『週刊漫画ゴラク』にて連載された河部真道氏の原作漫画『鬼ゴロシ』を
生田斗真を主演に迎えNetflixで実写映画化された『Demon City 鬼ゴロシ』。
なんでもこなすとんでも俳優・生田斗真ですが今回は
復讐に燃えた鬼のような元殺し屋という設定で、
ド派手なアクションが公開早々に話題になっています。
しかし原作漫画を約110分という枠に詰め込むのはなかなか難儀であり
『原作と全然違う』というレビューも一定数あるようです。
そこで、どんな点が原作とは違うのか?
そして実写映画にしかない魅力について綴っていこうと思います。
『Demon City 鬼ゴロシ』あらすじ
⚔️主演: 生田斗真 × 音楽: 布袋寅泰🎸
— Netflix Japan | ネットフリックス (@NetflixJP) February 27, 2025
Netflix映画『Demon City #鬼ゴロシ』
独占配信中🎬
伝説の殺し屋を演じる #生田斗真 が
殺された愛する家族の復讐を誓い、"鬼"と化す─
史上最狂の復讐エンターテイメント、開幕!
#DemonCity
裏社会を震撼させてきた伝説の殺し屋である坂田周平は、その夜もたった一人で
河野組を壊滅に追い込んでいた。
しかし坂田には愛する妻とまだ幼い娘がいたのだ。
そんな家族との平穏で幸せな生活のため
その仕事をもって殺し屋稼業から引退することを決意していた。
自宅に戻った坂田は『仕事を探さなきゃな』と妻に微笑んでいたが、
その直後に事態は一変する。
坂田の住む新条市を裏で牛耳っていた謎だらけの組織『奇面組』が
奇襲してきたのだ。
奇面組によって妻と娘を殺された後、
坂田自身も妻子殺しの罪をきせられ銃で撃ち抜かれてしまう。
坂田は一命をとりとめたものの意識の有無も不明瞭で身動きもできない
状態だった。
そんな状態の坂田は妻子殺しの罪を背負い警察病院へ収監されたのだった。
キャスト
生田斗真、尾上松也、東出昌大、高嶋政伸、駿河太郎、
田中美央、當真あみ、木竜麻生、音尾琢真、竹中直人 他
以下、原作漫画や映画結末などのネタバレを含みます。
原作や映画を見読、未視聴の方はご注意ください。
本記事の情報は2025年3月時点のものです。
最新の情報は各サイトにてご確認くださいませ。
『Demon City 鬼ゴロシ』復讐の結末
寝たきりの坂田の元を警備のために訪れた刑事の篠塚でしたが、
部下を帰らせた後、坂田の点滴に薬剤を注入し殺害を企てます。
篠塚こそ坂田の妻子を殺した奇面組の一人だったのです。
聞き覚えがある篠塚の言葉によって覚醒した坂田は
篠塚を抹殺し、病院を脱出します。
待っていたのは殺し屋時代の相棒である藤田でした。
しかし、奇面組に坂田の家族のことを話したのは藤田だったのです。
罪悪感にかられ坂田に協力を惜しまない藤田でしたが
奇面組サイドに撃たれた後、懺悔をし、坂田によってとどめをさされてしまいました。
奇面組のリーダーの正体は新条市の市長・春原龍(般若)だったのです。
そして奇面組の一人、竹本(一角)を拉致した坂田に春原は電話口で
娘のりょうは生きていると告げます。
りょうは奇面組の一人で表向きはセキュリティ会社社長を務める伏勘太(稲荷)が
自身の趣味として育てていたのでした。
坂田は警察官で情報屋の滝川の元へ向かい手掛かりを集めます。
伏の部屋へ乗り込んだ坂田でしたが、父親(伏)を襲撃されたと思い込む
りょうによって弓矢で撃たれて落ちてしまいました。
そこへ現れた滝川により助けられた坂田は春原から
市が開発を計画しているマホロバ(カジノ付き総合リゾート施設)へ来いと
誘い出され、マサカリを手に乗り込みます。
そこで対峙した伏を倒し、奥へ進んで行くと春原に捉えられたりょうを発見します。
そして坂田に立ちはだかるのは春原の双子の弟、神(天狗)でした。
神を倒した坂田は春原と対戦しますが、これまでの闘いで負傷した坂田は
腕を切られてしまいました。
しかし復讐のため、捕らえられたりょうを守るために鬼と化した坂田は
ついに春原を倒すのでした。
そこへ重傷を負いながらも坂田を倒しにやって来た伏でしたが
坂田によって抹殺されました。
りょうは坂田と伏が争う最中、ようやく記憶を取り戻し、
坂田が本当の父親であることを認識しました。
やっと再会を果たした父娘でしたが
『お母ちゃんのこと守れなくてごめんな』と言い、
りょうの腕の中で坂田は息をひきとりました。
一年後、春原に成りすまして新条市の市長として生きていたのは神でした。
そんな神が舞っているところへ姿を現したりょうは
坂田が一人仕留められなかった復讐相手の神に向かって弓矢を放つのでした。
原作との違いと魅力を語る
生田斗真のアクションが全開となった本作ですが、
『原作とは別物だよね』
というレビューで賛否両論を巻き起こしています。
そこで原作とのおおまかな違いのいくつかや本作の映画ならではの魅力など
を厳選してご紹介します。
もうひとつの組織の存在がない
映画では坂田VS奇面組という構図でストーリーが展開されます。
しかし原作では新条市を牛耳ろうとしている巨大企業・マサカドグループという
もう一つの組織の存在の参戦で三つ巴の闘いが勃発しています。
この組織があるのとないのとでは複雑さも異なりますが
物語の深みという面でも違いが出てくるのかもしれません。
また登場人物が増えることによって、
彼らの間で揺れる人間関係も興味深いのです。
誰が寝返るのか、誰が裏切るのか、味方は誰か、
実は敵が潜んでいるのか?ドキドキハラハラする展開が描かれています。
記憶を取り戻すきっかけが描かれない
映画において坂田を抹殺しにやってきた篠塚の場面では、
篠塚と対峙した坂田がめざましい復活を遂げていますが、
原作では、少し異なる場面のようです。
まず、坂田の事件が起こってか15年後、
かつての坂田一家殺人事件と似た様な手口の殺人事件が
新たに起こるのです。
その容疑者としてかろうじて立てる状態であり近くを歩いていた坂田が確保され
取り調べを担当したのが刑事の篠塚でした。
坂田の妻子を殺した時、篠塚はある思い出話を口にしていました。
新たな事件の取り調べで意気込んでいた篠塚は
相手があの坂田であるとは気づかずに同じ思い出話をするのです。
それを聞いた坂田の脳が覚醒し、
『思い出したよ』というセリフと共に記憶を取り戻すという流れになっています。
生田斗真のセリフはたったの24個
本作での主演、生田斗真のセリフはたったの24個なのだそうです。
気づきませんでしたwww
監督はインタビューで原作の全てを網羅することは不可能だと承知の上で
この物語をどんな風に描くのか?
