King Gnu井口理主演『ひとりぼっちじゃない』ネタバレ考察/宮子の正体とラストの意味

邦画
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『世界の中心で、愛をさけぶ』などの脚本を務めた伊藤ちひろ氏の同名小説を
King Gnuのボーカリスト井口理主演で映画化。

そして作者の伊藤氏自らが初めてメガホンをとったという
『ひとりぼっちじゃない』

King Gnuのファンである筆者(ど~でもいい情報から失礼しますww)は
井口さんの映画初主演作とあって楽しみに鑑賞しました。

一言でいうと、なかなか難解で不思議な物語だったと思います。

そんな本作のネタバレ考察を綴っています。

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『ひとりぼっちじゃない』あらすじ

歯科医師のススメは不器用な性格で、周りの人とのコミュニケーションが
大の苦手だった。

それゆえ歯科医として患者と接する際のシュミレーションを脳内に描き
ロープレをしていたりする。

そんなススメはアロマ店を営む宮子という女性に恋をしていた。

ススメは宮子の部屋を幾度となく訪れるが、彼女の部屋の鍵は
いつも開いていた。

宮子とは数少ない親しい間柄だと感じていたススメだったが、
彼女は突然連絡が途絶えたり、何を考えているのか掴めなかった。

宮子は自分を理解してくれているという喜びの一方で
逆に宮子のことがわからないことに苦悩していた。

宮子の不在の部屋で別の女性に出会うこともあった。

ある日、宮子と一緒に劇を鑑賞しに行くと、
ススメが通うスーパーのレジ店員・蓉子を紹介された。

蓉子は宮子について知りたくない??
とススメに詰め寄るのだった・・・。

キャスト
井口理、馬場ふみか、河合優実、相島一之、高良健吾、浅香航大、
長塚健斗、千葉雅子、峰村リエ 

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以下、結末のネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。

本記事の情報は2025年4月時点のものです。
最新の情報は各サイトにてご確認くださいませ。

『ひとりぼっちじゃない』考察と感想

この物語のタイトルからして最初はラブストーリーなのかと
思い込んで鑑賞しましたwww

しかしLOVEは存在するものの、これはとても難儀で
不思議な、色んな解釈ができるストーリーでした。

そして筆者は
現実とススメの自意識の世界が混在した物語なのではないかと感じました。

謎めく宮子の部屋

アロマ店を営んでいるという宮子の部屋は、
まるで植物園みたいに自然が生い茂っていて空気の良さそうな美しい部屋でした。

監督曰くこの宮子の名前にこそヒントが隠されていると言います。

その謎は多くの人が恐らく思いつくように、宮子は『子宮』を意味し、
宮子の部屋はまるで子宮の中のように、
その中に居る者を守り、その中に居る限り安らぎが得られる場所なのでしょう。

気になるのはその中で起こる出来事のどれが真実なのかということです。

序盤こそ、その部屋は穏やかな場所でした。
宮子との静かで幸せなひと時が過ごせる空間だったのです。

しかし観劇に行ってからというもの、その光景は一変してしまいます。

例えば、ススメが、バルコニーの物置に身を潜めて
宮子と部屋に訪れた男性を覗き見ている。

あの描写が真実なのか妄想なのか?

劇中劇の内容について、初めて宮子との意見の相違を認識し強い口調に
なってしまうススメと反論して涙ぐむ宮子。

ススメがひっかかったのは、劇の内容ではなく、
初めて認識した宮子にまとわりつく別の男性の影と、
別の男性にもススメに向けるのと同じ顔を見せることだったのではないでしょうか。

一方で劇中劇のキリン男に自身を重ねた宮子は
ススメの意見が自身の自己犠牲の愛を責め立てられたように思えて悲しかったのでしょう。

ススメの心の動揺とともに安らぎの場所ではなくなったその空間は
彼の嫉妬心をかきたて『最悪』を映し出す場所へと変貌していきました。

いつも鍵がかかっていないというその部屋での出来事は
もしかしたら全てがススメの自意識が生み出した妄想の世界
だったのかもしれないとさえ考えてしまいます。

蓉子という存在の意味

ススメにとって出会った頃の蓉子は恋のライバルだったと言えるでしょう。

そして蓉子は宮子に関していえばススメよりも少し先輩で、
宮子が誰のステディにもならないことを既に痛感していました。

そんな蓉子は自分と宮子の幸せの時間に浸食してくるススメを阻止しようと
行動を起こしていくうちに深い関係になってしまったことから、
宮子だけを思い独り占めしたいと願うその心情に変化が芽生えます。

