【映画『ノイズ』】絵日記の意味とラストシーンを考察

ひまわり 邦画
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『デスノート』コンビの藤原竜也さんと松山ケンイチさんの共演作且つ、大好きなサスペンスということで、配信サービスで鑑賞してみました。

劇中に散りばめられた数々の伏線やラストまで目が離せない意味深なシーンや台詞。
今回の記事では、その中でも特に気になった、タイトル〖ノイズ〗の正体、劇中3度出てくる〖恵里奈の絵日記〗そして〖意味深なラストシーン〗に着目して考察してみました。

ネタバレを含みますので、是非ともご鑑賞後、来訪してくださいませ。

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映画『ノイズ』概要

  • 公開日 2022年1月28日 128分
  • 原作 筒井哲也(集英社ヤングジャンプ)
  • 監督 廣木隆一
  • 脚本 片岡翔
  • 音楽 大友良英

出演者
泉圭太・藤原竜也
田辺純・松山ケンイチ
守屋真一郎・神木隆之介
庄司華江・余貴美子
畠山努・永瀬正敏
泉加奈・黒木華  他

あらすじ

舞台は猪狩島という小さな孤島。
その島は老朽化が進み、島民は不安な生活を余儀なくされていた。
そんな島を立て直すために立ち上がったのは
島で育った若き青年・泉圭太。夫妻がきりもりする農園で作られた黒イチジクは
TVなどに取り上げられるほど話題になり復興支援給付金の5億も入手できそうだと、島は盛り上がる。
そんな折、圭太の前に突如現れた島のノイズ…それは出所したばかりの幼児を狙う凶悪犯罪者だった小御坂。
圭太は愛娘・恵里奈が小御坂に狙われた…という怒りから小御坂ともみ合いになり小御坂を突き飛ばして殺してしまう。

その現場にいた、真一郎の『これ全部なかったことにしましょう』という提案から隠蔽することを決めた、圭太・純・真一郎。その先に待ち受ける未来は…。


イチジクの花は外からは見えない

『無花果』と記すイチジクですが、皮を向いて食べる部分にあるつぷつぷした存在、それこそがひっそり、小さく咲いた花なんだそうです。

劇中ではこのイチジクが復興の要になっています。島のみんなの期待を背負ったイチジク。
島の外から来た刑事の畠山は、島の救世主である大切に育てられたこのイチジクを割って中身を見た時、気色悪そうで、食することはありませんでした。
黒いイチジクは外見こそ整っているが、中身はグロテスク…

それはまるで一見、争いごとなどとは無縁な島民たちが住むのどかな島に見える猪狩島が、実際は島の未来のためには殺人事件や事件の隠蔽さえ些細なことのような扱いを厭わない、クレイジーな島民たちが住む異様な島だった。

畠山が言った、グロテスクで気色悪い黒イチジクは、まるで猪狩島を象徴しているかのようです。

ノイズの正体

作品のタイトルになっている『ノイズ』。
誰にとって、誰が、どんな言葉が『雑音』になったのか…考察してみました。

島にとってのノイズは部外者

島にとっては、島を大切に思っていない、島の外から来た人物こそが『ノイズ』にあたります。
島に現れた最初のノイズ・サイコキラーの小御坂であり、彼を追ってくる二人の刑事もまた、島民にとって不要なノイズです。

圭太にとってのノイズは島の声

圭太はこの島で35年暮らしてきました。子供の頃に両親を失ってから、島の人たちが自分を育ててくれた。その恩を重く受け止めています。重く受け止めすぎたあまり、島民たちの、〖圭太こそが島の救世主〗というまるで圭太が島の神であるような崇め方…それこそが〖ノイズ〗であり、圭太自身を自滅に追い込んだ正体です。
本来は圭太にとって一番大切だったはずの加奈や恵里奈そして親友たちの声さえ、ノイズによってかき消されてしまったのです。

純にとってのノイズは自分自身

劇中ラストの方で、実は純も圭太同様、子供の頃から島で共に育った加奈のことを密かにずっと想っていた事実が明らかになりました。加奈に寄り添う圭太のことをずっと妬み続けながら、仲の良いふりをして生きてきたわけです。
加奈は圭太と結婚したのだから諦めるべきなのに。そして本島に出て行けば他の出会いはあったはず。それをしなかった、できなかったのは、自分の脳内の〖加奈じゃなければダメなんだ〗というノイズにずっと支配されてしまったからでしょう。

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加奈の写真だらけの純の部屋は震えました

真一郎にとってのノイズは息子を愛する母の言葉

先輩警官が助言した〖この島の警官の役目は島民を守ること。時には忖度し、かさぶたになれ〗
という教えを守り、事件を見ないふりをし、嘘をつくことで島の救世主である圭太を守った。
しかし事情を知らない息子を愛する母親は、〖正直でいて欲しい〗と意図せず真一郎を責める。

ただ純粋に島が大好きだった青年は、警官になって文字通りの島の安全を守る任務を全うしたかっただけなのに、先輩警官のノイズが純粋な思いを狂わせてしまいました。
苦しくなった真一郎に追い打ちをかけた母のノイズ。もう嘘を重ねることも辛いし、両親が誇りに思ってくれた本当の自分ではなくなる前に…消えることを選びました。

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飛び散る血で駐在所が汚れないように入念にビニールで床や壁を覆う姿が悲しかったですね。
島の中で一番良い人間でした…。

恵里奈の絵日記の意味するもの

作品中、冒頭・後半・ラストシーンと3回登場する、圭太の娘・恵里奈の絵日記がこちらです。⇩

朝起きたらひまわりが咲いていたので
みんなで遊園地に遊びに行きました。
とても暑かったのでアイスクリームを食べました。
とても美味しかったです。

1枚目は、島に咲いていないひまわりの絵(ひまわり)
2枚目は、圭太・加奈・恵里奈・純の4人が一緒に遊園地で楽しんでいる様子
3枚目は視聴者には見えずに終わります。(アイスクリーム)


島に咲いていない光景や行った描写のない遊園地の様子が描かれていることから、この絵は完全に妄想であり願望であったのではないかと推測できます。

気になったのは3枚目の絵の内容は圭太だけにしか見えていない点です。

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どんな絵だったのか気になりますね⁈

3枚目の絵には裏切りの証拠が描かれていた?!


