『ミッドナイトスワン』の内田英治監督が手掛けた
山田涼介と浜辺美波のw主演映画
『サイレントラブ』
声を失った男性と視力を失くした女性の、
純愛物語でありヒューマンドラマでもある本作。
しかし一筋縄ではいかない内田監督色の強い物語と
なったのではないでしょうか。
それゆえの賛否両論を生んだラストや蒼の声についてなど
気になる謎に迫ります。
『サイレントラブ』あらすじ
映画『#サイレントラブ』
— 映画『サイレントラブ』 (@SilentloveMovie) November 9, 2023
新ビジュアル解禁🔔
声を捨てた青年 #山田涼介
光を失った音大生 #浜辺美波
二人の秘かな情熱が交差する――
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監督 #内田英治
音楽 #久石譲 pic.twitter.com/eckIsrOKTL
音楽大学で清掃などの業務を担う蒼は、屋上で勤務をしていた際に
突然現れて飛び降りようとしていた女子学生を救う。
すぐさま教師や彼女の家の使用人がやってきて連れて行った。
その際に、彼女が落としたガムランボールを
蒼が拾っていた。
彼女の名前は美夏と言い、ピアニストを目指していたが
交通事故に合い視力を失ってしまったのだった。
さらにその事故で視力だけではなく手にも負傷をしてしまい
思うようにピアノが弾けなくなった美夏は絶望感にさいなまれていたのだ。
数日後、生徒は立ち入り禁止の旧講堂に現れた美夏は
一人ピアノを弾き始めた。
蒼はその音色に聞き惚れていたが、
美夏は元のように弾くことが出来ずいらだち転んでしまう。
そんなところを再び助けた蒼と美夏は少しずつ
交流を持つようになる。
美夏は蒼から響くガムランボールの音色から
蒼こそが屋上で自分を助けてくれた人物であると認識し、
なぜだか声を発しない蒼と指先を使って
イエスなら一回、ノーなら二回叩くことで
コミュニケーションをとった。
美夏に『あなたもピアノ科の人なのか?』
と聞かれた蒼は本当のことが言い出せず、
指先を一回叩いた。
すると美夏は今度ピアノを弾いて欲しいと言うのだった・・・。
キャスト
山田涼介、浜辺美波、野村周平、吉村界人、SWAY、
中島歩、円井わん、七瀬公、辰己琢郎、古田新太 他
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以下、結末のネタバレ含みます。
未視聴の方はご注意ください。
本記事の情報は2025年3月時点のものです。
最新の情報は各サイトにてご確認くださいませ。
『サイレントラブ』最後はどうなる?
音大生の美夏と音大の清掃員の蒼の静かな恋は
音と光のない世界で通じ合っていました。
しかしそれは2人を仲介する手があってこそだったのです。
蒼は音大の清掃員だと言うことを言い出せないまま、
美夏は蒼を同じピアノ科の生徒だと思い込んだまま
交流が育まれました。
美夏は蒼のピアノが聞きたいと言うのです。
美夏に失望させられない蒼はピアノ講師でありカジノにおぼれ
借金を作ってしまった北村に、自身の代わりとして
美夏の前でピアノ演奏をしてもらえるように哀願します。
見返りとして一回の演奏につき5万円支払うことで
その願いは聞き届けられました。
しかし北村は借金の返済をするために引き受けた
身代わり演奏だったにも関わらず
徐々に美夏に惹かれていってしまうのです。
ある日、気分転換にと3人でドライブに行った時、
蒼が居ない間に、北村の身代わり演奏に勘付いていたが
言い出さなかった美夏の心情が露呈します。
それは自分を守ってくれた蒼を傷つけないためでした。
しかし美夏に惹かれてしまっていた北村は
蒼が清掃員だということを露呈し、
無理矢理、美夏に迫ったのです。
その瞬間を目撃してしまった蒼は勘違いし、
走り去ってしまいました。
過去の罪と女神の罪
美夏にとって蒼が差し伸べてくれるその手は神の手に他なりませんでした。
しかし蒼にとってその手はかつて人の命を奪ってしまった汚れた手
