Netflix『グッドニュース』ハイジャック事件の真相/ラストの意味に迫る

洋画
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1970年に日本航空機内で起こったよど号ハイジャック事件
をモチーフに制作された韓国製作のNetflix映画、
『グッドニュース』

主演は『名もなき野良犬の輪舞』『キルボクスン』などに出演する
ソル・ギョング

作品のキーマンを『弱いヒーロー』『悪鬼』などに出演する
ホン・ギョンが担っています。

さらに本作ではハイジャック犯のリーダーを演じた笠松将の他、
山田孝之、椎名桔平、佐野史郎、など豪華俳優陣も参加しています。

本作で描かれたハイジャック事件の真実とは何か?
意味深なラストの意味にも迫ります。

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『グッドニュース』あらすじ

1970年3月15日、赤軍派議長の山本が逮捕された。
その際、警察は山本が持っていた
「H・J」と記されたメモの意味を吐かせるべく尋問に及ぶも
山本が口を開くことはなく、謎は解明されなかった。

それから約半月が経過した3月31日、
羽田初福岡行きの日本航空351便が機内でハイジャックされたのだ。

ハイジャック犯は武器や爆弾を所持しており、
乗員と乗客を脅して351便を乗っ取った。

彼らの目的は平壌へ向かい亡命することだった。

操縦士は、福岡へ向かう便のた平壌へ向かうための
燃料が足りないという嘘で説得し、一度給油を行うべく板付空港へ降り立つ。

ところが操縦士の機転もむなしく、なすすべがない日本政府をよそに
再び351便は人質たちを乗せたまま飛び立ったのだった・・・。

キャスト
ソル・ギョング、ホン・ギョン、リュ・スンボム、山田孝之、椎名桔平、
笠松将、キム・ソンオ、山本奈衣瑠、音尾琢真、佐野史郎
 他

以下、結末のネタバレを含みます。
未視聴の方はお気を付けください。

本記事の情報は2025年11月時点のものです。
最新の情報は各サイトにてご確認くださいませ。

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『グッドニュース』ハイジャック事件の真相と結末

日本航空351便を乗っ取った犯人グループは
亡命するために北朝鮮を目指したのです。

このハイジャック事件を自国の好機到来だと考えた
韓国中央情報部のパク・サンヒョンは極秘作戦を決行するため、
自身の右腕的存在の謎の男・通称アムゲに対応させます。

そうして作戦を任されたアムゲによりその表舞台にたつべく
白羽の矢が刺さったのは空軍中尉のゴミョンでした。

ゴミョンは韓国の金浦国際空港を平壌空港に偽装し、
日本航空をそこへあたかも北朝鮮に着陸した体を装って導きました。

しかし犯人グループの伝次らは、見え隠れしていたアメリカの航空機などを
発見し、疑念を抱きます。

そこで、一人の兵士に扮した男性に
伝次はここはソウルか?と執拗に尋ねると、
あまり事情に詳しくなかったその兵士はソウルであると白状してしまいます。

騙された伝次らは、機内にゴミョン中尉を招き、遂に
犯人グループとの対面を果たします。

機内では奇遇にも伝次らが漫画「あしたのジョー」にちなみ
燃え尽きるまで戦うという宣言を聞いたゴミョンもまた
同漫画の読者であったため、共通の話題で盛り上がりをみせました。

しかし
次の瞬間、伝次は仲間に自身の腹部を刺させて告げたのです。

自分の命が尽きる明日の正午までに離陸をさせない場合、
人質もろとも爆破を決行する
と。

韓国大統領夫人人質全員解放することで離陸を許可する
と申し出ますが、一度騙された伝次らがこれに応じることは
ありませんでした。

山村運輸政次官石田運輸次官ら日本政府からも要人が駆け付けますが、
もう韓国サイドに策はありませんでした。

そうなると韓国の権力者たちはこの作戦失敗の責任の在処をどうするか?
という点に集中し、日本政府から駆け付けた者らでさえ
だんまりを決め込んだり、逃げる準備をする者、
責任を転嫁する者など、押し付け合いが勃発します。

