映画『君の顔では泣けない』ネタバレレビュー/ラスト解釈と15年の意味

邦画

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君嶋彼方氏のデビュー作を芳根京子高橋海人のW主演で
実写化した『君の顔では泣けない』

視聴した感想・レビューです。
また
ラストの解釈は?
15年という時が意味するものなど・・・

気になる謎も推察しています。

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『君の顔では泣けない』あらすじ

高校1年生の夏。
坂平陸は学校でふざけていてプールに落ちた際、
クラスメイトの水村まなみを巻き添えにしてしまう。

しかしその翌日、2人の身体は入れ替わってしまった。

2人は戸惑いながらも必ず元に戻ることを信じ、周囲には秘密のまま、
新たなお互いの家族や友人との生活を送ることになる。

だがそれから15年後・・・
2人の身体は一度も元通りにならないまま現在に至っていた・・・。

キャスト
芳根京子、高橋海人、中沢元紀、前原滉、林裕太、赤堀雅秋、山中崇、
石川瑠華、ふせえり、前野朋哉、片岡礼子、大塚寧々
 他

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以下、結末までのネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。

本記事の情報は2026年2月時点のものです。
最新の情報は各サイトにてご確認ください。

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『君の顔では泣けない』ネタバレレビュー

高校1年生の夏に身体が入れ替わってしまったまなみという
難役をアイドルグループKing&Princeの高橋海人と「累ーかさねー」などの芳根京子
が演じています。

突然、違う人の身体に変わってしまった
という事件に戸惑うことしかできずに
お互いの家族との生活を決行する他はありませんでした。

それでも両親にとっては息子や娘の「顔」こそが
子どもである証であり、疑念を抱かれることはありません。

しかし陸やまなみ自身は本当の両親が違和感なく他人を家族として
接する姿に複雑な思いを抱いてしまいます。

そんな陸とまなみは互いに交換日記のやりとりをしながら
互いの情報を共有し合い支え合うことで、どうにか日々を過ごしていました。

元に戻らないまま高校卒業後はお互い東京で就職し、
姿がまなみの陸(以下と記載)は恋人もつくる一方で、
姿が陸のまなみ(以下まなみと記載)は特定の人と恋愛をする
ことはありませんでした。

まなみの突然の遊び人化に視聴者は疑問を抱かずにはいられませんが
その裏には彼女の葛藤や苦悩が隠されていたことを
まだ知る由もありませんでした。

元に戻らない2人は1年に1度の同じ日に喫茶店『異邦人』
での密会を経て近況の報告と激励を重ねる約束をしました。

陸とまなみの絆が強化されていった頃、
家族の訃報が2人を引き裂いていきます。

本当の家族との別れ

ある日、陸の元にまなみから涙声で着信があり言うのです。

お父さんが亡くなった

それは陸にとって血が繋がった家族との別れでした。

陸が駆け付けると今にも倒れ込みそうな実母を支えていたのは
まなみでした。

しかし15年間離れて暮らしてきた陸は
父親の顔を明確に思い出せないという葛藤、
実の母親に力になりたいと話かけるも冷たく拒絶されて
しまう絶望感にさいなまれたのです。

それどころかまなみの顔では悲しみにくれ号泣することさえも
違和感を生んでしまう現実がありました。

もう真実を実の家族に話したい

陸はまなみにそう打ち明けますが、まなみは信じてもらえるはずがない
と諭すように説得します。

そんなまなみに陸は思わず口走ってしまうのです。

俺の顔で情けなく泣くな

・・・と。

まなみの顔のままでは例え実の父親の別れに直面しても
泣くことさえ許されない憤りの表れだったのでしょう。

しかし2人は口論となり2人は今までで最も困難を迎えたこの時に
支え合うことは出来ませんでした。

『自分』という定義

それから時が経過し30歳になった夏、
結局、一度も元に戻ることは叶わず、
陸とまなみは異邦人で約束を果たしました。

ところが毎年の設定とは異なる日に呼び出したまなみは言います。

戻れる方法がわかったかもしれない

それはたった一度、今日限定の方法なのだと。

瞳を輝かせて意気揚々と語るまなみとは裏腹に、
陸はどこか歯切れが悪い様子でした。

今もなお本当の自分の人生を生きることを願うまなみ
他人の人生が自分のものになりつつある陸とでは、
元に戻りたい熱量に温度差が生じてしまっていたのでしょう。

そうして

戻りたくない

という決意を発する陸を前にまなみはうなずくしかありませんでした。

痛みの軌跡

まなみは陸と別れて歩いて帰路につきながら
大学進学前に撮影した動画を陸に送信しました。

それはまなみが望む東京での進学を受け入れてくれた
陸に対する励ましの動画
でした。

大学生になったであろう陸にむけて
きっといつか元にもどれるから大丈夫
だと励ましていたのです。

まなみはそれを見てふと気づいたのではないでしょうか。

まなみは陸の家族と溶け込んで暮らしているように見えた。
実の家族の陸には叶わない涙を流すまなみに
意地悪なことも言ってしまった。

しかし本当は・・・

まなみは心の底から自分の身体に戻ることを願い苦しんでいた
けれどもその気持ちを陸に打ち明けることなく
同じ苦しみを抱えているであろう陸を励まし支え続けてくれていたのです。

