ネタバレ考察【死刑にいたる病】灯里がもたらすラストの恐怖とは?

爪と花 邦画
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誰もが魅了されてしまう凶悪犯。

彼が患っているのは『死刑にいたる病』

それは一体どういう病でしょうか?

そして訪れる恐怖のラスト。

驚愕の展開に数々の疑問が沸いてしまった方も多いのでは?

そこでこの記事では
映画【死刑にいたる病】の以下の疑問を中心に
考察してみました。

お悩みのヒントになれば幸いです。

タイトル『死刑にいたる病』の意味
榛村が爪に執着する理由
雅也が選ばれたわけ
結末について

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映画【死刑にいたる病】あらすじ

父親の期待に応えられず、自身の思い描いていた志望校には行けず
思い通りには行かない現実に
卑屈になりながら毎日を送る大学生・筧井雅也(岡田健史)。

そんな雅也の元に届いた1通の手紙。
差出人は連続殺人の罪で死刑判決がでている
榛村大和(阿部サダヲ)であった。

榛村は逮捕前、雅也の地元でパン屋を営んでおり、
当時中学生であった雅也は榛村のパン屋に通っていたことから
面識があり好感を持っていた雅也にある頼み事をしてきたのである。

榛村の頼み事は、
榛村の24件の殺人事件のうち1件だけは冤罪であり、
その冤罪事件の真犯人を突き止めて欲しいというものだった・・・。

キャスト
阿部サダヲ・岡田健史・岩田剛典・宮崎優・中山美穂 他

以下作品のネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意くださいませ。

『死刑にいたる病』とは・原作内容にも触れながら紐解く

タイトルの『死刑にいたる病』とは
劇中では多くを語られなかった榛村大和の生い立ちこそが
生成した病ではないかと思います。

榛村の母親は男性に依存していくことでしか
生きてはいけない女性で、大和の実の父親も不明です。

母親が依存した男性たちは
大和に虐待、暴行を繰り返します。


そのような中で大和は愛情を知らず
愛情の代わりに親のような存在から受け取ったのは
暴行や虐待。
そしてそれが普通のことになってしまっていきます。

誰一人として、助けてくれる味方はおらずに。

榛村は元々IQの高い優れた人材でしたが
そんな家庭環境だったため、学ぶ環境さえも与えてもらうことが
できませんでした。

何一つとして希望が見いだせない環境で生きてきた結果

自分にとって必要だったこと(罪)

という誤った判断が

『死刑にいたる病』

を発症させました。

怪物を生んだのは誰か

その病の症状は
特異性のある猟奇的な行動と、異常な収集癖。

世にも恐ろしい支配者であり殺人鬼という怪物を生み出した病。

けれどもそれも
多数の大人がいながら救うことが出来なかった
不幸の結果。

親になるという責任から逃れた悪。
母の恋人たちが平然と子供に暴行を加える悪。
子供中心を訴えながらその意味を取り違えている社会の悪。

誰の心の中にも存在する悪が度重なって巨大化した末路が
『死刑にいたる病』を生み、
榛村大和を怪物化に追い込みました。

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榛村の爪への執着は母への執着でもある

榛村はターゲットを手にかけていく中で
〖爪〗を集めていました。

10代後半の恵まれた家庭で育った少年少女の穢れのない爪を。

ではこれらの爪には何の意味があったのでしょうか。

榛村が犯行時に爪を集める理由はどんなものでしょうか。

榛村母の面影

劇中、終盤で雅也が榛村に対し榛村母の爪はキレイだったのか?
問うシーンがあります。

その問いに榛村は

『昔はね』

と答えました。

『昔』
榛村の母が自分を世話してくれた手を覚えているのでしょうか。

ご飯をくれる
抱っこをしてくれる
髪をふいてくれる

育児放棄した母が自分に対し伸ばした手。
その時の母の手を、きれいな爪だけを
榛村は記憶している。

例えその後母親でなくなった母の手や、爪が
穢れてしまっていたとしても。

なので愛する人の一部を探し求めた結果、
穢れのない少女たちの爪に母に対する愛情を重ねたのかもしれません。

一方で、
自分も育った〖家庭〗さえ違ったら、
きちんと身なりを整えてエリート校へ通えていたはず。

そしてその能力の高さからターゲットの彼らよりも
本当なら自分の方が先駆者になっていた存在だった。


自分こそが支配する側にいるべき人間だという思い。

そんな思いが妬みや支配欲に変わった結果

爪をはぐ、収集するという
相反する複雑な行為の要因になっているのではないでしょうか。

爪を捨てた理由

冒頭でまるで花びらをまくように映ったそれは
榛村がターゲットから剝ぎ取った爪でした。

ターゲットの身体の一部である爪

それは榛村にとって生きた証でした。

しかし、自分の逮捕が間近に迫っていると悟った榛村は
好きなターゲットたちの一部を永遠に自分のものにするため
爪を自分の選んだ場所に自分の時間で処分したのだと思います。

決して自分以外が触れることのないように
〖証拠品〗に成り下がるなどもってのほかだったのです。

雅也をターゲットにした榛村の思惑

榛村が雅也に自らの冤罪の調査を依頼した理由。

それは雅也が自分の冤罪をはらしてくれると期待したからではありませんでした。

そして榛村が主張した〖冤罪〗自体が嘘でした。

榛村が何故、嘘の依頼をしたのか?


