汐見夏衛氏による原作小説を福原遥、水上恒司のW主演で実写映画化された
『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』
心に秘める切ない恋の行方はどうなるのか?
結末について解説しています。
『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』あらすじ
:。:+* ゚ #映画あの花 と過ごす夏休み🍉*゜
— 映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』公式 (@ano_hana_movie) July 28, 2023
第2弾!
百合と彰が見つめる先には
どんな未来が待っているのか…💐
ティザービジュアルの
スマホ版ポスターを公開🤍#あの花が咲く丘で君とまた出会えたら
12.8公開💐#福原遥 #水上恒司 pic.twitter.com/DRIJN6NF37
高校3年生の加納百合は自身の進路について働くことを望んでいたが、
母の幸恵は、娘が大学進学できるように朝も夜も働いていた。
高校の三者面談で、遅れて来た幸恵に『魚臭い』と悪態をついたり、
話の途中で一人、教室を出て行くなど反抗的な態度で困らせていた。
その裏には他人の子どもを助けて亡くなった父親への
悲しみと苛立ちが混ざり合った複雑な感情があった。
幸恵は昼はスーパーの鮮魚売り場で働き、
夜勤のコンビニのバイトも掛け持ちしていた。
そんなに働いても裕福になれない現状への不満を
幸恵にぶつけ、口論となった家を飛び出した百合。
一人になりたかった百合がたどり着いたのは防空壕跡地だった。
その場所でいつのまにか眠ってしまった百合が
目覚めるとその世界が一変していた。
スマホの電波は圏外で、炎天下の中、見知らぬ街を
歩き回る百合は空腹や脱水症状で倒れてしまう。
そんな百合に水を補給させてくれたのは
軍服を着た佐久間彰という男性だった。
彰は百合を鶴屋食堂へ連れて行き、そこの女将であるツルは
食事を用意してくれた。
ツルと彰が戦争にまつわる会話をしていることに違和感を覚えた
百合が新聞に目をやると、日付は昭和20年6月10日と記されていた。
百合は自分が西暦1945年、終戦間際の日本にタイムスリップ
していることに気がついたのだった。
キャスト
福原遥、水上恒司、伊藤健太郎、嶋崎斗亜、上川周作、小野塚勇人、
坪倉由幸、新井舞良、出口夏希、津田寛治、中嶋朋子、松坂慶子 他
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以下、結末までのネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。
本記事の情報は2025年6月時点の情報です。
最新の状況は各サイトにてご確認くださいませ。
彰の運命と百合の恋の結末は?
自分が今いるのは1945年の終戦間際の日本であると気づいた百合。
帰るところがない百合はツルが提案してくれるままに、鶴屋食堂に
住み込みで働くことにしました。
自分を助けてくれた彰は特攻隊員でした。
鶴屋食堂に特攻隊の仲間と訪れる彰の様子を
その未来が分かっているからこそ、切なく悲しい表情で
見つめる百合でした。
そんな百合を彰は元気づけるために、
百合の花が一面に咲き誇る丘へと案内してくれたのです。
百合のことを妹のようだと微笑み、頭をなでる彰の手を振り払って
私は妹にはなれないと不機嫌に立ち去る百合でした。
戦地の現実
しかしそこは戦争中の日本。
百合は一人で飢えている少年や、不意に襲ってくる空爆など
過酷な惨状を目の当たりにして言葉を失ってしまいます。
自身も空爆に巻き込まれ足が挟まって身動きできずに
泣き叫ぶ百合の前に現れたのは彰でした。
ツルが亡くなった娘の形見と引き換えに得た米を
失くした百合は火の海の中へ取りに戻ろうとしますが、
彰が『命が一番大事だ』と言って引き留めるのでした。
大切な人が旅立つ日
お互いに大切に思う気持ちが芽生え始めた矢先に、
鶴屋食堂にやってきた特攻隊の面々はツルに
出撃命令が出たと報告する。
ツルは涙とも笑顔ともとれない複雑な表情で
『おめでとうございます』
と返すのでした。
しかしこらえきれずに食堂を飛び出した百合は
自らの命が消える日が決まったのに
『おめでとう』などという言葉は間違っていると涙を流しました。
特攻が明日に迫った隊員たちは最後の挨拶に訪れました。
出発する隊員たちの背中を負った百合は
彰に行かないで欲しいと迫ります。
それでも彰の意志が変わらないことは分かっていたのです。
これ以上は迷惑だと悟ると静かにお別れを告げるのでした。
特攻当日、ツルや千代は見送りに向かいますが百合は
もうお別れは済ませたと同行しませんでした。
