【ネタバレ考察】映画『Pearl パール』悲嘆と狂気が入り混じるエンドロールの謎に迫る

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A24による【Xエックス】の前日譚となる
【Pearlパール】

しかしこれらは全3部作で制作されることが
予め決まっており、
【Xエックス】での言動や出来事、出演者に至るまで
本作との繋がりや伏線をしっかり盛り込んであります。

そんな中でも本作で一番の衝撃はそのエンドロール
あると言っても過言ではないでしょう。

ハワードは、観客たちは一体何を目撃したのか?

本記事では

・悲嘆と狂気のエンドロールの謎
・ハワードはなぜ・・・?

に着目して考察しています。

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【Pearl パール】あらすじ

1918年第一次世界大戦末期のテキサス州で、
介護が必要な父親の世話を担い、厳格な母親と農場を営む
日々を送るパール

そんな閉鎖的な生活から脱却することを夢見て、
結婚したハワードと農場を抜け出せることを願っていた。

しかし夫のハワードは志願兵として出征してしまい、
残されたパールは田舎町の生活から抜け出ず、
ハワードの帰還を待ちながら、父親や動物たちの
世話に追われていた。

母親のお使いの合間にこっそり映画を鑑賞したパールは
ショービジネスの世界への憧れを一層募らせる。

そんなある日、義妹のミッツィから
全米各地を巡業するダンスオーデイションが催情されると聞き
ミッツィーと主にオーデションを受ける約束をするのだが・・・。

キャスト
ミア・ゴス、タンディ・ライト、マシュー・サンダーランド、
デヴィッド・コレンスウェット、エマ・ジェンキンス=プーロ
 他

『Pearlパール』を視聴するには

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以下、前作『X エックス』及び『Pearlパール』のネタバレを含みます。
未視聴の方は是非とも先にご視聴することをおススメします。