だったのです。
高校生時代に喧嘩の最中、親友の圭介を庇うために立ちはだかった蒼は
喉を刺されてしまったのです。
反撃に転じた蒼は自身の喉に突き刺さったナイフを抜くと
相手の腹部に突き刺したのでした。
一方で圭介は、以前に偶然北村にお金を差し出す蒼を目撃し、
蒼が北村にゆすられているのだと勘違いしてしまいました。
そのまま北村を尾行した圭介は彼がカジノ場へ入って行くのを
見るとともに、そこで出くわした横道に、
蒼を助けるため北村を痛めつけてくれるように頼んだのでした。
カジノ場で北村に暴言を吐かれた横道は喜んで引き受け、
北村と共に一緒に居た美夏も誘拐してしまったのです。
そのことを圭介から聞いた蒼は急いで現場へ向かおうとします。
しかし学内では同時期に盗撮事件が起こっており、
被疑者として蒼の同僚の柞田が職務質問されていました。
蒼に前科があると知った学校の職員は柞田の共犯ではないか
と決めつけ、蒼は警察に取り囲まれてしまいました。
柞田が警官の妨害を行い蒼を逃がしたことで、
北村と美夏が襲われている現場に到着しました。
北村はすでに手を負傷して倒れており
動揺してうずくまる美夏がそばにいました。
横道の手下を次々に倒していく蒼に加勢するべく
北村も立ち上がりますが横道を相手に苦戦を強いられます。
すると北村を救うべく鉄棒を握った美夏は
横道に襲いかかりました。
しかし、倒れたのは北村の方でした。
引き裂かれた二人の結末
蒼は北村への傷害の罪で刑務所へ送還されました。
面会に訪れた美夏は北村を殴ったのは自分ではないかと
直談判しましたが、蒼は指で2回叩く『ノー』を突き付けます。
そんな美夏の元に圭介は蒼からの手紙を持参し、
読み上げました。
『自分のことは忘れて幸せになって欲しい』
という蒼の願いでした。
美夏はせめて自身が傷つけた北村の元を訪れ
身の回りの世話を願い出ました。
それから2年の月日が過ぎ、治療の甲斐力を取り戻した
美夏はピアノのリサイタルを開いていました。
その手配をしたのは元気になったもののあの時の怪我で
ピアノは弾けなくなった北村でした。
北村は美夏に蒼は既に出所していることを打ち明けました。
美夏を失いたくなくてあえて告げずにいたことを謝罪すると、
美夏は教えてもらった蒼が働く港へ向かいます。
『蒼さん』
と何度も呼びかけますが、誰も名乗りをあげませんでした。
視力を失っていた美夏には蒼の顔はわからないのです。
諦めてそこから離れようとした時、
ガムランボールの音が鳴り響きました。
その方向へ駆け寄る美夏の前にトラックが疾走してきます。
飛び込んだ蒼は美夏を救いました。
美夏と蒼の再会の瞬間でした。
『蒼さん?』
と呼びかける美夏の手に、蒼の指が一回叩かれました。
見つめ合う二人の距離は近づいていき笑顔で見つめ合うと
そっと口づけを交わすのでした。
『サイレントラブ』を考察する
本作の視聴者の間には、意味が分からなかったというご意見も
一定数あるようです。
そこで一つの推察にすぎませんが
気になる謎について考えてみました。
声を出せないのか?出さないのか?
蒼は声を出せないというよりは封印したのだと思いました。
蒼は、友人たちや北村とは常に携帯で音声を出し、
美夏とは指での交流でした。
蒼の首元には今でも傷跡が残り、これは高校生時代の喧嘩によるものであることが
回想シーンで明らかになります。
そしてこの時、喉を刺された反撃として蒼は相手を刺殺しています。
それが罪となって前科が刻まれたわけです。
蒼はこの時の罪を決して軽んじてはいないのでしょう。
神の手だと言ってくれる美夏に対し後ろめたさをも感じてしまう蒼は
自身の手を汚れていると感じて止みません。
相手の命を奪ってしまった償いに、せめて相手が奪ったかもしれない声を
自ら封印する道を選んだのではないでしょうか。
それが一生、罪を背負い、そこからは奪うのではなく与えたり助けたりという
自分でいたいという決意の表れなのだと思いました。
学校での盗撮事件が唐突すぎる?
