【ネタバレ考察】『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』ラストシーンの真実

洋画
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トム・ハンクス主演で映画化されたダン・ブラウン氏の『ダ・ヴィンチ・コード』。
そのシリーズ4作目となった『インフェルノ』の出版時に、
実際に行われた翻訳家たちの隔離。

出版前に作品の流出を防ぐべく各国の翻訳家たちを
地下室に隔離して翻訳させた
という秘話があるのです。

そんな実際にあったベストセラー小説にまつわる出来事に
着想を得た
『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』

翻訳家たちは携帯なども没収され外部との接触を一切絶たれた
環境の中、原稿を持ち出すことも出来ないはずの環境で
起きてしまった流出事件。

犯人とその目的は何なのか?

徹底解説、考察しています。

この記事のポイント
極上ミステリーの衝撃的な結末とは
ラストシーンの真実を探る

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『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』あらすじ

ベストセラーミステリー小説『デダリュス』
その三部作とされた完結編の『死にたくなかった男』の完成が発表されます。

出版権を得たのは、エリック・アングストロームが社長を務める
アングストローム社でした。

ブック・フェア会場で声高々に独占出版権を得たこと、多言語での翻訳をした後、
世界同時に一斉発売すると宣言したエリック。

そして翻訳作業のためフランスに集められた9人の翻訳家たち。
カテリーナ(ロシア語)、ハビエル(スペイン語)、アレックス(英語)、
ダリオ(イタリア語)、イングリット(ドイツ語)、エレーヌ(デンマーク語)、
チェン(中国語)、テルマ(ポルトガル語)、コンスタンティノス(ギリシャ語)。

9人は仕事場となる洋館の入口でパソコンや携帯、録音機器などを預け、
外部との接触は絶たれました。

そんな彼らはその洋館の、核にも備えられるという地下室へと案内されます。

そこでは日々、警備員に監視されながら渡される20ページを翻訳します。

1日の仕事を終えた翻訳家たちが休息と退屈がしのげるような
ボーリング場やプールなど、充分は施設が用意されていました。

しかし、まるで収監でもされているような居心地の悪さや、
ストーリーの先が読めないこと、自分のペースで出来ない仕事に
対し不満を募らせるものは少なくありませんでした。

そんな中でも同じ文学を愛する者同士、国や言葉は違えど、
交流を深めるうちに9人は打ち解けていきます。

エリックの秘書を務めるローズ・マリーもまた、
文学を愛する者として彼らに解けこみます。

そんな10人でのパーティーの翌日、何者かによる冒頭10ページの
流出事件は起きてしまうのです・・・・・。

キャスト
ランベール・ウィルソン、オルガ・キュリレンコ、アレックス・ロウザー、
エデゥアルド・ノリエガ、リッカルド・スカマルチョ、シセ・バベット・クヌッセン、
パトリック・ボーショー、サラ・ジロドー、アンナ・マリア・シュトルム、
フレデリック・チョウ、マリア・レイチ、マノリス・マブロマタキス
 他

『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』

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以下、結末までのネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。

