『さよならのつづき』あらすじと結末を考察/ピアノが弾けなくなったのは何故?

ドラマ
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有村架純坂口健太郎のダブル主演映画
『さよならのつづき』Netflixで11月14日から配信開始され話題を呼んでいます。

恋人を失ってしまった主人公と、
夫の命は救われたのに知っている彼ではなくなったことを
感じ苦悩する妻。

そんな切ないストーリーが展開する中で、
成瀬が突然ピアノが弾けなくなったのは何故なのか?

そんな気になる謎に迫ります。

この記事のポイント
『さよならのつづき』の結末とは
ピアノが弾けなくなったのは何故か?

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『さよならのつづき』あらすじ

北海道・小樽の地でコーヒー会社に勤める菅原さえ子

さえ子には中町雄介という恋人がおり、
雄介は雪が降る中、走行するバスの中でさえ子にプロポーズをしかけ
『私と結婚したいなんて勇気がある』
とおどけて見せるさえ子でしたが結婚を承諾します。

すると、山のむこうで待機していた雄介の友人たちが
雄介の合図を機に花火を打ち上げました。

綺麗で盛大に打ち上げられたその花火を見守る
さえ子と雄介は幸せの絶頂でした。

しかし次の瞬間、バスは雪崩により横転しながら落ちていきます。

雄介はさえ子を守るように抱きしめ、
そのまま車外へ投げ出された2人は救助隊に運ばれました。

さえ子は目を覚まし、雄介の居場所を尋ねますが、
看護師は、雄介の所有物であった婚約指輪をさえ子に手渡しました。

さえ子を守り、雄介は命を落としたのです。

一方、亡くなった雄介の心臓は、成瀬和正という患者に移植されました。

それから月日がながれ仕事に復帰したさえ子は
出張でハワイを訪れました。

しかし実はこの出張はハワイの取引先であり友人であるコーヒー農場を経営する
ヒロが、雄介を失ったさえ子を元気づけようと呼び寄せたのでした。

ハワイは雄介とさえ子が出会った思い出の場所だったのです。
初対面時のヒロから契約が取れず落ち込んでいたさえ子は
空港でピアノを弾く雄介に出会い励まされた過去がありました。

そんな思い出をかみしめながらハワイから帰国しようと空港を歩いていた
さえ子は、出会いの時、雄介が弾いていた『I want you back』の曲が
流れてくるのを耳にします。

雄介であるはずはない・・・そう思いながらも、
あのピアノがある場所へ駆け出さずにはいられないさえ子でした・・・。

キャスト
有村架純、坂口健太郎、生田斗真、中村ゆり、奥野瑛太、
伊藤歩、イッセー尾形、宮崎美子、三浦友和
 他

以下、結末までのネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。

本記事の情報は2024年11月時点のものです。
最新の情報は各サイトにてご確認くださいませ。

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『さよならのつづき』の結末とは

結婚することが決まった次の瞬間にその相手を失う
悲劇が想像できるでしょうか。

そんな胸が苦しくなるような展開から幕を開けた本作の
結末はどうしたら救われるのでしょうか。

雄介は生きている

雄介の心臓は成瀬和正という患者の元へ移植されました。

しかしその日から、成瀬には異変が起こり始めます。
苦手だったコーヒーを飲めるようになるどころか好きになり、
弾けないはずのピアノが得意になります。

性格面も以前より明るくなり周囲を驚かせていました。

それはまるで、外見こそ違えど、雄介が生きているかのように。

そんな成瀬とさえ子は出会ってしまうのです。
さらに、雄介の記憶さえも残る成瀬には、さえ子に見覚えがあり、
過去のさえ子との記憶さえも蘇ってしまうのでした。

さえ子の方も、雄介と同じ言葉を投げかけてくる成瀬の身体には
雄介の心臓が移植されているという真実を知り、
〖雄介が生きている〗という気持ちが抑えきれずに、
2人は毎日のように会う状況になってしまいました。

