映画『かくしごと』ネタバレ感想・結末の解説/衝撃のラスト1分を紐解く

邦画
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北國浩二氏の原作『嘘』主演で実写映画化された
『かくしごと』

認知症や虐待といった重いテーマの本作。

果たしてどんな結末にたどり着くのか?
衝撃のラスト1分を紐解いていきます。

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『かくしごと』あらすじ

作家の里谷千紗子は疎遠だった一人暮らしの父親、孝蔵が認知症を患い、徘徊しているという
事態を受けて数年ぶりに実家へ帰る。

千紗子は孝蔵との間にはある時期からわだかまりが残っていたが
父親は娘の顔さえ覚えていなかった。

千紗子は介護認定がなされたら孝蔵を施設に入所させ
早々に東京へ帰る予定だった。

そんな折、久しぶりに地元の友人である久江と飲みに行く。
ところが久江の運転する車で居酒屋から帰宅中だった二人は少年をはねてしまった。

救急車を呼ぼうとする千紗子に対し、
公務員である久江は、飲酒運転だったことや職を失い息子との生活が
困難になることを恐れ、表沙汰にしないで欲しいと哀願した。

仕方なく千紗子の実家へ少年を連れ帰った二人。
しかし少年の身体にはあざのような跡や、足にはロープが巻き付いている
など、虐待をにおわすような形跡があった。

次の日、目覚めた少年は、身体的には異常はなさそうだったが
自身の名前や家族、昨晩の出来事など記憶の一切を失っていたのだった・・・。

キャスト
杏、中須翔真、佐津川愛美、酒向芳、木竜麻生、和田聰宏、丸山智己、
河合青葉、安藤政信、奥田瑛二 

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以下、結末のネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。

本記事の情報は2025年3月時点のものです。
最新の配信状況は各サイトにてご確認くださいませ。

結末はどうなる?

久江を守るために少年を実家に連れ帰った千紗子は
少年の身体に、複数のあざやたばこの跡など
虐待を疑われる痕跡を発見するのです。

さらに、近くの川で行方不明になった男児のニュースを知り、
救急隊の話を聞くと、まだ救助活動が始まったばかりなのに、
両親は東京へ帰ったと言うのです。

この子の親は酷い人たちかもしれない

そう感じた千紗子は慈善団体を装い両親の元を訪ねました。

最初は門前払いに扱われるも、寄付金の話をした途端に
話を聞く体制になった母親。

部屋の奥に居た夫は少年の義父でした。
実子と思われる少女と遊んでいた夫でしたが、
千紗子が少年の事件をあれこれ聞く姿勢に疑問を持ち、
近づいて来ました。

千紗子が寄付金を出す前に、お金が必要だと打診すると
詐欺を疑われ父親から追い出されてしまいました。

両親が少年を自分たちで探しもせずに諦め、
少年の発見よりもお金に興味を持つその姿に
虐待を確信した千紗子は、改めて少年を自身の子として
育てようと決意
して実家へ戻るのでした。

少年に実は自分が母親なのだと名乗り、
少年のことを『拓未』という名前なのだと説明しました。

それから認知症の父、千紗子と血のつながらない息子の
3人の奇妙な生活が始まったのです。

かくしごとがバレる時

千紗子は孝蔵と絶縁状態にありました。
それは千紗子が孝蔵の思うような人間ではなく、
授かり婚をするも、式に出ることも孫に会うこともしてくれなかったこと。

さらには千紗子の息子は一人海に出て帰らぬ人となってしまった過去がありました。

しかしその際に孝蔵から浴びせられたのは慰めの言葉ではなく、
無責任さを突き付けられる言葉だったのです。

それ以来、千紗子が孝蔵に心を開くこともなく
父娘は絶縁状態になりました。

しかし拓未は千紗子が毛嫌いする父に対しても
『おじいちゃん』と呼び、孝蔵もまた拓未に粘土細工を教えるようになる
など、祖父と孫の良好な関係を垣間見るうちに、
徐々に父娘の関係にも雪解けの気配があらわれるのでした。

ところがそんな幸せな生活も長くは続きませんでした。

拓未の実父である犬養安雄が千紗子の写真が載った雑誌の切れ端を握って現れたのです。

安雄は一億円で洋一を売ってやると言います。

そんな大金を用意できるわけがない
と反発する千紗子の首を締める安雄に刃物を持って応戦する孝蔵でしたが
吹き飛ばされてしまいます。

その直後、孝蔵が落とした刃物を持ち背後から安雄を刺したのは拓未でした。

安雄は拓未に『お前はいいよな・・・』
と言って倒れました。

千紗子は落ちた刃物を握りしめ
改めて安雄めがけて振り下ろしたのです。

拓未のかくしごと

拓未の誘拐と安雄の殺害の罪を背負った千紗子の裁判で
拓未の実母は時々安雄がしつけと称して拓未に虐待を加えたこと
を証言しますが、どうしたら良かったのかわからなかったと
涙ながらにうつむくのでした。

そして千紗子は面会に訪れた久江から
拓未が証言台に立つことを希望していると聞きます。

当日、証言台に立った拓未は裁判長から真実を述べるように
促され、静かに話始めました。

殺したのは僕です。
僕の名前は犬養洋一だけれど、母親はあの人です。

と言って千紗子を指さしました。

それを聞いた千紗子の頬を涙が伝うのでした。

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『かくしごと』の結末を紐解く

タイトルの意味『かくしごと』。

それは孝蔵が娘に対して抱いていた後悔。
千紗子が拓未を守るためについた嘘
そして拓未が千紗子と家族になりたくて言わなかった真実
でした。

しかし本作にはそれ以上にも『かくしごと』が存在しており、
そのいくつかについて推察していきたいと思います。

孝蔵は娘を助けようとした?

