2018年に公開されたカナダのSF映画
『パラレル多次元世界』
パラレルワールドの世界がお好きな方はもちろん、
今までとは一味違った展開を見たい方に必見です!
パラレルワールドの世界を知り、その世界の自分を発見した4人。
その行く末はどうなるのでしょうか。
ラストの展開と最後のリーナはどうなったのか?
に着目して解説、推察しています。
『パラレル多次元世界』あらすじ
![](https://ellemamateaparty.com/wp-content/uploads/2024/12/ancient-art-764930_960_720.jpg)
とある夜のひととき、仲良さげにくつろぐエドワードとマリッサ。
直後に1人ベッドから出たマリッサは仮面を被る何者かに襲われ
命を落としてしまった。
しかし、その犯人の仮面の主もまたマリッサだった。
そして仮面のマリッサは何食わぬ顔でベッドへ戻りほほ笑むのだった。
時が経ちその家には、友人4人でアプリ開発会社を起業した
ノエル、デヴィン、ジョシュ、リーナが住んでいた。
彼らは、大きな契約を取るためにプレゼンに挑むも、同業の仲間だと思っていたセスに
裏切られ手柄を横取りされてしまう。
契約も破綻したうえに、デヴィンには引き抜きがあり、4人は解散寸前に追い込まれる。
そんな時、4人が口論中に壁に傷がつきその向こうに何かがあることが判明。
壁を取り壊すと、そこには屋根裏部屋へと繋がる階段があったのだ。
屋根裏部屋へ上がった4人は、そこに人が住んでいた形跡と
不思議な鏡を見つける。
その鏡に触れると吸い込まれるようで、その向こう側は何処かへ繋がっていた。
面白半分に鏡をくぐったジョシュは、その向こうに
自分を含めた4人が存在しているのを目撃する・・・。
キャスト
アムル・アミーン、ジョージア・キング、マルティン・バルストロム、
マーク・オブライエン、アリッサ・ディアス、キャスリーン・クインラン 他
以下、結末までのネタバレが含まれます。
未視聴の方はご注意ください。
本記事の情報は2024年11月時点のものです。
最新の配信状況は各サイトにてご確認くださいませ。
パラレルワールドの特徴と魅力
本作に出て来るパラレルワールド(以下、PWと明記)への扉は鏡でした。
ではその鏡の向こうにはどのような世界が広がっていたのでしょうか。
時間の概念が違う
鏡の向こうのPWと元の世界では時間の概念が異なっていました。
元の世界の5秒がPWでは15分になるのです。
PWでの時間は元の世界の180倍であるということでした。
そして時間差で鏡を通ることによって
異なるPWへ繋がることも判明しました。
よって同じ世界へ複数人数で行きたい場合は手を繋いだまま通りぬけることで叶います。
その鏡は移動できない
その鏡は固定されたその場所、その位置でのみ
PWへ繋がる扉となります。
よって移動させることができませんでした。
元の世界とPWの世界で起こることは違う
PWへ行き宝くじの番号を見てきて元の世界での当選を試みましたが
その番号は同じではありませんでした。
このことから、元の世界とPWの世界で起きることは全く同じではない
ことが判明します。
例えば現世界では
『ラ・ラ・ランド』で共演を果たしたライアン・ゴズリングとエマ・ストーンですが
PWの世界で2人が共演するのは『フランケンシュタイン』だったのです。
そのように特に芸術方面の分野での違いは顕著に表れていました。
またPWでの出来事は元の世界に影響を及ぼさないことも明らかになりました。
PWへ繋がる鏡の使い道
〖開発期間がかかりすぎる〗ことが理由で大きな契約が取れなかった
ノエルたちは、PWで開発をして元の世界に持ち込むことで
開発時間の大幅な短縮を実現し、大口契約をセスから取り返すことに成功しました。
またPWでの出来事は元の世界に影響がないことから
PWでの自身の預金を使い買い物を繰り返します。
画家になることを夢見ていたリーナは、自分の世界に存在しない絵画を
PWの世界から盗用して制作し、個展を開くまでになりました。
ノエルもまたPWの世界から発明や研究を持ち帰り、
自身の手柄として発表することでTV出演も果たすほどの注目を浴びていました。
ジョシュは、元の世界で叶わなかった恋を成就させるため
PWの世界で彼女との逢瀬を叶えます。
一方でデヴィンだけは、見つけたマリッサの日記から、
彼女が徐々に精神に異常をきたしていたことを懸念し、
鏡の活用に消極的でした。
魅力的な異次元の世界に魅了され気づかぬまにどんどんのめり込んでいく
4人はそれぞれに自分の欲を実現していきます。
その代償とは?