妻の言い分

とはいえ、成瀬は既婚者です。
愛する妻・ミキとは、付き合う前から両想いで
病床の成瀬をずっと支え続けてくれた恩人でもあるのです。

それでも成瀬はさえ子に対する気持ちが
雄介のものなのか、自分の気持ちなのか、わからずに混乱していました。

さえ子の方も同じで、雄介が生きていると感じればこそ、
成瀬に惹かれているのか、成瀬自身が好きなのかわからなくなっていました。

そんな時、2人の関係を知ったミキはさえ子に詰め寄ります。

〖もう夫に近づかないで欲しい〗・・・と。

それは妻として至極当然の要求でした。

しかし、さえ子は、『あなたならどうなのか』と反論します。
もし立場が逆で、成瀬の心臓が雄介の中で生きていたら、
それでも関係がないと知らんふりできるのか?と。

ミキは何も言い返せず泣き崩れてしまいました。

さえ子と成瀬が出会った雨の夜

ますます親密になりかけたさえ子と成瀬でしたが、
胸の手術痕を目にしたさえ子は、思いとどまるのでした。

さえ子の家を後にした成瀬は彼女の玄関先においてあった
傘と長靴が自分の物だということを思い出します。

さえ子と成瀬は雄介が生きていたころに出会っていたのです。

それは
さえ子が急な雨に降られ雨宿りをしながら雄介の迎えを待っていた時のこと。
頑張った証のルブタンの靴が汚れるのがイヤだと裸足になるさえ子。

しかし迎えに来た雄介は手ぶらで雨にうたれながら現れたのです。

何故傘を持ってこないのか?と雄介を責め、おどけながら言葉を返す
2人のやり取りを、実はその横で雨宿りしていた成瀬は微笑ましく
聞いていた
のです。

そして成瀬の方には車で迎えにきたミキが現れます。

すると去り際、成瀬は傘と長靴を2人に渡し、返さなくていい
と言って再び車に乗り込み、あんな2人のようなやり取りをしてみたいと
心臓移植をする決意をしただったのです。

出会いの曲に隠された秘密

前に進むことをとどまった、さえ子は、成瀬を呼び出します。

そして雄介が今でも好きだけれど、同時に成瀬にも惹かれていることを
告白し、だからこそもう会わない決意を示しました。

そのまま仕事も退職したさえ子は、
ハワイのヒロの元へ旅立ちました。

一方で成瀬の方は心臓の傷み具合が増し、医師から
雄介の心臓が拒絶反応を示して弱っており、
人生を月単位、週単位で考えなければいけないと告げられてしまいます。

医師の前で、涙が抑えられない成瀬でした。

成瀬はその後、雄介の事故現場へ向かうと、
彼の心臓と共に生きられないことを謝罪し、
どうしたらいいのか?どうしたいか?尋ねるのでした。

その頃さえ子はすっかりヒロの農場の一員になっていました。
そんなさえ子の元に、一本の電話の後、姿を現したのは成瀬でした。

成瀬は自分の身体は絶好調なのだけれど、それ故、心臓が馴染みすぎて
いずれ雄介の記憶が消えてしまう

だからその前に中町雄介として3日間だけ、さえ子と過ごすために来たのだと
言います。

そうして過ごしたさえ子と成瀬の疑似的な新婚生活。

幸せな3日間も終わりを告げようとしていました。
最後に心臓の音を聞きながらさえ子はあふれ出す涙を抑えきれませんでした。

帰国する成瀬を見送りに空港まで同行したさえ子。
かつて雄介が演奏していた『I want you back』が何か違和感があるのだと
言います。

成瀬は鍵盤に書かれたアルファベットの文字を辿り
雄介がさえ子に届けたかったのは『SMILE』だったという真実を
教えてくれました。

それから軽快に『I want you back』を弾き始めた成瀬でしたが、
終盤、突然弾けなくなってしまいます。

さえ子は察したように、笑顔で成瀬の心臓にも別れを告げました。

さえ子と成瀬は3日間と決めたその後も、
離れたくないという心の奥に秘めた気持ちを抱えながらも、
振り返ることなく笑顔で別々の場所へ帰るのでした。

帰国して自宅に戻った成瀬はミキと感謝と謝罪のこもった
ハグをしました。

月日はながれ、りんごの収穫の時、成瀬は車いすに座ったまま
家族を見守りながら静かにその命に幕を閉じました。

同じころ、ハワイに居るさえ子は空にかかった大きくて綺麗な虹を
見上げた
のでした。

日本に帰宅したさえ子は、雄介の親友で、今やさえ子の親友にもなった健吾
カフェを訪れます。

〖今度は同じ人を好きにならないようにしようね〗

そう告げるとバツが悪そうに微笑む健吾でした。
そして雄介が育てていたコーヒーの木には果実が実っていました。

そんな風にさえ子が知り合いの元を訪ねて回っていると、
ミキから意味のわからないメッセージが届きます。

『人手不足だから収穫の手伝いをお願いね』

という内容が書いてありました。

怪訝な顔でミキの元へ向かったさえ子は、
〖人手不足だから誰かに手伝って欲しくて、
自分に負い目がある人を探していた〗

と言います。

そして〖毎年来てね。会いたいし。〗

と付け加えました。
さえ子は〖わかった〗
と言ってほほ笑み合いました。

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ピアノが弾けなくなったのは何故か?

