韓国映画の『テロ・ライブ』を阿部寛主演でリメイクした
『ショウタイムセブン』。
衝撃が走るというラスト6分に何が起こったのか?
犯人の本当の目的と折本の結末に着目して
ネタバレ考察しています。
『ショウタイムセブン』あらすじ
午後7時、TVではNJBの人気番組『ショウタイム7』が始まる。
同じ頃、ラジオ番組の『トピック・トピック』もスタートした。
本ラジオのパーソナリティを務めているのは
元『ショウタイム7』の人気キャスター折本眞之輔だった。
左遷されラジオ番組を担当している折本は
TVの時とは異なり、ラフな服装に、ボサボサの髪、
無精髭を処理することもなかった。
そんな折本がいつも通り、リスナーにその日のテーマにそって
質問を投げかける。
今日のテーマは『あなたは犬派か猫派か』。
質問をする折本に言葉を発するのはウスバカゲロウと名乗る男性だった。
ウスバカゲロウは折本の質問に答えることはなく、
6年前に起きたという事件について、その該当者である大和電力と
政府に対し、強い批判の言葉を口にしたのだった。
しかし折本は彼の言葉を遮るべく音楽を流し、その場を乗り切った。
するとウスバカゲロウは、折本に、大和電力城東火力発電所を爆破する
という旨の予告をした。
しかし折本はこれを本気に捉えず、罵声を浴びせて電話を切ってしまった・・・。
キャスト
阿部寛、竜星涼、生見愛瑠、前原瑞樹、内山昂輝、平原テツ、
佐野史郎、石丸謙二郎、井川遥、平田満、吉田鋼太郎、錦戸亮 他
以下、結末等のネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。
本記事の情報は2025年6月時点のものです。
最新の配信状況は各サイトにてご確認くださいませ。
犯人の本当の目的とは?
折本のラジオ番組に連絡をとり、大和電力城東火力発電所に対する爆破予告を
してきた犯人、ウスバカゲロウ。
その正体は繁藤寛二でした。
繁藤の父親は6年前城東火力発電所の拡張工事に携わっていたが
悪天候により足場が崩れ父親を含む数名の作業員が命を落としてしまったのです。
しかしこの事故の原因はそもそもG20サミットに合わせて過酷なスケジュールかつ
劣悪な環境の元行われていたことにありました。
ところが現大和電力の社長である四方田勇と内閣総理大臣である水橋孝蔵によって
謝罪はおろか、多少の口止め料だけでこの事件はなかったこととされてしまいました。
その罪を償うべく繁藤は四方田の謝罪を要求しました。
一番憎んでいる人
折本との交渉を要求する繁藤によって
『ショウタイム7』のキャスターの座に返り咲いた折本は
交渉を進めますが、彼はスタジオや折本自身にも
爆弾を仕掛けたのだと言います。
すると、今度は内閣総理大臣、水橋を呼んで謝罪させることを求めたのです。
その頃スタジオの副調整室には警視庁公安部の園田綾香が到着していました。
そんな最中、繁藤の高校時代の担任教師だと名乗る城という男性が
彼と話したいと申し出る。
しかし城は繁藤をかえって刺激してしまい城に仕掛けられていた
爆弾が爆破してしまいました。
ただならぬ事態に折本は総理がスタジオに向かっているという嘘をつき
時間稼ぎを試みました。
しかし繁藤はそもそも折本は信用に値するのか?と疑問をなげかけ、
安積に理由を尋ねろと言います。
城の一件の最中、繁藤から連絡を受けていた安積は
折本が鷺沼製薬が開発した新薬の『アプシル』の危険性を察知しながら
賄賂を受け取り口をつぐんだと暴露しました。
賄賂を受け取った身に覚えのない折本でしたが、
繁藤からスタジオを爆破されたくなければ
真実を語れと要求します。
その時、城が倒れているそばに落ちていた眼鏡に見覚えのある
折本は城が繁藤の共犯者であることを見抜きます。
見抜かれて倒れていた城がゆっくり起き上がりました。
城は繁藤の祖父で孫に協力し、局内に爆弾を仕掛けていたのでした。
そうして折本は本当の標的が自分だと言うことに気づきました。
折本の真実とは?
