Netflix映画『いつか笑いあえるなら』
は、家族の絆や大切なのは何か?
を描いたヒューマンドラマです。
崩壊寸前となった家族の絆を取り戻すための秘策は
母親の決意でした。
その結末はどうなるのか?
ネタバレありで感想を綴っています。
『いつか笑いあえるなら』あらすじ
ステラは夫のグスタフと、思春期真っただ中の娘アンナ、
一時も目を離せない幼い息子のマンネの4人家族。
一見、幸せそうな家族に見えるが実際は違った。
ステラとグスタフの仲は良好とは程遠い関係性であったし、
ポールダンスに夢中になるアンナは思春期も伴って、母の過保護ぶりに
反発していた。
そのためアンナは母親のサインを勝手に偽造してしまい、
その書類を見つけたステラと
荷物を勝手に見られたアンナは言い合いになる。
グスタフが帰宅しても誰も気に掛けることもなく、
食事の席だというのにステラとアンナの口論が止むことはなかった。
食事も摂らずに部屋に戻ったアンナ。
いつものその光景にもう限界だと感じたグスタフは
ステラに離婚を切り出した。
ステラは動揺するも、その時は今じゃないと返す。
そしてグスタフにアンナのポールダンス大会に家族総出で
出向く提案をする。
気乗りしないグスタフに父親の役目を果たして欲しいと
詰め寄り、崩壊寸前の家族4人は共に旅に出る・・・。
キャスト
ヨセフィーヌ・ボルネブーシェ、ポール・スベーレ・ハーゲン、
シーグリット・ジョンソン、オッレ・ティッカコ、スキ・ルンドストローム 他
以下、作品の結末までのネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。
本記事の情報は2024年11月時点のものです。
最新の配信状況は各サイトにてご確認くださいませ。
家族にとって大切なものとは何か
家族の在り方、パートナートの関係、親としての覚悟などなど、
現在まさに奮闘中の方も多いのではないでしょうか。
そんな家族をテーマにした物語では何が起こって
どんな変化が訪れたのでしょうか。
寂しさから逃げたグスタフ
カウンセラーとして夫婦関係の改善に向けて話を聞き、
アドバイスをしているはずのグスタフは
自身にそれを生かすことが出来ませんでした。
ステラから『何もしてくれない』と言われていたグスタフは
実は愛する妻のいちばん大切な人が自分ではなくなったと感じ、
寂しさを募らせた結果、改善策が見えなくなったのではないでしょうか。
母親は産みの苦しみがあってこそ、
子どもを守らなければいけないという気持ちや覚悟は
自然に身に付くのかもしれません。
それゆえには母親は強くならざるを得ないのです。
思春期の娘と幼い息子と聞いただけで
その母親の大変さというのは想像するのは容易です。
しかし突然妻の関心が自分からそれてしまった夫の方は
頭では理解できても心がついていけなかったのでしょう。
一緒に向き合うことが出来るのが最善なのでしょうが、
寂しさや母の強さ故の仕切りに耐えられなかったグスタフは
あろうことか、その寂しさを癒してくれる愛人にはしってしまいます。
夫婦の関係が音を立てて崩れ去ろうとしていました。
親離れしたい娘と甘えたい盛りの息子
母親として子どもの心配をしたり、守りたい故の行動は
ごく当たり前のことです。
しかし思春期ともなると、自分で選択したい気持ちや
1人になりたい時間、自立を意識する年頃なのでしょう。
そして些細なことで苛立ち反抗的になるのは
多くの人が経験してきたかもしれません。
筆者も盛大な反抗期が訪れましたが
逆の立場だったなら、号泣必至だったなぁと猛省していますwww。
一方で、幼い弟の方は、グルテンアレルギーということもあって
母親としてはつきっきりで見ていてあげたいと考え、
息子自身も母親が傍にいないと不安になるといった状況でした。
どちらの子どもも共通するのは
グスタフには良くも悪くも関心がないということです。
いかに育児に関わって来なかったのか?
それとも関らせて貰えなかったのか?