その気持ちをススメに向けようとする蓉子でしたが
関係を持った直後であってもススメにとっては宮子だけが特別
という思いが変化することはなかったのです。

すると蓉子は宮子の恐ろしさを匂わせて何も告げずに去って行きました。

蓉子がススメに告げた宮子の部屋で起こったという悲劇
それは真実だったのでしょうか。

例え真実であったとしても蓉子の恋心もまた、宮子の部屋で死んでしまったことを
告げている描写なのではないかと思いました。

そしてそんな話をススメに告げて彼の不安を搔き立てるのは
宮子への思いを引き連れて走って去って行く
蓉子の最後の嫉妬心なのです。

その後、ススメもまた、蓉子の心情を体感することになります。
そして自身の鏡のような蓉子が宮子から旅立ったことを知り、
自分もまたその時が来たのだと痛感したのではないでしょうか。

ともすれば蓉子という存在こそが、
ススメの自立への道を後押しした人物だということになります。

これはススメの自立の物語

これはススメが自立するまでの物語だったのかもしれません。

ことの発端は母親に恋人が出来たことで生まれたススメの感情だったのではないでしょうか。
劇中、ススメの父親の存在は登場せず、おそらく母一人子一人の二人三脚で
歩んできたのかもしれません。

そんなススメにとって母親の存在は、運命共同体のように生きてきた半身と言っても
過言ではなかったのです。

しかしそんな母親に自分以外の大切な人が現れてしまいました。

これまでの【唯一】は消滅し、【無償の愛情】は半分になり、
たった一人の【特別】な存在が揺らいでいる感覚を味わうことになります。

何よりススメはコミュ障を自覚しています。
人との接し方がわからず、迷いながらも良き理解者である母の存在をもって
それでも良しとして生きてきたのです。

ところが突然、そんな母を別の誰かに奪われてしまったのです。
まさにひとりぼっちだという感覚に陥ったのではないでしょうか。

その事実から目を背け、宮子に理解者の代理を求めたのでしょう。

人と関わるのが苦手な素のススメを理解し受け入れてくれる宮子に
どっぷりはまってしまったススメ。

しかしそれらを手に入れたと同時に生まれたのは
不満や嫉妬や欲望といった感情でした。

宮子自身の本当のことを見せてくれない不満、
自分以外の影への嫉妬心、
そして宮子のたった一人の特別になりたいという願い。

それは少しずつ純愛から狂気へとススメを変貌させていきました。

色々と暴走した末に、初めて露呈した宮子との相違
自分が見ていたのは幻に過ぎなかったこと、
宮子に敗れた同志の存在を通して、ススメの望みが叶わないことを痛感させられます。

その結果、
人との関係で答えを見出せないことを恐れていたススメは
確かな答えなど見つからないことこそが真実なのだと理解したのでしょう。

そして宮子との別れで一人での再出発のスタート地点に立てたススメには、
帰れる場所が確かに存在し、それはひとりぼっちじゃないという証であるからこそ
母親を敢えて遠くから見守ることを決めたのではないでしょうか。

