2024年カンヌ国際映画祭の監督週間で
国際映画批評家連盟賞を受賞した
『ナミビアの砂漠』
『あみこ』を手掛けた山中瑤子監督と、同映画に感銘を受けた河合優実の
念願のタッグが叶った作品になりました。
しかし本作の中身はと言うと、ポップなのに過激で、パワフルなのに
闇深い・・・そんな不可解な印象を受ける映画です。(個人的な意見です)
意地悪で嘘つきで暴力的な主人公カナの
結末はどうなるのか?
また嘘つきなカナがついた3つの嘘の意味に着目して
推察しています。
『ナミビアの砂漠』あらすじ
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— 映画『ナミビアの砂漠』 (@namibia_movie) July 1, 2024
映画『#ナミビアの砂漠』
🚬本ポスター 解禁📱
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「私は私が大嫌いで、大好き」
鼻ピアス&うつろな表情のカナのドアップがインパクト抜群💥
混沌とした渦に飲み込まれそう🌀🌀🌀
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21歳のカナはカフェで待ち合わせた友人が話す同級生の訃報も上の空で
近くに座る男子グループの下世話な話題が気になってしまう。
そんなカナは人生の目標や将来の夢などを持てず
脱毛サロンで淡々と働く日々を送っている。
カナの恋人は不動産関係の職に就くホンダという男性で
彼のマンションで同棲生活を送っている。
ホンダはカナとの生活の経済的な部分を担い、
献身的で穏やかな性格の男性だった。
しかし、そんな生活とホンダに、何か満たされないカナは
ハヤシという刺激的なクリエイターの男性とも秘密裏に交際をしていた。
そんな最中、ハヤシがカナにホンダと別れて欲しいと
打診する・・・。
キャスト
河合優実、金子大地、寛一郎、新谷ゆづみ、中島歩、唐田えりか、
伊島空、堀部圭亮、渡辺真起子 他
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以下、結末までのネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。
本記事の情報は2025年3月時点のものです。
最新の情報は各サイトにてご確認くださいませ。
意地悪で嘘つきで暴力的なカナの結末
ホンダが裏切りを告白したのをきっかけに、同棲していた家を飛び出し、
ハヤシとの新生活を始めたカナ。
しかしハヤシが外出した部屋でカナは胎児のエコー写真を見つけてしまいます。
カナの心を動揺が襲いますが、見つけたエコー写真のことは
そっと奥の方に閉じ込めることにしました。
ハヤシの家族や友人たちが集まったバーベキューに参加したカナでしたが
本当の意味でその輪に入ることができずそこに自分の居場所がないことは明らかでした。
物理的にもすでにその場所には『カナ』が存在していました。
もうすぐ新しい命を誕生させる幸せそうな『カナコ』という女性が。
ハヤシの両親はカナを気づかって色々話しかけてくれましたが、
日本語で話かけられているのに言葉が通じないカナの心は
劣等感と孤独感で満たされて行きました。
クリエイティブな活動をしているハヤシはホンダとは異なり在宅していることが
殆どの生活でした。
ところが2人一緒の空間にいながらもハヤシは自分の創作にかける時間を重視して
カナとの時間はおざなりになって行きました。
そうした中、喧嘩が絶えなくなっていき、カナはハヤシに暴力で
訴えかけるようになっていきます。
激しい喧嘩の後、部屋を飛び出したカナはマンション外の階段から落ちて
首や足に大けがを負ってしまいました。
しばらくの間、車椅子生活になったカナを献身的に支えるハヤシは
カナをデートに連れ出します。
都庁のビルに昇ったカナは
