【ネタバレ考察】映画『爆弾』タゴサクが語る“みのり”は真実か創作か?

邦画

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呉勝浩氏の同名ベストセラー小説を
山田裕貴の主演と佐藤二朗の怪演で魅せる
『爆弾』

なかでも佐藤二朗扮するタゴサク寛一郎扮する伊勢刑事にした
みのりの話は嘘か真実か?
鑑賞者の謎が深まりました。

そこで本記事ではタゴサクが語るみのりの話は何だったのか?
果たしてみのりは存在するのか?
そもそもタゴサクは何がしたかったのか?
気になる謎を推察しています。

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映画『爆弾』あらすじ

泥酔の末、自動販売機を蹴って損壊し、それを制止させるために
接触した店主に暴行を加えて逮捕され野方署に連行された一人の男。

彼は取調室で本名を『スズキタゴサク』であると名乗る。

偽名を名乗っているのではないか?と疑いながら
聴取にあたるのは等々力刑事。

等々力は店主に10万ほど包めば穏便にすまされるのではないか?
とタゴサクにアドバイスする。

しかしタゴサクはそんなお金は払えない。
その代わりに自身の霊感が事前に事件を予知し、
警察の助けになるから、それをもって勘弁して欲しいと哀願する。

話半分に対応する等々力に、

今日の午後10時頃に秋葉原近辺で、何かが起きる気がします・・・

と言ったタゴサクの予言通り、10時を迎えた秋葉原で爆発が起こる。

更にタゴサクはまだあと3回、爆発が起こると告げるのだった・・・。

キャスト
山田裕貴、佐藤二朗、染谷将太、伊藤沙莉、坂東龍汰、寛一郎、片岡千之助、
中田青渚、正名僕蔵、加藤雅也、夏川結衣、渡部篤郎 

以下、結末までのネタバレを含みます。
未視聴の方はご視聴後、再来訪をお待ちしています( ´艸`)

本記事の情報は2026年4月時点のものです。
最新の情報は各サイトにてご確認くださいませ。

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映画『爆弾』スズキが語る“みのり”は真実か創作か?

事情聴取の最中、伊勢勇気刑事(寛一郎)と2人きりになった時に話した
「みのりの話」。

それは真実なのか創作なのか?

みのりは存在しない?!が・・・

前提として個人的にはこの「みのりの話」はタゴサクの創作であり、
みのりという人物は存在しないのでしょう。

しかし同時にその中に潜む真実と目的も存在したと思うのです。

それでは何故タゴサクは創作話を伊勢に持ち掛けたのか?

伊勢がタゴサクと「友達になれる人物か」
どうかを探る賭け
をしたのではないでしょうか。

創作話の中のみのりという人物は存在しないが、
タゴサク自身が、これまでに何等かの冤罪を経験しているというのは
真実なのかもしれません。

しかし伊勢は、みのりの事件で冤罪になって辛い思いをしたというタゴサクに対し、
ストーカーだと一喝します。

つまりは伊勢自体にタゴサクの痛みを理解することは出来ず、
いうなれば冤罪を生む側だと察知したのです。

そしてタゴサクにとって無能にうつる伊勢がなぜ
この場所に居ることができるのか・・・。

その答えは彼は人の手柄を奪って昇進した卑怯な人間だからなのです。

次に、タゴサクはそれでも伊勢にチャンスを手に入れる賭けを
仕組んだのではないでしょうか。

みのりの話自体は創作であってもタゴサクはその中で
事件の全容についてちらつかせていたのです。

本当の犯人は先生だったということこの事件もタゴサクは冤罪である
そしてみのりには指一本触れていないということ
爆弾を作ったのはタゴサクではない
さらに、どうせ罪を被るならば自分で殺っておけば良かったということ
今回の事件を自分の事件にしてしまおうと思っている