兎にも角にも夫妻間のみならず父子の関係も悲惨な現状になっていました。
母親の苦悩
ステラは家族に秘密にしていることがありました。
重い病気を抱えていたのです。
喜びも悲しみも分かち合うと誓ったであろう夫にも
他の家族にも打ち明けることが出来ず、1人で苦しんでいました。
離婚を切り出されたのはそんな最中の出来事だったのです。
1人、部屋で涙する姿は、別れを切り出された以上の
恐怖があったと思うと見ているこちら側も苦しくなってしまう場面でした。
娘は反抗的、息子は自分が居ないと不安になる、
夫は家族から離れたいと言う・・・
それは残された時間を考えれば最も最悪な状況だった
と言えるでしょう。
しかしステラは想像以上に強い母でした。
嫌がるグスタフを無理やりアンナのポールダンス大会に
連れ出しました。
最悪な関係になった夫との旅。
それは家族を、子どもと父の関係を修復したいという母の願いを
込めた旅でした。
大切なもの
そんな心中も知らず、グスタフが旅中も子どもを待たせて
愛人との電話に勤しむ姿にどれほど失望したでしょうか。
もう怒りさえも表せなかったのかもしれません。
しかしグスタフが行動に出ます。
本心をさらけ出してくれ
・・・と。
話し合うこと、歩み寄ることの大切さを痛感する
場面でした。
劇中のステラとグスタフの激しい口論は
キツイ場面ですが、それでも何を考えているのか
相手の気持ちがわからなければ理解もできません。
理解ができなければ、成す術はなく、歩み寄ることはおろか
何もしてあげられないのです。
口論の末に携帯を踏みつけにするほど怒りをあらわにしたステラを見て
少しずつ変化が現れるグスタフでした。
そうしてグスタフは手始めに家族のことは自分にまかせて
ステラは自身のために楽しむことをすすめました。
トラブル続きの旅は、
アンナのポールダンスの舞台をもって
新たな家族のカタチへと向かうはずでした。
グスタフは愛人に別れを告げ、2人の子どもとも良好な関係を築き、
夫婦の再出発の兆しも見えてきた中でのステラの秘密の暴露。
これからという時間に限りがあること、そして
愛する家族を置いていかねばならないことは、
到底癒すことが不可能な残酷な現実でした。
それでも気丈に振る舞い、夫と子供たちの明るい未来が
見えたステラは、もう大丈夫だと言いました。
時が経ち、グスタフの母親が運転する車で
グスタフの両親とグスタフ、そしてアンナとマンネは
9時間の長旅に出発するのでした。
映画『いつか笑いあえるなら』感想
改めて結婚の意味を考えさせられる、そんな一作でした。
違う家庭で育ち、違う経験値を積んできた他人同士が
運命を共同にする結婚。
そして新たな生命と共に家族をつくる。
恋に落ちたばかりの、または結婚式を迎えたばかりの
初々しいカップルには、なんて素敵な未来だろうと
希望ばかりの未来が描かれることでしょう。
しかし結婚とは最上級の『特別』であるとともに
時として困難な状況に陥るのか、最高の安定を手に入れるのかは
当人たち次第なのです。
最高を手に入れるためには自分だけではどうにもならないこそ、
最難関の人生のゲームかもしれません。
そしてそのために本作で家族の仲を修復させることに成功した
ステラから学んだのは
思いやりと対話を忘れないことです。
一見、当たり前のように思えたとしても、
残された時間に限りがあるステラにはとても困難なことだった
のではないでしょうか。
内心、悲しみと恐怖を心に抱えながら、
夫の浮気と子どもからの反抗に耐え、
最後の願いを叶えるべく、自身の気持ちよりも
夫のこと子どもの気持ちを優先させたからこそ、
夫と子どもの心を動かし
家族はまた再び同じ方向を向くことができました。
それでもやはりステラがいなくなるというラストは悲しすぎますね。
これは教訓なのかもしれません。
誰しもに、時間には限りがあるからこそ、
できるだけ長く幸せと安定を味わいたいのならば、
相手を思う気持ちを常に忘れずにその願いを叶えないなんて勿体ないと。
だって折角、一生を共にできる
と思える相手を見つけたのだから・・・。