映画『花まんま』感想/フミ子の秘密と結末に隠された意味を深堀考察

邦画
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朱川湊人氏の短編小説を鈴木亮平有村架純
実写映画化した『花まんま』

幼い頃に両親を失くした兄妹の絆の物語です。
しかし妹フミ子はある秘密を抱えていました。

そして物語は賛否が分かれた結末へ。

本記事では妹・フミ子の秘密の解説と結末に隠された意味について
深堀考察しています。

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『花まんま』あらすじ

加藤俊樹は妹のフミ子を一人で養い、守っている。

俊樹とフミ子は両親を早くに失くしてしまったからだ。

フミ子が生まれた時、喜びに満ちた父は
病院の外でバンザイと繰り返し、俊樹に
フミ子のことは何としても守らないとあかん
と言われたのだった。

そんな父も27年前に他界し、それからは女手ひとつで
仕事をいくつも掛け持ちしながら兄妹を育てていた
母親も俊樹が高校生の時に亡くなってしまう。

すると俊樹はフミ子を育てるために高校を中退し、
山田製作所で働いた。

そうしてフミ子も大学の職員として働くようになった。

そんなある日、俊樹は結婚の報告を受けることになる。

キャスト
鈴木亮平、有村架純、鈴鹿央士、ファーストサマーウイカ、安藤玉恵、板橋駿谷、
オール阪神、オール巨人、南琴奈、六角精児、キムラ緑子、酒向芳
 他

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以下、結末までのネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。

本記事の情報は2025年8月時点のものです。
最新の配信状況は各サイトにてご確認くださいませ。

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『花まんま』フミ子の秘密とは

フミ子がまだ4歳の頃、
俊樹はフミ子がひた隠していたノートを盗み見てしまいます。

するとそこには俊樹が知らない人の名前らしき文字が書かれていました。

その中でもびっしり羅列されていた
【繁田喜代美】
という名前が気になった俊樹はフミ子に問いただすのでした。

別の女性の記憶が宿っている

フミ子の答えは
自分には繁田喜代美の記憶が宿っているというものでした。

フミ子と喜代美の記憶が共存していたのです。

そうしてフミ子が7歳になると、俊樹に一生のお願いだと
滋賀県の彦根に連れて行って欲しいと哀願しました。

一生のお願いを信じた俊樹は仕方なく電車を乗り継ぎ
彦根の地へと降りたちました。

するとフミ子はやはりこの地を知っていると言います。
そして歩いて来た、やせ細った男性を父親だと言うのです。

父親と挨拶を交わす店先の女性は喜代美の同級生だと言うので、
俊樹はその女性に喜代美の父親に・について聞くのでした。

喜代美のお弁当

バスガイドをしていた喜代美は無差別殺人犯に遭遇し、
客を庇って刺されて命を落としてしまったのです。

一方の仁はまさに事件が起きていたその時、
天ぷらうどんを呑気に食べていたことを悔やみ、
それ以来食事を摂らず、骸骨のような風貌になってしまったのです。

それを知ったフミ子は花を摘んでお弁当箱に詰めたもの
仁に届けて欲しいと俊樹に頼みます。

俊樹は言われるままに繁田家へと向かいますが
家からは兄の宏一と姉の房枝、そして彼らを見送る
の姿がありました。

俊樹は若い女性から頼まれたと言って
お弁当を渡すのでした。

房枝はお弁当を開けると驚愕し、
仁に見せるのでした。

すると仁は涙ぐみそのお弁当をパクパクと言って
食べるふりを見せます。

そのお弁当の正体は「花まんま」といい、
喜代美がおままごとで作っていたお弁当そのものだったのです。

娘との再会

花まんまを喜代美からの、
食べて生きて欲しい
というメッセージだと思った仁たちは
逃げるように立ち去る俊樹の後を追います。

駅で俊樹とフミ子に追いついた繁田家の面々でした。
仁はフミ子を見ると、「喜代美」と呼びかけたのです。

それを見た俊樹は憤慨して、妹は父ちゃんと母ちゃんの娘の加藤フミ子だと
断言し、仁から遠ざけ、今後も二度と近づかないように言い寄りました。

接触の瞬間

フミ子が抱えていた秘密。
それは別の女性「喜代美」の記憶を宿しているということでした。

実はフミ子が生まれる時、病院で車椅子の乗せられて診察室に急ぐ、フミ子の母・ゆうこと、
事件で重傷を負った喜代美が運ばれていたストレッチャーは
危うく交わりそうな瞬間がありました。

