【ネタバレ考察】劇場版『サイコパス PROVIDENCE』慎導篤志の行動の意味とは?

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テレビアニメ『PSYCHO-PASSサイコパス』は2012年に第1期が放送され、
2023年に10周年プロジェクトとして制作された
劇場版『PSYCHO-PASSサイコパスPROVIDENCE』
が公開されました。

しかし先に放送された第3期のアニメを視聴した方ならば、
本作がいつの話なのか?ということに疑問を感じたのではないでしょうか。

そこで本記事では劇場版サイコパスPROVIDENCE』はいつの話なのか?そして
本作のキーパーソンである慎導篤志が取った行動や目的など
をまとめました。

この記事のポイント
『サイコパス PROVIDENCE』はいつの話?
『サイコパス PROVIDENCE』で判明した3期の謎
慎導篤志の行動の意味とは?

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『サイコパス PROVIDENCE』あらすじ

時は2118年、常守朱は、公安局の統括監視官として
シビュラシステム頼りになっている日本が、
法の廃止に踏み切ろうとしている動きに対し異議を唱えていました。

同じ会議に出席する厚生省統計本部長の慎導篤志が招いた要人が
シビュラシステムの未来にも関わる通称ストロンスカヤ文書
を持参する予定であったが、
その人物は会議に出席できないというメールを受けとった。

それと同時に朱の元にも、外国船舶で発生した事件の一報が入る。

会議は終了され、朱に声をかけた慎導は、事件のあった船には
自分が招いた要人が乗っていると打ち明け、2人は共に現場へ向かう。

しかし、現場の指揮は花城フレデリカが率いる外務省海外調整局行動課
に委ねられてしまう。

さらに、慎導が招いていたというミリシア・ストロンスカヤ博士らしき
亡骸が発見された。

キャスト
花澤香菜(常守朱)、関智一(狡噛慎也)、野島健児(宜野座伸元)、
沢城みゆき(唐之杜志恩)、佐倉綾音(霜月美佳)、櫻井孝宏(雛河翔)、
東地宏樹(須郷徹平)、本田貴子(花城フレデリカ)、山路和弘(雑賀譲二)、
中村悠一(炯・ミハイル・イグナトフ)、梶裕貴(慎導灼)、
加瀬康之(甲斐・ミハイロフ)、大塚明夫(砺波告善)、菅生隆之(慎導篤志)他

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以下、『サイコパス』シリーズの結末までのネタバを含みます。
未視聴の方はご注意ください。

本記事の情報は2024年10月時点のものです。
最新の配信状況は各サイトにてご確認

『サイコパス PROVIDENCE』はいつの話?

結論から言うと、本作は
『PSYCHO-PASSサイコパス Sinners of the System Case.3【恩讐の彼方に】』
の後の出来事であり、
アニメの3期にあたる『PSYCHO-PASS サイコパス 3』
へと繋がっていきます。

アニメ3期の主要キャラクターとその関係性

本作のキーパーソンの1人が慎導篤志です。
彼はアニメ3期に登場する慎導灼の父親でもあります。

しかし本作のその後を描くアニメ3期において慎導篤志はもう故人となっていて
息子で公安に所属するは、父の自死という心の傷に苦悩しながらも、
父親の真相を探るという目的のもと監視官としてその責務を果たしています。

結局はアニメ3期では父親に本当は何があったのか、
明かされることはありませんでした。

また灼のメンタルトレースにおける危機を回避するパートナー
としてなくてはならない存在である炯・ミハイル・イグナトフ

彼もまた兄が殺されてしまった事件の真実を追い求めるため
灼と同様に公安にて監視官をしています。

そしてアニメ3期での最大の衝撃であり謎であったのは
1期からサイコパスを引っ張って来た常守朱が
拘束されていた
ことでした。

『あんな事件』、『もと監視官の殺人者』など
常守を形容するワードは不穏そのものでした。
常守に一体何があったのか?