本記事の情報は2024年9月時点のものです。
最新の情報は各サイトにてご確認くださいませ。

極上ミステリーの衝撃的な結末とは

持ち出すことも通信もできないはずの翻訳家たちの誰かが
流出させた新作。

怒り心頭のエリックは犯人が名乗り出るまで
翻訳作業を中止し、犯人捜しへと乗り出します。

翻訳家たちの部屋をしらみつぶしに捜索したり、翻訳家たちの服を脱がせるまでに
及ぶも、一向に判明しない犯人に焦りと怒りを募らせるエリック。

ついに銃を向けてきたエリックに、その状況の打破を図り、
翻訳家たちはエリックが理解できない言語で作戦を練ります。

作戦の開始のカウントダウンを始めたカテリーナに
銃を向けたエリック。

それを見たアレックスが阻止するべく自分が犯人だと自白します。
しかし時はすでに遅く、エリックの銃弾はカテリーナを貫き、
続けて銃弾はアレックスへ飛んできます。

カテリーナの白いドレスは血にそまり倒れてしまいます。
同じく銃弾を浴びたアレックスでしたが胸元に持っていた本が
彼の命を救いました。

ベストセラー作家の正体

利益を最優先とするエリックがオスカル・ブラックの出版権を得られたのは
彼がオスカル・ブラックの教え子だったからでした。

そもそもオスカル・ブラックとは誰なのか。

エリックの恩師であり、小さな書店の店主である
ジョルジュ・フォンテーヌという老人というのが表向きの正体でした。

ジョルジュとアレックスはアレックスが幼少の頃、夏休みに
ジョルジュの書店を訪れたことがきっかけで出会いました。

ジョルジュは本好きのあまり本を盗もうとした少年アレックスを
本の宝庫である自分の元で働くように導き、交流を重ねていました。

夏休みの度に書店を訪れていたアレックスは、自身が書きあげた小説を
ジョルジュに披露します。

それを読んだジョルジュはアレックスの才能に驚き、
教え子で出版社社長のエリックを紹介すると提案するのです。

しかし、アレックスは、
出版するというならばジョルジュの名前で出して欲しいと言います。

そうしてジョルジュは『オスカル・ブラック』というペンネームを
もって『デダリュス』の出版を実現させたのです。

つまり〖オスカル・ブラック〗の正体はアレックスだったのです。

そしてアレックスは『デダリュス』の翻訳家たちを
家畜を扱うように閉じ込めて仕事をさせるエリックのやり方に
不満を覚えていました。

ジョルジュの最後

大ベストセラーとなった『デダリュス』の最新作を求めて
ジョルジュの元を訪れたエリックでしたが、
アレックスが憤りを感じるように、作品を世に出すという誇りを失い
利益ばかりに目をむけるエリック
との契約を打ち切ることを
ジョルジュに告げられます。

しかし到底納得できないエリックははずみで
ジョルジュを階段からつき落としてしまいます。

ジョルジュの様子を確認するとエリックは新作の原稿を奪い、
ジョルジュのタバコで本屋に火を点け、その場を去っていきました。

こうしてオスカル・ブラックの原稿を我が物にしたエリックは
作者の同意のない独占出版権を手にしたのでした。

アレックスの目的

利益を優先させるために、作品を汚すだけではなく、
大切なジョルジュをも奪ったエリックへの復讐

それこそがアレックスの目的でした。

翻訳家としてエリックに採用をさせ、
同じく翻訳家として雇れた数人の仲間と企てた策略。

それは予め通勤中のエリックの鞄ごと原稿を奪い取り、
コピーをした後、原本を再びエリックの鞄ごとすり替える
というもの。

しかしその策略さえも仲間を信用させるためのアレックスの仕組んだ
計画の一部
に過ぎませんでした。

本当の作者である、アレックスは原稿を盗むまでも
ないのです。

真の目的はエリックの自供

逮捕され刑務所に収監されたエリックとの面会に
訪れたアレックス。

自分は被害者だと主張するエリックに警察はマイクをしこみ、
その信ぴょう性をはかります。

しかしエリックに着けられたマイクを手で塞いだアレックスは
自分がオスカル・ブラックだと打ち明けます。

衝撃の事実に困惑したエリックは
そんなはずはない。ブラックは殺したのだから・・・

とマイクに自供してしまうのです。

エリックが新作の流出犯に脅されて振り込んだ8000万ユーロのお金は
エリック自身の口座へと振り込まれていました

そうして証拠が揃ってしまった完全にアウトなエリックをよそに
アレックスは
『それが聞きたかった』
と満足げに言いました。

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ラストシーンの真実を探る

こうして本を侮辱したと言えるエリックに制裁を加え、
自分の作品と文学を守ったアレックス。

同時に自身を文字の世界へと導いてくれた恩人を
お金のために死においやったエリックに対する
復讐。

その目的を終えたアレックスが刑務所を出た時、
思いを馳せるのはジョルジュとの日々

泣かなくていい。また来年会えるだろ

いつだってそう言ってくれたジョルジュの言葉に、
もう叶わないことを実感してしまい溢れる涙。

そして歩き続けるアレックスが
驚いてふと立ち止まったように見えなかったでしょうか。

あのラストは何を意味していたのか
深読み考察していきます。

カテリーナとの出会い

恩人を奪い多数の本を灰にした復讐と
作品を守ることを目的として潜り込んだ
翻訳の館で、アレックスはロシア語の翻訳家として
訪れていたカテリーナと出会います。

カテリーナはアレックスの書いた
デダリュス』を溺愛し、自身もまるで作品の登場人物である
レベッカのような話し方でレベッカのように白いドレスを身にまとい、
同時に深い理解
を示していました。

