映画『でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男』結末を解説/母親の動機とは?

邦画
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実際に起きた事件をモチーフに製作されたという映画
『でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男』

衝撃の結末を簡潔に解説しています。
また視聴者が驚愕する律子の行動の裏に隠された動機に迫ります。

※実話に基づいているという作品ではありますが、実際の事件について述べている
のではなく、あくまで物語としてとらえた上での個人的な解釈になります。

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『でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男』あらすじ

希望が丘小学校4年3組の担任教師である薮下誠一は、
家庭訪問を終え帰宅したところ、
受け持つ生徒の氷室拓翔の母・律子からの着信を受ける。

今日の17時からの家庭訪問に備えて仕事を休んで待っていると言う。

薮下は律子の申し出で日時を変更済みたと返答したが、
そんな覚えはないと否定され、今から実施して欲しいという。

仕方なく氷室家へ向かった薮下が到着する頃には午後の20時を過ぎていた。
土砂降りの中訪れた薮下を家の中に招き入れた律子は
自身のルーツがアメリカであることや、拓翔がADHDを患っている
ことなどを語り出し、それ面談は午後11頃までに及んだ。

それから3週間程経過したある日、学校に氷室夫妻が訪れ
家庭訪問時の薮下がとった無礼な言動の数々、
そしてその日を境に拓翔が体罰を受けていることへの
抗議を申し立てたのだった・・・。

キャスト
綾野剛、柴咲コウ、亀梨和也、大倉孝二、小澤征悦、高嶋政宏、迫田孝也、
安藤玉恵、美村里江、峯村リエ、木村文乃、光石研、北村一輝、小林薫
 他

Renta!で配信中の原作漫画『でっちあげ』も必読です!

以下、結末までのネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。

本記事の情報は2026年1月時点のものです。
最新の配信状況などの詳細は各サイトにてご確認くださいませ。

『でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男』結末を解説

律子らが主張したのは、薮下が家庭訪問時に彼女の祖父がアメリカ人であること
を引き合いに血が汚れていると罵倒し、差別発言を繰り返したということ。

そしてそれ以降、拓翔には、10カウントと呼ばれる帰り支度の時間制限が設けられ、
間に合わなかった場合、ランドセルはゴミ箱行きになり、
拓翔自身は「うさぎ」「ピノキオ」と称される体罰を受けていると言うのです。

最初こそ薮下は事実と違うことを主張するも、
両親の怒りを丸くおさめるため、そして何より担任を続けるためだという
校長と教頭の説得に流され謝罪をしてしまったのです。

しかし氷室夫妻はこれに納得することなく、
薮下は拓翔に自殺を強要し、実際に拓翔は自ら飛び降りようとしていた
と言います。

そして度重なる体罰やいじめによって拓翔はPTSDを発症してしまったと
責め立てました。

薮下にとってこのことは寝耳に水状態であるものの、
潔白を証明する材料も人材もおらず、沈静化するための自白と謝罪に
徹してしまいます。

その結果、マスコミは教師としては初めていじめの加害者である旨を
認めた張本人として薮下の実名報道に踏み切ったのです。

途端に薮下は「殺人教師」と呼ばれるようになり、
家の前は嫌がらせの言葉や取材班で溢れかえってしまうのでした。

この騒動に教育委員会も動き出し薮下は6か月の停職処分を受けることになりました。

しかし事態はこれにとどまらず、氷室夫妻は550人という大弁護団を引き連れて
薮下を相手取り訴訟を起こしたのです。

そこまできてようやく薮下は差別発言も体罰も、ましてやいじめなど
行っていないと一切の容疑を否認する姿勢に転じたのです。

ところが悪名高い有名人となった薮下の潔白を証明してくれる
弁護士はなかなか見つかりませんでした。

薮下の希望となったのは潔白を証明できる唯一の生徒の存在でした。
拓翔を叩いたとされる日、現場に居合わせた山添純也
証言を依頼しますが、純也の母親は律子との関わりを恐れ、
首を縦にふることはありませんでした。

しかしようやく好機が訪れます。
純也の母親は、息子が薮下は拓翔にいじめられていた自分を助けてくれた
と感謝していると言い、ある情報を知らせてくれたのです。

それは律子の祖父にも他の家族にもアメリカ人は居ない
という事実でした。

薮下の弁護を引き受けてくれた湯上谷年雄により戸籍において
その事実は証明され、律子の虚偽が発覚したのを境に
おおよそ薮下に寄り添う判決が下されたのです。

差別発言やいじめの問題などは容認されず、
一部の体罰のみが認定される決着となりました。

もちろん氷室夫妻はこの判決を不服に思うも、
全面否定を主張している薮下と争うのを止め、
薮下の罪を認め、処分を下した市を相手どり、
賠償金を手にするに至りました。

それから10年の月日が絶ち、薮下の息子の勇気
教師になるための教育実習を目前に控えていました。

そんな勇気からの教師の先輩としてアドバイスをくれ!という
メッセージを眺めつつ、
今日も空から見守り続けてくれる妻と挨拶を交わし、
出勤する薮下でした。

そんな薮下の元に、この10年間完璧な潔白を勝ち取るために働きかけていた
湯上谷が、教育委員会が薮下に対する処分を取り消したという朗報を持って
現れたのでした・・・。

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母親の動機とは?

