【ネタバレ考察】映画『セッション』狂気が交差する衝撃のラストを徹底解説

洋画
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第87回アカデミー賞では複数の賞にノミネート、受賞を果たした
映画【セッション】

本作で助演男優賞を受賞したJ・K・シモンズのパワハラ全開だけではない
怪演は圧巻です。

監督は『ラ・ラ・ランド』でお馴染みの
デイミアン・チャゼル

これは純粋な音楽映画にあらず、
ヒューマンドラマの枠にもとらわれない、
サスペンスでホラーなその衝撃は解釈の別れる結末にあります。

そこで本記事では衝撃のラストについて
解説、推察
しています。

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『セッション』あらすじ

アンドリュー・ニーマンはアメリののジャズドラマーである
バディ・リッチのような偉大なドラマーになるべく
最高峰とされるシェイファー音楽院へ通っていた。

ある日、ドラムを叩いていたニーマンの元に
学院屈指の最高指導者とされるテレンス・フレッチャー
現れる。

フレッチャーは

自分の存在を知っているか?
自分がバンドメンバーを探しているのを知っているか?

と問う。

そんな問いに希望を抱きながらドラムを叩いてみせる
ニーマンだったが、フレッチャーはあっけなく教室を後にする。

フレッチャーに失望されたと思っていたニーマンだったが、
後日、アンドリューの初等クラスを訪れたフレッチャーは
ニーマンを自身が指揮する最上位のクラスへ引き抜くのだった。

キャスト
マイルズ・テラー、J・K・シモンズ、ポール・ライザー、
メリッサ・ブノワ、オースティン・ストウェル 

『セッション』を視聴するには

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以下、作品のネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。

本記事の情報は2024年7月時点のものです。
最新の配信情報は各サイトにてご確認くださいませ。

衝撃のラストをネタバレ解説

ラストの9分間あまりのクライマックスは
まさに本作の神髄であり、全ての種明かしが描かれています。

しかしこのラストで本当のところはどうだったのか?
ということにおける解釈が分かれるのも
また醍醐味といえます。

ニーマンとフレッチャーの再会

ニーマンはフレッチャーの正式なドラマーになることは叶わず
〖お前は終わりだ〗
と告げられて
フレッチャーに襲いかかり学院を退学になりました。

しかしその後、フレッチャーの元教え子が自ら命を絶ったことが
問題視され、ニーマンはパワハラを立証してほしいと弁護士に頼まれます。

一度はフレッチャーを庇うニーマンでしたが
父親の後押しもあって、告発にふみきるのでした。

音学院を退学したニーマンはその後、カフェで働いていました。

そんな時フレッチャーが
バーのジャズライブで演奏している光景を目撃します。

ニーマンに気が付いたフレッチャーは
一緒にお酒を飲み、
自分の指導に対する告発により学院を追われたこと
行き過ぎたレッスンは、生徒の才能を引き出すため
ものだったと語ります。

帰り際に、フレッチャーは、ニーマンに今担当しているプロのバンドの
大会に参加しないかと要請します。

何故自分なのかと戸惑うニーマンに、
タナーは違う学校へ行き、コノリーはニーマンの刺激剤に過ぎなかった
のだと言います。

その言葉で参加を決意したニーマンは大会で叩く予定の
〖ウィップラッシュ〗〖キャラバン〗
を猛練習します。

9分間のクライマックスをネタバレ解説

会場へ到着したニーマンにフレッチャーは、
この舞台はスカウトマンの目に留まるチャンスであるとともに、
もしヘマをすれば彼らは一度除外した演奏者の顔を忘れない
と二度とチャンスは訪れないことを警告します。

