『魔法にかけられて』では可憐なお姫様だったエイミー・アダムスが
専業主婦になり育児体験に奮闘?!するダークコメディ、
『ナイトビッチ』
レイチェル・ヨーダー氏の同名小説の原作は2021年にベストセラーになりました。
日本においても、この映画が刺さってしまった人が続出なのだとか。
これから母親になる人たちへ応援のメッセージが込められている
という本作ですが、ホラー要素も満載です。
結局エイミー演じる母親の正体は何なのか?
ラストはどうなるのか?
などの気になることについて、ネタバレ解説・推察しています。
『ナイトビッチ』あらすじ
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— ディズニープラス公式 (@DisneyPlusJP) January 24, 2025
新作ダークコメディ#エイミーアダムス 主演
🎬『ナイトビッチ』
専業主婦になるためキャリアを諦め、
退屈な日々を過ごす主人公🌀
そんな中、自分の生活に
シュールな変化が起きていることに気付き…#ディズニープラス スターで
本日(1/24)より配信開始🐶 pic.twitter.com/CpYx75rCxu
出産後、アーティストとしてのキャリアを休止して育児に励む母親。
夫は出張が多く、妻である自分が幼い息子のため、専業主婦になった。
その息子も2歳になり、やんちゃで好奇心旺盛で
一筋縄ではいかない、イヤイヤ期に突入し、ますます手がかかるようになる。
スーパーで昔の知り合いと出くわした際に
〖専業主婦〗になり家を守ることに従事する感想について尋ねられると、
脳内では吹き出すほどの複雑な感情が沸き上がる母親だったが、
冷静に、口からは実に平和的な言葉を吐き出す。
すると同時に改めて自分が育児に専念するために手放したものを痛感するのだった。
何よりも、出張で不在が多い夫、週末に帰宅しても
専業主婦を羨む夫の言動に、感じとるのは孤独であるという現実だった。
時おり、不穏な空想をしてしまうようになる。
さらに同じ毎日に、一時も休まらない時間、そして諦めたキャリアがのしかかり、
それらに押しつぶされそうになる母親は、
自身の身体にも異変が起きていることに気が付く。
腰元にふさふさと体毛が生えていたり、
歯が鋭利になっていたり、目も異様な気がしたのだった・・・。
キャスト
エイミー・アダムス、スクート・マクネイリー、アーリー・スノーデン、
エメット・スノーデン、ゾーイ・チャオ 他
以下、結末までのネタバレが含まれます。
未視聴の方はご注意ください。
本記事の情報は2025年2月時点のものです。
最新の配信状況は各サイトにてご確認くださいませ。
『ナイトビッチ』解説・考察
育児のためにキャリアを諦め、専業主婦になった母親。
しかしその道は険しく、
同じ毎日の繰り返し、犠牲にしたことへの執着は
徐々に異変をきたしていくのでした。
母親の正体は犬?!
エイミー演じる母親の身体に異変が起こり始め、
夜になると犬と化し時には犬軍団を引き連れ颯爽と走るのです。
そんな姿が描かれていました。
母親は本当に犬になってしまったのでしょうか?
結論から言えば、この描写は母親が犬のようである
という強迫観念にとらわれてしまった結果の妄想だと考えます。
エイミー演じる母親は、出産を機にアーティストであることを諦め
育児を一人で担う専業主婦になりました。
しかしその実態は単純な毎日のルーティン、
その中で一時も目を離せない育児によって積み重なるのは疲弊ばかり。
満足に入浴さえできないのに、
誰に褒められるわけでもご褒美が貰えるわけでもありません。
そして育児をしていないかつての仲間との間に隔てられた壁は、
今おかれた現実を色濃く目の当たりにし、まるで母になることで
アイデンティティさえ失ったも同然の思いでした。
それらを一人で請け負う母親の心は徐々に押しつぶされていきました。
自らの身体から生命を生み出し、その傷が癒えぬ間もなく
自らの身体で赤ちゃんを育てることに徹する。
まるで動物の本能のままではないか・・・と。
不安やストレス、疲労など複雑に絡み合った感情が見せた
妄想が犬になった自分だったのではないでしょうか。
ラストの意味
本作のラストでは再び母親が出産に挑み、
今度は娘を誕生させるところで幕を閉じます。
育児の苦悩から犬に変身するまでに追い込まれた母親はなぜ
再び出産へと挑んだのでしょうか。
専業主婦になることはアーティストとしてのキャリアを犠牲にしたのだと
思えばこそ、その疲労は大きくのしかかり、ママ友を作らず、
夫の理解も得られずに孤独な日々を送る母親は不穏な状態と化していました。
しかしそんな母親は図書館司書の助言に救われます。
そしてママ仲間の前で思い切って毒を吐いてみたら
思いのほか賛同が得られ孤独ではないことを知ります。
理解を得られなかった夫とは別居に至ってしまいますが、
子どもを夫に預ける、つまり一人になるという時が生じたことで
芸術に費やす自分時間を得ることが出来たのです。
そうして開くことができた母親の展示会を見に来た夫は、
自身の間違いを謝罪し、母親の苦悩とキャリアへの理解を
示してくれました。
こうして再び復縁した夫妻のその後の育児は
これまでとは違うものになったのでしょう。
夫は母親の自由時間を作るために尽力したのでしょうし、
母親も、子どもと離れる時間を知ることで
育児の楽しさも痛感したのではないでしょうか。
これまでとは消極的だったママ友との付き合いも
ガス抜きの場と化したのかもしれません。
そうこうして母親として成長した主人公は
本来の命を誕生させるという母の奇跡と幸せをやっとかみしめることが
できたと言えます。
ラストの長女の誕生は、母親であることが何かを犠牲にしたり
孤独だったり、辛いものではないということに気づいた証なのでしょう。
とはいえ・・・
本作のジャンルはホラー・コメディ。
またまた犬になる日が来るのか否か?!
『ナイトビッチ』感想
本作は、これから母親になる人にとってはホラーにもなり、
すでに子が巣立った人には笑い話になったり、
そして今まさに真っ最中で背中を押され涙する人もいる
そんな作品なのではないかと思いました。
怖いし笑える妙な物語ではありますが、
もし絶賛、育児に奮闘中ならば是非ともパートナーと御覧になって
フランクに悩みを打ち明けてみるのも良いかもですね。
あまり前情報を知らずに視聴した筆者は
本作のぽっちゃり主婦の中の人がエイミー・アダムスだと知り
驚いた一人ですwww
そんなエイミー演じる主人公には【名前】が出てこないんですよね。
その理由は本作がすべての母親に向けられたメッセージであり、
孤独に陥ることが自身を追い詰めることになると危惧していて、
その苦悩や葛藤も、程度や状況は違えど母親ならば皆が経験することなのだと
激励しているからなのでしょう。
筆者も育犬の先輩には随分色々聞いたなぁと思い出しました。
我が家の愛息犬2人wwは、同じ母犬からお迎えしたので
母犬の育児の様子を多少垣間見たことがあるのですが、
自身のことよりも赤ちゃんを優先させ、まさに子犬のために
尽くす献身的さは、本能とはいえ素晴らしいのです。
改めてすべての母親に敬意をしめしたくなる一作です。