密室ホラーの代表格と言えば必ず浮かんできそうな映画の一つが1997年カナダ発の『CUBE』だと思います。
そして最初に『CUBE』が公開されて以降、そのヒットをうけて
『CUBE』のようなシチュエーションのホラーが続出しています。
『ソウ』や『リミット』などがその例ですね。
そして時を経て、日本でリメイクされた『CUBE』
多くを明かさないところが逆に恐怖を誘うオリジナル版『CUBE』
日本リメイク版では〖CUBE〗の謎は明かされたのでしょうか?
この記事では未だ謎に包まれた『CUBE』の黒幕の目的は何だったのか?
ラスト時点の生存者やエンドロールのデータの意味などを交えながら、
気になる謎にせまっていきたいと思います。
【CUBE】を鑑賞後、解釈に悩んでいる方のお役にたてたら幸いです。
この記事はオリジナル版とリメイク版のネタバレを含みますので、是非ご視聴の後ご来訪をお願いします( ´艸`)
日本版【CUBE】の概要
- 公開日 2021年10月22日
- 原案 ヴィンチェンゾ・ナタリ
- 監督 清水康彦
- 脚本 徳尾浩司
- 1997年に公開された本家『CUBE』監督ヴィンチェンゾ・ナタリ氏が公認した初のリメイク昨品
【CUBE】キャスト
- 菅田将暉(後藤裕一)
- 杏(甲斐麻子)
- 岡田将生(越智真治)
- 田代輝(宇野千陽)
- 斎藤工(井出寛)
- 吉田鋼太郎(安東和正)
- 柄本時生 他
あらすじ
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— 映画『CUBE』公式<Blu-ray&DVD好評発売中!> (@cube_m0vie) August 8, 2021
CUBE内シーン写真🧊
一挙大公開!
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互いの素性を知らない6人が極限状態のなか、
繰り広げる展開とは──?
CUBEの色の変化にも注目です!
10月22日(金)の公開をお楽しみに。#今日は振替休日#菅田将暉 #杏 #岡田将生 #田代輝#斎藤工 #吉田鋼太郎 #映画CUBE pic.twitter.com/Oggdvovrhm
目を覚ましたらそこは謎の立方体部屋の中だった。
同じ状況でその密室に運ばれた6人の男女。
彼らは脱出を試みるが、むやみにトラップが仕掛けられている部屋に
移動してしまうと、死んでしまうらしい。
何が何だかわからないまま、6人の男女は出口を探すことにするが…
オリジナル版【CUBE】が恐い理由は謎が謎のままだから
オリジナル版の物語は、突然立体部屋の中で惨殺される最初の犠牲者を見せられます。
何が起こっているのか?という驚きと、
話が進むにつれて、誰が?何の目的で?どんな人を連れてきたのか?
そんな疑問に襲われるのです。
しかしながら、最後まで、その詳細は謎のままでした。
難解なルール設定
どの部屋にトラップがあって、
どの部屋なら安全なのか?を解くカギになるルールが難解でしたね。
まずは各部屋に部屋番号のような3つからなる数字を発見。
その中に素数が含まれているとトラップが発動するというルール。
しかしそれでは不十分で実はその因数の数によって、
素数が含まれていない部屋にもトラップが発動していました。
またデカルト座標により部屋の位置を割り出し、
順列の組み合わせにより移動する部屋を割り出しましたね。
数学系が苦手な筆者には、ちんぷんかんぷんだからこそ、怖いルールでした。
誰が何の目的で行っているのかが不明のまま
舞台は始終部屋の中。
外壁へは辿り着きますが、外の世界とは遮断されたままです。
そのため脱出を試みている者以外の誰とも接触することがなく、
誰が仕組んだものなのか?
何のために行っているのか?
何故自分たちが選ばれたのか?
全く意味不明なのです。
ただただ脱出しなければ終わる…という恐怖。
ラストに訪れる絶望感
映画の終盤で実は、参加者たちが最初に目覚めた部屋こそが、
最終的には出口へ繋がる部屋だったことが判明します。
つまり…目覚めた部屋から動かず、参加者同士争わずじっとしていれば
無事に全員脱出が出来たというオチ。
最大の恐怖でしたww
仲間の本性がむきだしになる
助け合うはずの仲間…といっても自分の命がかかっているということになれば、
後先考えず暴走する人がいます。
仲間を見殺しにする。
人を蹴落としてでも助かろうとする。
さらにそれが警察官だったりしたら…
その本性には目を覆いたくなります。
マジ怖かったよね
【CUBE】ネタバレ考察
オリジナル版『CUBE』が観ている人を怖がらせることに成功した要因
を述べてきましたが果たして日本版『CUBE』では
どこまでの謎が明かされたのか、どんな恐怖が起こったのか、
考えていきたいと思います。
難解なルール設定ではなく感情型のトラップ発動
オリジナル版のルールは色々と数字的に複雑でしたが、
難しいからこその面白さがありました。
しかし日本版ではこの数字系のルールは簡略化され、
基本的には素数がなければトラップなしという設定と、
デカルト座標のみ描かれていましたね。
そのかわりに越智が怒りを爆発させると部屋のトラップが発動するという興味深いルール。
本作ではそこに黒幕側の意図するヒントがあるのかもしれません。
黒幕側は怒りや憎しみなどの人間の負の感情を注視していたのかな?!
