Amazon Prime Videoで独占配信中の斜線堂有紀氏の同名小説を、
廣木隆一監督に迎え実写映画化された
『恋に至る病』を視聴しました。
物語の答えを握るのは
消しゴムの存在でした。
それは愛の証か?罪の証か?
切なく衝撃のラストに迫ります。
『恋に至る病』あらすじ
転勤族の父親を持つ宮嶺望はその環境からか内気な性格の高校生だった。
しかしマイホームを購入した父親は、
これで転校は最後だと言い、家族そろって神奈川県に引っ越してきた。
新居に到着すると近所の家に住む女子が挨拶をしてきた。
望は聞こえていながら答えることなく家の中に入ったのだった。
転校初日、内気な望はうまく自己紹介が出来ずに
クラスメートから冷やかしにあってしまう。
すると、幼馴染だと言う女子がその場を仕切ってくれた。
しかし望は彼女に見覚えはなく助け船をだしてくれたことを察知する。
その女子は寄河景というクラスの人気者で、
望の近所に住むあの女子だった。
そんな中、共に参加したボランティア活動で、飛ばされた少女の風船を
取ってあげようとした景が顔に流血するほどのケガを負ってしまう。
顔のケガを気にして登校しようとしない景と、
彼女を気遣う望は徐々に距離を縮ませ、一緒に出掛けるようになった・・・。
キャスト
長尾謙杜、山田杏奈、醍醐 虎汰朗、中井友望、中川翼、上原あまね、
小林桃子、真弓 孟之、河井青葉、忍成修吾、前田敦子 他
以下、結末までのネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。
本記事の情報は2026年2月時点のものです。
最新情報は各サイトにてご確認くださいませ。
「ブルーモルフォ」は2つ存在していた?!
「ブルーモルフォ」という自殺教唆ゲームの存在が
この物語の鍵になっていました。
それはゲームマスターがプレイヤーとなった者たちに様々なミッションを与え、
最終的にはプレイヤ―たちは自殺に追い込まれる
というのが概要になっています。
前提として本作中では、この「ブルーモルフォ」が
複数存在していたことが示唆されていました。
一つは劇中で逮捕された塾講師が運営するブルーモルフォ。
しかし模倣とされるサイトの存在の示唆や
先輩の善名美玖利が
本物のマスターは全然違う
と断言していたように、むしろ塾講師の運営者より怖い運営者の存在
が示されていました。
もう一人の運営者の正体
もう一人の運営者が誰だったのか?
それは明確にはなりませんでした。
しかしその候補者は景であるというのが最有力なのでしょう。
実際に景はプレイヤーであったクラスメイトの木村民雄が最後に会話した
人物であるように描かれています。
そしてその際冷たく
「できるの?」と問いかけるのです。
他にもミッションを行わなかったり抜けようとするのをプレイヤー同士に見張らせる
仕組みを知っているなど、ブルーモルフォに詳しすぎるのも、
部屋にミッション内容を貼ってあるのも運営者である匂わせとなっているのではないでしょうか。
人の心を操ることを部屋にあった心理学書などで常にバージョンアップし、
よもや塾講師に対してもマインドコントロールを施し、
囮としての運営をさせていたのかもしれません。
根津原はプレイヤー
一方で景がマスターならば矛盾が生じるような描写もされており、
その理由は、塾講師のサイトのプレイヤーだった生徒と
景のサイトのプレイヤーだった生徒の両方が混在しているからなのでは
ないかと思いました。
例えば、根津原あきらの望へのいじめが発覚した際、
景は「やめるように」説得しますが、それに対し根津原は
いつまでも俺がお前の言う通り動くと思うなよ
と返しているのです。
景が望へのいじめを支持しているのならば、このやり取りには
いささかの不自然さが残ると思いました。
さらに言えばブルーモルフォの運営者の正体は
プレイヤーである根津原には露呈していないのが前提だと思うのです。
であるとすれば、このセリフにブルーモルフォは無関係で、
ただ単に好意を寄せている景からのお願いベースの
言う通りに行動してきてあげたけれどそれが続くと思うな
という意味ならばしっくりくるのではないでしょうか。
ともすれば、景が根津原にした
やめないと学校に報告する
という台詞も、報告の内容がいじめのこととは限らず
根津原がブルーモルフォのプレイヤーであるという事実を露呈させる
と言う意味も含んでいるのかもしれません。
よって根津原がプレイしているブルーモルフォは塾講師が運営している方で
あると言えるでしょう。
跳び箱の中に閉じ込めたのは誰か?
その後、跳び箱の中に閉じ込められた景を
望が見つけて救い出す・・・という描写がありますが、
これは恐らく根津原の仕業ではないと思っています。
景が根津原をより悪人に仕立て上げるための演出なのでしょうが、
跳び箱の上にも荷物が乗っていたことから自身の力だけで行うのは
困難といえます。
では誰の仕業なのか?ということですが、
景がマスターのブルーモルフォのミッションを
プレイヤーである生徒の誰かにさせたのではないでしょうか。
消しゴムは愛の証か罪の証か?ラスト検証
景と望が親密になったことで、景に思いを寄せている根津原は
嫉妬心からか?望に対して執拗ないじめを仕掛けます。
そして「蝶図鑑」と称しSNSで傷つけられた望の身体の画像を
アップしてたのです。
それを発見した景は自分が何とかすると言います。
しかし数日後、根津原は謎の転落死を遂げるのでした。
望は自分を苦しめていた根津原を景が殺したのではないか?
