『夜勤事件』ラストシーンの意味を考察|お守りが救ったものは何か?

邦画

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Chilla’s Artのホラーゲームを原作に、永江二朗監督が実写化したホラー
『夜勤事件』

ゲームの方は動画配信などでも話題になり
知っている人も多いかもしれません。

映画の方は
エンドロールの後には原作では起こらなかった
衝撃の展開
が待ち受けました。

本記事ではこの衝撃のラストの意味を深堀り考察しています。

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『夜勤事件』あらすじ(ネタバレなし)

女子大学生の田鶴結貴乃は、生活費や学費、母への仕送り代を稼ぐために
時給の良い深夜のコンビニでアルバイトを始める。

人の少ない夜勤の時間帯。
静まり返った店内には先輩店員の船橋が交代を待っていた。

そんなコンビニには不可解な老婆の客が現れたかと思えば
店内にも不穏な雰囲気が漂っていた。

そんな折、結貴乃の元に送り主が分からない荷物が届き、
中には一枚のSDカードが入っていた。

そして次第に奇妙な出来事に遭遇するようになるのだった。

深夜のコンビニで結貴乃を待ち受けていたものとは・・・。

キャスト
南琴奈、竹財輝之助、加藤夏希、関哲汰、田中俊介、五頭岳夫、
坂本真、手塚真生、吉岡優希、櫻井淳子
 他

以下、『夜勤事件』の重要なネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。

本記事の情報は2026年7月時点のものです。
最新の情報は各サイトにてご確認くださいませ。

助かる方法は恐怖を誰かに渡すこと

行方不明だったコンビニの店長の亡骸は
地下室で発見されました。

そして第一発見者の結貴乃は警察から事情聴取を
受けていました。

実は結貴乃の元にはSDカードが送られていたのです。
そこに映っていたのは過去の事件にまつわる不穏な映像でした。

コンビニの廃棄弁当を持った結貴乃は、
ホームレスの男性と遭遇し、その食べ物を渡せば
助けてやる
と打診されていました。

なかば強引に持っていかれた弁当でしたが、
その男性によると、
そのSDカードに隠されたのは
見た人(この場合は結貴乃)の大切な人(結貴乃の場合は母親)
が犠牲になる
という呪いでした。

しかし4日以内にSDカードの内容をコピーして誰かに見せる
ことで犠牲を回避できると言います。

その作戦通り、事情聴取に応じた結貴乃は
午前4時を回っているというのに、
持ってきたSDカードを担当刑事の猿渡に、
今すぐ確認するように詰め寄ります。

そして猿渡が4枚目のSDカードを確認するとそこには
結貴乃自身の部屋が映し出され、ストーカー事件だと確信した
猿渡は結貴乃に後回ししたことを詫びるのでした。

しかし猿渡が4枚のSDカードを見終えたことで
呪いの転送も完了しており、
迎えに来た母親を見て嬉し涙を流し抱き着く結貴乃でした。

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ラストシーンの意味を考察

SDカードの恐怖の連鎖を猿渡へと繋いだ
結貴乃は元気な母との再会によって
この窮地から脱出できたかに見えました。

しかしエンドロールを終えると一転、
衝撃の回想が始まったのでした。

結貴乃は加害者だった?

既に売地となっているコンビニ跡地を訪れた
結貴乃は落ちていた一本の釘が気にかかり思わず
拾いあげたのでした。

すると・・・

コンビニの地下室で密会する店長エリアマネージャー紀子の姿
が脳内に映ります。

しかし次の瞬間、店長を打ち抜く黒い影が・・・。

その脅威から逃げる紀子を追いかけながら
笑みを浮かべる影の正体は、
結貴乃本人
だったのです。

一体何が起こっているのでしょうか。

ここからは個人的な深読み考察になります。

2つの怪異が存在した?

筆者は実はこの跡地には2つの怪異が潜んでいたのではないか
と思っています。

いうなればSDカードの呪い釘の呪いです。

過去の惨劇にそのヒントが隠されていたように思うのです。

まずコンビニの前にそこに立っていたという一家の事件
父親は会社でのパワハラに心が蝕まれ、
ある日、元気がなく帰宅した父親は
息子を手に掛け、帰って来てその現場を見た妻も殺したのです。

しかしここで不可解な点が2つあります。

一つ目は息子を優先したこと。
息子を殺したことを発見した妻は
激高して抵抗したりその場から逃げきって通報したり
と父親にとって厄介になる可能性があった
のではないでしょうか。

すると一家心中が失敗した可能性が多いにあるような気がしませんか?