最終的に脱出できたのは一人だけ
最終的な脱出成功者は1人だけというのはオリジナル版と同じですね。
しかしながらオリジナル版は3人で脱出しようとしたけれど、
襲撃にあって2人脱落してしまいました。
一方で本作では、2人脱出に成功できたはずですが、外の世界に出て行ったのは、
宇野千陽だけでした。
一体もう一人はどうしたのでしょうか?
もう一人の生存者の正体は黒幕サイドの使者
ラスト時点で出口に居たもう一人の人物、甲斐麻子は脱出する気配がありませんでした。
出口へ向かう千陽に
外に出ても何も変わらないかもしれないがそれでも前に進むのか?
と問いかけ、
自分が変わる
と言って出ていく千陽を『ばいばい』
と笑顔で見送ります。
あの瞬間、千陽も甲斐麻子の正体に気付いたみたいだったね
そしてその直後、甲斐麻子は完全に人間ではない物証が映し出され、
再びCUBEの中へと向かいました。
甲斐麻子が、このゲームの主催者側の使者だということが明らかになった場面でした。
【CUBE】の目的を考える
甲斐麻子は黒幕側の使者でありその正体は人間ではなくAIでした。
そのように、黒幕に繋がるヒントは提示されましたが、
ここからは鑑賞した人それぞれの考察、解釈になるのだろうと思います。
黒幕は、AIを送り出せる資金や開発技術やあの広大な環境を持っていることから、
大きな組織であると予想されます。
エンドロールに隠された意味
エンドロールでは脱出を試みた6人のデータが写しだされ、脱落者の安東・井出・越智については完結した状態であることを示す【completed】という文字。
さらに脱出に成功した千陽は【completed】に加えて【subject released】(被験者解放)と示されていました。
そして最後に何とか生存していてまだ脱出を諦めていない様子の後藤のデータには【continue】と。
これらのデータや同じ服装にされていたことなどからCUBEの中で何らかの実験が行われたことがうかがえますよね。
CUBEで行われていた実験
筆者は甲斐麻子が被験者たちに放つ
あなたたちは何者ですか?
という台詞に着目して考えてみました。
理由がわからず突如CUBEの中に連れて来られた6人は、生きたいという欲望に直面したとき
それぞれのトラウマや抱えている問題について向き合うことになりました。
生きるために脱出するためにCUBEと闘っているようでありながら
その裏で実はぶつかり合っていたのは人格と人格。
そしてその結果、自分が何者なのかの答えを知るのです。
CUBEの中で生き残るために
CUBEのような密室に閉じこめられた6人のように、ごく小さなコミュニティ内で、クセがありまくる人間に囲まれた中では、どんなシチュエーションで、何者ならば自我を保ち続けることができるのか?
被験者の中に紛れていた甲斐麻子のように、敵を作らず余計なことには関わらず無事に脱出するにはどのように行動するのが最適と言えるのかを実践する。
そんな実験だったのではないか。
そんな答えを出してみましたww
『CUBE』感想
あの『CUBE』のリメイク作品、
そして豪華な俳優陣ということで鑑賞を楽しみにしていた本作品。
オリジナルと比べると、全年齢の方が観ることが出来る映画とあって、
怖さ自体は穏やかなものでした。
オリジナル版との大きな違いとして主人公のトラウマが描かれていて、
それを補うキャラがいて、脱出は困難を極めたけれど、後藤のトラウマは救われました。
そして後藤自体も重傷を負いながら、簡単に諦めることなく出口へと向かい続けています。
ということでこの作品は人間模様と希望を残した、
ホラーの枠にとらわれないヒューマンホラーだと思いました。
さらに欲を言えば、井出さんが何かCUBEの情報を掴んでいそうな気配だったり、
安東さんの誇りになっているものなどが気になりましたので、
他の人格についてももっと深堀りして欲しかったですww
リメイク版『CUBE』は、〖解釈は観る人にお任せします〗系の映画が好きなかたに特におススメの作品です。