裁判の結果は550人という大規模な弁護団を引き連れて
戦いに挑んだ氷室夫妻の主張は9割型が却下され
それは律子と拓翔のでっちあげを意味していました。

母親・律子がここまでの騒ぎをもってして薮下を追い詰めた動機
とは何だったのでしょうか?

始まりは小さな嘘だった

驚きの真実が判明した直後、物語は、
律子が薮下を敵対視し罠にはめようと決意した瞬間
の場面が映し出されます。

それは帰宅して会話する拓翔と問い詰める律子のシーンでした。

どうして言ったことが出来ないのか?
と拓翔に詰め寄る律子。

実は拓翔の手に鉛筆と消しゴムという文字を書き込んでいたのです。
しかし拓翔はそれを忘れて帰宅してしまいました。

普段から律子の権幕を恐れていた様子の拓翔は
咄嗟に、薮下に捨てられた嘘をついてしまいます。

教師がそんなことをするなんて信じがたいといった表情の律子が
目にしたのは家庭訪問の案内でした。

この時、薮下に対する怒りとその報いを受けさせようという
決意が沸き上がったものと思われます。

理想の人生に必要な条件

律子は薮下がとった拓翔への行動を通じて、
自分自身が侮辱されたと同様の感情に至ったのではないかと思いました。

その思い込みには律子がこれまでずっと抱えていた
劣等感やコンプレックスが根底にあるのではないでしょうか。

幼少のころ母親はめったに帰宅することはなく、お腹を空かせて震えながら
帰りを待つ律子の姿がありました。
しかしその時はそこまで自分を卑下してなかったのかもしれません。

同級生の輝きを見るまでは・・・。

同じ教室に発音の良い英語を流暢に話す同じクラスの同じ年齢の
女子でありながら自分とはまるで住む世界が違う
ような彼女に
衝撃と劣等感を感じずにはいられなかったのでしょう。

律子が自身の人生に納得も満足にも至らないのは
理想を与えられていないからであり、いわゆる「親ガチャ」に外れたのだと
誤信したからなのではないでしょうか。

同級生の彼女にはアメリカ人の祖父が存在したのかもしれません。
彼女の輝かしい人生はアメリカ人の祖父から始まっている。
だから英語を難なく使いこなし、ここではない世界も知っている

自分にも彼女と同じアメリカのルーツがあれば・・・

律子は彼女の人生に理想を発見し、それを欲するあまり彼女の生い立ちを
自身の人生だと思い込み
その世界に自らを投影させたのではないでしょうか。

嘘で塗り固めた世界が生みだしたもの

もしも消しゴムや鉛筆が教師や他の誰かに奪われたという事実が
あったとしてもそれは本来律子に向けられたものではないのです。

しかし律子はそれをアメリカのルーツを持つ
拓翔に向けられた嫌がらせ
だという被害妄想
にかられてしまいます。

なぜならば、律子自身、(恐らく)アメリカのルーツをもつ
同級生を見た時、衝撃や劣等感、そしてなにより羨ましいという
妬みに似た感情が生まれたことを自覚しているからではないでしょうか。

それから律子は理想を自身のものにして虚構の世界を作り上げます。

しかし現実は純粋な日本人であり飛び級もしていなければ
アメリカへも降り立ったことはなく、現実味のないその世界の中で
律子の心に生まれた虚無感や虚しさはやがて他者への疑心暗鬼の念
を膨らませる
に至ったのではないかと思いました。

精神的に治療をしなくてはならなかったのは
拓翔ではなく拓翔の代理でPTSDの診察を請け負った律子の方
だったのではないでしょうか。

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『でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男』感想

本作は信じがたい悲劇であると同時に
決して他人事ではない真実味のある恐も存在していました。

こんなに大事ではないけれど筆者もことなかれ主義が裏目に出て
でっちあげの被害者になってしまった経験があります。

それを思えば自身を守るために戦わないことが
どれだけの損害を自身にもたらすのかを身をもって
体験しました。

そうして失ったものは生涯もう二度と取り返すことは
できないと思います。

だからこそ些細なことだったとしても
そこに誤解が生じているならば、それを甘んじて受け入れることは
とんでもない過ちなのだと思いました。

発端は些細なことだとしてもそれが幸せな人生を崩壊させる暴挙となり得る
のかもしれないと思うと怖いですよね。

そして律子のように疑心暗鬼に陥って本当に傷つけられる前に
相手を攻撃してくるような感情は厄介です。

もしも律子のありのままを受け入れてくれる存在があったら
もしくは結果は違ったのかもしれません。

深読みの推察ではありますが、律子の夫のあからさまに日焼けしている顔(笑)、
気になりませんでしたか?


間接照明に囲まれた薄暗い部屋に一人で過ごす律子とは対照的に、
夫は常々陽の光の元に居る・・・という示唆なのかな?
と感じました。

休日には仲間とゴルフに出かけたり、愛人とリゾート地へのバカンスへ
繰り出したり・・・。

思えば薮下が家庭訪問で滞在していた夜の11時頃になっても
夫の姿が見当たらないという描写が
冷めきった夫婦関係を表していたのかもしれません。

そして自分に関心のない夫の姿もまた
律子の劣等感を促進させたのではないでしょうか。

ほんの些細な嘘はどんどん暴挙化してついには一人の
人生を変えてしまう悲劇とまでなってしまいました。

やっとすべての疑いが晴れたラストを見ても
視聴者の気分が晴れないことが
全ての答えなのでしょう。

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