さらに灼を公安局の監視官に推薦したのは常守なのですが、
気になる拘束の理由も灼との関係もわからずじまいでした。

『サイコパス PROVIDENCE』で判明した3期の謎

本作で常守たちと対峙することになるのは、
犯罪係数が上がらないためシビュラが裁けないピースブレイカー
という武装集団。

彼らは元々、慎導篤志や矢吹が率いる元外務省の特殊部隊だったのです。

慎導はこの組織の壊滅のため、炯・ミハイル・イグナトフの兄である
甲斐・ミハイロフをピースブレイカー内部に潜入させていたのです。

最終的にはミリシア・ストロンスカヤ博士、矢吹局長、甲斐・ミハイロフ、
雑賀先生が命を落とします。

そして慎導篤志は自らが全ての責任を被るかたちで
命を絶ち、事件は収束しました。

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慎導篤志の行動の意味とは?

シビュラによる統制下では、実際に犯罪が起きるのを未然に防ぐことが
でき、ともすれば法は不要という流れになっていました。

しかし免罪体質者は罪を犯しても執行対象にはならず
逆に紛争経験者などの色相の変動が激しい人などは容易に裁かれてしまいます。

そんなシビュラの欠点も理解する慎導篤志は常守同様、
開国政策には法の存続が欠かせないと思っている1人でした。

慎導篤志が自ら命を絶ったのは何故か?

慎導篤志は息子のために命を捧げたといえるでしょう。

法の存続が欠かせないという思いの中には
免罪体質である息子の存在があったからに他なりません。

では慎導篤志自身は免罪体質だったのかどうか?
それは推察ですが、筆者は免罪体質ではなく、
常守朱と同様、色相が濁らない強さの持ち主
なのではないかと思いました。

守りたい者のために掲げる正義とそのぶれない心の強さ
で、目的のためには手を汚すこともいとわなかったという覚悟
色相を濁さなかったのでしょう。

甲斐・ミハイロフもそんな慎導篤志に同調し信頼し、
弟の未来も託したのです。

いわば2人は同様の目的や願いを持つ同志であり、
甲斐・ミハイロフの殺害はその達成のため、慎導や
甲斐自身にとっても、やむを得ない手段だったのです。

しかし常守朱と出会い、必ずしも誰かを犠牲にせずして
叶う未来
もあったのではないか?という後悔は生まれたかもしれません。

それが炯・ミハイル・イグナトフの結婚式でのスピーチなのでは
ないでしょうか。

禾生局長との密会後、慎導のインスペクター側とのやりとりで
彼が公安側に寝返ったことが示唆されていました。

このことから慎導はインスペクターとして命を受け、
ピースブレイカーの発足もしくは手助けを行い、
文書を入手した後にはインスペクター側へ提出する手はずだった
ことが伺えます。

しかしこれは建前でそもそも公安側(禾生局長)と手を組んでいた
慎導は、インスペクター側の情報も、シビュラ側の情報も
熟知していた
のかもしれません。

作戦の思う結果が得られず捜査対象となった慎導の元へ
禾生局長自らが出向き他者に取り調べをさせず捜査を終了させたのも
まだ闇が隠れているのではないかと疑う余地がありそうですね。

禾生局長から『餞別だ』と言われ拳銃を受け取った
慎導は、全ての責任を取り自ら命を絶つことを選びます。
(選択の余地はなさそうでしたが)

これはシビュラの闇を知りすぎた慎導と作戦の失敗。

その2つを隠蔽したかったシビュラと、
息子たちの安全を願った慎導の取引きが成立した結果なのではないでしょうか。

慎導が望んだのは免罪体質の息子の安全(シビュラに取り込まないこと)。

そして慎導の正義を手伝って命を落とした煇・ワシリー・イグナトフの願い
である弟の安全と慎導の情報漏洩のために命を落としたストロンスカヤ博士の娘の安全
それらと引き換えに自らの命を差し出したのです。

