ネタバレ考察【8番目の男】あらすじと感想と結末|掃除のおばさんは何者なのか?

洋画
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日本では2009年度から施行された裁判員制度
韓国での施行はそれに先駆けた2008年のことでした。

その第1回目の実在の裁判を元に制作された法廷サスペンス映画
【8番目の男】

・掃除のおばさんは何者?
・裁判の結末はどうなる?

に着目して妄想的な推察をしています。
一個人の意見にすぎませんが誰かの気になることのヒント
になりましたら幸いです。

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【8番目の男】あらすじ

韓国において初の国民が参加する裁判が開かれるとあって
マスコミの注目を集める中、
裁判長を任命されたキム・ジュンギョム

一般市民の中から8人の裁判官を選んでいく中で、
マスコミ関係者が混ざっていたことからその人物を除外した。

だが裁判開始まであと1時間と猶予が迫る中、
代りの裁判官選びに苦戦していた。
そんな中訪れたのは、陪審員の審査を無断で欠席したクォン・ナム

実はクォンは発明家として奮闘するも
自己破産まであとわずかという身だった。

そんなクォンと面会するジュンギョムは彼の
〖法は人を罰するためにあるもの〗
という考えに懸念を抱きながらも、
〖推定無罪の原則〗を説く。

そうして時計をみながら仕方ないと判断したジュンギョムは
8番目の男をクォンに任せることとした。

ついに韓国史上初となる裁判は幕を開けた。

事件の被告人が問われるのは母親殺しの罪。

目撃者もおり証拠が揃い、被告本人の自白まであった。
それ故、この裁判は量刑を決めることに重きをおかれる
と誰しもが思っていた。

問題行動も多くみられる被告の動機は
被告が幼い頃母親の不注意により起こった火災で
顔と両腕に治らない大けがをおっており、
その恨みや給付金をめぐってのことだと思われた。

ところが被告人は事件当日の記憶が曖昧であり、
証拠も無効だと訴え、自白を覆すのだった・・・。

キャスト
パク・ヒョンシク、ムン・ソリ、ペク・スジャン、ユン・ギョンホ、
ソ・ジョンヨン、キム・ミギョン、チョ・ハンチョル
 他

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以下、作品のネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。

本記事の情報は2024年5月時点のものです。
最新の配信状況は各サイトにてご確認くださいませ。

掃除のおばさんは何者?

緊張感あふれる法廷シーンの合間で
コミカルにファンタジー要素を含みつつ現れるのは
掃除係の女性です。

彼女は何者だったのでしょうか?

掃除のおばさん 登場シーン解説

陪審員となったクォンたちは裁判の間、外部との接触を
はかることは禁じられていました。

しかし自らの発明品の特許を申請中であるクォンは
申請課からの連絡に応えるために、
お手洗いを装って抜け出します。

そして建物内で迷ってしまうのです。

そこへ掃除係の女性が登場します。
民事申請課へ行きたいというクォンを案内してくれる女性。

途中で判事とすれ違いますが、クォンに
判事の目を見つめてはいけない
とアドバイスします。

その理由は判事は知らない人に見つめられると
怖がる
のだそうです。

そうして案内するもクォンを待たせて消えてしまう女性。

その時にクォンは被告人と出会うことになります。
発明品を被告人の留置所へ落としてしまうのです。

それを拾って渡す被告人の手が義手であること、
そして被告人の言葉から、
事件当日の自分の記憶がなく葛藤している姿を目撃するのです。

掃除のおばさんは実は…

戻ってきたおばさんは被告人とは知り合いなのか?
とクォンに問います。

そして
〖裁判は最後までわからない〗
という意味深な発言を残し、
突如と消えてしまったのです。

この掃除係の女性がした役割は、
特許を受けることに懸命になり
難しくない裁判をおざなりにしたとも
とれるクォンの心情を被告と出会わせたことで
裁判に集中させます。

そして、文字通り被告と向き合ったクォンは
自分の目で見て感じ取った小さな疑念
見過ごすことをせずに、
いつまでかかるかわからない時間を割くことも、
同調圧力に逆らうことも恐れずに自分の心に従いました。

