イヤミス映画【母性】が怖い?|食い違う母と娘の記憶をネタバレ解説

邦画
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全ての女性には〖母性〗が備わっている。
そんな固定観念に警鐘を鳴らすかのような
イヤミス女王・湊かなえの原作を映画化した【母性】

母と娘の記憶はどちらが正しいの?

ラストはどうなるの?

そんな疑問にお答えしてこの記事では

★ルミ子は清佳を抱きしめたのか?首を絞めたのか?
★【母性】のラストが怖い

についてまとめています。

誰かの〖気になる〗のヒントになりますように!

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【母性】あらすじ

自殺か?他殺か?と世間を騒がせている女子高校生の転落死事件。

高校教師の清佳は、その女子高校生の母親の証言が自身の母親ルミ子
連想させるものだったことが発端となり自身の高校時代を蘇らせる。

清佳の母親ルミ子は祖母の華恵と二人暮らしで無償の愛情を注がれ続けたためか
祖母のことを溺愛していた。

ルミ子は服装や髪型に至るまで母親に似せていたし、
考え方も同じであることが幸せだと感じていた。

絵画教室で出会った田所哲史のことを最初は嫌っていたルミ子
だったが、母は田所の描く絵画を絶賛していた。

そのため、母親と自分の意見が違うことを払拭
したかったルミ子は田所に近づき親しくなった。

田所と交際して間もなく結婚を申し込まれたルミ子は
田所と母親を会わせることに。

田所の母親は厳しい人だということから結婚を反対する友人。
しかし結婚するかしないかの判断を母親に委ねたルミ子は
母親の後押しで、田所との結婚を決める。

結婚後、田所と二人で暮らす家にも、何かあるたびに
母親を呼び出すルミ子。

それは田所との間に長女の清佳が生まれてからも
変わらなかった。

田所は仕事で留守にしていたある日。
いつものように祖母が泊まりに来ていた夜に襲いかかる嵐。
激しい雨風により田所家に事件が起こる・・・

キャスト
戸田恵梨香(田所ルミ子)、永野芽郁(田所清佳)、大地真央(露木華恵)
三浦誠己(田所哲史)、高畑淳子(田所の母)、中村ゆり(佐々木仁美)他

以下、作品のネタバレを含みます

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抱きしめたのか?首を絞めたのか?

この物語は母親の回想と娘の回想がそれぞれ描かれます。
しかしながら同じ場面なのに、母と娘の記憶が違う描写がいくつかあるのです。

その中でも最もざわざわしてしまったのは
クライマックスで清佳がルミ子に
祖母が自分を守るために自ら命を絶った
ということが
真実なのかを問い詰める場面で

ルミ子は清佳を

〖抱きしめた〗

のですが

清佳はルミ子に

〖首を絞められた〗

と記憶しているのです。

真相はどちらなのでしょうか?

結論から言うと

抱きしめながら首を絞めたのではないか

と思うのです。

ルミ子にとって清佳は最愛の人を奪った女

嵐の夜、清佳をさしおいて母親を助けようとするルミ子を見かねて
華恵は自ら命を絶ちました。

そうして清佳をおぶって難を逃れたルミ子でしたが
最愛の母を失った悲しみと最愛の母が消えていく恐怖の光景は
忘れることなどできなかったのでしょう。

最後に母が言った言葉。
自分の娘(清佳)を愛して命を繋いでほしいと言う言葉。

それは最愛の人の遺言であり、清佳は母から託された
母の宝物でした。

母が大切にしていた清佳が傷ついているから
慰めてあげなければいけないと思いつつ手を伸ばした。

そして頭では母親らしい対応を描いて抱きしめたつもりだったが
その目は、その心はその手は、清佳のことを
最愛の人を奪った女として、首を絞めかねない憎悪を
懸命に封じ込めているだけにすぎなかったのではないでしょうか。

〖抱きしめた〗という記憶は、
変わりたいというルミ子の葛藤が記憶を捻じ曲げたにすぎないのだと
思ってしまいます。

ルミ子は変わることが出来ませんでした。
例え実の娘が自らの命を終わらせようとした時でさえ、

きっと脳裏に浮かんだのは華恵の願いが途絶えてしまう・・・
という焦りだったのではないかと思います。

【母性】のラストが怖い

ラストシーンをどう見たかによってはこの物語はイヤミスになっていると
思いました。

まずはラストで怒涛の伏線回収がありましたね!

先輩教師と飲んでいたお店は実は
父親の妹りっちゃんのお店でした。

田所の家から家出同然に姿を消したりっちゃんと、
田所家からお金目当てでりっちゃんに近づいていると
毛嫌いされていた恋人の黒岩一緒に店を開いていたんですね。

この2人だけが本作での唯一ハッピーエンドと
言えるのではないかと思いました。

イヤミスなラストとは?

本作のラスト、清佳が妊娠していることが発覚します。

そしてルミ子に妊娠報告をする清佳と
『怖がることはない』
と、かつてルミ子が妊娠時に華恵から言われたそっくりそのままの
台詞を清佳に効かせるラストシーン。

清佳は喜び、笑顔の会話にほっこりしハッピーエンドだと思われた方も
多いのではないでしょうか。

しかしこのシーン。
ルミ子は母性を取り戻したわけでも、
母性が生まれ始めたわけでもありません。

満面の笑みを浮かべて娘の妊娠報告を喜ぶのは
母親の願いだった、命を繋ぐことを叶えたからに他なりません。

清佳に掛けた優しい言葉も母親の言葉をそっくりそのまま
言っただけで、清佳が喜びそうなチョイスをしただけなのです。
そこにルミ子の思いは一ミリもありません。

そして母親の願いを叶えたルミ子は役目を達成したと
感じ、金輪際清佳を助けないかもしれません。

母親になる清佳はもう〖娘〗ではないのだから・・・。

一方で、あんなにいびられていた義母が認知症になり
ルミ子を娘だと勘違いして頼る姿に
幸せを感じています。

ルミ子はラストでもとことんだったのです。
これからも母性をもつことはありません・・・。

清佳は母か?娘か?

ルミ子が娘のまま一生を過ごすことになった要因は
華恵の溺愛だと思いました。

一方で清佳はルミ子から愛情をかけられなかったからこそ
母になろうと努力するのではないでしょうか。

自分がルミ子にして欲しかったことを
産まれて来る娘にしてあげたいと思う気持ち。

そんな思いを持てた清佳はまさに
母になると言えるでしょう。

そんな風に母性は誰しもに最初から備わっているものばかりではなく
願望から生まれるものもあるのではないでしょうか。

主題歌はJUJUの『花』

【母性】を見た感想

本作は

物語は、𓊆 あなたの証言 𓊇 で完成する。

というふれこみでしたが
筆者的には、


母は母性をもつことはなかった
娘は母になる努力をする

という物語を完成させました。

見る人によって
怖いと感じた人、安心感を得た人、
色々だと思います。

〖母性〗と一言で言ってもその中身はそれぞれの母によって千差万別
だと思うのです。

華恵は母性のかたまりのような人でこんな母がいたら羨ましい
と思ってしまうほどなのに、ルミ子には母性が生まれませんでした。

それを考慮すると華恵のそれもまた実は母性ではなかったのかも
しれない、と捉えることも出来るし、

華恵の母が無母性の人だったから過剰な母性を持ってしまった。
そして清佳もまた華恵のようになっていく・・・。
という血統が繰り返されるのかもしれません。

自分には母性があるのかないのかなんて悩むよりも
単純に、

〖大切に思う人を大事にする〗

で良いんではないでしょうか。

そんなことを思った一作です❣



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