑木。

舞に真実を話すも、警察が踏み込んできて確保されてしまいます。

舞は鏑木が運ばれて行く中、発砲音を聞きます。
鏑木はその発砲により命を落としてしまいました

警察は鏑木が応戦してきたので致し方なく発砲したと証言。

舞はすでに鏑木は確保されて運ばれていたために
その証言に違和感を覚えました。

後に再審は行われ、鏑木の汚名は
鏑木の大切な友人たちによって晴らされることと
なるのでした。

オリジナルラストの意義

ドラマ版と小説版の結末をご覧になってわかるように
最も大きな違いは鏑木の命の行方です。

ドラマ版では鏑木が生存して汚名を晴らせるのに対して、
小説版では鏑木本人が無念を晴らせたことを実感することは
叶いません。

最後に捕らえられた鏑木はおそらく
誤認逮捕という責任追及を逃れるため口封じされたのでしょう。

その銃口を見て、鏑木は何を思ったでしょうか。

銃口を向けている人物は本当のことを知っているのではないか
その上でなかったことにしようとしているのかもしれない。
そう確信したのではないでしょうか。

証拠を見つけさえすれば、間違いを正せる、正せてもらえる…
そう思ってしてきた逃走中の努力は無駄だったのかもしれない。
そんな絶望の中、最後の時を迎えたのかもしれません。

人を助けようという親切心をもっていただけなのに。
ただ生きたいと望んだだけなのに。

そんな鏑木が最後に見た光景は汚くて卑怯な銃口

読者たちはせめてその脳裏に最後の時に浮かぶのは
大切で穏やかになれる人の存在であったことを
願ったのではないでしょうか。

こんなにも壮絶な結末になった背景にあるものは
著者が訴えたかったことに起因しているのだと思います。

原作とドラマに共通する冤罪という同じ間違い
しかしながら
異なる結末によってその重みが違うのです。

もちろん、ドラマ版においても冤罪は許されることでは
ありません。

しかし小説版ではその間違いが
取り返しのつかないことにさらに暗転してしまったのです。

そのような残酷な世界になりうる
社会や司法の問題は存在しないのか?という問題提起を
ハッキリと受け取ることができたのではないでしょうか。

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〖正体〗の感想

物語りのテーマ自体は重くのしかかる本作ですが、
人を信じるということは
やはり尊いことなのだと痛感します。

とはいえ信じることより疑うことの方がよほど簡単で、
容易である故に逃げ道にしてしまいたくなるのも
また人間の弱さなのかもしれません。

情報はその辺にごろごろ転がっています。
でもいちばん大切にしなければいけないのは
その目で見て感じとった自分の思いだということを
情報があふれた今の時代だからこそ
忘れずに肝に銘じておきたいと思わされた一作です。

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