だとすれば、父親は本当に息子を手に掛けたのか?
と疑う余地もあります。

そしてもうひとつ、もっと不可解なのが
息子と妻では殺し方が異なる
という点でした。

こちらの違和感に関しても父親が2人を殺したのならば
なぜわざわざその方法を変えたのか?不可解です。

それを踏まえて二つの異なる呪いの存在があったのではないか
という疑念が生まれます。

つまりは息子を殺した犯人は父親ではない
しかし妻の方は釘の呪いによって父が加害者になった。
と推察できるのではないでしょうか。

そしてあの一家は呪いを発生させたのではなく、
最初の犠牲者だったのではないか?
と推察しています。

珠代のお守りが守ったもの

もしもこの一家以前にあの土地に何かが潜んでいたとして、
その発令によって息子の命が奪われたのだとしたら・・・。

それを前提にすれば、
SDカードを猿渡につないで母親の窮地は脱したものの、
釘の呪いを解くことは出来なかった結貴乃が、
店長を襲う未来も存在したのではないでしょうか。

赤いお守りを渡しに来た櫻井淳子が演じた生野珠代
過去の事件も熟知しているのかもしれません。

怪異が潜むコンビニの奥の部屋には
息苦しくて入ることができないと言ったのは、
そこには、生きている人間が正気を保てないほどの
おどろおどろしい空気が流れていたからなのでしょう。

珠代がせめてもの対処として何とか守ったのは、
その怪異に結貴乃が飲み込まれ自分を見失わないようにすること
だったのではないでしょうか。

結貴乃もまたあの父親のように怪異に取り込まれていたら、
店長を殺してしまう未来があったことが
エンドロールで示唆されていたのではないかと思います。

珠代は結貴乃が父親のような末路を辿らないために、
彼女が自我を保てる時間を稼いだのだと思いました。

それは結果的に結貴乃を犯罪者にすることを回避し、
自身の人生をも終わらせる悲劇を防いだのだと言えるでしょう。

だとすれば、珠代からお守りを受け取らなかった
猿渡が辿る道は・・・。

2つの救済

物語の中では2つの救済が発動したと思われます。

1つはおじいさんが行う夢の中の人物から託された救済です。
これはSDカードを受け取った人物が大切な人を持っていかれないように
防ぐ打開策でした。

2つ目は珠代が行うSDカードを受け取った人自身の救済です。
あの現場に漂っていた怪異の念が結貴乃に影響し、
彼女が誰かを襲ってしまうという悲劇を防いだのだと思いました。

そして珠代からお守りを受け取った結貴乃は
大切な人も失わず、自身も怪物になることなく
ひとまずはまだ現実世界に存在しています。

しかし、おじいさんを遠ざけ、珠代の言葉も聞き入れなかった
猿渡が辿るのは、一家の事件の父親と同じように悲劇の世界に
引きずり込まれてしまったのかもしれません。

以下、ゲーム版『夜勤事件』のネタバレを含みます。
未プレイの方はご注意くださいませ。

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『夜勤事件』回収されない謎とゲーム版との違い

筆者は花江夏樹の動画配信でこのゲームを知りました(笑)。

そんな視聴の記憶を呼び起こすと、
劇場版はゲームと同じ物語であるというより、
同じ恐怖を別のカタチで描いた物語と考えてみても面白いと思いました。

それを踏まえて映画の方の残った謎について推察してみました。

ゲームと映画の違いは何かと考えた時、
ゲームの方はバッドエンドならば黒い女性の影に襲われるという悲劇
が待っています。

しかし映画の方は過去の事件をSDカードを見た人が
繰り返してしまう
という恐怖なのかもしれません。

謎①SDカードの4枚目に映る部屋の意味

結貴乃に送られたSDカードは全部で4枚存在しました。

1枚目~3枚目までは過去の事件を彷彿とする
不穏な画像がおさめられています。

しかし4枚目は、それを見て猿渡が
これはストーカー事件だ
と誤認したように、結貴乃の部屋が映し出されていたのです。

その意味は何でしょうか?

