『縞模様のパジャマの少年』ラストはどうなる?純粋で禁忌な友情の悲劇の物語

洋画
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戦時中の残酷な世界に生きる少年の目線で描かれた映画
『縞模様のパジャマの少年』

筆者が鑑賞した映画の中でも
虚しさや絶望感といった後味の悪さは上位3位以内に入る本作。

そんな物語
純粋な友情の行方をネタバレ解説、推察しています。

この記事のポイント
『縞模様のパジャマの少年』ラストはどうなる?
『縞模様のパジャマの少年』その他の考察

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『縞模様のパジャマの少年』簡単なあらすじ

8歳のブルーノは家族と共にベルリン在住でしたが、
軍人の父親が昇進したため、郊外の任務に就くことになり、
ブルーノも友人たちに別れを告げ、引っ越すことになりました。

辿り着いたその家は、ベルリンの我が家とは違い、
ブルーノは不満気です。

彼の部屋からは農場が見えました。
しかしそこで働く人たちは皆パジャマのような格好をしていて変な感じがしました。

しかし学校へも行けず、家庭教師の先生は
ドイツの思想や歴史ばかりを重要視し、ブルーノの好きな冒険等は
くだらないと一喝します。

友人も居ないブルーノは母の目を盗んで農園へ行ってみることにします。

するとそこは有刺鉄線が張り巡らされその中には
パジャマを着て胸元に番号をつけた
ブルーノと同じ8歳の少年が居たのです。

その少年のシュムールというブルーノにとって聞きなれない名前や、
格好、お腹を空かしている様子など、理解ができない部分も
ありつつ2人は友好を深めていくのでした・・・。

キャスト
エイサ・バターフィールド、ジャック・スキャンロン、アンバー・ビーティ、
デヴィッド・シューリス、ヴェラ・ファーミガ、リチャード・ジョンソン、
シーラ・ハンコック、ルパート・フレンド、デヴィッド・ヘイマン 

以下、結末までのネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。

本記事の情報は2024年9月時点のものです。
最新の配信状況は各サイトにてご確認くださいませ。

『縞模様のパジャマの少年』ラストはどうなる?

ブルーノの軍人である父親ラルフの新しい仕事とは、
ユダヤ人の強制収容所の所長でした。

そこでドイツ人のための労働を強いられる以上に
絶滅や虐殺が行われていた事実を知らなかったブルーノの
母親、エルサはショックのあまり体調に支障をきたしてしまいます。

こんな環境下で育つことは子どもに悪影響を及ぼしかねないと考えた
エルサはラルフに子どもたちの引っ越しを哀願します。

妻の意見に同意したラルフは妻と子どもたちだけを
親戚が住む土地へ引っ越すことを許したのでした。

引っ越し当日、エルサに最後に庭のブランコに乗りたいと言って
家を抜け出したブルーノはシュムールの元へ向かいました。

純粋な友情が引き起こす悲劇の結末

先日、ブルーノはシュムールがラルフ家で労働をさせられていた際に
ケーキをプレゼントしました。

しかしそこへやってきたラルフの部下のコトラー中尉が怖すぎて、
シュムールが勝手にケーキを食べたのだと嘘をついてしまったのです。

そのせいでシュムールはコトラー中尉から暴行を受け、
目元に大きなアザをつくっていました。

その時の償いから、行方不明になったシュムールの父親を
一緒に探させて欲しいと願いでます。

そのためには、収容所の中へ一緒に入る必要がありました。
しかしそのままのブルーノの格好ではバレてしまうので、
シュムールが用意した縞模様の服と帽子をかぶり収容所へ潜入したのでした。