と問い詰めると、彼女はあっさりと認めるのでした。
その一方で先輩の美玖利が屋上から自殺を図ろうとすると、
景は身を呈して彼女の自殺を止め、クラスでの信頼度も
ますますあがっていったのです。
しかしクラスメイトの木村の変わり果てた姿が海上で発見される
など、不穏な出来事は続くのでした。
そんな折、クラスメイトの江美が自ら命を落とし、
同じく同級生の麻耶は登校を拒否して、ひきこもりとなってしまうのでした。
望は単身で麻耶の家を訪問し、
根津原を実際に殺したのは江美と麻耶だったことを知ります。
本心を語る消しゴム
江美と麻耶は景のカリスマ性に心酔していたのです。
そのため景を喜ばせるため、悪人の根津原を殺したと言います。
一方で美玖利と話した望は彼女がまだ自ら命を絶つ計画をしていること
を知り、景に止めて欲しいと哀願します。
それを受けて屋上にたたずむ美玖利に近づき説得する景でしたが、
美玖利は景のことが大嫌いだと告げると持っていた刃物で景を何度も
刺し、自らは屋上から身を投げてしまいました。
倒れた景に駆け寄った望は助けを求めようとしますが、
それを拒否した景は望の腕の中で最後を迎えたのです。
警察の事情聴取で望は刑事の入見遠子に
景は自分が殺した
と繰り返しました。
入見は景が大けがをした時の風船も彼女自身の画策だと主張し、
君は彼女が逮捕された際のスケープゴートとして利用されていただけ
だと説得されます。
しかし望は聞く耳を持たず、
景はいい子だった。
景のことが好きだった。
と主張するのみでした。
景の両親は夜逃げのように引っ越して行きました。
その際、景の宝物箱を望に託して行ったのです。
望は景との思い出の海岸で宝箱の中身を開けてみました。
するとそこには景の思い出の品と共に、
望が失くした消しゴムが入っていたのでした。
消しゴムを奪った理由とは
望は宝箱に入っていた自分の消しゴムを眺めながら学校で
「好きな人の消しゴムを貰うとその人と両想いになれる」
と話したことを思い出し、微笑みます。
望自身は、景が自分と両想いになりたくて消しゴムをとったのだと
いう愛の証だったと解釈をしたのでしょう。
しかしこのラストの面白いところは如何様にも受け取れる
ところにあるのかもしれません。
公式が掲げる「切ないラスト」というのをそのまま受け取るならば
望への景の思いは根津原を殺せるほど愛情が深かったのだと
解釈できるでしょう。
しかしもしも入見の言うようにただ望を利用していただけなのであれば
その消しゴムは望への思いを信用させるためのアイテムにすぎなかった
とも言えるのではないでしょうか。
そして今となってはその細工のおかげで望の洗脳はこれからも続いていく
という結果になっています。
個人的には、もっと複雑で
消しゴムを盗んだ回想シーンの景の表情を見る限りは、
望が誰かに思いを寄せて消しゴムを渡し、
自分以外の誰かと両想いになるのを阻止するためだった
のではないかと疑っています。
もしも望が他の誰かに恋をしてしまったら、
景が洗脳できなくなってしまうから。
そして景が持っている消しゴムを発見した望は
景の思いに答えるために景の亡きあともずっと、
どんな時もどんな景であっても
彼女のヒーローでいるという約束を守り続けるのです。
そしてその先にあるのは景が運営していたブルーモルフォの運営者の継承
なのかもしれません。
その素質を「引っ越しは人間関係をリセットできるので助かっていた」
と言っていた望に見出したのではないでしょうか。
『恋に至る病』感想
結局『恋に至る病』にかかってしまったのは
望だったのでしょうか。
そしてその病の症状は、彼女のヒーローであり続けること。
転校初日、自分を助けてくれた景に感謝をし、
いじめっ子を退治してくれたことで恩が生まれた。
自分を救ってくれた人を嫌うはずはなく、
お返しに自分も救ってあげるという思いを抱いたのは
恋だったのかどうかわかりません。
しかしラストで景がこの世界から消える瞬間、
最後に2人の思いは通じたのです。
そしてそれを後押しした消しゴムの存在。
ともすれば景はこの全ての過程を履行してこそ
望の心を縛る病に罹患させたと言えるのではないでしょうか。
切ない物語であり、景の本心が明かされるラスト
そんな触れ込みの中、本当は2人の純愛が描かれたのかもしれません。
しかし個人的には「ミスミソウ」の山田杏奈の本領発揮が
見たいという願望がダークネスに傾かずにはいられませんでした(笑)