事件の真実を潜ませた、このタゴサクの供述を
もしも伊勢が類家らに報告していれば、
もっと早くに真犯人の存在が明らかになったのでしょう。

もしかしたら爆発のいくつかは回避できたのかもしれません。

しかし伊勢はタゴサクの重大な供述を自身の胸にだけとどめ、
同期の矢吹泰斗に向かわせた結果、矢吹は重症を負ってしまったのです。

そしてその怒りと憎しみをもって取り調べ室に入って来た
矢吹のバディ・倖田沙良もタゴサクへ掴みかかろうとしたところ
を伊勢が制止しそこねたならば何等かの処分を受けることになったでしょう。

自身や矢吹が手柄を挙げるどころか
全てを台無しにしてしまったと言っても過言ではないこの行動。

伊勢はタゴサクとの賭けに惨敗したのだと言えるでしょう。

それを受けて伊勢と「友達になること」は、タゴサクの側から願い下げとなったのです。

騙されていたと憤慨した伊勢が詰め寄った際に、タゴサクが言った
「あなた誰ですか?」
という言葉には伊勢への蔑みの感情があったのです。

みのりの話は実話?!という説

ちなみに個人的には「みのりの話」が真実であった可能性
捨てきれていません。

伊勢は絶対に誰にも話さないだろう
とタゴサクが読んでいたことも容易に考えられるからです。

タゴサクは伊勢が人の手柄を奪って得する卑怯な性根である
という警告を発していました。

そして自身の身元が判明する重大な真実
伊勢にだけ露呈してみせたのです。

伊勢が改心の道を選択したのならば・・・
あるいは伊勢には手柄を奪った矢吹へ、今度は手柄を譲りたいという思惑が
あったのかもしれません。

どちらにせよその供述が多くの国民を救えるかもしれないという
可能性を直視せず、自身の欲(もしくは矢吹への罪悪感)を優先した伊勢は、
またも矢吹を傷つけてしまう結果を招いてしまいました。

入院している矢吹に会うことが出来なかった伊勢は、
文字通り矢吹と友達になれる可能性はおろか、彼に
大けがを負わせた罪悪感と自責の念を背負って
生きていかなければならなくなってしまいました。

たった一言、正義感をもって報告をするだけだったのに・・・

という皮肉で残酷なトラップでした。

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映画『爆弾』タゴサクの動機について

幼少の頃から人の顔色をうかがって生きて来たという
タゴサクは人の奥底にあるものを巧妙に見抜く術と、
人が懸命に抑え込んでいる爆弾を揺るがす話術を備えていました。

そんなタゴサクの動機や目的は何だったのか?