しかし百合が部屋を掃除していると
隊員たちが大切な誰かにしたためた手紙の数々を偶然
見つけてしまうのです。
その中に彰からの『百合へ』という手紙を見つけると
居てもたってもいられず、彰の元へ自転車を走らせる百合でした。
百合が到着すると3人の隊員たちは既に出撃していました。
最後に出撃する彰に向かって懸命に名前を叫んだのです。
その声はちゃんと彰に届いていました。
彰の胸元には、あの丘の百合が咲いていました。
百合に気づいた彰は笑顔で敬礼をし、空へと飛び立って行きました。
彰が託してくれたもの
地面に倒れこんだ百合が目を覚ますとそこは元の世界でした。
帰宅した百合はたった一晩しか過ぎていないことを知ります。
元の生活に戻る百合でしたが何かが変化していました。
百合は大学へ進学して彰が志望していた教師になることを
目指そうと決意します。
学校の社会科見学では特攻資料館へ訪れました。
そこには百合が知っている特攻隊員たちと、
途中離脱した隊員の板倉の資料もありました。
隊員たちが大切な誰かに送った手紙の展示もあり、
その中には彰がしたためた『百合へ』と書かれたものがあったのです。
その手紙には百合に面と向かっては伝えることができなかった
気持ちが込められていました。
妹のようだと言った百合への気持ちは嘘で、
本当は百合のことを愛していたのだと・・・。
彰からの手紙を読んだ百合は、彰に会いたいと
その場で泣き崩れてしまいました。
そうして百合は特攻隊員たちが命を懸けて守ってくれた今を
精一杯生きていくことを誓うのでした。
一番印象に残ったセリフは?
ずばり彰の放った
『命がいちばん大事だ!』
というセリフです。
百合はツルの娘の形見と引き換えにお米を仕入れに行き、
その帰りに空襲にあってしまいます。
足を挟まれ身動きがとれなくなった百合は自分の死を覚悟し
泣き叫ぶと、炎の向こうに彰の姿がありました。
無事に助けられた百合でしたが、
ツルに届けるお米を置いて来てしまったことに気づき
取りに戻ろうとするのです。
その時に彰が放ったのが
『命がいちばん大事だ』
と言う言葉でした。
命の大切さを痛いほどわかっている彰が
その命を懸けて大切な人と未来を守るために、
勝利を信じて出撃したという覚悟の重さを痛感する
セリフだったのではないでしょうか。
『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』まとめと感想
現代に不満を抱えながら何となく過ぎて行く毎日を過ごす百合と
明日が訪れるかもわからない状況下で日々を精一杯生きる彰の
『生きる』意味が隔たる世界の二人が出会いました。
しかしお互いに芽生えた感情は成就することなく戦争によって引き裂かれて
しまいます。
百合の視点を通じて視聴者も、彼らに命を無駄にしないで欲しい
という思いをとばし、彼女の感情が踏みにじられるさまを見て
戦いの残酷さを痛感するのです。
百合は他人の子どもを救うために命を落とした父親への悲しみを、
自身と母を不幸にした酷い人だという
怒りに変えることで心の均衡を保っていたのかもしれません。
そんな時、戦時下へと飛ばされた百合は、
彰たちに出会って見えなかったものを見ることになるのです。
国のため、そして大切な人の未来を守るために
孤独に命を懸けた戦いに挑んで行く彰たちの中に、
(戦争自体を否定したうえで)
その志自体は誰にでも真似できるものではない
尊さと強さを秘めているのではないでしょうか。
それは百合の父親も同じなのです。
自分の家族ではない見ず知らずの誰かのために命を顧みず
立ち向かう百合の父親の行動もまた尊く強いものではないでしょうか。
その際に父親に助けられた子どもは百合の父のことを
生涯忘れることはないのでしょう。
百合もまた自身が被害に遭うことで命の大切さを痛感します。
そして今、鬱屈に満ちた現在を何となく生きる自分は
命がけで未来を守ってくれた彰たちに対して胸を張れるのか?
そんな自問と後ろめたさを実感したのではないでしょうか。
生きるのが辛いとか、生きにくい時代だとか
感じることはありますか?
筆者は自分の人生の悲惨さに鬱屈する日々ですwww
しかし戦時下を生きた彼らはどうだったのでしょうか。
そんなことを悩んだり嘆く時間さえ与えられなかったのです。
百合が彰を説得しようとするあの丘の上で
彰は今のこの時間を大切にしたいのだと言います。
ほんの一瞬が、どんなに貴重なものなのか
彼らは痛感していたのです。
共に明日を迎えたい女性が目の前に居ながら
一人飛び立たなければいけないその苦悩と重責そして恐怖。
いくつもの感情を胸に飛び立ったに違いないのです。
だからこそ、私たちはきっと
命の大切さを忘れずに、
守ってもらった今を噛みしめて生きていかねばならない
と思わされる一作でした。