ネタバレ考察・感想【ヘレディタリー/継承】悪魔召喚の真相と結末に迫る

洋画
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【ボーはおそれている】が話題沸騰中のアリ・アスター監督の
長編デビュー作にして超絶の視覚的恐怖が襲う
【ヘレディタリー/継承】をご紹介します。

公開は2018年ということながら未だに
ホラー映画の最高傑作と称されてやみません。

本記事では本作の結末と恐怖の真相について語ってきたいと思います。

・悪魔召喚の真相
・衝撃の結末

に着目して深読み考察しています。

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〖ヘレディタリー/継承〗あらすじ

グラハム家の祖母エレンが闘病生活の末、その人生の幕を閉じました。
エレンには折り合いが合わなかった娘のアニーの存在がいました。

アニーは夫のスティーブ、16歳の息子・ピーターと13歳の娘・チャーリー
共に暮らし、仕事はミニチュア模型作りをしていました。

エレンの葬儀では悲しむ様子を見せない、おばあちゃん子のチャーリーでしたが、
その日を境に奇行が目立つようになります。

スティーブの元には、エレンの眠っている箇所が荒らされたとの
連絡が入りますが、アニーには告げませんでした。

母の死に複雑な感情を抱くアニーは自分の気持ちの整理を
つけられず、夫には映画を見に行くと嘘をつき、
グループセラピーへ参加する・・・。

キャスト
トニ・コレット、ガブリエル・バーン、アレックス・ウルフ、
ミリー・シャピロ、アン・ダウド
 他

【ヘレディタリー/継承】が見られるサービス

U-NEXTに登録すれば見放題で楽しめます。

Huluでは字幕版も吹き替え版も楽しめます!

本記事の情報は2024年3月時点のものです。
最新の配信状況は各サイトにてご確認くださいませ。

以下、作品のネタバレを含みます
未視聴の方はご視聴後のご再訪をお待ちしております。

悪魔召喚の真相

召喚を待ちわびる悪魔にとっては
まるでミニチュア模型の中の人のように
グラハム家の人たちは小さくて簡単に壊すこともでき、
軽々と持ち上げることも可能なそんな存在だったのでしょうか。

操ったのか?操られたのか?
召喚の真相とは?

元凶の王妃エレン

本作での恐怖を司る根源であり、悪魔ペイモンに心酔して家族を捧げてしまった
エレンが行ったとされる所業が以下の通りです。

・夫に悪魔を召喚しようとして失敗
・息子のチャールズに召喚を試みるも息子は自ら命を絶ってしまう
・娘の子どもに狙いをつけるが第1子のピーターに近寄ることは出来ず
・第2子のチャーリーの中に召喚することを成功させる⁈