筆者はこれを
悲劇の予告
なのではないかと考えています。

映し出されたのは結貴乃や猿渡の部屋内でした。
つまりその部屋に怪異の侵入が成功したことを示しているのでは
ないでしょうか。

結貴乃が見ていた惨劇はもう過去のものではなく
彼女自身の部屋がその舞台となること。

結貴乃が傍観者から加害者になることを告げる画像であり、
彼女もまた次の傍観者にとって過去の事件の人となる
ことが示唆されているのかもしれません。

謎②一緒に現れない母子の謎

ゲームでは母らしき黒い女性の影がプレイヤーを襲う
と書きましたが、
映画では結貴乃や猿渡の子ども、店長さえも
事件の一家の母が襲ったという描写はありませんでした。

そして少し違和感を覚えたのは、
仲の良い母子のように描かれながら、一緒には現れない
という点ではないでしょうか。

母子が手を繋いだり、母や息子がお互いを探しているような仕草
は見られない
のです。

個人的にはそれこそが、これらの怪異が別々のものだから
と考える所以になっています。

息子は息子の悲劇を。
母は母の悲劇を今も抱えてさまよっているのです。

そして母子は直接自身で手を下し、誰かを襲うことはしません。

SDカードを見た者に、釘の呪いがかかった者に、
母子の悲劇を再現させているのではないでしょうか。

謎③ラストは起こり得た世界を見せられた

衝撃的なエンドロール後の回想シーンでは
地下で紀子と密会する店長を背後から襲い
命を奪った犯人の正体こそ結貴乃であると示します。

そして不敵な笑みを浮かべ、今度は紀子を追いかける
結貴乃の姿を。

一見、店長事件の犯人は結貴乃だと示唆しているようですが、
もう一つの可能性もあると思っています。

拾った釘に見せられた
幻覚の中でだけその惨劇の加害者となった
ということです。

これは言い換えれば結貴乃が殺人者となる世界も存在したということであり、
見せられたのはその可能性の世界なのではないでしょうか。

だとすれば珠代は結貴乃が怪異に飲み込まれ、
その悲劇の犯人になる道を防いだのかもしれません。

すると、防がれなかった猿渡が辿る道は・・・。

謎④おじいさんの夢に現れた人物は誰か?

コンビニ付近に現れる謎のおじいさんは、
結貴乃や猿渡に対し、
食べ物をくれたら助けてあげると言います。

その言葉通り、廃棄弁当を渡した結貴乃は
SDカードを次の人へ渡すことで大切な人を守ることができました。

しかしおじいさんはなぜこの怪異の打開策を知っているのか?

それは夢の中である人物にSDカードの犠牲者を救って欲しい
頼まれたからだと言います。

その相手とは誰なのでしょうか?

夢の中で出会うことを考えればその人物は
現実世界では生存していないと考えるのが自然ではないでしょうか。

筆者はその正体は、あの一家の母か息子
あるいはおじいさん自身の身内の可能性があると思っています。

直接危害を加えることがない母と息子は
怒りや悲しみ、執着などの念が無いとは言えないが、
果たして本当に加害者なのか?
という疑念も抱かずにはいられないのです。

もしかしたら例えば息子は自身の悲劇をループしていて
逃げ出せないだけなのかもしれない・・・と。

だとすればそんな息子の思いは、
もう大切な人を失う犠牲者を出したくない一心で
おじいさんの夢にアクセスをした可能性はないでしょうか。

一方であのおじいさんの詳細については一切描かれていないのです。
おじいさんは何故あの場所でホームレスをしているのか?

おじいさん自身、怪異の被害者となった過去があるとしたら・・・。
失った大切な人が夢に出てきて、もうおじいさんたちのような
被害が出ないように協力をしている
という推察もしてみました。

だとすれば、あのおじいさんはあの場所から
故意に動かず、自身の人生を放棄して、怪異に襲われている人を助ける
番人となったのでしょう。

そしておじいさんが助けたのは結貴乃がはじめてでは
ない
と考えています。

SDカードが怪異を連鎖するなら、
このおじいさんは救済を連鎖していくのかもしれません。

謎⑤コンビニを見張る紀子の目的

先輩店員の船橋から結貴乃のストーカーだと勘違いされて
しまうほどコンビニ前に入り浸っていたのは
エリアマネージャ―の紀子でした。

彼女は何故コンビニを見張るのか?
結貴乃にSDカードを送り付けたのは紀子なのか?