いざ演奏が始まるという時、
ニーマンの前に近寄ってきたフレッチャーが言います。

私を舐めるなよ。密告したのはお前だな。

動揺するニーマンをよそに、
舞台の中央に向かったフレッチャーが演奏曲を発表します。

その曲名は『アップスウィンギン

ニーマンが叩いたことのない曲でした。

焦るニーマンは懸命に周りに合わせなんとかその場を
しのごうと努力しますが
他の演奏者に怪訝な顔をされ隣の演奏者には
〖ちゃんと叩け〗
と罵倒される始末。

そんなニーマンの絶望的な姿に満足し、

〖お前は終わりだ〗

とほくそ笑んだフレッチャーの元を
逃げるように退場するニーマン。

そのニーマンを優しく抱きしめるのは父親でした。

〖帰ろう〗

と諭す父親でしたが、
ニーマンは再びステージに戻るのです。

すると
〖次の曲はテンポのゆっくりな・・・〗
と話していたフレッチャーの言葉を遮るように
ドラムのリズムが響き渡る。

それはニーマンが練習して来た『キャラバン』。

ソロでバーストするドラムに近づき
穏やかではない脅しで止めさせようとするフレッチャーの
言葉も聞かず、
圧倒された他の奏者もニーマン合わせだし、
フレッチャーも指揮を執るしかありませんでした。

しかし、曲が終わってもドラムの音色が止むことはなく
〖合図する〗
とフレッチャーに言い放つニーマンは、
かつてのフレッチャーのいびりに時には涙し、
耐え忍んで来た彼ではありません、

それはゾーンに入ったニーマンの
ドラマーとしての偉大さを醸し出していました。

まるで引き込まれるようにリズムに誘われ
ニーマンに歩み寄るフレッチャーは
目線で指で指示を送る

その勢いが止まらず、接続があまくなったドラムセットの
シンバルが倒れると、フレッチャーが思わず手を差し延べる。

フレッチャーの復讐のステージはやがて
ニーマンのリズムを刻む逆襲の舞台となり、
これ以上はありえない2人の望んだ
2人だけの完璧な音と魂のセッションへ導いたのです。

まさにその瞬間、一流のドラマーを育て上げた教師と
〖合図をする〗といって立場を逆転させたかつての教え子の
師弟関係が解消された瞬間であり
最高にして、恐らく一度切りの2人の完璧な世界があったのでした。

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天才というよりは狂人だった2人⁈

本作では、ラストまでの流れによって
二転三転と解釈が分かれるのが見所の一つです。

それはフレッチャーという指導者の本当のところは
どうだったのか
ということ。

生徒の才能を引き出すための厳しい一面を持った教師か?
才能と完璧な音にしか興味がない狂人だったのか?

序盤でニーマンに優しく話しかけ、家族の内情を聞き出した後、
その内容を罵倒の材料にするのは厳しいの範疇なの??

元教え子が亡くなったことに取り乱しながら涙を流すのは
やはり鬼教官も人間なんだと思わされる姿でした。

しかし、この元教え子は交通事故で亡くなったのだと泣いた
その言葉は偽りだったのです。

真実はフレッチャーの厳しい指導により
鬱になった教え子が自ら命を絶ったのだと判明します。

職を追われたフレッチャーは
それでも自分の指導方法には後悔はないとニーマンに
言います。

それは才能を導く手立てだからです。
あの程度で潰れてしまうようならば一流には
なれないのだという独自の理論に従っていました。

そして自分を告発したニーマンを
音楽人生から抹殺
するべく自らの舞台で
陥れる策略を決行するのです。

筆者はフレッチャーは生徒のために厳しい一面を持った教師ではなく
偉大な音を奏でるためにはそれ以外は犠牲にしなければならない
というような〖偉大〗に導くための独自の信念に従う狂人
であったのだと推察しています。

