『人間標本』真犯人は誰?/ラストの意味と至の不可解な行動の謎に迫る

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イヤミスの女王と称される湊かなえ氏の同名小説を
西島秀俊主演で実写化した
『人間標本』Amazonprimeビデオで独占配信中となっています。

本作も期待を裏切ることなく、かなりのえぐさの
イヤミスっぷりを発揮しています。

果たして真犯人の正体とは?
さらにラストの意味と至の不可解な行動のに迫ります。

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『人間標本』あらすじ

長野県の山奥で6人の少年の遺体が発見される。
しかしその事件の異様さは、その少年たちがまるで標本のような
姿で飾られて発見されたことにあった。

ところが世間を驚愕させた猟奇殺人事件の犯人はあっさりと
逮捕されることとなる。

標本にされた少年の一人、榊至の父親であり蝶の研究者であった
榊史朗が自ら交番に出向き『私の作品だ』と名乗り出たのだった・・・。

キャスト
西島秀俊、市川染五郎、荒木飛羽、山中柔太朗、黒崎煌代、松本怜生、
秋谷郁甫、伊東蒼、市川実和子、河合青葉、村上淳、宮沢りえ
 他

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以下、結末までのネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。

本記事の情報は2025年12月時点のものです。
最新の情報は各サイトにてご確認くださいませ。

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『人間標本』真犯人は誰か?

取り調べを受ける史朗は、親の子殺しという驚愕の犯行について
刑事に対し淡々と語りはじめました。

自身が手に掛けた5人の少年、そして我が子までもが
蝶に見えた
のだと・・・。

芸術を極めるための殺害、標本にするという異様な犯行は理解しがたいものであり、
史朗は猟奇的な犯罪者とされ、彼自身もまた極刑を望んだのでした。

史朗は6人の少年たちをそれぞれ異なる蝶に見立てたのだと言います。

そんな6羽の蝶の観察記録の手記を披露する史朗でしたが、
実際はその著者は史朗ではなく息子の至でした。

息子の罪

史朗が書いたものと思われた手記は実際は、至のパソコンを盗み見てしまった
際に目にした少年たちの標本の画像と研究を記したレポ―トだったのです。

さらに至の次のターゲットが幼馴染の留美の娘・杏奈であることを知った史朗は
至を手に掛け、5人の少年たちと同様に蝶に見立てた標本にし、
至の罪を自身の罪として罰を受けようと決めたのでした。

至が書いた自由研究『人間標本』のレポート、
その結末は史朗に対する謝罪で締められていました。

史朗は愛する息子は狂った殺人犯ではないことを証明するために
殺める決意をしました。

そしてかつて至と行った台湾旅行で飲んだ楽しい思い出を象徴するパイナップルのお酒
また至が20歳を超えたら一緒に飲もうと約束していたお酒を
最後の息子への贈り物としました。

しかしあの頃と違うのはそこに睡眠薬の味が加わったことでした。
パイナップルのお酒に喜び飲み干した至が眠りについたのを見届けた
史朗は、薬物を投与して愛する者の命を奪い、標本にしました。

そうして息子の罪を隠し、その罰を自身で受けとめるために
至の自由研究を自身の手記に書き換え自首をした史朗でした。

しかしその史朗の元に杏奈が訪れたことで新たな真実が
浮かび上がったのでした。

実行犯と黒幕の存在

杏奈は至は最初から留美の後継者候補ではなかったと言います。

そして杏奈自身が行った5人の少年に睡眠薬を飲ませ、薬と注射して命を奪った
経緯を語り始めました。

しかしいざ彼らを解体している最中、手こずっているところへ
至がやって来てしまった
と・・・。

何が起こっているのかと混乱し、怪訝な表情をする史朗でしたが、
杏奈の語りから、この一連の事件の実行犯が至ではなく目の前に居る
杏奈自身
であったことを理解し驚愕します。

何故、杏奈はそんなことをするのか?
それは本当は自分こそが留美の後継者になることを望み、
その唯一の手段が留美の望む『人間標本』を完成させること
だったからです。

しかし留美は人間標本をただ作らせたわけではありませんでした。
何よりその芸術を史朗にプレゼントするまでが
留美の最後の望だったのです。

しかし留美の体調と後継者にしてもらう約束を案じた杏奈は
史朗へ作品を見せることを後回しにし、母の元へ駆け付けたのです。

そんな娘の行動に幻滅した留美は
「役立たずの失敗作」と罵り、愛情も約束も受け継がせることなく
息を引き取ったのだと言います。

「私の罪を問いますか?」
と問いかける杏奈に、史朗は
「人間に戻りなさい」
と忠告するのが精いっぱいでした。

至は狂った殺人者ではなく、真犯人は杏奈でした。
そして杏奈の裏に居る黒幕は他でもない留美だったのです。

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ラストの意味と至の不可解な行動の謎に迫る

史朗は杏奈の罪を問うことはありませんでした。

しかし杏奈との面会を終えて自室へ戻る途中で
その心は耐えられなくなり、至への思いが溢れて慟哭しながら
崩れ落ちる
というラストを迎えました。

人間のままで標本になること

史朗の慟哭に込められた意味。

それはもちろん真実を知ろうとせずに愛する者を手に掛けてしまった
悔やみ、そして息子を信じ切ることができなかった後悔が大きいのでしょう。

しかし、最も史朗の心を貫いたのは、おそらく至は史朗自身に殺されることを
覚悟し、受け入れながらあのパイナップルのお酒を飲んだ
という彼の心情を
思ってのことでした。