鷺沼製薬がらみの賄賂について改めて受け取っていないと
否定する折本は真実を語り始めました。
まず鷺沼製薬については折本のバディであった伊東さくら記者と新薬の副作用に
ついて取材していたが、上層部によって潰されてしまったのだと言います。
さらに、諦めようとしなかった折本に関する、賄賂の噂が局内に出回ったのです。
そうして折本は『ショウタイム7』のキャスターの座を手放すとともに
戦うことからも降りてしまいました。
6年前の真相
6年前、繁藤の父親らが犠牲となった事故を折本は調査していたのです。
その際、繁藤の母親にたどり着いた折本は取材の中で
母親の意志を無駄にはしないと約束を交わしました。
しかしその取材の内容を知った番組プロデューサーの東海林は
四方田と水橋の元へ折本を連れて行きます。
取材映像の放棄と引き換えに『ショウタイム7』のキャスターに
抜擢するという条件を言い渡されたのです。
そうして折本は『ショウタイム7』のキャスターの座を得る選択をしたのでした。
折本の罪
大和電力城東火力発電所の爆破を実行した繁藤でしたが
実は彼の本当の標的はキャスター折本でした。
事故の元凶でありながら罪の意識も持たず
平然と隠ぺい工作をする電力会社と政府は
当然のことながら憎いのです。
そんな時に現れた折本はまさに正義と真実の象徴の人でした。
夫を失って絶望のどん底に居る母親のほんのわずかな光でもありました。
しかし、その真実が語られることはなく、正義は行使されませんでした。
そのことに何より傷ついた母親は命を落としてしまいました。
母の心を踏みにじった折本の非誠実さを暴き、
キャスターとしての折本の人生を終わらせることこそが
繁藤の本当の目的でした。
『ショウタイムセブン』ラストの考察
物語のラストでは、真実を語った折本が贖罪の場を与えてくれた
繁藤に感謝の意を述べ、自身の処遇についての最後の世論調査を行うのです。
折本眞之輔はこれからどうするべきか
その選択肢は【LIVE】か【DIE】
そして投票は開始されます。
その結果が明確に表れることはありませんでしたが、
折本の向こう側に映るモニターから赤【DIE】に染まった結果が
映し出されています。
その結果を見て笑みを浮かべた折本は繁藤を見つめ、
繁藤は園田から起爆装置を奪い折本の方へ蹴りました。
私たちは、公正かつ公平な姿勢で真実に迫ります
という『ショウタイム7』のキャッチコピーを口にすると
起爆装置のスイッチを押しました。
このことによって折本がどうなったのでしょうか?
その回答が与えられることはありませんでした。
視聴者に委ねられた謎に迫ります。
折本眞之輔の結末とは?
結論から言うと折本眞之輔のキャスターとしての
人生が終わったということの比喩ではないかと思いました。
実際は結城千晴キャスターと同様の結果が起きたのではないでしょうか。
劇中で折本が発言したように、繁藤は誰かを殺すことを
目的とはしていませんでした。
その繁藤が折本の命を奪うと知りながら
折本に渡るように起爆装置を蹴ったとは考えにくく、
折本の狂気なまでのキャスター劇にのった行動だったのではないか
と考えています。
繁藤が人を殺そうとは考えていなかった
と発言した折本もまた自身が絶命するとは思っておらず、
視聴者による(キャスター)折本眞之輔はもう要らない
という審判にのっとって、視聴者の安易な選択が重大な罪になりうるという
警鐘の意味を込めた、自身のけじめの意味でスイッチを押したのではないでしょうか。
『ショウタイムセブン』感想
本作の衝撃的なラストはキャスターとしての自分を取り戻すため、
躍起になっていた折本が、6年前の事件の関係者が犯人だと知って
自身がやるべきことが分かったような演出でした。
結局、筆者は折本の最後のスイッチで本当に絶命したのではなく、
折本はキャスターとしての自分を殺したのだと推察しました。
TV局で仕事をすると決めた当初の折本は純粋に
公平な真実を求めるキャスターだったのかもしれません。
しかし実際は政府も電力会社もTV局も一蓮托生されていた。
それが真実で、そこが変わらない以上は本当に公正で公平な
報道など叶わないのです。
そんな中で、折本自身も黒いものに浸食されてしまったのかもしれません。
しかしテロという形ではあったものの、その2時間は
真実そのものでした。
これこそが折本の望んでいた報道の姿だったのでしょう。
この先の折本は真実を求めて、ジャーナリストになる?
そんな未来を想像しています。
少し展開の異なるというオリジナルの方も
鑑賞したくなる一作です。