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宮子の正体とラストの意味

ススメだけではなく多くの人を虜にし、
自己犠牲の愛情を持って全てを受け入れる宮子という人は
何者だったのでしょうか。

個人的には映像に映し出された宮子は全てが本物ではなかったのではないか
と推察しています。

あくまでコミュ障のススメから見た宮子という存在と
本物の宮子が共存していた
ように思います。

例えばキリン男の劇中劇を見た後のススメと宮子が
ぶつかり合う
シーンは現実味を帯びています。

しかしススメが物置に隠れてこっそり宮子と謎の男性の
ひと時を覗き見しているというのは現実ではなく疑心暗鬼の賜物なのかなという具合に。

コミュ障のススメは、自分を受け入れて欲しい、理解して欲しいという気持ちが
先行してしまい、宮子自身のことを理解する努力が出来なったように思います。

それでも宮子を知りたいと思う恋に溺れたススメがおりなす
思いもよらなかった自分の狂気という一面の誕生を経験するのです。

そんなススメからの視点で見た宮子に現実と虚像があったとしても
不思議ではないのかもしれません。

一方で自己犠牲の愛情で来る者拒まず、去る者は追わずというモットーの
宮子の、そうなった経緯を図り知ることはできませんでした。

しかしもしかしたら、宮子は特別な誰かの存在を失くし、ひとりぼっちを体感していて、
現在の姿はもう二度とそうならないための彼女なりの手段なのかもしれません。

ホラー展開に出演する【宮子の兄】という存在がキーパーソンになっている気がします。
宮子の兄は意識不明かもう居ないという示唆なのでしょうか。

だとすれば、ススメが行っていない場所に存在していたり、
夜中の車椅子を押す宮子の場面や
ススメが治療中に出してしまう無意識の声などは
兄の、宮子を誰かに渡すまいとする念の仕業なのかもしれませんね。

ラストの木彫りの意味

ススメが最後に送った宮子の木彫りが意味深でした。

しかしこの木彫りの顔ははっきりせず、
最終的に宮子の顔とは言えない出来栄えになっていました。

これを宮子の元に置いてきた心理とはどんなものだったのでしょうか。

当初、木彫りを彫り始めたススメは
恋する宮子を思ってその顔を木に込めていたのでしょう。

しかしススメの目では本当の宮子の顔を見ることができませんでした。
どの表情の宮子が本当の彼女なのか?
迷い、理解に苦しんだ挙句残ったのは顔のない顔でした。

それは自分には顔を見せてくれなったという悲しみが込められているようにも
これから如何様にもなれるという希望にも思えました。

そんな思いのこもった木彫りを受け取った宮子はそれを物置に放り込んでしまいます。

それはススメは宮子のことを通り過ぎた証。
であると共にススメがひとりぼっちではないことに気づいた証

宮子自身がその助けになったのであれば
自分の役目は終わったことを理解したという行動なのでしょう。

宮子にとってそれはやはり恋ではなかったのかもしれません。

宮子が【特別】な存在を作らないのはもうそれが実在したからであり、
それでも、もうその存在は遠く離れてしまったとしたのならば、
今度は自身が誰かの孤独を癒せる存在になりたいという思いに
かられたのではかいかと感じました。

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まとめ

井口さんの存在があって当て書きで作られたという本作でした。
綺麗な裏声とはまた違った魅力全開でしたね。

物語自体にも何が現実で何が違うのか?ホラーなのか、ラブストーリーなのか?
実に難解な映画でありながら引き込まれる不思議な魅力がありました。

それは脚本の力であり、演者の放つ何かであり。
とにかく本作は一度見たくらいでは理解不能なことこそが醍醐味なのかもしれません。

ススメはコミュ障ゆえの母親の独立に孤独を感じていました。
しかし恋をして色んな感情や自分自身も知らない自分に出会い、
人と関わる難しさや人を理解することに答えがないことを痛感しました。

そして母親が自分の幸せを掴んだとしてもそれはススメの孤独ではないことを知ります。

いつだって帰れるし、いつまでも大切な母の存在があるからこその旅立ちでした。

謎多き宮子は結局何者だったのか?
個人的には、ひとりぼっちじゃない素晴らしさを体感した後に
孤独になってしまった女性
だと推察しました。

それゆえに誰かの孤独を癒せる存在になることが
宮子にとってのひとりぼっちじゃない証になった。

しかしそれは宮子を唯一無二であるという思いを寄せる人にとっては
気づきにも勇気にも、時には苦しみにもなり得たのではないでしょうか。

これは彼女を通り過ぎて行った人たちの物語であり、
人と関わることの素晴らしさを知り成長していくススメという
脱コミュ障の主人公の物語
だった気がします。

人間関係はこの世で最大の摩訶不思議であり
ススメのコミュ障ぶりに、あるあるを感じて応援したくなった人も
多いのではないでしょうか。

ススメの結末を見えればこそ、
それがたとえ辛い恋に終わろうとも、誰とも関わらないことを選択するよりは
絶対に良いんだと思わせてくれる一作でした。

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