映画【ある男】ネタバレ考察|哀しき夫の正体とラストシーンの謎に迫る

邦画
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妻夫木聡×安藤サクラ×窪田正孝の共演で魅せる
別人の人生を生きたある男の本当の姿や
偽りの自分を生きる理由などを紐解いていくミステリー
であり、ヒューマンドラマ。
映画【ある男】

特にラストシーンは気になるところで幕を閉じました。

そこで本記事では

謎の男の正体とは誰だったのか?
★ラストシーンの謎
【ある男】のテーマとは?

に着目して推察しています。

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【ある男】あらすじ

離婚を機に息子を連れて故郷の宮崎に戻って来た里枝
実家の文房具屋を手伝う最中、あふれ出てしまう涙。

そんな時、入店してきた男もまた、どこからかやって来て、
里枝の住む町で林業に携わっていた。

趣味で絵を描く物静かなその男は谷口大祐と名乗り、
里枝に、『友達になって欲しい』と語り掛ける。

そんな出会いの末、再婚に至った里枝は、大祐との間に
娘を設け、息子を含め家族4人の幸せな生活を送っていた。

しかし、大祐が仕事中の事故で命を落としてしまう。

法要に現れた疎遠だった大祐の兄・恭一は、
大祐の遺影を見て、弟ではなく別人だと告げます。

その言葉を受けて半信半疑の里枝は離婚の際に雇った弁護士の城戸に、
夫の正体を突き止めて欲しいという依頼をするのだった・・・。

キャスト
妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝、眞島秀和、
清野菜名、仲野太賀、柄本明 

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以下、作品の結末までのネタバレを含みます。
未視聴の方はご視聴後、再訪くださいませ。

本記事の情報は2024年3月時点のものです。
最新の情報は各サイトにてご確認くださいませ。

ある男の正体

里枝が谷口大祐だと信じていた夫は城戸によって
原誠という別人だと判明しました。

大祐が別人だった真相

誠が別人の人生を生きるその裏には

実父の小林謙吉が殺人の罪で極刑に処されたという事実がありました。

犯罪者の息子として生まれた誠は、小林の名を捨て、母親の旧姓〖原〗
を名乗ったにも関わらず、犯罪者の息子というレッテルと突き刺さる視線や
嫌がらせ等が止むことはおそらくありませんでした。

時が経過してもどこで生きていても追われる、
その運命にあらがえずに、夢も希望も捨てたのです。

そんな時に絶望の淵から救ってくれたのは
戸籍のロンダリングでした。

小林誠(本名)→原誠(母親の旧姓)→曽根崎義彦(極道の息子)→谷口大祐(老舗旅館の息子)と4度目の戸籍交換で
やっと通常に生きることができたといえます。

とはいっても、人の人生を生きるのですから
ひっそりと目立たないように生活することは否めません。

ラストシーンの謎に迫る

本作の物語を締めくくるラストシーンでは、
バーのカウンターでおそらく初めて会う人に偽りの自分の境遇を語る
城戸の姿がありました。

そこで楽しそうに、幸せそうに
この人生は手放したくない
と語る城戸の心理とは?

ラストシーンの解釈のポイント

城戸は実家は伊香保で老舗の温泉旅館を営み、
自身は現在、妻と息子と娘に囲まれ林業に従事しながら
幸せに暮らしているとしています。

出生の事実は本物の谷口大祐のものでありながら、
語っている身の上は、大祐の人生を生きていた誠のもの
であったと言えます。

他人の人生を生きて、妻にさえ素性を偽っていた夫に対し、
その正体が犯罪者の息子であると判明した後に、
〖正体なんて誰でもいい。〗
と言い放った里枝。

夫の人生に重くのしかかった素性ではなく、
目の前に存在する1人の男性として、最愛を注ぎ続けたのです。

どんな運命のもとに生まれてこようとも
揺らがないその気持ちこそ、城戸自身が求めていた願望であり、
そんな風に愛情をもってもらえる誠が羨ましかったのでしょう。

同時に社会的に高いステータスを保持しながらも、
もしも城戸がXに成り代わっていたら
妻はどういう発言をするのだろうか?