安雄が千紗子の元を訪れ、拓未と千紗子を襲った時、
実は最初に安雄に刃物を持って応戦したのが他ならぬ孝蔵でしたね。

娘を助けようとした?ということはあの瞬間は記憶が戻っていたのか?
などの憶測が飛び交うような場面でした。

しかし筆者的には、記憶が戻ったのではなく、
千紗子と拓未との家族関係のようなものを築く中で
二人が孝蔵にとって大切な存在と認識されていたのではないかと思います。

本能に似たとっさの判断で、自分の大切な存在を悪魔(孝蔵が握っていたのは
悪魔を払う短刀だった)から守ろうとしたのではないか、
そんな気がしました。

バンジージャンプの真相とは?

そもそも事件の発端となった拓未のバンジージャンプですが、
その真相は劇中では一切語られることはありませんでした。

しかし千紗子の元に安雄が現れ、容赦なく拓未を殴り飛ばしたどころか
千紗子の首まで絞めていました。

そして子どもが暗い中自分からバンジージャンプをするなんて不自然だ
という劇中のセリフもあいまって、やはり虐待の一環で
バンジージャンプも安雄が無理強いしたこと

というのが真相なのではないかと推察できます。

安雄を殺したのはどちらか?

安雄に致命傷を負わせたのは千紗子なのか?拓未なのでしょうか?
劇中、明確にされないこの疑問はさほど重要ではないのでしょう。

しかしあえて推察するならば個人的にはやはり拓未だったのではないか?
と考えています。

安雄が絶命する瞬間という明確な描写とは言えないかもしれませんが、
拓未に顔を近づけて、最後の恨み節の言葉を振り絞り、拓未の側に吐血して意識が遠のく
という一連の姿。

その残酷描写を、子どもの拓未に味わわせたのは例え悪魔のような相手にせよ
命を奪うという行為がいかに重いものなのかという演出だったのではないか
と思うのです。

そして恐らく捜査によって解明されるであろうその真実をぼかす目的で
千紗子は改めて刃物を突き刺すのです。

裁判の行方は?

本作の物語は裁判で証言台に立った拓未が
安雄を刺したのは自分であると証言した場面で幕を閉じています。

しかしその後流れるイメージ映像から
ゆくゆくは千紗子と拓未は共に家族として暮らしていけるのだろう
という未来が示唆されています。

ともすればあの後、拓未の主張は受け入れられ、
千紗子が誘拐をした理由についての情状酌量を求めることになります。

実母は拓未を手放す覚悟をもって虐待を裏付ける
証言を改めてしたのかもしれません。

そして久江もまた、拓未が証言をしなければ罪を背負い生きて行くことになる
と危惧したように自身にも胸を張って生きていきたいと思い直し、
事件の夜千紗子と共に拓未の身体に残る複数のあざやたばこの跡を目撃した
という証拠を何等かの形で示し、千紗子と拓未を救うために尽力した可能性もありますね。

そうして千紗子は軽い罪に問われ、
拓未は14歳以下のため刑事罰は受けずに千紗子を待ったのでしょう。

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『かくしごと』感想

飲酒運転の隠蔽というのがきっかけで起こった秘密の親子関係。
そんなとんでも展開には驚きを隠せない本作。

ですが、序盤の交通事故の直後に救急車を呼び、
虐待の可能性を通報したとしても、もし
拓未が両親の元に返されていたら・・・

その後少年は無事でいられたのかどうか?

そんな保障はないということを考えると、
正義とは何なのか?正しいことをする難しさを痛感させられます。

『家族』とひとくくりに言っても色々ありますよね。
これも複雑で困難な問題を抱える人は少なくないのでしょう。

結局は血の繋がりを深く考慮することには何の意味もないのかもしれません。
相手が誰であろうと関係を築きたいのならば
相手を信頼し尊重し思いやる心を忘れてはいけない。

それが欠けてしまえば、血が繋がろうが、繋がっていなかろうが
その関係は崩壊の一途をたどるしか道はないのでしょう。

とはいえ、千紗子の行動を肯定するのもまた難しいものです。
千紗子は罪を重ねてしまう顛末に陥り、
自身もまた虐待を受けていたことが判明する安雄の命は
少年が自ら手を汚すことで奪われました。
(母を守ったとも言えますが・・・)

決して正しい物語、美しい物語とは言い難いでしょう。

残念ながら
『家族』というものを円滑にいかせるための策なんて存在しないのではないか
と絶望感さえ溢れます。

それでも
ラストで生きている少年、そして洋一として母親は千紗子である
と断言する少年を見て流された母親の涙。

それは絶望の中の一筋の光であり罪の意識にさいなまれていた
母親の救いだった・・・。

そう思わせてくれる、そんな切ない一作です。

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