その結果、誰しもが有罪だと決めつけていた被告は
無罪を言い渡されることになります。

そう考えると掃除の女性とクォンがもしも出会わなくとも
結果は同じだったと断言することはできないのかもしれません。

そうするとこの女性は
公正な法や裁判の象徴とされる正義の女神???
なのでしょうか。

再び掃除の女性が現れるのはそれから11年後の
2019年のシーンでした。

11年前と変わらぬ姿で、
また陪審員たちを見守ります・・・。

裁判の結末はどうなる?

有罪が決まりかけ、量刑を問うのみの裁判は、
遺体の掃除を30年も続けてきた1人の陪審員によって
疑問を呈され、それをきっかけにクォンもわからなくなります。

そうしてクォンが真実をわからないままにせず諦めなかったことは、
次第に他の陪審員の心情を動かし、皆が自分たちの目や心で判断した結果、
8人の陪審員の評決は無罪となりました。

ところが、韓国の陪審員が参加する裁判では、
最終的に判断するのは判事なのです。

陪審員の評決を参考にする・・・と預かったジュンギョム判事に、
クォンは願います。

最初の面接で『裁判は人を裁くためにある』と言ったクォンに
ジュンギョムが返した

法は人を罰しないためにあるのです。
罰するときには冤罪を防ぐために基準が要る
むやみに処罰できないように設けた基準が法なのです。

という言葉を、信念を信じたいと。

判事たちの中で決まっていた有罪。
ジュンギョムは判決を言い渡すその時まで
迷いが消えることはありませんでした。

一般市民が参加する陪審員の制度の記念すべき1回目の裁判。
マスコミが注目し、証拠も証言もあった検察のメンツがかかった裁判。

しかし、

〖疑わしきは被告人の利益に〗
そう説いたのは自分自身だった。

そして判決が下されます。

被告人は無罪。

ジュンギョムは半ば覚悟をしての無罪判決でしたが、
判事と陪審員の意見が一致したということで
評価を受ける結果になりました。

事件の真実

息子の身を不自由にしてしまったことに責任を感じる母親は、
息子に給付金が降りるように申請書を書き、
自分は自ら命を経つべく、ベランダから身を投げたところを
被告は助けようと足を掴んだものの、義手が抜けて、母親は
落下してしまったのです。

ハンマーで殴ってから落としたと見られていた見解は、
母親が落ちる過程で頭をぶつけたことによるもの。

母親を落とす被告を向かいの建物から見たという証言も、
母親を助けようとしていたが、かなわなかった現場でした。

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【8番目の男】まとめと感想

日本でも行われている裁判員制度。
他人事では見られないので、やはり
この制度の難しさを痛感しました。

嘘を見抜くのが難しいのは無論のこと、
本作のように一見動かぬ証拠のような目撃証言でさえ
意味を取り違えば、正反対の結論になりかねない。

クォンが発した
『わからない』
という気持ち。

それこそが真意なのでしょう。

そして、もし裁判までの時間がたっぷりあったら、
8番が陪審員に向いていないと落とされていたら
判決はどうなったのか・・・。

陪審員のメンバーによって同じ事件でも
その判決が変わってしまう可能性もゼロではないということ
はやはり怖いですね。

法のプロだけではなく、色んな立場の人をまじえるということに
意義があるこの制度。

けれどその難しさは、たかだか人の一生分かかっても解けない
かもしれません。

しかし、本当のところがわからないなら、
せめて、TVから流れてくる情報に翻弄されたり、
皆が言うことを自分の思うこととしてとらえるなどして
真実を見誤らないようにしなくてはと思います。

映画の方は、緊迫する裁判と事件の内容が重くのしかかる反面、
コミカルな場面やファンタジー要素?も含まれ、
エンタメ感あり、考えさせられもし、
結末も希望があって安堵しました。

一見優しそうで優柔不断な陪審員として一番向いていなさそうな
クォンが判決を覆すという勇気を貰える一作です。

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