とても苦悩したと語っていらっしゃいました。
その結果、原作の本質だけ抜き取って映画オリジナルの物語を形成する
ことにつとめたのだそうです。
とはいえ一度は原作の物語を意識して分厚く描くという目的で
主人公坂田にもっと喋らせるという脚本もあったのだそう。
しかし結局は生田や監督本人の意向もあって
主演の生田斗真の復讐アクションというところに
焦点を置き、セリフがたったの24個という現在の姿に仕上がったということです。
実写映画化ならではの魅力も
原作ファンにとってはストーリー上の物足りなさを
感じてしまったというレビューも多い中、
なんといっても過激なアクション場面は映画ならではの
ド迫力で見ごたえがありました。
そんな本作のウリであるアクションの撮り方にもこだわったと言います。
グローバルスタンダードな撮り方を目指したというその手法は
カメラを寄せるのではなく、引きの場面で広い画角でアクションを映しだすことによって
各々の登場人物の闘いにもフューチャーしているのだとか。
そのことは役者陣にとっては、生半可ではない忠実な闘いの演技が求められる
ということです。
だからこそあのような迫力満点のアクションが完成したとい訳ですね。
原作漫画 『鬼ゴロシ』にない映画のオリジナル要素
原作と異なるシーンの一つとして篠塚刑事が入院している坂田を
抹殺しようとして訪れる場面があげられました。
このシーンの違和感は、坂田がそれまで寝たきりの状態だったにも関わらず
篠塚が現れただけで復活するその描写があまりにも唐突すぎるという点にありました。
しかし実はこの場面にこそ、監督のオリジナル演出が込められていたと言われています。
限られた時間の制約の中で、
坂田の復活の場面もまた時間をかけることが出来なければ当然
『12年間も寝たきり同然だったのに、突然復活することはあり得るのか‽!』
という疑問が生じるのは想定内だったのでしょう。
そこに化学的な矛盾とかリアリティ、そんな理屈ではない監督なりの作風が込められたのです。
それが坂田が突然の復活からの、まだ使いこなせない体で脱出を試みて、
その途中で販売されていた饅頭を片手にほおばり藤田の車に乗り込む・・・
という一連のシーンでした。
そもそも復讐相手を全滅させる
ということ自体がもう普通のことではない中、
この流れが本作の現実であるということなのでしょう。
『Demon City 鬼ゴロシ』感想
原作の主人公である『おじさん』と比べると
だいぶイケメンすぎる主人公、生田斗真でしたが、
俳優としてのクオリティの高さを改めて感じ取れた作品でした。
同じNetflix映画の『さよならのつづき』のような至って普通の
キュンとする恋人役も相当はまっていたのに、
同一人物とは思えない鬼の所業に圧巻でした。
まさしく生田斗真の、邦画のアクションを楽しむ映画だったのではないでしょうか。
原作ではもっと色んな登場人物が存在したり、
様々な人の目線から物語が描かれたり、
登場人物のそれぞれのバックボーンも丁寧に描かれていると思います。
しかし、そういった『物語』の奥までは分かりえないことこそが、
復讐に向かう坂田の視点の物語
という感じなのではないでしょうか。
尾上松也を筆頭に、高嶋政伸や音尾琢真といった
ベテラン勢もしっかり自身の足跡を残して去っていきましたし、
東出昌大があの配役というのも思いきった演出でwww
俳優陣の素晴らしさが際立っていましたね。
坂田のセリフが24個しかなかったということに気づけないほど、
視線や表情、身体を使った演技を見せられていたのだなぁと
感銘につきます。(ここまで褒めちぎりですが生田斗真の回し者ではありませんww)
願わくば鬼の伝説については劇中でもっと触れて欲しかったと
思ってしまいますが、元相棒の懺悔に聞く耳を持たず、
あんなに重傷を負っても、敵に立ち向かい、勝利をおさめ
りょうを守り切った坂田は、その亡骸が映されることもなく、
本当は鬼になっていたのではないか?
そんな妄想まで膨らみます。
個人的に、今までは『復讐劇』と言えば韓流派でしたが
今後は邦画にも期待を持てそうな一作でした。