ラストまで謎の多い存在でした。

スズキタゴサクが生まれるまで

それまで饒舌な語り口だったタゴサクが
「散髪に行ったのか?」
という清宮の質問にだけは反応を示すことはありませんでした。

それは明日香の存在を意味するからでした。

ホームレス時代、親切に接した明日香は、
お礼にとタゴサクに帽子をくれたのです。

それをタゴサクは大切にかぶっていました。

しかし明日香との再会は残酷なものでした。
明日香が自身の息子を手に掛けた現場へとタゴサクは導かれたのです。

その意味をタゴサクは自分がゴミのような価値のない人間だから
極刑という重い罪の身代わりに敵している・・・

明日香は息子らの罪を背負って貰うために会いに来たと解釈したのです。

タゴサクは対等な人間として向き合って、人として好意も
もっていたであろう明日香も、他の皆と同様、自身をゴミだと思っていたのだ。

そう悟ったタゴサクは、もう何者でもいいや
という絶望感と共に「スズキタゴサク」を誕生させたのです。

タゴサクの動機

しかし明日香もまた精神科に通っていたことが示唆され、
どこまで理性を保ってタゴサクに何を言ったのか?
という疑念も残ります。

明日香の根底にあったのは夫の不祥事と自殺で被った
あの過酷な日々に戻りたくないという気持ちだったのではないでしょうか。

それ故、やっとスタイリストとなって頑張っている娘の未来を
奪われないために自身が犯罪者になることだけは避けたかったのだと
思います。

だから息子の殺害を隠蔽して欲しい
それが明日香の当初の願いだったのではないでしょうか。

しかし、タゴサクは自身に向けられた明日香の視線に絶望感を抱く
と共に、明日香を不幸にした社会に、野方署に、
憎しみを覚えた
のかもしれません。

だからこそタゴサクを特異な犯罪者として裁く刑事たちの
闇を引き出し、誰にでも爆弾は存在するのだと
示したかったのだと思いました。

勝負は引き分け

どちらにせよ助からない命を奪うボタンを
賞金目当てに押すかどうか・・・という話。

これは起訴されれば極刑がまぬがれないタゴサクの命を奪うボタンを
明日香が自身や家族を守るために押すのかどうか?
に繋がって行くのがやるせなさを倍増させます。

明日香が爆弾を持ってタゴサクを殺しに来るのは、
紛れもなくタゴサクを利用した証でもあるからです。

最後のミッションを彼女が行うかどうか?
タゴサクを葬るそのボタンを明日香が押すかどうか?
本心では思い留まって欲しいと切に願うタゴサクも存在した気がします。

その思いは打ち砕かれあとは犠牲になるだけ・・・
と思ったタゴサクを類家の言葉が引き留めます。

本当は明日香はタゴサクを利用したのではなく、背中を押して欲しかったのでは?
・・・と。

その後のタゴサクの供述は変わることはなく、
洗脳と霊能を突き通します。

しかしこれは保身ではなく、
名前を呼んで認めた類家との再会とゲームを望んでのことなのかもしれません。

一方で類家の方は、その有能さゆえに無意識に周りを見下して
しまうのが常で、タゴサクに対しても同様でした。

しかし蓋を開けてみればそこには、類家が初めて味わう惨敗
自身の無力さ罪悪感・・・そして黒いものも・・・。

それらをぬぐうように洗い流した類家。

この後聞くことになるタゴサクからの
「今回の勝負は引き分け」
という伝言が類家の黒いものをとどまらせることになるのかもしれません。

映画『爆弾』を見て

佐藤二朗さんが演じるだけあって、タゴサクという人物は
最後まで得体が知れず、やべぇ奴という描写でした(笑)。

しかしそんなやべぇ奴の気持ちが理解できるという場面が
多々存在するところが本作の怖い一面なのかもしれません。

恐らく偽名である「スズキタゴサク」という名前は、
誰にも見向きをされない孤独、
尊重されない人生、
そして不平等が身に染みている一人の憐れな男を
あざ笑う全ての人へ向けた
一世一代の抗議の表れだったのかもしれません。

そんな中でタゴサクが話した、みのりのこと。

本当は罪をかぶることなどしたくない。
何もしていないのに向けられる疑いの目。
そんな不条理な世界でひっそり生きることも許されなかった
苦痛の叫びだったのではないでしょうか。

手柄をちらつかせた伊勢の自滅、
同様に自身を見下す立場の刑事たちを相手に、
打ち負かすことで、軽視されてきた人間であるタゴサクという男が
彼らを名もなきプレイヤーとしたゲームのマスターに君臨しているという事実。

それを最後の楽しみに、生きていた証にしたかったのかもしれません。

しかしそうして犠牲になって終わらせる選択をして来たタゴサクを
完全に黒く染めなかったのは奇しくも名前を得たプレイヤー・類家の存在でした。

・・・とそんな風に解釈してみましたが、
ラストでタゴサクも明日香も容疑を否認している姿は
お互いを犯罪者にしないためのチームプレーが成り立っていますし、

爆弾は誰が作り、どこまでがタゴサクの事件なのか?
まだまだ謎は多い物語でした。

身元不明のスズキタゴサクという人・・・
それはあなた自身でもあり、どこにでも潜んでいるということなのかもしれません。

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