劇中で臓器などの移植の際に、元の持ち主の記憶やら嗜好が残るというのは
医学的な証明ができていないが、症例はあるという話題がでます。

この物語においても、
大好きな人との結婚を目の前にして
その未来が奪われてしまった雄介の無念と、
大事な人を守って行けない不安や、さえ子の身を案じる恐怖

などが、人生が終わるその瞬間までよぎって止まなかったのではいでしょうか。

それ故に、その気持ちは動いていた心臓に深く浸透し、
成瀬の身を通して現れたのかもしれません。

雄介の願いと消えゆく記憶

心臓の寿命は長くないと知ってしまった成瀬は
雄介に会いに行きました。

これからもずっと元気で生きて行くという希望は叶わなかったものの
雄介が成瀬の命を長らえさせてくれたことに変わりはありません。

ミキと一緒に花火を見に行くことも実現できました。

だから残された時間は雄介に恩返しをしたいと考えたのでしょう。
成瀬にとっての花火のように、雄介がやり残したこととは何だったのか?

雄介に問いに行ったのです。

雄介の答えは、自身を失ったあとのさえ子の柔軟剤になりたいということ。

婚約者を失って、平気なふりをしていてもいつまでも
泣いているさえ子
笑顔を取り戻して欲しい
という願いだったのではないでしょうか。

そのためにまずは、きちんと〖さよなら〗を告げること
それが第一歩だったのかもしれません。

そうして雄介とさえ子に待ち受けているはずだった幸せな2人の生活
を実現
させました。

雄介とさえ子が出会ったハワイの空港で、
落ち込んでいる彼女の表情を見た雄介は、
〖SMILE〗と奏でました。

さえ子はあの時、その意味を分からず、違和感として覚えていましたが、
雄介を失ったさえ子が取り戻せない〖SMILE〗を
再び、成瀬を通してさえ子にメッセージとして残すことで
いつまでもさえ子に幸せで笑顔で居て欲しいという願いを伝えたかったのです。

願いや無念が叶った雄介の思いや記憶が消えること、
それは心臓から雄介が消えることを意味しているのではないでしょうか。

ピアノ演奏の途中で雄介が消えていくのは、
自身が消えていく瞬間をきっちり見せたかった
それが
さえ子にきちんとさよならを告げた証なのではないでしょうか。

軽快なピアノ演奏は雄介の記憶が成したもの。
雄介が心臓から消えて行くと同時に、
記憶も消失し、ピアノを弾けなかった元の成瀬に戻ったのです。

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『さよならのつづき』感想

生田斗真さんと言えば、個人的にはクセのある役どころが
多く見受けられるので本作のような恋愛ものは新鮮でした。
なかなか良きですね!

誰の立場に寄り添うかで評価が分かれそうな本作ですが。
みなさまはどう感じられましたでしょうか?

臓器移植による記憶の転移というのは
フィクション、ノンフィクションを問わず多数の事例が存在するようです。

しかし万が一そんなことが本当にあったら、
どんな間柄として接すれば良いのか、
そもそも出会わない方が良いのか、
その答えは容易には出ないのではないでしょうか。

さえ子にとって当初、成瀬は恋愛対象ではないものの
成瀬の心臓には会いたいという、
そんな奇妙な感情が沸いてしまいます。

鑑賞者は
さえ子の立場なら同情してしまうし、
ミキの立場ならメラメラしてしまうかもしれません。

ですから、ミキの懐の大きさにかかっていた物語といっても
過言ではないでしょう。

結局は、雄介はおろか、成瀬までもが命を落としてしまう
という結末に、救いのなさを感じ、見ていてどんよりしてしまいそうでした。

しかし、最後の最後に、
ミキとさえ子の奇妙な友情が始まるのです。

成瀬を知る者同士、成瀬の中に居た雄介を知る者同士として
彼らを語り、その記憶は彼女たちが生きている以上
薄れることのない存在として間接的に彼女たちを支えて行ってくれるのかも
しれません。

重く、悲しい物語ではありましたが、
そこに微かな救いは存在し、
人を思うこと、思って貰えることの素晴らしさを痛感できる
そんな一作です。

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