『パラレル 多次元世界』驚愕のラストの意味を考察
当初は少しの得を手にするためにPWへ行き、
誰かを傷つけることなく現実に戻っていた4人でしたが、
その願望は徐々に大きく膨らんで行きました。
きっかけはジョシュの悲劇
現実の世界では叶うことのなかった思い人との恋を
PWの世界で成就させてジョシュでしたが、
ある夜、密会現場に彼女の夫が帰宅してしまい
ジョシュは夫に撃たれて命を落としてしまう事件が起こってしまいます。
現実の世界にジョシュが居なくなってしまっては
PWへの鏡の存在が露呈してしまうなど不都合が起こるため、
残りの3人はノエルの案に従いPWから違うジョシュを連れて来て洗脳します。
しかし当然、PWのジョシュは連れてこられた世界が
これまでの記憶と異なることに不安や疑念が生まれ、
少しずつその精神は乱れていきました。
そうしてPWのジョシュの運命を狂わせることに自責の念さえ
感じることはなくなったノエルは暴走して行きます。
『パラレル 多次元世界』驚愕の結末とは
暴走するノエルとは裏腹にリーナはPWから盗用してきた絵画で
成功をおさめる自分に嫌気がさしていました。
またそんなリーナの心情に寄り添うデヴィンと心が通じ合い、
2人は親密な関係に発展し
共にノエルを止めようと決意するのでした。
ところが翌朝リーナが目覚めるとデヴィンは消えていました。
消えたデヴィンの居所を掴み、会いに行ったリーナでしたが、
デヴィンが2人の関係を覚えておらず、リーナは自分と分かち合った
方のデヴィンはすでにこの世に存在しないことを察知するのでした。
その後ジョシュの方は乱心からノエルを撃ってしまいますが、
鏡から現れた別のノエルがジョシュを射殺します。
そして彼は重傷のノエル自身も射殺してしまいました。
その現場を目撃していたリーナは従順なふりをしてノエルを出し抜こうとしていた
のですが、逆に囚われてしまいます。
リーナがピンチに陥ったところで、デヴィンが現れノエルを撃ちました。
元のデヴィンが携帯の動画でメッセージを残していたため事態を把握し、
リーナを信じて救いに来たのです。
デヴィンに撃たれたノエルは一旦、PWへ逃げ込み治療後
再び戻って来ようとしたところを鏡を動かされ
無残な姿になってしまいました。
そうしてデヴィンとリーナは鏡を封印し、
ノエルの功績は匿名で寄付をしPWを清算しました。
2人きりで出直す道中で休憩所へ手洗いに寄ったリーナ。
その背後から何者かの気配を感じとります。
そして手洗いから戻って車に乗り込んだリーナは笑顔を見せつも、
ついさっきのデヴィンとの会話さえ覚えていなかったのです。
怪訝な表情で車を発進させるデヴィンでした。
入れ替わったことを意味するラスト
ラストシーンで手洗いから戻ったリーナはPWのリーナでした。
現世界線のリーナを抹殺して自身が成り代わり車に乗り込んだのです。
もし『選択』の数だけPWが存在するならば、
デヴィンと結ばれなかったPWに存在したリーナが
デヴィンと過ごせる世界を探し出して成り代わったのかもしれません。
冒頭のマリッサのように・・・。
最初にPWの自分と入れ替わりになったのは、
射殺されてしまったジョシュでした。
そしてデヴィンは嫉妬にかられたノエルに殺され
PWのデヴィンが変わりにやって来ました。
ノエルはPWの自分と手を組んでいたものの、
彼が重傷に陥り、抹殺してしまいました。
そしてラストが手洗い中にPWから来た自分に消されたリーナです。
Pwを発見し、利用していたはずの4人は誰一人として
現実世界に生き残ることはできませんでした。
最終的には現世界のノエルを除く全員がPWの自分と入れ替わってしまった
という結末になりました。
『パラレル 多次元世界』感想
『もしあの時違う選択をしていたなら・・・』
という好奇心や後悔は誰しもが一度は思い描いた経験が
あるのではないでしょうか。
筆者は『選択』に時間をかけてしまう方です。
それだけに、もしも違う選択の結果の先が見られるとしたら
興味津々になってしまうでしょうwww。
一つを選択するということはそれ以外を捨てることに等しくて、
選んだものは正しかったのか?もっと良い選択があったのではないか?と
色々悩み後悔をしているのもまたその裏には
『もっと』と言う気持ちがあるからなのかもしれません。
しかしながらそれを手に入れるための代償は大きい。
純粋に、なくしてしまった夫ともう一度一緒に過ごしたいという、
そんな純粋な願いさえも、叶えるためにもう一人の自分を犠牲にしなければいけない。
そして犠牲と引き換えに手に入れたその後、日記のマリッサは徐々に精神に異常をきたすように
なってしまいました。
例外なく『もっと』を欲してしまった人は皆、悲劇に終わってしまいます。
結局はどんな些細で純粋な願いであったとしても
人の不幸の上にあるような幸せが長く続くことはないという
教訓なのかもしれません。
もしも、あの鏡を見つけても
立ち入らないことをおすすめしますwww