そしてだからこそあのクライマックスの演奏が
実現したともいえるのでしょう。

フレッチャーが恐れた言葉

厳しすぎる指導だとしても、それに立ち向かえるような
情熱がなければ成功はないというフレッチャーは
成長し続ける存在にこだわったのです。

そのためには音楽以外の全てを犠牲にし、
ライバルの存在を蹴落としてでも這い上がることこそ
正しい道だと考えていたのではないでしょうか。

他人を蹴落とすどころか、
大切な楽譜をライバルに預けるタナーの生ぬるい神経
許せず、もしかしたらフレッチャーは
タナーの楽譜をわざと隠したのではないか?と勘ぐっています。

成長し続け、偉大を勝ち取らせること。
そのためにフレッチャーが発するのを恐れたのは
〖上出来だ〗
という言葉。

そんな言葉を投げかければ
生徒は自分の実力に満足してしまい
その結果成長することを遮ってしまう。

それは最高を目指すフレッチャーにとって
至極恐ろしいことだったのです。

ニーマンとフレッチャーの思想

偉大なドラマーを夢見て、
最高峰の指導者フレッチャーとの初対面では緊張してしまう
ような人だったニーマン。

しかし徐々にニーマンの日々は
音楽が侵食していきます。

交際したての恋人にも、音楽の邪魔になるとして
一方的に別れを告げるなどその心境は変化していったのです。

幸せではなくても名前を知られる方がいい

そんな思想で家族の輪に入れないニーマンもまた
知らぬうちにフレッチャーの信念に心酔していった
いえるのではないでしょうか。

本作で父親との時間が色濃く描かれるのは
ニーマンの中で自身の行くべき道が
父親のような穏やかな幸せを求める方なのか、
フレッチャーのような狂気の末の偉大さなのか
揺れ動いている心情が描かれた気がします。

そしてラストの復讐のステージでボロボロにされた
ニーマンは一旦は父親の元へ帰ります。

しかし〖家へ帰ろう〗=穏やかな幸せを掴もう
と言われはっきりと自覚してしまったのです。

穏やかな幸せなど求めていない自分の狂気を。

フレッチャーに惑わされ音楽院を退学になっても
パワハラの証言を一度は拒否し、
告発に踏みきった後もフレッチャーとの繋がりを求めて
しまったニーマン。

彼もまた偉大なドラマーになるためには
穏やかな幸せや、同志との友情や、恋人との時間、
そんなものは不要
であり、
それらを持たないことこそが成功の証なのだと信じている。

フレッチャーとの心の共通点が実は多い
狂人なのではないでしょうか。

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〖セッション〗感想

本作のクライマックスである
通称:仲直りのセッション(笑)ですが、
9分間という時間で描かれたのは、
フレッチャーの復讐からの、策略にはまり堕ちていったニーマン
そして覚醒と逆襲、
そんなニーマンに引き込まれ、
悦の境地に達するフレッチャーという構図でした。

こんなにも詰め込まれた色濃いストーリーの中で
台詞だけはほんの少しなんですよね。

しかも最後の台詞は恐らく
演奏を止めないニーマンをフレッチャーが詰った
〖お前の目ん玉を・・・〗

という言葉だったと思います。

あとは、表情やしぐさで、ストーリーの展開を見せている
そう考えると感動がひしひしと沸いてきます。

そして怒涛のステージが終わり、幕は閉じます。
あの後はどうなるんだろうと想像してしまいます。

筆者的には、
あのステージで、フレッチャーは言葉こそ発していいないものの
視線で、指先で、表情で、そして倒れたシンバルを直すという態度で、
ニーマンの演奏が〖上出来〗なのだと
示してしまったような気がするのです。

ニーマンもまたその感覚を肌で感じてしまったのではないでしょうか。

ステージでありながら、あれはフレッチャーとニーマンの
2人だけの魂と魂のセッションでした。

しかし純粋に音を楽しみ、満足してしまった2人には
これ以上は存在しないのかなと推察しています。

とはいえ、優しい父の差し延べる手をとらず、
フレッチャーの元へ戻った二ーマンは
フレッチャー2号になる可能性が否めない
一作です。

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