一番身近な存在であるはずの妻の気持ちにさえ
自信をもてない城戸なのです。

城戸は誰の名前を名乗ったのか

物語のラストは、バーでの話し相手に自己紹介をしようと
するところで幕が閉じます。

大祐の人生を生きた誠、そしてそんな偽りの人生を選んだ
誠に心から共鳴してしまう城戸。

妻の不貞はそれを決定づけました。
自身も違う自分になりたいという願望が露呈したのです。

そんな城戸はラストで自分の名前をどう名乗ったのでしょうか。

現状、谷口大祐の戸籍には空きがあるといえます。
しかもそれを認識しているのは数名です。

谷口大祐の名前を名乗り成り代わることも
不可能ではないでしょう。

社会的な地位も富も家族という幸せの形も
全て持っている城戸がそんな生活を捨てるはずはない。

しかしそんな生活でさえも叶わない
抗えない運命を背負っているということなのです。

そしてそれは周りが思わせていること。

そんな城戸が名乗ったのは
〖谷口大祐〗の名前だったのではないでしょうか。

結局、城戸も大祐も自分自身を見てもらいたい
というその苦悩は同じなのです。

〖ある男〗の真相とテーマ

父親の罪を背負い、自分の人生が生きられなかった誠。

子供は親の罪を背負うべきなのでしょうか。
そんなところが問われる本作の
テーマとは何だったのか
推察しています。

大祐の真相と城戸の心の闇

誠が別人を名乗りたかったのは違法行為など悪事を
はたらくためではありません。

自分の生まれ持った名前と人生では
〖息をすること〗すら難しかったのです。

大祐もまた老舗旅館の実家という一見羨望の的にもなりえる境遇
を捨てたかった裏側には家庭内マウントに悩まされていた
苦しみから逃れたいという苦悩があったのでしょう。

城戸は〖弁護士〗という社会的なステータスが高く、
信頼される職に就きながら
自分の祖先のルーツのことを侮辱されるのを恐れる日々のせいで
アイデンティティーを確立することが困難になってしまっていました。

そんな城戸が〖X〗とされた誠の正体を突き止めようとする過程で、
痛感するのです。

自分にはどうにもできなかったこと
(誠にとっては犯罪者の父がいる、城戸にとっては祖先のルーツ)

そんなことについて他人からとやかく言われる日々が
どれほどキツくて、馬鹿らしくて、くだらないのにも関わらず
決して逃げ道のないことを。

作品に込められたメッセージと意味

劇中、不思議で意味ありげに映る絵画は
1937年に制作したとされるルネ・マグリット〖不許複製〗の絵画です。

この絵画をルネに依頼したとされるエドワード・ジェームズの、
大富豪でありながら、その裏で抱えていた疎外感を表現したもの
なんだそうです。

本作ではこの自分の正体が見えない絵
そこに城戸の後ろ姿も加わりました。

義父母に侮辱されているのに平気な顔で知らんふりの妻や、
戸籍交換ブローカーの小見浦からの心無い言葉は、
常に孤独を感じていた城戸の闇を増幅させていったのでしょう。

誰もが自分が何者であるのかは案外自分ではわかりにくいのかも
しれません。

周りの人が接する自分への態度、言動、行動・・・
そんなところから自分の正体を痛感するのです。

だからこそ、ラストで暴かれる妻の不貞は
城戸にとって自分の生きて来た道を全否定するものに値した
と言っても過言ではないでしょう。

どんなに素晴らしく優秀な成果をあげたとしても
共に分かち合い、祝福しあい、支え合う心の味方が居ないのならば、
それは功績をあげたただの〖ある男〗に過ぎないのです。

里枝の息子・悠人は大祐がいなくなって
寂しいと泣きました。

悠人にとって大祐が血の繋がりを超えて、大祐が何者であっても
信頼や絆が深かったことを意味する
胸に刺さる場面でした。


自分の肩書きにこだわるのもいい、
バッググラウンドも大切でしょう。
しかしながら、自分が誰と共に生きて、どんな思い出を作り、
誰を幸せにするのか、そんなところにも重きを置いて
決して〖ある男〗にはならないように生きて欲しい。

そんな願いも込められているのではないでしょうか。

【ある男】を見た感想

多くの人が生まれ育った環境下で何らかの偏見や先入観を
自分の価値観として備えてしまうことはあるのかもしれません。

しかしそれが当然のことではなく、
ほんの一部の意見にすぎない
ということは念頭におかなければいけないと思いました。

他人の人生に憧れる人は案外多いのではないでしょうか。

どうでもいいですね~な情報ですが
筆者自身も家庭内マウントが炸裂する中で育ったため
そのような気持ちは痛いほど同意できてしまう悲しい生い立ちです(笑)

しかしながらきっと、どんなに素晴らしい経歴の持ち主の
戸籍を手に入れたとしても、
自分に向けられる他者の思いが薄っぺらいのなら何の意味も
ないのかもしれません。

決して〖ある女〗にはならないように、
気を付けなければ・・・と痛感しました。

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