映画のクライマックスと結末

雑賀先生も、同じ志の慎導も失った今、
シビュラが全能ならば〖法の撤廃〗を余技なく行われてしまう。

常守はそれを阻止するためにやむを得ず
ある行動に出ました。

常守朱の目的と行動

慎導の後継者としての任命式の場で厚生省公安局局長である
禾生に銃を向け発砲したのです。

シビュラの義体であるはずの禾生の身体からは赤い血が流れ
禾生は息をひきとります。

犯罪者、常守朱を裁くべく、ドミネーターをむける霜月

しかしその犯罪係数は低く、シビュラに常守を裁くことはできませんでした。

このニュースは国民の知るところとなり、
それはシビュラの全能が崩れた瞬間を意味していました。

シビュラが完璧ではないなら、法を撤廃してしまうのは危険かもしれない。

という世論によって、常守が描いたシビュラと法の共存、シビュラの実態を暴き、
そして議論を続けるというあるべき社会の未来は繋がれました。

登場人物それぞれの結末

法を信じた常守の最後の策は法を犯すこと(実際には殺人ではないですが)
という結末になりました。

常守朱の涙

禾生局長殺害の罪で拘束されてしまった常守。

奇しくもその場所は雑賀先生が隔離されていた部屋でした。

部屋に入り、雑賀先生の残した2つのカップを目にした常守は
狡噛に言われた通り、この件が片付いたことを実感して
こらえていた悲しみにくれた
のでした。

狡噛は常守を救うことを誓う

常守が拘束されたことを聞きつけ、もっと言えば常守からの手紙で
何が起こるのか察しがついた狡噛。

幸福な社会を望むのは狡噛も常守も気持ちは同じなのです。
しかし狡噛は必要ならば自分の手も汚す

一方で暴力には頼らない、誰も傷つけはしない方法で
アプローチするのは常守の方でした。

ところが今回はその常守自身が手を汚すことでしか阻止できない
法の撤廃がありました。

しかし身動きがとれなかった狡噛には止めることも
その役目を変わってあげることも出来ませんでした。

それは犯罪係数が上昇しない常守にしかできなかった
ことでもありました。

本来ならば自身のやり方であった汚れ役を
常守にさせてしまった狡噛ができること。

それは必ず常守を迎えに行くという決意でした。

宜野座と須郷の外務省入り

常守は矢吹と慎導に全ての罪を被せ一件落着を図る
シビュラに、
執行官の外務省入りを許してくれたことを感謝しています。

この時執行官の名前は明かしていませんが、
アニメ3期にて外務省に移ったことが明かされるのは
宜野座と須郷でした。

この2人と言えば、霜月たちとは異なり、
大手を振って裏切者に手を貸してしまった執行官です。

常守のようなシビュラの興味の対象になる者以外の、
裏切りを許さないシビュラの元に戻るのが得策ではないため
常守が交渉したものと思われます。

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『サイコパス PROVIDENCE』まとめと感想

慎導篤志は常守朱が将来なり得た人物だったのかもしれません。

彼が創りたかったのは、
守りたい者が人として生きられる未来の社会

そのために手を汚し、上に上り詰め、あくまでも人と共生できるシビュラの確立
目指していたのでしょう。

慎導の志は半ばで終わったと言えますが、
常守たちがシビュラに反旗をひるがえし事件の決着をつけることは猿飛の言動から、
予想していたと示唆されます。

シビュラでさえも『食えない男』だと言い放った慎導篤志は
臨んだ未来に近づける最も可能性を秘めた人物だったのでしょう。

しかし最終的には息子と友人たちの大切な存在の安全を守り、
常守朱という後継者を見つけ願いを託して、自らの人生に幕を閉じました。

目的のために冷酷とも言えるまでに人を利用し、ことを進めてきた慎導篤志の
最後は父親の顔でした。

一方で望を託された常守は自身の手を汚すことに至ってしまいますが、
法の撤廃を阻止することに成功し、
彼らの犠牲を無駄にはしませんでした。

そしてその常守が希望を繋ぐのは
慎導の息子である灼なのです。

この後の物語、アニメ3期で灼もまた
シビュラに新たな選択を迫ることとなります。

あくまで人間が関り、議論していくことこそが何より重要
なのだという思想。

それは慎導篤志から常守朱へ、そして慎導灼へと希望は
繋がって行ったのです。

ところで
常守が唯一その鎧をおろして心の内を見せられる相手が
雑賀先生だったのではないでしょうか。

そんな心の拠り所は視聴者の拠り所でもあり、
雑賀先生の最後は辛すぎました。

アニメ3期で常守が拘束された部屋を見て
嫌な予感が漂った視聴者も多かったのではないでしょうか。

雑賀先生が残してくれた

正義も真実も多面的。上から見なければわからないこともある。

と言う言葉。

上から見ることが出来る数少ない人物の常守の今後の支えとなっていく
ことはもちろんですが、

現代社会においても忘れてはならない核心をつく助言であると
痛感する一作です。


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