『君の名前で僕を呼んで』を手掛けたルカ・グァダニーノ監督の
2024年の映画『チャレンジャーズ』
主演は『DUNE砂の惑星』や『スパイダーマン』シリーズの
ゼンデイヤ。
奇妙な三角関係を描く本作の結末はどうなるのか?
タシはどっちが好きなの?
などの気になる謎について深読み考察しています。
『チャレンジャーズ』あらすじ
#ゼンデイヤ 主演
— THE TRAD (@THETRAD_TFM) June 6, 2024
映画『チャレンジャーズ』
あなたの“価値観”を揺さぶる衝撃の0<ラブ>ゲーム❗️
<明日6月7日(金)公開❗️>
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幼馴染で親友のパトリック・ズワイグとアート・ドナルドソンは
ジュニアのテニス大会でもダブルスを組んでいた。
2人はダブルスの試合で優勝し、シングルスの試合で王者を賭けて
競うことになった。
アートは祖母が試合を見るかた負けて欲しいとパトリックに哀願する。
するとパトリックの方はそれを快諾した。
そんな2人は女子テニスのシングルス決勝試合を観戦しに行く。
そこには華麗プレーで観客を魅了するタシ・ダンカンがいた。
タシの魅力に惹かれてしまった2人はその夜、
彼女の優勝を祝うパーティに参加する。
タシに話かけるアートとパトリックだったが、
彼女の方も2人のことを知っていた。
そしてアートとタシが共にスタンフォード大学に進学することが
判明する。
パーティの主役であるタシは引っ張りだこですぐに呼ばれて去って
しまうが、2人はパーティが終わるのを待って、
彼女を自分たちの部屋へ誘う。
あまり手ごたえはなかったが2人の予測に反してタシがやって来る。
タシは2人に明日の試合の勝者に連絡先を教えてあげると言って
帰ったのだった・・・。
キャスト
ゼンデイヤ、ジョシュ・オコナー、マイク・ファイスト、
ナダ・デスポトヴィッチ、 A・J・リスター、ナヒーム・ガルシア 他
以下、結末までのネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。
本記事の情報は2024年12月時点のものです。
最新の配信状況は各サイトにてご確認くださいませ。
『チャレンジャーズ』ラストの解釈は?
冒頭映し出されるのはパトリックとアートの決勝試合。
そして最前列の中央付近で彼らを見つめるタシの姿がありました。
この試合こそクライマックスであり、映画のラストを飾る場面です。
その場所にたどり着くまでの3人の足取りを回想シーンで
振り返り、またこの試合に戻る。
そしてラストに改めてこの試合に遭遇する鑑賞者は
やっと3人の真実を知ることとなるのです。
10年間の軌跡
出会いはタシの試合を見たパトリックとアートが
共ににタシに魅了され始まりました。
2人の誘いに応じて部屋にやってきたタシでしたが
『2人は愛し合っているのか?』
と問います。
否定した2人を今度はベッドに誘い、
両方と同時に濃密な愛情表現を交わしていたが
タシだけがそっと身を引き、いつのまにかパトリックとアートが
いちゃいちゃしていました。
そんな2人にタシは試合の勝者の方だけに連絡先を教えてあげる
と言い帰宅しました。
祖母のためにわざと試合に負けてくれる約束を取り付けていた
アートでしたが事情が変わると、
勝利の女神はパトリックに微笑んだのです。
タシと交際を始めたパトリックはプロのテニスプレーヤーと
なりました。
タシが諦められないアートは嫉妬にかられ、
姑息な手段で2人がお互いに疑念をもつように仕向けます。
そしてタシがパトリックのテニスに言及したことをきっかけに
口論となり、直後の試合でタシは大怪我をしてしまいます。
喧嘩中で試合を観戦しなかったパトリックと
タシがケガを負ったその時に駆け付けたアート。
結局、タシはパトリックに別れを告げました。
時が経ち、怪我がテニスプレーヤーとしては致命的になったタシは
コーチに転向します。
アートの指導を担うことになったタシはアートの妻となり
公私ともに支えていました。
グランドスラムで6回の優勝を飾り
世界的に有名なプレイヤーとして脚光を浴びたアートでしたが
最近はスランプに陥っており、テニスへの情熱さえ冷めていっているようでした。
しかしアートはまだ
タシが最も叶えたかった自国の全米オープンの優勝を
手にしてはいませんでした。
そんなアートを再び名プレイヤーに戻そうとするタシは
順位の低い選手でも出場できる『チャレンジャー』大会に
アートを出場させることを決めます。
一方、アートには負けたことのないパトリックでしたが
2回戦負けのジンクスがまとわりついていました。
そんな2人が『チャレンジャー』大会で顔を合わせることに。
決勝試合は出来レース?!