『デダリュス』のいちばんの理解者は当然、
生みの親である自分だと自負していたアレックスですが、
作品についてカテリーナと話し合ううちに、
新たな『デダリュス』の解釈を思い知らされます。

そんなカテリーナに感銘を受けたアレックスは、
カテリーナとの絆を意識せずにはいられなかったの
ではないでしょうか。

復讐物語の主人公アレックス

カテリーナとの出会いがカフェや本屋さんであったならば、
アレックスは作品への愛情と理解の深い彼女に対し、
自分の正体を打ち明けたのかもしれません。

しかし、フランスの洋館でエリックへの復讐物語を
執筆中であるアレックスには
その筋書きはあり得ませんでした。

ストーリーのテーマがそれてしまうからです。

そうしてアレックスとカテリーナの物語を
封印した結果が招いたのは、カテリーナへの銃撃でした。

全てを終えて歩き出すアレックスは、
ふと自分と『デダリュス』の主人公フランクを
重ねてしまうのです。

『デダリュス』の主人公フランクとは

フランクにはレベッカという妻がいました。

しかしある時、レベッカは走行していた船から落ち、
セーヌ川で溺れて命を落としてしまいます。

その船の操縦者こそフランクであり、
彼の行動次第ではレベッカは助かった可能性があったのでした。

しかし、フランクはレベッカを救出する最善の行動を
とることができませんでした。

その後、レベッカの喪失に苦しむフランクは、
レベッカの幻を見るようになり、彼女の死について
解明していく
のです。

その結果、フランクが見つけた答えは
レベッカの死の原因はフランク自身だということでした。

真の犯人が判明したラスト

幼少のアレックスに、ジョルジュは
『オリエント急行殺人事件』について
犯人は誰か?と尋ねます。

するとアレックスは実行犯の存在を答えとして提示
しますが、ジョルジュの答えは別にあるようでした。

アレックスが書いた『デダリュス』における
レベッカを奪った犯人はセーヌ川であると言えるし、
その原因を作ったフランクこそが真の犯人であると言えます。

同様に、アレックスの復讐物語の犯人はエリックでした。
しかしながら、そもそも本当の作者であるアレックスは
ジョルジュを影武者にしたも同然であり、
カテリーナに本当のことを打ち明けていたら
彼女の悲劇はなかった可能性もあります。

そう考えた場合、真の犯人はアレックスなのかもしれない・・・

刑務所を出たアレックスはラストで
真の犯人が自分であることを判明してしまい
驚いたように立ち止まってしまったのでは
ないのでしょうか。

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『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』感想

翻訳とは不思議なもので、訳されるその意味は同じようでありながら
訳す人の癖だったり表現の仕方で受け手の感じかたは大きく変わりますよね。

トム・クルーズが翻訳家、戸田奈津子氏にこだわったのも
作品への愛情からだと言えるでしょう。

そんな風に作者ならば翻訳家の仕事や好みに
こだわるのは不思議ではないのかもしれません。

そんなことさえもイメージできない、エリックだから
〖オスカル・ブラックが自分の言葉をどう訳されるかなど興味がない〗
という至極不自然な見解を口にしてしまえたのですね。

文学を愛するものにとって聞き捨てならない、
致命的な言葉でした。

アレックスは愛する文学への冒涜、
そして恩人ジョルジュを奪われた復讐に成功
したと言えます。

しかしながらその代償は大きすぎました。

エレーヌは自ら命を絶ち、カテリーナも未だ眠ったままです。

刑務所を出るアレックスが目的を成し遂げてようやく
その大きすぎる代償に気が付き、誰でもない自分こそが
その不幸を招いた者であると感じた時、
幼少の頃、投げかけられた『オリエント急行殺人事件』の犯人
を言い当てたはずの自分の答えを何故ジョルジュが正解としなかったのか
も判明して衝撃を受けたことでしょう。

そして他でもないアレックスこそが、
自身の作った物語である『デダリュス』のフランクと化して
いることにアレックスは何を思うのでしょうか。

文学とジョルジュの仇をとったと言えるアレックスの手もまた
汚れてしまったという罪の意識にさいなまれながら
残りの人生を送るのかもしれません。

本作は謎が二転三転するだけにとどまらず、
『デダリュス』という物語がまるで命を吹き込まれ
その影響は本当にアレックスに及んでしまったのではないか
と疑念を抱く極上のミステリーだと感じました。

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