陸には今、自分でつくった家族の存在がある。
だからその幸せを手放せずに、戻りたくないと思った。

でもまなみはどうだろうか。
決して陸の人生を生きることがたやすかったわけではなかった。
特定の恋人を作らないのも気楽な人生を謳歌していたからでもなかった。

その裏にはもしかしたら陸よりもっと切実な苦しみと戻りたい
という叶わない願いを捨てられない絶望感に
押しつぶされてきたのではないだろうか。

その動画は陸を元気づけていると同時に、まなみ自身に
言い聞かせていたのです。

きっと大丈夫だから負けないで
・・・と。

陸は車を走らせまなみに追いつくと、
戻りたいのか戻りたくないのかわからなくなったから、

流れにまかせる

と言いました。

戻ったら戻ったで、もしも戻らなくても構わない・・・と。

そうして2人は夜のプールに飛び込むのでした。

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ラスト解釈と15年の意味

陸とまなみは元に戻れたのか?戻れなかったのか?

それは視聴者の望に委ねるという結末になりました。

戻ったのか?戻れなかったのか?

ラストシーンの舞台は異邦人でした。

先に来ていたのは姿が陸の人。
遅れてきた姿がまなみの人も椅子に腰かけしばらく見つめ合います。

するとまなみの方がクスッと笑い出し、
それにつられて陸も笑う姿が映し出され幕が閉じました。

本作が戻るか戻らないかよりも戻らなかった15年の時
を描いている以上、ラストの描写はどちらとも解釈可能なように、
視聴者に委ねられる形になったということなのでしょう。

個人的には陸もまなみもこれまでと雰囲気や立ち振る舞いが変化しているような
演出や、動画でまなみが言っていた
戻ったら笑っちゃう
という言葉から連想すれば、
戻れたんだ
と受け取れると思いました。

しかし陸とまなみがそれぞれ座った位置がこれまで同じである点は
元に戻ったからといってわざわざ座る位置を変えるだろうか?

という疑念が生じ、戻っていない説もしっくりくるように思いました。

結局は陸がプールに飛び込む前に言ったように、

戻ったら戻ったで受け入れるし、戻らなくてもそれで構わない

そういう境地に2人が達することができたということなのかもしれません。

15年という時の重さ

15歳の時に身体が入れ替わってしまった陸とまなみは
それから30歳を迎えるまでの15年間を他人の身体で生きてきました。

自分の身体で過ごした15年間と言っても最初の3年前後の記憶は
明確なものではないのでしょう。

ともすれば30歳を迎えた2人にとって、
既に他人として生きた人生の方が長くなっているという現実が描かれています。

2人が入れ替わってしまった当初、その困難に向き合う2人の姿勢は
異なっていたと言えるのかもしれません。

後々陸はずっとまなみに助けられていたと感謝する一方で、
まなみの方は陸が自分の身体を奪ったという憎しみがあったのだ
と言います。

それは陸には支える存在があったけれど、憎しみを抱えていた
まなみは一人で苦しんでいたともとれるのではないでしょうか。

そんな中でどうにか過ごしてきた2人ですが、
まなみには結婚するという夢があったのだと語っていました。

当然、夫の他にも子どもについて想像していたことは言うまでも
ありません。

だからこその男性としての進化はまなみにとっては
夢を壊される絶望への筋道になったのです。

実は「死」が怖かったと言ったまなみの真意は
肉体の死というよりも、自分の人生が壊れていくサマを見続ける中で
少しずつ消えていく精神の死
だったのではないでしょうか。

一方で、元の人生に戻ることを前提にしているからこそ
まなみの人生を丁寧に築いた陸は、

まなみが望むように東京へ出て、誠実に一人のパートナーとの絆を築き、
家族を作ることを選択してきたのだと思うのです。

まなみだったらどうしたいのか?を想像しながら・・・。

それでも出産という重圧、それに伴う「死」への恐怖を
共に乗り越えてくれた家族という存在は、まなみとしてではなく、
陸本人にとってかけがえのない存在と変化していったのです。

あくまで元に戻ることが前提でありながらも前向きな選択を
してきた陸のまなみとしての人生は15年間という長い時の中で
沢山の陸の記憶を宿したのです。

その身体自体を受け入れることが出来なかったまなみの方は
15年間苦しんだ記憶が多くを占めたのかもしれません。

今のままでいたいと言った陸とは裏腹にまなみは
元に戻りたいという気持が15年間一度も途切れることはありませんでしたが、
今のありのままを受け入れてくれる人の存在を目にするたびに
少しずつ陸としてのまなみの居場所を作っていったはずなのです。

15歳の少年と少女にとって15年という時は、
互いの人生を壊さないように生きるという責任の中で、
傷つき反発し時には絶望したり肯定できたり、日々葛藤しながらも
着実にその身体に自分の存在を蓄積していくのに十分な長さでした。

もしも結末が、陸とまなみが戻れていなかったとしても、
はたまた無事に戻れたとしても、
自分の心がとどめた記憶や関係そして築いた居場所は
本物の自分だと言えるのではないでしょうか。

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