まさにその時、突然の事件で無念にあふれた喜代美の魂が
ゆう子の胎内で今生まれてこようとしていたフミ子の中に
入ってしまったのでした。

結末に隠された意味を深堀考察

繁田家とフミ子の接触を許さなかった俊樹でしたが、
結婚を控えたフミ子が、婚約者・中沢と新居に泊まるという嘘が発覚して
繁田家に向かったのだと察知します。

俊樹はフミ子の荷物の中に大きな缶の入れ物を見つけました。
開けてみるとその中には、沢山の封書が入っていました。

全て、繁田仁との間で交わされ、郵便局留めで送られた
手紙
でした。

繁田家へ向かおうとする俊樹に、中沢が同乗します。

繁田家へ乗り込んだ俊樹は、
フミ子が昨晩泊まって行ったこと、これまで写真をいくつも送ってくれたこと、
もう来れないかもしれないと言っていたことなどを聞かされます。

その夜行きつけのお好み焼き屋「みよし」で酔いつぶれた俊樹は
幼馴染の駒子に一喝されます。

店の外のベンチで眠ってしまった俊樹の夢に両親が現れ、
喜代美を送って行くと言います。

挙式の当日、朝早くに目覚めた俊樹は
彦根へ向かい、フミ子が望んでいた繁田家の出席
実現させるのでした。

ヴァージンロードを歩く、フミ子とエスコートする仁の姿がありました。

涙や温かさに溢れた挙式も無事に幕を閉じ、
来賓を見送る夫妻と俊樹の姿がありました。

繁田家が帰り際に挨拶するとフミ子は
「どちらからいらしたんですか?」
と言いました。

フミ子の中にすでに喜代美の記憶はなかったのです。

帰りの電車の中で房枝が引き出物を開けると
中からは「花まんま」が入っていたのでした。

ラストの意味は?

挙式が終わり、参列したフミ子の中には
もう喜代美の記憶がありませんでした

しかしフミ子は元々自分の記憶と喜代美の記憶を
所有
していたはずなのです。

なので、繁田家の人たち自体を忘れる
という結末に、少し疑問を感じた方も多かったのではないでしょうか。

これには喜代美の二つの配慮があったのではないか
と深読み推察しています。

一つは、
俊樹の気持ち、フミ子の気持ち、俊樹の両親の気持ちを汲んだもの。
加藤家という唯一無二の家族を守るという
俊樹に配慮したのではないでしょうか。

最初に花まんまを仁に届けてくれた俊樹への恩返し的な
ものなのかもしれません。

そしてもう一つは繁田家のためです。

フミ子の身体に入った喜代美をいつまでも思っていては
本当の別れはできません。

過去は思い出として大事に、
前を向いて未来に生きて欲しいという願いの表れなのかもしれません。

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『花まんま』感想

繁田家の存在ごと、記憶を失くしてしまうフミ子
という驚愕のラストでした。

ヴァージンロードを仁と一緒に歩いたフミ子から
いつ記憶は去っていったのだろうと考えました。

個人的には俊樹のスピーチ中、
一人でフミ子を育てて来たと思っていたが
実は沢山助けてくれる人がいたことを語った時、
フミ子は涙と共に喜代美の記憶も流したのではいか、
そんな気がしました。

それぞれ両親の喪失、娘の喪失を抱える中で、
俊樹はフミ子を守ることに尽力して、
父親を知らないフミ子は仁との文通で父親のなんたるか
に触れながら、
そして仁も自責の念をフミ子との接触で
それぞれ癒していたのでしょう。

そして現実が訪れる時、
フミ子と繁田家の交流は終わりを告げますが、
引き出物の『花まんま』は確かにそこに喜代美が居た
事実を家族に刻みます。

だから繁田家はきっとこれからは明日を見て
行けるのでしょう。
喜代美との、フミ子との思いでと共に。

生まれ代わりとか、前世の記憶とか
信じたくなるような一作でした。


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