そんな醜い状況を見兼ねたゴミョンはハイジャック機に向かって
単独で走って行きました。

そのゴミョンの姿を見ていた石田運輸次官は、謎の男アムゲの助言もあって、
自らを人質と引き換えにすることを犯人グループに提案しました。

こうして人質と石田運輸次官の交換を承諾した伝次らは
人質を解放し、石田を乗せて平壌へと離陸しました。

凶器や爆発物を持ち込んだハイジャック犯たちと韓国政府、日本政府との攻防は
無事に犠牲者皆無での解決という結末になりました。

そのような功績をあげたゴミョンは称えられTV出演なども
果たします。

しかし昇進も控えて興奮気味のゴミョンに暗雲が立ち込めます。

アメリカの意向を組んだ韓国政府は、今回の件での自国の関与の記録
抹消すること
を決めました。

当然、ゴミョンの昇進も栄光も、TV出演の放送でさえも
なかったこととされたのです。

失意のゴミョンにアムゲは大統領の時計を渡し励まします。
「例え名前がないとしても月は存在する」のだと。

一方でその存在自体が消されていたと言えるアムゲの元に
近寄ったサンヒョンはアムゲに何やら手渡します。
それはアムゲの住民登録証でした。

やっと手に入れた自分の名前。

その名は「チェ・ゴミョン

今回の一件で誰よりも真摯に誰よりも勇気をもって
功績を上げたゴミョン中尉と同じ名前でした。

一方で望み通り北へ渡ったハイジャック犯らが持っていた凶器や爆発物は
おもちゃ同様のもの
だったことも判明しました。

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『グッドニュース』ラストの意味に迫る

ラストでアムゲはなぜゴミョン中尉と同じ名前を選んだのでしょうか?

ゴミョンの父親は戦争に出兵し重傷を負って帰還したにも関わらず
国から与えられたのは大統領時計だけでした。

そんな父親は息子であるゴミョンには出世をして欲しいと願います。
『ゴミョン=高名』という名前にはそんな願いが込められていました。

『英雄』とは誰か?!

この事件での功労者は誰なのか?
人質と引き換えに自らを犠牲に差し出した石田運輸次官は無論称えられたでしょう。

犯人グループに脅されながら、自らの疾病を抱えながらも
飛行機を無事に飛ばせ続けた機長と副機長にも賞賛が浴びせられていました。

彼らの名を皆が心に刻んだ瞬間でした。

その一方で、韓国の立役者であり、本一件でなくてはならない存在だった
はずのゴミョンという名が知れ渡ることは叶いませんでした。

それはまるでアムゲになってしまったかのように・・・。

しかし危険を顧みず一人で航空機に向かって走って行った
あの姿はまさに英雄だったと言えるのではないでしょうか。

アムゲがゴミョンに言った
『名前が無くても月は存在する』
という言葉はまさに知っている人だけが知っている月である
ゴミョンの勇気や正義はなかったことにはならないことを
意味しているのだと思いました。

アムゲが得た名前

そして同じく名前がなかったアムゲはこの一件の功績を密かに評価され
韓国で生きていくための名前を得ることとなったのです。

彼がその名にふさわしいと選んだのは奇しくも名前を消された
中尉と同名の『ゴミョン』
でした。

アムゲは何故その名前を選んだのでしょうか。

ゴミョン中尉は当初、この一件を押し付けられたことに
不満を抱きながらも出世という欲がちらついたことは否めないでしょう。

アムゲもまたそんな心中を察してゴミョンを利用したと言えます。

しかし、周囲の上司や権力者たちの醜い責任のなすり合いを
目撃したゴミョンは、あの時、出世や自信の野望などかすめることはなく
人命の救助という尊い使命のために走り出したのです。

石田運輸次官も感化されたその行動こそヒーローの証なのではないでしょうか?

それは日本政府のみならずアムゲの心にも突き刺さったのでしょう。
アムゲは自身も同じ名を背負うことで一人でも多くの人に
消されてしまった『ゴミョン』の名をしらしめると共に、
アムゲにとっての正義の在り方、そしてヒーローもまたゴミョンとなったのではないでしょうか。

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『グッドニュース』感想とレビュー

日本で実際に起こったハイジャック事件を
『キルボクスン』などを手掛けたビョン・ソンヒョン監督が
脚色を加え韓国映画として制作しました。

さらに本作に登場する日本人役に実際の日本の豪華俳優陣が連なり、
日韓の華やかな競演も実現されました。

筆者は実際の事件が起こった際にまだこの世界に誕生していませんでした。
同じように、実際の事件に詳しくない視聴者はどこまでが真実で
どこからが脚色なのか?
困惑するのも楽しみだったのではないでしょうか。

とはいえ、本作のモチーフになったのは実際に起こった人質事件です。
大いにコメディ要素を取り入れることに懸念の声も上がったのだとか。

しかしながらその笑いの元となった当時の日本政府の対応や、
韓国の偽装作戦、あしたのジョーのセリフに至るまで
実際に起こったことなのだというから驚きの連続でした。

そしてそれぞれをコメディに仕立て上げることで
突然の危機が浮き彫りにする国家の立ち位置や複雑な駆け引き、
その中で掲げる正義の在り方などを考えさせられたのではないでしょうか。

物語は韓国の立役者が公に賞賛されることはなく、
しかしながら視聴者にはその存在を確かなヒーローとして
認識させます。

どんなときも表側しか知らされない中で、
その裏に名も知れぬ英雄が潜んでいることを
忘れてはならないのだと思わされる一作でした。

「あしたのジョー」の最後・・・あなたはどっちだと思いますか?

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