なぜにここで盗撮事件を入れてくるのか‽!
そう思われた視聴者もいらしたのではないでしょうか。
しかしあの場面でもっとも印象に残ったのは、何の証拠も見つかっていないのに、
結局無実であったことが後に判明する古田新太扮する
学校の清掃員、柞田と前科がある蒼に疑いの目が向けられるという描写でした。
人の思い込みや勝手に作られた印象、かつてのあやまちなどが
いかに恐ろしい間違いを誘導するのかという問題提起が
なされていた気がします。
そしてそれこそ視力を失った美夏が蒼には抱かなかった
本来真髄になるべき部分なのではないかと思うのです。
柞田がそんな学校や警察に対して放つセリフも印象的でした。
さらにもう一つ、尋問を振り切った蒼を警官たちが追いかけたからこそ
北村を殴った直後の現場に警察が駆け付け、
蒼が北村と示し合わせて犯行を偽装するのを目撃させることができた
と言えるでしょう。
恋のライバルも意外と純粋だった
北村にとってピアノを弾くだけで一回につき5万円を貰えるというのは
好都合でした。
最初こそカジノで作ってしまった借金の返済のために引き受けた
身代わり演奏でしたが、蒼と同様に、美夏の心に触れてしまった時、
それは恋心に変化してしまうのでした。
北村の家はお金持ちで不自由なく日々を楽しんでいる様子に見えますが
家庭内ではピアニストとして成功している弟が両親の愛情に優遇されており、
ピアノ講師となった北村は両親の意向とは異なるというだけの理由で
まるで自分が価値のない人間であるかのような、嫉妬や劣等感にさいなまれていました。
しかし美夏はそんな北村に微笑んでくれる、
純粋に音に反応してくれる、実績や名声ではなく、
北村自身を見てくれているように感じ心を打たれたのではないでしょうか。
それでも本当の自分を見てくれてた美夏にだからこそ、最終的には
彼女の本心から目を背けることなどできなかったのでしょう。
賛否両論のラスト
『あのラストっているの?』
『ラストが唐突すぎる』
と話題になった二人の結末は、
どうご覧になったでしょうか?
2年間ずっと忘れることはなかった神の手を持つ人。
そして夢を叶えてくれた人。
初めてみる守ってくれる人の顔が、スタイルが
想像とは違おうとどうだろうと関係なく
愛しているんですっ
ということを表したラストだったのではないでしょうか。
まぁ・・・もっとも・・・
山田涼介なので・・・説得力がないことは確かですが・・・www
『サイレントラブ』感想
主演のお二人の存在からして普通のキラキラした純愛物語なのかと
思っていました。
しかし見始めて最初に感じたのは、
いつもの山田涼介じゃない。全然キラキラしてない。
という驚きでした。
物語が進み、蒼が声を発しなくなったこと、
それは過去の罪と向き合った結果、自分には夢も希望も抱く資格など
ないのだと、そんな風に言い聞かせて生きてきた人生を作りあげたのだと
感銘しました。
そして傍から見れば恵まれた環境で育った風に見えた北村は、
カジノに溺れて行きました。
彼もまた劣等感や愛情に飢えた毎日の中で迷走していたのでは
ないかと思います。
そんな2人の心を救った女神こそ美夏だったのでしょう。
汚れた手を美夏を守る神の手だと表現してくれたこと。
綺麗な音を奏でる才能の手を傷つけないように守ってくれようとしたこと。
そんな女神を守るために恋敵たちは結束し、
彼女の罪を被る蒼、そして彼女の夢をサポートする北村へと違う道を歩んで行きました。
恋敵の北村は心底卑怯な男でも意地悪な男でもなく、
それがドキドキする三角関係へと発展する弊害になりましたが、
『サイレントラブ』では、逆にそれが醍醐味なのかもしれませんね。