本記事の情報は2024年7月時点のものです。
最新の情報は各サイトにてご確認くださいませ。

悲嘆と狂気のエンドロールの謎

ドイツ移民であるパールの家族は、
少なくとも母親のルースは肩身の狭い思いを
感じながら日々を過ごしていました。

パールの夫となったハワードの母親はルースに
度々差し入れを持参しますが
ルースはこれを断固として拒んでいました。

そんな背景からルースもまた自分の置かれた状況に
抑圧され、ルース自身もまた自由とは程遠い環境
合ったと言えます。

そしてその状況を打破することを諦めているルースは
パールが自分とは違う人生を歩む願望を持っていることに苛立ち
娘をも巻き込んで諦めの人生を強いていました。

ルースが見抜いた娘の狂気

しかし、ルースがパールの願望を無視し、
農場から出ることを許さなかった理由は他にも
あるのではないかと推察しています。

ルースだけはパールの内なる狂気に気が付いていたのでは
ないでしょうか。

農場から動物が忽然と消える不穏、
父親を消そうとするのを予想しているかのような発言。

娘は狂っているのかもしれない
と思えばこそ、抑圧だけではなく嫌悪や恐怖といった
感情もぶつけていたのかもしれません。

狂気の入口

物語の序盤では、自分に抑圧的なルースにも
従っていたパール。

しかしその反動は自分が支配できる立場である
動物たちへと向けられていました。

農場を営む以上、動物たちの死に関わるということは
通常の業務なのかもしれません。

しかしながらパールの行った動物への暴力は
食することを目的とした行為ではない。

うっぷん晴らしであり、自分を無碍にする存在を抹消する行為
それは狂気への入り口であったと捉えることが
できるのではないでしょうか。

若さの代償

映画スターになりたいという夢を持つパールにとって
若くして妻という立場におさまる代償は
農場の生活からの自由であるはずでした。

しかし夫は1人で出征してしまい、
閉ざされた空間で抑圧されまくる生活に
取り残されてしまうのです。

当然ながら、希望が目の前にあっただけに
その落胆とダメージは倍増だったに違いありません。

そんな折の映画技師ジョニーからのヨーロッパへの誘い。
その誘いにはジョニーの思惑とは一線を画す重みが
パールにはあったのです。

しかしパールの家へ送ったジョニーはその家の不穏さに気づき
ヨーロッパへの誘いをなかったことにします。

パールにとってそれは自分を拒まれたことに値し、
ジョニーとは住む世界が違うことを思い知らされた
瞬間でした。

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ミッツィーは理不尽さの象徴

パールがオーディションに受からなかった敗因の一つは
アメリカ人でもブロンドでもないということ。

夢が破れて気が付いたのは、やはり初めから
パールとは異なる幸運な持ち主は存在するということ。

そしてパールに再びのチャンスは訪れないことを
痛感します。

そんなパールがよりどころにできるのは
もうシンプルな愛の存在しかありません。

自分の内面に対する不安
ハワードを傷つけるような行為の後悔
抑えきれない衝動と得られる快感
独白のようにミッツィーの前で告白します。

恐らくミッツィーに期待したのは
共感と理解そして許しという救済

しかし恐ろしい闇を覗いてしまったミッツィーは
何とかその場から立ち去ろうとします。

去り際に
『おめでとう』
というパールに対してミッツィーは
『オーディションには受かっていない』
と言います。

しかしアメリカ人でブロンドであるミッツィーの不合格に納得できない
パールは
『嘘はつかないで欲しい』
と涙目で訴えます。

パールの狂気に触れたばかりのミッツィーは
パールの言う通りにしなければという強迫観念にかられ
『本当はオーディションに受かった』
のだと告げました。

ところが、この返答はパールの逆鱗に触れてしまいます。

『ブロンドは嫌い』と言いながら振り下ろす斧は
パールの自由を邪魔する理不尽さへの抵抗だったのでしょう。

実は『X エックス』においてもアメリカ人のブロンド女性が
登場し、やはり『ブロンドは嫌いなの』と言って手にかけるのですが、
このブロンド女性も、ミッツィーも、決して悪人ではないのが
皮肉さを増しています。

悲嘆と狂気に満ちた笑顔

父も母も葬ってしまい、自由を与えてくれるはずだった
ジョニーも、秘密を共有したかったミッツィーももう居ない。

夢も破れてしまい孤独になったパールに残されたのは
ハワードとの愛だけでした。

しかし、本質的には実はパールが欲しかったものこそ
愛情だった
のではないでしょうか。

スターになる夢を追い自分を認めて貰いたかったことも、
抑圧し自由を奪う母親に従ったのも
突き詰めれば愛情を望んだ結果といえるでしょう。

悲嘆と狂気の結末は
ハワードが出征しなければ、
ジョニーが裏切らなければ、
ルースが応援をしてくれれば、
ミッツィーが許しを与えてくれたら、
訪れなかった可能性もあったのではないでしょうか。

ハワードは何故パールと共に居るのか

本作を見ている方ならば、
60年後の〖X エックス〗でパールを手伝い
共にキラーと化している夫が、あのハワードであること
に驚きと恐怖を隠せないのではないでしょうか。

本作のラストで、帰還したハワードが見たのは
腐敗して虫が湧いた豚の丸焼きをテーブルに、
生きていない両親を座らせてお祈りをするという
惨劇だったはず。

それではなぜハワードはパールから
離れなかったのか。

実際離れていればハワードの命も奪われていた
のかもしれませんが。

しかしそれ以前に、目を逸らすことができない
あの笑顔を見たからに他ならないのでしょう。

ハワードに向けられ、観客には5分強という時間
見せられたあの笑顔。

そこにはハワードと再会できた喜びから始まり、
知られたくなかった秘密が露呈したことへの不安

いくつもの罪を重ねた自分への絶望
狂気の現実から逃れられない恐怖や救済の念など
複雑な笑顔は涙の笑顔へと変わっていきます。

そのさまはまるで殺人鬼と人間のせめぎ合いのように。

しかしその表情に釘付けになってしまうのは
本来見てはいけないものに触れてしまったから
なのでしょう。

そして戦場から帰ったばかりのハワードは
理由のある死は許容できたのかもしれません。

この惨劇はパールが虐げられてきた苦悩と闘った結果
の保身のための罪
であると理解したのだと思います。

その笑顔がおぞましくあればあるほど
同時に痛ましく、憐れましく映ったに違いありません。

なによりもそんな狂気を放つパールを
見捨てなかったハワード。

だとすればそこにパールが何より欲した愛情はあった
のだと言えるでしょう。

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【Pearl パール】感想

過度な抑圧や否定は
狂気のシリアルキラーへと変貌させてしまうのだと
いう恐怖を描いた本作。

自分の意見や希望、行動といった主張の全て
を制限や否定でおおわれることは
空虚で抑えの利かない人間へと追い詰めるのことになるのかもしれません。

思い通りにならない日々や自由のない生活
というのは必ずしも他人ごとではなく、多かれ少なかれ
如何にして自分の人生を生きることを全うするのかは
誰しもが抱える課題なのではないでしょうか。

だからこそ、パールが決して特異な人なのではなく、
同じような環境や境遇に置かれれば、
誰しもがなり得る可能性を秘めていることを
思えばより一層の恐怖を味わえる一作です。

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