『こんなところで働きたくないよね』
とつぶやきます。
ハヤシも同調するように、2人で笑ったその瞬間、
カナはハヤシと通じ合えた気がしました。
ところが都庁の外で、ハヤシの元同級生で現在は官僚職に就いているの三重野
という男性と親し気に話し、誇らしげにカナに紹介しました。
さっき笑いあって通じ合ったと思ったのは自分だけだったとショックを受けた
カナはろくに自己紹介などもできずその場を黙ってしのぎます。
怪我も良くなって職場に復帰したカナの元をホンダが待ち伏せていました。
謝罪を繰り返し、カナのことは理解していると豪語し復縁を迫るホンダに対し
『出張中に中絶した』と告白します。
泣き崩れ号泣するホンダの姿を見るとカナは
『変な人』と言って失笑しました。
後日、カナが出勤前にタバコを吸っていると新人が話しかけてきました。
彼女は先日のホンダとカナのやり取りを見ていたと言います。
カナに整形をしているのか?と尋ねたり、カナは追うより追われるタイプだと
いうような会話を交わした後、
カナは突如新人に『バイバイ』と告げ、職場を後にします。
ハヤシにはお客に
『本気で脱毛したいならサロンではなく医療脱毛をしろ』
と言ってクビになったと告げます。
一方で脚本の執筆にばかり没頭するハヤシにくってかかったカナは
ハヤシの脚本を読み上げ『赤ちゃんを育てるニートの男性』の話だと知り
『お前の罪滅ぼしのつもりか』と激高し、例のエコー写真を投げつけました。
『そんなの忘れていたし、カナには関係ない』
と言い訳するハヤシに、今すぐ相手に電話で謝罪しろと激しく言い寄りました。
2人は取っ組み合いになり、ハヤシはカナに
『お前は頭がおかしい。もう無理だ』
と言いますが、その後も2人の生活は続いていきます。
カナは本格的にカウンセリングを受け始め、
頭の中だけでなら何を考えても良いが行動に移してはいけない
とアドバイスされます。
夜空を見上げにベランダに出たカナはふと隣人と顔を合わせます。
この隣人の彼女との会話に初めて癒された気がしました。
以前、同棲中だったホンダがカナのために作っておいた
冷凍のハンバーグをハヤシと食べるカナ。
その最中、中国の実家からビデオ通話が入りました。
『ニーハオ』を繰り返すカナ。
電話が切れた後、ハヤシはカナに会話中に発していた中国語の
『ティンプトン』ってどういう意味かと聞きました。
カナは『わからない』と答えると
2人は顔を見合わせて微笑み合うのでした。
カナがついた3つの嘘の意味
カナは嘘つきだということが制作サイドから示唆されています。
そこで劇中の3つの嘘について語っていきたいと思います。
①浮気を隠す嘘
カナはホンダと同棲しながら、ハヤシとも交際しているという
浮気を繰り返していました。
そのハヤシに会いに行く口実が
冒頭で出て来た友人のイチカだったわけです。
ハヤシから電話が入るとその相手は
『イチカ』だと嘘をつき、『なんか泣いてる』という嘘の状況を作ることで
ホンダの口から
イチカの元へ向かわせることを引き出します。
それと同時にホンダとの同棲の解消を防ぐ目的もある嘘です。
これは、中国に実家があり、ホンダに追い出されてしまうと
帰る居場所がない切実なカナの実状を表しています。
②中絶をしたという嘘
元カレになったホンダが未練を抱えカナに会いに来た際に
『ホンダの出張中に中絶した』という嘘をつきます。
これはハヤシが持っていたエコー写真を見つけてしまったが
ハヤシには言えなかったことで蓄積したモヤモヤをホンダにぶつけたということが
ひとつあるのではないかと思います。
その結果、カナにピルを飲ませていた張本人であるホンダが
自責の念に駆られ泣き崩れるというカナにとっては滑稽な姿に
失笑が起こります。
しかしながらカナが発したホンダに対する『変な人』という言葉は、
自己愛も強いとはいえ、中絶したカナへの謝罪を繰り返し
うなだれるホンダに対するカナなりの容認の意味も込められていたのでは
