ネタバレ考察【アンテベラム】反転する文字と赤い蝶からタイトルの意味を探る

洋画
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『ゲット・アウト』、『アス』のプロデューサーが手掛けた
衝撃のパラドックス・スリラー
【アンテベラム】

タイトルの意味が知りたい!

そんなご要望にお応えします。
この記事では

★タイトルの意味を考察
★本作のテーマ

についてネタバレ考察しています。

筆者は〖あらすじ〗を見て、鑑賞前に本作の仕掛けが
わかってしまいました。

ですので個人的にはネタバレはもちろんのこと、鑑賞前には
感想やあらすじさえ厳禁だと思う一作です。

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最新の配信状況は各サイトにてご確認くださいませ。

以下、作品のネタバレを含みます
未視聴の方はご注意してくださいませ。

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アンテベラムとは?タイトルの意味を考察

【アンテベラム】とは『内戦以前』のこと意味しています。
ことアメリカ合衆国においては『国が築かれてから南北戦争まで』
がこの期間に当たります。

そしてその時代は、黒人が非人間的な扱いを受けることがまかりとおっていた
アメリカの負の時代と言えるでしょう。

ポスターの文字と赤い蝶

👆の【アンテベラム】のポスター(左側画像)を見てみると
気になることが2つ見つかるのではないでしょうか。

1つはタイトル『アンテベラム』の『テ』の文字が反転
していること。

そして

もう1つは女性の口を塞ぐ赤い蝶。

これらは本作を鑑賞するとその答えが垣間見えてきます。

タイトルの『テ』の部分が反転しているのは
本作の劇中で時系列が現在⇒過去へと反対に進んでいる
ことを表していたのでしょう。

そして赤い蝶の意味するもの。

それは『変身』や『自由』などの象徴である蝶が
赤く、まるで血を流しているような描写です。

堂々と公然の場で意見を言えるようになった現代。
活動家として活躍するヴェロニカの口を塞ぎ、彼女の自由が再び奪われた
ことの示唆なのではないでしょうか。

本作の仕掛とは

つまり本作に仕掛けられたトリックとはどのようなものだったのでしょうか。

本来の時間軸は
①夫と娘との幸せな暮らしを送る傍ら、活動家としてTV出演している。
そんな中、『X』という人物から『帰郷を祝した』花束が贈られる。
オンラインで取材を申し込む女性が言葉の端々に失礼な皮肉を織り交ぜる。

②友人たちとの食事会後、帰宅の途につくためタクシーに乗り込む
運転手はあのオンライン取材時に失礼な言動を繰り返す女性だった。
そしてヴェロニカはそのまま拉致される。

③許しがなく言葉を発することは許されず、過酷な生活を強いられる。
仲間の脱走を手助けしたことで焼印を押されながらも〖エデン〗と名乗る。

ジュリアという妊婦の女性が新たに連れて来られる。
彼女は自分の置かれた状況にひどく動揺しその存在を認識している
ヴェロニカを頼るが力になれないヴェロニカ。

⑤非道な扱いを受け、そのせいで流産してしまったジュリアは自ら命を絶つ。
そのことはヴェロニカを奮い立たせ復讐の鬼と化し、脱出を成功させる。

という流れになります。

【アンテベラム】のテーマとは

ヴェロニカと友人サラの間で交わされる言葉⇩

過去は決して死なない。過ぎ去りさえしないのだ。

ウィリアム・フォークナー著『尼僧への鎮魂歌』より

印象的な一説です。
どんな意図のある台詞なのでしょう。

物語の序盤で、黒人に対する、非人道的な扱いを多々見せつけられた
視聴者は、

〖昔はこんなにもひどいことが行われていたのか〗

と心が傷んだのではないでしょうか。

しかし本作の仕掛けが露呈すると一転、
それまでの映像が現在のものだと判明し、
傷みは恐怖へ変わります。

そして決定的な
マザーズ上院議員の一言が・・・。

我々は何処にでもいる

これが台詞にもあった過去は過ぎ去ることさえないということ。

この過去だと見せかけて、それは現在進行形であるという描写は、
現在も、たった今も、このような何等かの差別主義者は
無数に存在していて、辛い目にあっている人は大勢いる
ということを浮かび上がらせているのです。

黒幕の正体と目的とは

ヴェロニカを誘拐し、ルイジアナ州の南北戦争再現公園
連れて来た人物・・・

それはこの南北戦争再現公園を所有しているブレイク上院議員の娘
エリザベスでした。

彼女はヴェロニカにリモート取材を申し込んだ女性です。

父親の議員は白人至上主義で今もなお
差別的な思想を強く抱いている持ち主です。

そんな父親をもつエリザベスもまた
その思想が根強いのです。

それ故、黒人女性でありながら、自分の立場をしっかりと主張し、
活動家としてその発言が多くの人に支持されるサマは
気に入らなかったのです。

ヴェロニカを『黙らせる』ためにこの計画を画策
したのです。

いちばん恐ろしいこと

エリザベスにはヴェロニカの娘と同年代の娘がいます。

しかしエリザベスの娘は、黒人のような人形を首のところで括りつけ
引きずりまわしたり、大人のヴェロニカに向かって、
『勝手に言葉を発してはいけない』
と忠告したりします。

白人至上主義の思想が強い家庭で育てられ、生まれながらにそのことを当然のこととして
認識しているエリザベスの娘にとって、
ヴェロニカに対するそれらの行動は罪悪感のない行為。

ブレイクやエリザベスを倒したヴェロニカでしたが、
これで終わったのではなく、ここからもエリザベスの娘から
その子供へと、そんな思想は引き継がれていく未来
あるのかもしれない・・・。

そんな終わることのないアンテベラムに警笛を鳴らしている
のではないでしょうか。

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