おそらくわざわざ留置所に絵日記を持参してきた加奈の意図は、この3枚目を圭太に見せる為…だったのではないかと考えました。

3枚目の絵の上部の方は両端が青っぽくて真ん中に黒っぽい文字のような感じ?にも見えました。

加奈は純にむかって『私はいつまでも圭太を待ち続ける』と言っています。それは裏を返せば
〖純と一緒になることはない〗と告げたも同然ですね。わざわざそんなことを言うのは、純が圭太を裏切ったことを認識したからではないかと思いました。
例えば恵里奈の絵日記の3枚目に描かれていたのは、純が圭太をはめたと思わせる事柄や、
純が加奈を好きな描写とか、悪気がなく裏切りを暗示するような絵だったなど。

3枚目の絵を見た圭太と加奈の決意は交わらない

純の裏切りを知った?加奈は、純に別れを告げ、圭太にはこれからは島に縛られずに生きること、これまで圭太が守ってくれたように、今後は私が守る…という決意を告げました。
それは島を出て家族3人の住居を構え、恵里奈と共に、いつか帰ってくる圭太を待つ決意表明だと思いました。

一方で3枚目の絵を見た圭太は加奈に〖純を信じてやってくれ〗と告げ号泣します。
純も加奈を想っていたという本音圭太のことが妬ましかったという本音。それに向き合ってさえいれば、純に手を汚させることはなかった…それこそ加奈と恵里奈の望みに耳を傾け、3人家族だけで島を出るという選択肢もあったかもしれない…という後悔が圭太を襲います。

ラストシーンの意味

じわじわと心を締め付ける圭太と純のラストシーンがまた意味深すぎましたね⁈
それぞれのラストシーンとその後の見解を妄想視点気味に考えてみましたww

圭太の後悔の涙

圭太は逮捕されてやっと島からの呪縛が解かれました
そしてずっと一緒に育ってきて信頼していた純こそが自分を裏切ったのだと悟りました。
恵里奈の絵日記を呟きながら、恵里奈の日記の内容が本物だったらどんなに幸せだっただろう…
自責の念と後悔と叶わない願いが入り混じった涙
きっと圭太は純の罪もかぶるつもりなのでしょう。だから加奈のもとには戻らない…。そんな気がしました。

純が撃ったのは自分ではない

ラストシーンで純は狩りをしていました。圭太を裏切ったことを後悔していたり圭太を心配するような様子はありません。むしろ折角邪魔な圭太を追いやったのに、肝心の加奈とは一緒になれそうもないので、とても不満そうにさえ見えましたね。

最初に島にやってきたノイズであるサイコキラー・小御坂のような表情にも見えました。
狩りの場所は森の中のようだったので、ただむしゃくしゃしているから不必要に命を無駄にしている。
空腹でもないのにただイチジクを盗み食いしていた小御坂と重ねた、というのが順当なシーンですが、あえてとんでも予想をしてみますww

純が狙っていたもの…それは島を出ていく決意をし、荷物をまとめてまさに島を出ていこうとしている加奈と恵理奈。ある意味島の呪縛から解けていない純。加奈のことも島から出すわけにはいかない。
例え傷つけたとしても…。(終)

ノイズの感想

渦

2時間越えの映画でしたが冒頭から目まぐるしく動きがあるので、飽きることなく最後まで鑑賞できました。
本来ならば事件後すぐに通報していたら…と思いますが、それでも多分、復興支援金を給付されるためのエースが事件に関わったとなれば、支給は危うかったかもしれませんよね。
気になるのは元犯罪者の小御坂がいずみ農園に就職をしに来る設定です。
突然アポなしで元犯罪者を連れてくることはないと思いますが圭太はその存在を知らないようでした。
もしも小御坂が来ることを、圭太を装って対応した純だけがあらかじめ知っていて、その時点から今回の計画を考えていたとしたなら…
本当に腐っているし、閉鎖的な世界の怖さを感じました。

一番の切ないポイントはやはり真一郎の若さと純粋さゆえの行動が、結果的には色んな人を不幸にし、自分自身をも消す悲惨な結果となってしまったことですね。
自分が消える瞬間にさえなお人を気づかい、自分ひとりで罪も背負う…そんな真一郎は切なかったです。
それなのに純は自分勝手な計画のために、そんな気持ちさえ踏みにじりましたね…激おこ案件でした。

出演者がとても豪華でしたが、脇を固めた、余貴美子さんや柄本明さんや迫田孝也さんの、島の中でも特にダメな3人を見事に表現した狂演が見応えありました。

事件が起こって、隠蔽して、いつバレるかハラハラして、あ~バレた~終わりだ~と思ったら、もう一つその先に更なるサスペンスがありました。まさに新感覚を楽しめました。

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