そんな疑問が浮かびます。

しかし紀子は結貴乃を監視していたわけでは
ない
のかもしれないと思いました。

紀子は猿渡と同様、おじいさんの救済も
珠代の救済も拒否した
のではないでしょうか。

そして大切な人である店長が目の前で奪われた・・・。

しかし疑問なのは店長殺害の犯人を目撃したのならば
何故通報しないのか?
船橋に店内に異臭はしないか?
という質問の意図もわかりません。

ともすれば紀子はSDカードの呪いを回避できずに、
怪異に操られ自らも悲劇の主人公となってしまったのではないでしょうか?

前提として筆者は、エンドロールで結貴乃が見た回想は
現実ではないと思っています。

現実は店長を殺害したのは怪異に操られた紀子だったのではないでしょうか?

しかし紀子の記憶は操られていた故に曖昧で、
あれが現実だったのか?
自身が犯人なのか?
そもそも店長は殺されたのか?
明確にわからないのです。

だからコンビニから離れることが出来ずに
店長が出て来るか?
はたまた店内に異臭が漂っていればあの惨劇は
現実味を増します。

自身が店長を殺したかもしれない現実が
本物なのか
を確かめるため

コンビニにとどまっていたのではないでしょうか。

ゲーム版との違い|映画は何を描き直したのか?

まず大きな違いは時代の変化の流れと共に
怪異の媒介がゲームのビデオテープから映画ではSDカード
に変わっています。

ゲームでは4本目のビデオテープを見るのか?
廃棄するのか?
送り返すのか?

プレイヤーが選んだ選択によって結末が異なってきます。

そしてゲームで待ち受ける恐怖が黒い女性の影です。

一方で劇場版では
自身(大切な人)が助かるためにSDカードを誰かに見せる
という選択が表れます。

これによって主人公は怪異の被害者であるとともに、
大切な人を助けるために他人を犠牲にする存在にも
なってしまうのです。

そんな怪異と人間の境界が曖昧になってしまうような
選択を強いられる恐怖が存在します。

被害者が加害者に簡単に入れ替わってしまう、
そして過去の惨劇を別の誰かで姿を変えながら繰り返す
そんな連鎖の恐怖なのです。

しかも操られ罪を犯した本人はそれに気づいていないのかもしれない

映画版はゲーム版の登場人物など忠実に描きながら、
そのまま映像化したのではなく、
恐怖の設定を用いた別の物語として
再構築した作品なのではないかと感じました。

ちなみに、ゲームでは猿渡一家やおじいさん
紀子船橋(船橋と店長が一人の人物として混在している)など
は登場しません。

『夜勤事件』感想|結貴乃は救われたのか?

おじいさんと珠代の登場によって
大切な母を失うことを回避し日常へ戻ったかに見える結貴乃は
本当に救われたのでしょうか。

個人的にはこの結末は救われたと言いきれない気がします。

なぜならばあの衝撃のエンドロール後の回想があるからです。

筆者はあの回想は現実ではないと思っています。
おじいさんや珠代の救済がなかったら、
母を守りたいという気持ちが弱かったら・・・という
もしもの世界で起きてしまったであろう結貴乃の姿なのでしょう。

しかし結貴乃自身、全く身に覚えはないとしても
その回想を見てしまった彼女は
もう何もなかった結貴乃には戻ることができないのです。

本当は店長を手に掛けたのは自分だったのではないか?
回想の中で結貴乃から逃げる紀子は実際
何を見て、何を知っていて、自身をどう思っているのか?

何が現実で何が幻覚なのかもわからずに
迷走と疑念に襲われる日々が始まるのでしょう。

そして母のために猿渡家を犠牲にしてしまった
という自責の念から解放されることはありません。

ラストではコンビニは取り壊され更地となっていました。

しかしあの土地自体に何かが潜むとするならば
そこに立つ新しい家かお店か会社なのか?
もしくは猿渡家があった場所にも怪異が生まれてしまうのか?

悲劇の連鎖が終わったという描写はなく
むしろこれからも違う人物、違うカタチで
また被害が生まれる予感が満載でした。

そんな中で結貴乃がもし救われるとすれば
おじいさんや珠代のように
この悲劇を止める側の継承を担うことなのかもしれません。

個人的に、解決できなかった謎・・・
それは何故船橋には怪異の影響が皆無だったのか?
という点でした(笑)

そんな疑問を省いたとしても本作は謎が多く
その謎が不気味さを呼ぶような一作でした。

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