チャレンジャー大会で優勝してもしなくても
『もうテニスを辞めたい』
とタシに告白したアート。
そしてタシはアートが勝たなければ離婚すると宣言します。
その裏でパトリックに会いに行ったタシは
わざと負けてくれるように哀願します。
パトリックはタシに見返りを要求し了承します。
ところが2人の試合は大接戦。
タシは本当にパトリックが負けてくれるのか不安と
その試合の緊張感への興奮が入り混じる思いの中、静観していました。
しかしパトリックはアートに、試合中に二人にしかわからない合図を送ることで
パトリックがタシと関係を持ったことを暴露しました。
これに激高したアートはいったんは自暴自棄な態度を見せるも、
彼らの間に精神と情熱のラリーが始まるのでした。
徐々にその距離を縮めて行くラリーはやがて
2人を隔てるネットを超えて熱い抱擁と化すのでした。
それを見守るタシが
『COME ON!!』
と叫び、笑顔を見せるのでした・・・。
タシは本当は誰が好き?
結局、タシの意中の相手はアートなのかパトリックなのか
どっちだったのでしょうか?
その答えは両方だと言えるでしょう。
ただし・・・テニスをしている2人だということです。
パトリックとの交際中には
自分にはないテニスプレーヤーとしての可能性を秘める彼に対し、
自分の技術を持ってすればもっと強くなれるのに、という
嫉妬や願望が入り混じってこそ、
ついつい口を出してしまったのでしょう。
まだまだ躍進するはずだった自身のテニス生命が絶たれると、
自分の分身になって輝ける景色を見せてくれる
アートはタシにとってなくてはならない人だったのかもしれません。
しかしそんな彼にスランプが訪れ、情熱もなくしたアートが
『愛してる』とささやいても
『わかってる』と返すだけでタシの愛情を示すことはありませんでした。
一方で再会したパトリックはテニスへの情熱を捨ててはおらず
タシの指導を望んで高見を目指そうとしていました。
テニスに対するタシとの価値観が一致する相手と言えるでしょう。
そんな彼に再びなびいてしまうのは
タシの最愛は『テニス』だからなのです。
問題のラストシーンの意味
本作のラストは唐突に幕を閉じるため
少し面食らってしまいますよね?!
あれどういうこと?
タシはなんで笑ってるの?・・・などなど。
物語のラストで抱き合っていたのは
アートとパトリック。
ラストは2人がお互いの愛情に気づいたのだと解釈しました。
そしてその光景に
『しっかりやれ~』
と野次をとばしながらも微笑むのはタシでした。
当初の三角関係の構図は、
アートはタシが好き。
パトリックはアートが好き。
タシはテニスに夢中。
だったのだと思うのです。
潜在的にアートの恋路を邪魔するためにパトリックは
タシに近づいたのかもしれません。
それでもテニスの才能あふれるパトリックは
タシにとっても魅力的でした。
しかし3人が出会ったあの夜に、
『2人は愛し合ってる?』
『略奪愛はしたくない』
と言っていたタシの目にはすでに二人の間の真実が
見えていたのかもしれません。
3人の出会いから10年経過したラストシーンで
やっと気が付いたアートとパトリックのお互いの気持ち。
そしてタシには自分をコーチに迎え全米オープンに挑戦してくれる
テニスプレーヤー、パトリックが居る。
3人それぞれの欲望が叶った瞬間だったのではないでしょうか。
『チャレンジャーズ』感想
三角関係をテーマにした作品は珍しくないのかもしれませんが
本作がそれらとは一線を画す気がするのは
タシもアートもパトリックも
本音をひた隠しているため
思惑や目的がなかなか見えないからなのかもしれません。
回想シーンを通じてそれぞれの欲望が少しずつ浮かび上がってくるのですが
これもさまざまな解釈ができるような不思議な作品です。
ところでアートとタシの娘に夫婦があまり接していない様子が
意味深でしたね。
タシは娘よりもテニスであったり、
パトリックと密会を重ねる妻の産んだ子は
もしかしたらパトリックの子なのかも?
という疑念がアートにはあったのかと勘ぐってしまいます。
そしてあの物語のその後は、
パトリックが優勝して、アートとタシには別れが訪れる。
それでもアートはパトリックと共に生きて行く幸せがあり、
パトリックはタシの夢である全米オープン覇者をタシと共に目指して行くという
夢や情熱を手にする。
となれば3人のそれぞれの欲望は叶ったのだと言えるのではないでしょうか。
タイトルの『チャレンジャーズ』が複数形なのは、
チャレンジャー大会に出場したのはアートだけではなく
タシもまた戦略を立てる者として君臨したのであり、
となれば、パトリックがそこに来ることがわかっていて
わざとアートをぶつけに行ったのかもしれませんね。
筆者がゼンデイヤを初めて見たのは
ディズニーチャンネルの『シェキラ!』でした。
そちらも笑えるコメディながらゼンデイヤのキレキレダンスが
見られるのでオススメの一作です。