エレンがなくなってもなおアニーに残したのは悲劇。

失うことに絶望しないで。犠牲は恩恵に繋がるから。

これはエレンが娘アニーにあてた手紙です。

〖失うこと〗というのが、
アニーの娘チャーリーや息子ピーターのこと、最終的には
アニー自身も命を落とすのだということを示唆したメッセージ
であると推測できます。

悪魔をチャーリーの中に召喚することに成功したエレンは
悪魔には男性の身体が必要なことから、
〖男になぁれ〗と願いますがそれは叶いませんでした。

そして男性であり悪魔の器としてふさわしい
ピーターに狙いを定め、信者たちに託したのでしょう。

家族という避けられない運命

エレンの血縁者にはこの悲劇は
宿命だったのだといえます。

初めから生贄として生まれた子ども、器として生まれた子供
だったのにすぎません。

本作ではその宿命は悪魔召喚のための犠牲になること。

しかしながら、現実の世界でも血の繋がりという呪縛に苦しむ人は
少なからず存在しているのです。

【ヘレディタリー/継承】衝撃の結末

母親を亡くしたところから始まり、
娘も悲惨な事故で失い、その悲しみを息子にぶつけて
険悪になっていく家族。

目の前で夫が炎に包まれた時、アニーの精神は限界を迎えました。

ペイモンが人に宿るためにはその人が弱っていることが
必要なのです。

そして弱りはてたアニーの魂は格好の餌食となり、
アニーに成り代わってペイモンが憑依します。

もうアニーではないアニーが欲するのはピーターの身体でした。

母親の影が微塵も無くなった恐ろしい姿のアニーに追われた
ピーターは窓から転落してしまいます。

倒れたピーターの中から出ていく黒い煙。
そして入れ替わりに青白い光が入っていくようでした。

すると起き上がったピーターはツリーハウスへ。
その中には崇拝者たち、祖母、母の姿・・・

そして王冠を授けたピーターを〖チャーリー〗と呼びペイモンの復活
歓喜をあげるジョーンたちでした・・・。

〖継承〗されたもの

タイトルにもなっている
hereditary(ヘレディタリー)とは『遺伝的』や『代々の』などの意味を持ちます。

本作ではまるで遺伝のように精神を犯されていく血縁者が
描かれています。

その一方で悪魔を召喚する者がエレンからジョーンへと
引き継がれていきます。

家族に継承される病気は何を象徴している?

エレンの場合
エレンが患っていたのは解離性同一性障害。
〖王妃〗という地位が与えられていたことが判明するエレンですが
その人格の他にも、それを否定し、家族を守ろうとする別の
エレンが存在していたという可能性も⁈

チャールズの場合
エレンの息子であるチャールズは自ら命を絶っています。
その際に『エレンが自分の中に誰かを招き入れようとしている』
と書き残しており、そのことが統合失調症であったと言われる
所以なのだと思います。
しかしこのことは、彼からみた真実を語っている可能性が高く、
その場合、実は心の病気ではなかった可能性もありえると言えます。

アニーの場合
アニーは夢遊病を患っていました。
これは本来強い不安やストレス、薬剤の副作用などの原因があげられる
でしょう。
劇中ではピーターにガソリンをかけて火を点けようとしたことから
ピーターとの間に深い溝を作る結果となってしまいます。

睡眠時に歩き回るのは脳の一部が覚醒している状態のためであり、
自ら命を絶った兄の言葉に不安を感じていたアニーなりに
無意識化で子どもを救おうとした手段だったのかもしれません。

ピーターと自分に火を点けるという行為は
ターゲットになり得る血の繋がりを抹消しようとした行動
とも解釈することができるからです。

ミニチュアに込められた意味

アニーはミニチュア模型のアーティストです。
それを仕事として個展をひらくまでに成功していると言えますが、
一方でその作品の内容には母の闘病の様子、娘の事故の現場など
破滅的な要素が多く見受けられます。

このことは自分の中で対処できない苦しい出来事を
作品にすることで逃げ道を作り、
アニーの心を守る働きをしていたのかもしれません。

だとすると作品を全て壊してしまったという描写は
アニーの心を守るものの消失も意味するのでしょう。

悪魔は代々グラハム家に継承されている?

悪魔の召喚者エレンが自らの家族を巻き込み
崩壊、全滅へと追いやりました。

しかしながら本来はエレンも被害者であり、
エレンの母やその母から・・・と、もっと以前から
悪魔の召喚者という血は引き継がれてきた可能性もあります。

そしてエレンがアニーや孫たちに引き継いだもの。
それは心を脅かす病などではなく、
悪魔の犠牲になる運命という先天性の病だったのです。

ヘレディタリーの恐怖と深層

アリ・アスター監督はインタビューでこの映画は
家族の物語なのだと言っていました。

〖家族〗からイメージするもの。
それは無償の愛情だったり、絆や支えなどでしょうか。

出来ればその通りであって欲しいところです。

〖家族っていいよね〗

と満面の笑みで言える人は本当に心から羨ましい(笑)。

血の繋がった家族だからといって分かり合えるとは限らないし
味方でいてくれるとも限らない。

この映画のように、
母親に拒絶される。
母親に追い詰められる。

そんな辛い思いを経験する人も多いでしょう。


本作でもアニーやチャーリーやピーターを追いつめ
抹殺するのは祖母エレンという血縁者なのです。

アニーたちの悲惨な末路がわかっていながら
計画を進め、自ら残酷な運命へと家族を追いやり、
娘たちを不幸のどん底へ突き落とすというのに、
それを喜びとさえしています。

