映画【前科者】ネタバレ考察と感想|阿川佳代が保護司になった理由は?

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過去に犯罪を犯してしまった人たちが更生する姿、

またその更生を助ける保護司の奮闘を有村架純主演で描くドラマの
劇場版『前科者』。

内容が内容だけに物語は重たく暗いものになっています。

しかしながら本作の評価が高いものになっている理由には
本作のキャスト陣、
中でも工藤誠を演じる森田剛が素晴らしいとの評判もさることながら

ドラマでは明確にされなかった有村架純が扮する阿川佳代の過去
もう一つの
無給の保護司になった理由が描かれ、その見応えがあるからなのでしょう。

この記事では本作の評価の高い理由に着目し、
以下の内容をまとめています。

・阿川佳代の過去
・阿川佳代が保護司になったもう一つの理由
・工藤誠の更生

この記事では作品のネタバレを含みます。
御視聴後、お待ちしております。

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【前科者】作品概要

原作: 香川まさひと
    月島冬二


公開日: 2022年1月28日
     PG12 指定

監督: 岸 善行

キャスト
有村架純 (阿川佳代)
磯村勇斗 (滝本真司)
森田剛  (工藤誠)
若葉竜也 (工藤実)
マキタスポーツ (鈴木充)
石橋静河  (斎藤みどり)
木村多江  (宮口エマ)
リリー・フランキー (遠山史雄) 他


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阿川佳代の過去

中学生の頃、佳代は幼馴染の滝本真司と交際していました。

帰り道ラーメン屋を営んでいる真司の父にも見つかり
公認の仲でした。

ある日、暴漢に襲われそうになった佳代を
身を呈して守ってくれたのは真司の父でした。

真司の父はその事件で亡くなり
真司ともそれをきっかけに疎遠になってしまいます。

お前はなぜ生きている

被害者側の真司の怒り、憤りを込めた言葉。

その言葉が書かれた本を、佳代は見てしまいます。

お前はなぜ生きている

自分の命は真司の父に生かしてもらった命

そう思っている佳代にとって
この言葉は自分へ向けられた非難のように
自責の念にかられていきます。

それは片時も忘れることは出来ずに・・・。

阿川佳代が保護司になったもう一つの理由

阿川佳代が保護司になった理由として

お金を稼ぐためだけに生きていたくない

という理由もありますが、もう一つの理由は
真司の言葉に対する答えになっています。

犯行が起こるその前に手を差し延べてあげる人間がいたら
犯罪は防げたのかもしれない。

だから

孤独や苦しみが生む加害者を増やさないため
保護司になるときめたのでした。

工藤誠の更生

わずか10歳という年齢の時に目前で母親を殺害された誠。

その後は施設に預けられ、悲しむ間もないほどの辛い日々が待っていました。

やっと施設を出てパン工場で働き口を見つけたのもつかの間、
そこでも、職場内のいじめという壮絶な環境が待ち受けていました。

耳の機能が失われるくらいに。
いじめにも耐えに耐えたのでしょう。

しかしながら反撃を抑えることが出来なかったのは
母を侮辱されたからでした。

その犯行の記憶が無いほどの限界をむかえていました。

被害者だったはずの誠は
その痛み、苦しみ、そして周りの人間によって負わされた傷が
いつしか増殖し、加害者と変貌してしまうのです。

弟の存在

誠は本来、まじめで優しい性格のようでした。

食事をした直後、阿川によって出された手料理を黙って
食す様子や、新しい職場の業務にも真面目に取り組む姿がそれを
表しています。

誠自身もまた更生するということに前向きに頑張っていました。

そんな折、目の前に母の事件を共に目撃し、
共に施設で辛い体験を味わった弟・実が現れます。

すっかり見た目は大人になった実。
しかし変な薬を所持し、
今でもあの頃のように震えて泣いていました

実の復讐に加担してしまう誠

誠が施設を出た後、いじめの対象になってしまった実

泣きながら

ずっと一番下だし
誰からも相手にされないし
また孤独になってしまう

だから上から見降ろさないで

そう訴える目の前の実に打ちひしがれてしまいます。

自分は自分の更生に懸命になっていたけれど
一番大事なことを忘れてしまったことに罪の意識を感じてしまいます。

もう一人同じ境遇の元被害者の実に寄り添ってあげることが
出来ず、その実が加害者になってしまった責任は自分にあるのだと

それを考えると、実一人だけ奈落の底に落ちていく姿を
見ているだけにとどまることは出来なかったのでしょう。

最後の面会、正社員の道がすぐ目の前にあった誠の更生は遠のいてしまいますが
諦めることはない…そんな結末になっているのが救いです。

【前科者】を見た感想

お恥ずかしながら保護司というお仕事を本作で初めて知りました。

そしてこんなにも大変な職務で国家資格も保有しなければいけないのに
無償であるということに驚きを隠せません。

生半可な覚悟で出来る仕事内容ではないし、そもそも仕事の掛け持ちを
すること自体体力的に困難だと思うのですが、
無償の理由が気になってしまいました。

本作での演技が絶賛されている森田剛さん。

筆者も『ランチの女王』というドラマでゲスト的に出てきて
その演技に心打たれてしまいました。
そして『ヒメアノール』は怖すぎた。

何にしても人の心をどよめかす存在感です。

さてこの物語で作りての方が込めたメッセージは色々あるのだと思います。

その中でも、
事件の被害者側の人が背負うものの重さ。
そして
更生というのは一人では無理なのだと思わせる描写が印象的でした。


工藤実は取り返しのつかない間違いを犯しその短い人生は不幸で
埋め尽くされてしまいました。

元々は被害者である一人の少年を助けてくれる人は一人もいなかったのです。

何処へ行こうともずっと一番下で
働きに見合った給料が得られることもなく
誰からも相手にされない孤独

そんな毎日に耐える心が生んでしまった復讐。

支えて上げられる人。それはたった1人でよかったのに。

更生するためのキーワードは〖許し〗

やり直す、生まれ変わるチャンスを与えてあげる社会
を願う保護司・阿川佳代。

しかしながら許してもらうことはきっと容易ではないから
厳しい現実に耐えられそうになくなったなら
辛いと伝わるように叫んでほしいと言います。


人間に生き返るために。

身近な人でさえ人一人を変えるのは難しいこと。

でももしかしたら

人はたった一人でもいい。
心から支えになってくれる人さえいれば変われるんだと

思わせてくれる一作でした。

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※本記事の情報は2023年6月時点のものです。
最新の配信状況は各サイトにてご確認くださいませ。

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