2人の楽しい思い出の飲みものを残酷に汚し
罪を実行しようとする父をどんな思いで受け止めたのか?

至は最後に史朗に見せた蝶の王国を描いた絵の中に、
父へのメッセージをしたためていました。

自分は人ではなくなってしまった。
だから父の手で殺して欲しい・・・
という悲しい願い。

その思いをインクで隠し史朗に見せた至は
本当は父の自身への愛に懸けたのかもしれません。

違う道へ導いてくれる未来が存在することを心の片隅では願って・・・。

史朗の実行を察知し涙が溢れてくるのは
見ることができなかった未来へのしずく。

とはいえ至にとって史朗に殺められ人間のままで標本にされることは
せめてもの浄化でもあったのでしょう。

そのために至は、さも次のターゲットに杏奈を設定しているというミスリード
仕掛けたのです。

さらに至が自分を毒を持つ蝶に例えて浄化の選択へ誘導した心情を
想像した史朗の心が引き裂かれるのは必然だったのかもしれません。

杏奈を助けた理由

留美の合宿の参加者の中でただ一人純粋に芸術と向き合っていた
至が、杏奈を助けることになったのはほんの偶然の不運だったのです。

芸術に真摯に向き合うためにむかったその場所にはすでに
合宿の参加者を手に掛けていた杏奈の姿
があったからです。

それは杏奈にとってもう後戻りが出来ないことを意味していました。
蝶のような色覚を持つ魔術師の母の元に居ながら、
才能を受け告げず、後継者候補にも含まれない杏奈の痛々しい姿。

持たない者の苦悩と言うならばそれは至にとって自身の姿に
映ったのかもしれません。

そればかりか杏奈に鬼畜の所業を行わせているのは他でもない母親なのです。

そんな地獄から杏奈を救い出してあげられることはできないのか?
自身が罪を背負うことを厭わず自己犠牲の道を選んでしまった至は
愛情を注がれ続けた故の優しく真っすぐな心の持ち主だったのです。


至のその優しさは殺されてしまった仲間たちにも目を向けられたのでしょう。
時を戻してあげることが叶わないのならばせめて美しい形で弔ってあげたい
思ったのではないでしょうか。

至は杏奈にも少年たちにも手を差し伸べたのです。

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『人間標本』感想

この負の連鎖とも言える残酷な結末は、元をたどれば
史朗の父親・一朗と留美の母親・佐和子の一件から受け継がれてしまった
と考えるべきなのかもしれません。

同級生で友人でもあった一朗と佐和子でしたが、
佐和子が病に倒れた際、一朗に依頼した肖像画が事の発端になったのでしょう。

一朗は佐和子の現在の姿ではなく、
最も美しかった過去の佐和子の姿を描きました。

佐和子はこれに喜びの感情を見せますが幼少の留美は
嫉妬心から憎まれ口をたたいてみせていました。

それと同時に史朗が作成した本物の蝶が標本された蝶の王国の絵画を
欲した留美。

最も美しい姿を描かれた母への嫉妬も、
美しい作品を見た感嘆も、自身が持つギフトも
留美にとっては狂気へと導かれる材料となってしまったのかもしれません。

最初に「人間標本を創りたい」と公言した一朗が
元凶であり、どこかで史朗自身も一朗のそんな思想を頭では理解してしまった
から、至が人間標本を創ったという証拠をもって信じてしまったのです。

本来ならば本人から話を聞くだけでその誤解は解けたに違いないのです。

また本作でただ一人、類まれなる才能を受け継がなかった代わりに
狂気的な思想も受け継がなかった至だけが
人間標本を創る手伝いをしてしまった自分を
人間ではなくなってしまったのだと心からの卑下を自身に課し、
自分を守るべく擬態する蝶とは正反対の擬態を自身に施したのではないでしょうか。

罪を至と史朗に背負わせることで逃げ切った杏奈は
奇しくも罪を犯すことで蝶の色覚を覚醒させました。

それでも、自身を守るためだけに擬態をした杏奈
待ち受けるのは留美と同じ未来なのかもしれません。

恐くて美しく悲しみの果てに最高に嫌~な後味が待ち受ける一作です。

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