本当に怖いのは悪魔ではなく、

妄信の恐ろしさ
血の繋がりという呪縛

なのかもしれません。

悪魔は存在しなかったという仮説

本作では悪魔が復活して一つの家族が全滅するという全容が描かれました。

しかしながらもしも本当は悪魔の存在が信者たちの妄想だと仮定したら
それはまた違った恐怖になります。

人の脳は閉鎖的な空間にあって、未知数の可能性を秘めています。

例えば、脳は誰から発せられた言葉なのかを理解はしていないのです。

毎朝、鏡に向かって自分を褒める言葉をかけると
なりたい自分に近づける・・・という噂を聞いたことは
ありませんか?

あながち嘘ではないようです。
例え自演乙であっても、脳はその褒め言葉を
他人から発せられたものと混同しています。

その原理から〖言った言わない〗の小競り合いも発生するのです。

被験者に目隠しをして『腕をナイフで切りつけるぞ』と警告したうえで
紙で切りつけたら、まるでナイフで切られたような傷跡になったという
実験もありました。

エレンの信じる力は自らの中で悪魔の存在を真実にさせ、
ジョーンたち信者をも崇拝させました。

チャーリーが悪魔の子のようだったのも
それこそ生まれる前からエレンに暗示をかけられ、
生まれてからはつきっきりで、洗脳されてきたからにすぎません。

それを考慮すると数々の奇行や残虐性も何ら不思議ではありません。

ピーターも、妹の悲惨な事故に立ち会ってしまいました。
自責の念は日に日に心を押し潰す勢いで襲い掛かるかもしれません。
母親にも犯罪者を見るような目つきで見られ、
降霊の儀式にまで参加させられます。
挙句には『生みたくなかった』という最悪の呪文を聞くことになるのです。

あの時、16歳のピーターの心の崩壊が始まったとしたら、
実の母親に襲われる恐怖、目の前で残虐な方法で命を絶つ母、
そして全ての理由が悪魔の召喚という光景を
目にしてもなお正常でいられる方が不思議な気さえします。

アニーは夢遊病を患っていました。
その上、娘に起こった悲劇で弱ってしまったところに、
ジョーンの罠にかかってしまいました。
ジョーンの自宅に招かれた時に、
出されたお茶には何かが混ぜられていた描写には何か意味があるのでしょう。

明確にはされませんでしたがお茶の中の薬?は
アニーの心身に何等かの支障をきたした可能性は大きいと思います。

もしかしたらスティーブの事故は、乱心してしまった
アニーがスティーブが服用した薬に何か混入させたなど、
アニーによる仕掛けが発動した可能性もあります。

彼らの心の抹殺の全てが
悪魔に妄信した血縁者によるもの、
あり得ない目的を達成するための信者たちの悪意によって
引き起こされた悲劇だったと仮定すると
なんともいえない後味の悪さではないでしょか。

〖ヘレディタリー/継承〗感想

アニー役のトニ・コレットさんの怪演は凄まじいものが
ありましたが、個人的には本作ではジョーン役を演じ、
〖ハンド・メイズ・テイル〗でリディア役を演じている
アン・ダウドさんがツボりました…怖すぎ( ´艸`)

ジョーンも息子と孫に先立たれているという設定には
何か意味があったのでしょうか?
気になるところでした。

物語の冒頭に提示される
〖ヘラクレスの選択〗

それが全てでしたね。

〖血の繋がり〗
には選択肢など見当たらないのです。

そう思うと、人が育つ過程で、
家族にどんな風に接してもらえて、
何を信じて成長するのかということが
後々の未来や人格形成にどれほど重要であるのかを
思い知らされる気がします。

またDNAもしかりで、
受け継ぎたくないことに限って
しっかり受け継いでしまったりします。

血の繋がりに関しては、どうにもならない、選択肢が与えられないことが
多いのかもしれませんが、
きっと弱ったらおしまいなのです。

どんな形でもいい、
変えたいと思うその心にともっている灯りを
消さないように生きていきたいものです。

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