ないでしょうか。
一方で中絶をめぐってハヤシとも口論になるカナですが、
ここでの真の論題は、妊娠という状況においてハヤシより弱い立場である
彼女に対し、自身を重ねた故の激高であると思うのです。
カナがハヤシの両親や友人とのバーベキューの中で思い知ったのは
自分とハヤシとの格差なのです。
そんな高学歴で裕福な家庭に育ち両親の愛情に包まれるハヤシと
その全てを持さないカナとの間にできている無意識の見下しと溝という現実。
思えばエコー写真をハヤシに預けたということは彼女は産みたかったのか
それともそれを証拠としたのかもしれません。
いずれにしてもハヤシの優位な立場が見え隠れしているととることもできます。
そしてハヤシ曰く相談して決めた中絶だとしているけれど。
それでもこのことに関しては心も身体も傷つく割合は圧倒的に
女性の方が多いであろうことと、忘れたくても忘れられない痛みになる
ことは必至なのです。
その痛みをとっくに忘れ去り、未来にハヤシとの間に懐妊の可能性がある
カナには関係ないと放ったハヤシの一言は受け入れられるものでは
なかったのかもしれません。
③クビになった理由の嘘
カナは出勤前の新人との会話をした後、
職場へは向かわずそのまま退職してしまったようでした。
ですが、ハヤシにはクビになったと言います。
そしてその理由は顧客に対して
『本気で脱毛をしたいならサロンではなく医療脱毛へ行け』
と言ったからだと。
サロンではその場しのぎの脱毛しかできない。
そのような事実は今の時代にはネットで検索すればいくらでも
調べられるのです。
それを大金を払うのにも関わらず、ろくに調べもせずに、
手近なサロンへやってくる。
そんな人は裕福で能天気な余裕に満ちた人に違いない
という見方をしているのかもしれません。
そしてそれはカナにとってはハヤシのような人たちであるわけです。
『ナミビアの砂漠』考察と感想
鑑賞中に生じた違和感の一つに
主演の河合優実が脱いでいるシーンは必要だったのか?
と疑問に思いました。
しかし見終わった後、あれは河合優実が演じたカナが
砂漠の野生動物のようであるという演出だったのだと感じたのです。
ともすれば、服などという余計なものはカナにとって重しになることでしかなく、
ナミビアの砂漠に作られた水飲み場に
渇きを癒しに訪れる野生動物のように衝動的で
その目的は夢や希望などではなくまさに『生きるため』であるという
理解にたどり着きます。
動物たちは基本的には自身が生きるために、食べるためにしか生き物を殺傷しないと言われています。
そんなところからも、カナにとって人の都合で命を絶やすことが至極身勝手な行為として
激高に値するのかもしれません。
(中絶という行為を否定する意図はありません)
カナの父親については多くは語られていませんが
少なくとも関係が悪く、大切にはされなかったことが伺えます。
そんなカナはホンダやハヤシに家族のように
踏み込んでくれる愛情を欲していたのではないでしょうか。
ホンダは最後までカナと本気でぶつかり合うことを避けました。
しかしハヤシはラストで自分には理解できなかった中国語の意味を
カナに尋ねるのです。
それは常に見下されている存在だと感じているカナにとって
興味や理解を求める言動であり、
初めてカナが優位に立った瞬間であると言えるでしょう。
カナはその言葉の意味の通り『わからない』と教えて
喜びの笑みを浮かべたのだと思います。
一方でハヤシはその『わからない』をカナも理解していないという意味に
受け取って微笑みました。
まだ若干のずれがある2人ではありますが、
何よりハヤシがカナの人生に興味を示し踏み込んできたことにこそ意味があるわけで、
それはカナの渇きを癒すナミビアの砂漠の水飲み場が見つかった
と言えるハッピーエンドなのかもしれませんね。
『少子化と貧困で日本はもう終わるので、今後の目標は生存です』
というセリフが何気に一番恐怖だった一作ですwww