しかしその中は、ラルフが流していた収容所の映像とは異なり、
カフェも娯楽も存在していませんでした。

一端は帰ろうとしたブルーノでしたが、意を決して探検家のように
シュムールの父親を探すべくある小屋に向かうのでした。

すると突然、その中に居る全員をシャワー室へ向かうように
促され、ブルーノたちもその波にのまれてしまいます。

服を脱いで押し込められた空間。
ぎゅうぎゅうに詰め込まれた彼らの中で、
ブルーノとシュムールは手を繋ぎました。

その頭上からはガスマスクを装着した軍人により
黒いものが投げ込まれ扉は閉じられました・・・。

ブルーノが消えたことに気付いたラルフは
部下たちをひきつれて収容所へ向かいます。

エルサとグレーテルも後を追いました。

有刺鉄線の傍に脱ぎ捨てられたブルーノの服、
子どもが1人通れるくらいに掘られた穴は、ブルーノが
収容所に縞模様の服を着て忍び込んだ
ことを意味していました。

懸命に探しまくるラルフでしたが、
シャワー室はすでに稼働してしまったことを察知して叫びます。

有刺鉄線の手前でラルフが叫ぶブルーノ名前を聞いて
泣き崩れ落ちるエルサでした。

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『縞模様のパジャマの少年』その他の考察

ラルフ一家が引っ越して来た直後、ブルーノが
初めて出会ったユダヤ人がラルフ家で労働をしていた
パヴェルでした。

庭にタイヤで作ったブランコから落ちて怪我をした
ブルーノの手当をしたパヴェルは、元々医師だったのです。

そんな彼の結末はどうなったのでしょうか?

パヴェルの運命とその意味

ブルーノに優しく接してくれたパヴェルでしたが、
ラルフ家の食事の席で、ワインをこぼしてしまい、
コトラー中尉に連れて行かれ暴行を受けていました。

止めて欲しいエルサの視線を無視し、ラルフが止めることはありませんでした。

翌日、床の掃除をするメイドの様子から
パヴェルは致命傷を負ったのだと考えられます。

その後、パヴェルが現れることはありませんでした。

パヴェルが命を奪われる程の罪、
それはワインをこぼしたことでした。

この悲劇は祖国が大変な時に海外へ移住した父親の件を責められて
内心、激高しているコトラーの八つ当たりともとれます。

そんなことで奪われてしまうほど、
ユダヤ人の命がどれほど軽んじられていたのか
また、怒りや憎しみの矛先として向けられていたのだという
描写なのでしょう。

本作は実話ではないが・・・

本作は実話ではなくフィクションです。

しかしながら、このような強制収容所は当時、実際に存在していたこと
は周知の事実です。

ラルフの妻エルサが収容所の実態に酷くショックを受けていたように、
実際の収容所の家族もまたその実態を理解していなかったのだと
されています。

シャワー室へ向かうブルーノを見つめる男性

〖ただのシャワーだ〗と聞かされブルーノとシュムールが服を
脱いでいる場面で、ブルーノたちを見つめる男性の姿が一瞬映ります。

この男性はもしやパヴェルなのかと思ってしまいそうですが、
パヴェルの顔を再度確認してみると違う人物のように見えました。

だとすれば、この男性は、これから起こる自身の運命を把握していて、
ユダヤ人だというだけで、こんな子どもまでもが犠牲になることへの
嘆きだったのではないかと思います。

または、この男性だけがブルーノがユダヤ人ではないことに気付き、
不信に思ったものの、自身の胸にとどめてしまった
という描写でしょうか。

いわば、この男性がブルーノが助かる最後の砦だったのかもしれません。

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『縞模様のパジャマの少年』まとめと感想

鑑賞前から鬱展開になることが薄々わかっていた本作。

それでもまさかブルーノ自身の命が奪われてしまうことまでは
想像していませんでした。

幼い命が奪われたのは何故なのか?
ブルーノが純粋すぎたから?

加えて大人たちの嘘が重要な結果を招いてしまっています。

国の思想に意を反している母親と、パヴェルにもきちんとお礼の言葉を言う
妻を選んだラルフは実は母親や妻の意見に心の底では同意している面も
あるもかもしれないと思いました。

だからこそ、収容所を農場だと嘘をつき、自身の行いを隠し、
子どもたちを自分ではなく、心優しき妻の手に委ねる決断を
下したのではないでしょうか。

しかし将校である以上、その任務を遂行していく中で、
収容所の人間の人権を侵害し、その命を軽く扱ってきたことは
そのまま息子の命を奪う結果へと繋がってしまいました。

人の命を奪うための効率化を図る一方で、
その対象が家族になってしまった悲劇に父は何を
思ったのでしょうか。

彼らを理由なき敵であると決めつけ、
家族にも明かせない真実があることをひた隠す大人たち。

しかしその隠し事こそが奇しくも
少年の悲劇を引き起こしてしまったと言えるでしょう。

あの国の人間は敵だと言われても、
〖いい人もいるかも〗と考え、自分で会って話した結果
シュムールとの友情を育むことにしたブルーノ。

大人こそ、自分で見たことで、感じたことで判断するという
純粋な心と優しさや尊厳を持って行動することを忘れなければ
きっと悲劇は繰り返さない。

そう教えてくれる一作です。

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