それは雅也が、榛村の逃したターゲットであったから。

そしてもっと言えば、雅也の母・襟子(中山美穂)も
支配下におきたい相手だったからではないでしょうか。

榛村が冤罪だと言い張る根津かおる事件を利用して
罪の意識を植え付けた金山(岩田剛典)のように。

遠く離れていようとも
その行く末は榛村の支配下にある。

雅也に灯里を近づけたように、
襟子のことも雅也を通して支配したかったのだと思います。

榛村から見た筧井家

中学時代に雅也と出会った榛村は
雅也が自分のように、父親から暴力を受けていることに気付きます。

そのことを知らないはずはない母親・襟子が
雅也を助けないことも榛村は知っています。


『私には選べないから・・・』という
金山と同じような口癖がある
襟子には
息子に秘密を告白することは選べないと踏んだ可能性が高いと思います。

そして雅也の家庭環境は程度は違えど榛村に近しいものがあり、
そうした中で育った雅也を手玉にとることは容易だったのでしょう。

親の愛情的な感情をもたらす榛村の存在

雅也の実父は現実の息子を見ずに、自分の理想を押し付けました。

そしてその理想に追いつけない息子を疎ましく思い遠ざけるのです。

雅也自身もまた、自分はもっとデキるはずというプライドを捨てきれず
理想とは違う現実の自分を受け入れることが出来ず苦しんでいました。

父親も、守ってくれない母親にも見捨てられた感が半端ない
暗闇の中で見つけた一筋の光。

それが榛村の存在でした。

中学生のデキる雅也を知っている榛村。

それでも現在の落ちこぼれの雅也に大切な依頼を託し雅也の成果に

『すごいじゃないか』

と絶賛してくれる榛村こそが

どんな雅也も肯定し、雅也の価値を実感させてくれる
どんな時も子どもに愛情を注いで導いてくれる両親のような

そんな存在になったのです。

慢心した雅也は榛村に首根っこをつかまれているとも知らずに
榛村こそが自分の本当の父親なのではないか
信じ込まされます。

そして無条件に愛情をもつ、幼子の親への思いのように
榛村の悪事を冷静に判断できなくなってしまいます。

それでも雅也が榛村に取り込まれなかった理由

本当の父親が榛村だと勘違いした雅也は衝動的に他人を襲います。

榛村の息子である自分は
榛村と同じ行動をとってしまうことを容認したから。

しかしながらその行為は未遂に終わり
雅也の中で、榛村とは異なる自分を認識します。



雅也は意を決して、襟子に榛村のことを尋ねました。

すると襟子は自分の虐待されていた過去
榛村家の養子だった頃に妊娠した子の本当の行方

それらの今まで明かされなかった襟子のヒミツを
雅也に告白してくれたのです。

そして夫(雅也の父)に感謝していることなど心の内を打ち明けました。

2人の会話が聞こえた??父が現れ、3人家族でお酒を飲みます。

この場面が個人的には家族の再生の場面だと思いました。

家族の再生によって、劣等感、孤独感を遠ざけ榛村が手にすることはなかった
両親からの愛情を得ることは同時に
榛村の洗脳を遠ざけることを意味したのだと思います。

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ラストの『さようなら』と病を発症している灯里

榛村の計算外だった襟子と雅也の秘密の共有

そして金山の告白を聞いて
榛村からの洗脳を逃れた雅也は
もう榛村に会いに来ることはない・・・

という意味での
『さようなら』
をキメます。

榛村もまた、計算外のことも楽しみつつ
雅也に自分がやり残したことはやり終えたので
『さようなら』を告げます。

榛村がしたかったこと

榛村がやり終えたこと・・・

それはプランAとして

逃したターゲットである雅也を榛村のターゲットとしてあるべき姿に陥れることです。

榛村が自分が犯した罪にも関わらず冤罪だと言い張る事件。

雅也はその調査をした結果、真犯人候補として金山をマークしました。
榛村の思惑通りに・・・。

そのまま犯人に金山をしたてあげ、あわよくば金山を逮捕させる。

そして後々
既に榛村に苦しめられ傷ついている金山を無実の罪でさらにどん底へ突き落したのが

自分である

と雅也が知った時、雅也もまた罪の意識にかられ金山のように
榛村の呪縛から逃れることは出来なくなったでしょう。

例え榛村とは二度と会わなかったとしても。

しかしながら
予想外の襟子の告白、雅也の復活でプランAはポシャりました。

自ら手にかけることが出来ない現状で、

用意していたプランB

雅也に兼ねてから好意を抱いていた灯里に目をつけ
密かに時間をかけて洗脳した結果
すでに病を発症させることに成功した灯里に雅也を託すことです。

ラストシーンで、榛村の餌食になることを逃れた雅也は
恋人・灯里と共に、生まれ変わったように新たな自分の人生を謳歌するのだろう・・・

そんな雰囲気をかもしだしておきながら
灯里の持ち物から見つけた榛村からの手紙で事態は一変してしまいます・・・。

灯里は
爪が綺麗だと褒める雅也に

『剥がしたい?』
『好きな人の一部を持っていたい気持ちがわかるよね?』

などと不穏な台詞を浴びせ、彼(榛村)の存在を匂わせたところで映画は幕を閉じます。

榛村が洗脳できなかった雅也に施したサプライスは恐怖でした。

そして

雅也と灯里の身体の一部の交換が強いられる・・・

それがプランBではないでしょうか。

まとめ

阿部サダヲさんの怪演が功を奏して
恐怖のラストを迎えた『死刑にいたる病』

この病とは
榛村の不幸な生い立ちが生成した
榛村曰く必要なことでした。

しかしその症状は、特異で猟奇的な殺人へと榛村を導き
異常なまでの収集癖と支配欲にかられる怪物を生む結果になりました。

ラストで榛村不在の中、襲い掛かってくる恐怖は圧巻です。

題材が題材なだけに
残酷描写があり、そういった場面が苦手な方は要注意です。

筆者も根津かおる事件など思わず目を塞いでしまいました。

しかしながら考えさせられ、恐怖し、後味をひく
極上サスペンスな一作です。

※本記事は2023年5月時点のものです。
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