ラストは夢か?現実か?『雨の中の慾情』虹の意味が紐解く2つの結末

邦画

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漫画家・つげ義春氏の同名短編をモチーフに
『さがす』『ガンニバル』などの片山慎三氏が脚本・監督を担い、
主演を「スマホを落としただけなのに」シリーズの怪演が記憶に新しい
成田凌が務めた奇怪なラブストーリー
『雨の中の慾情』

先も読めずに困惑すること間違いなしの本作の
気になるラストは夢か現実か?そして虹の意味の謎に迫ります。

以下、結末までのネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。

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『雨の中の慾情』衝撃の結末

売れない漫画家の義男は大家の尾弥次の手伝いで
出会った福子に恋をしていました。

しかしその福子は知人の伊守と恋人関係にあり、
しかも伊守と福子が義男の家に転がり込んで来たことから
奇妙な共同生活が始まったのでした。

やがて伊守には実は裕福な妻が居て婿養子として豪邸で暮らしていること、
そして家族の元へ帰ると言って福子を置いて出て行くという展開を迎えます。

悲痛にくれる福子でしたが家族の元で暮らす伊守との再会を経て
伊守の腕を刺した福子はようやく決別を受け入れ義男と結ばれるのでした。

しかしこの物語はラストで驚愕の真実が明かされます・・・。

それは全て義男の幻想だった

実際に義男が置かれていたのは
戦時中の兵士という過酷な現実でした。

ともすればこれまで描かれた福子との出会い
伊守と福子の関係、そして義男の思いが成就したことも
全てが義男の夢の中の出来事だったと言えるでしょう。

義男は銃弾の雨が降り注ぐ中で恐怖に逃げ惑っていた最中、
隠れていた少女を助けようとして別の少女に背後から撃たれてしまったのです。

負傷して腕と足を失った義男は野戦病院で目を覚ますと
そこには伊守そっくりの兵士の先輩尾弥次そっくりの
医師
が義男を見守っていました。

しかしむしろこちらの方が現実であり、
義男が撃たれてから目を覚ますまでに見た夢
それが前半で描かれていた物語だったのです。

義男は倒れている間も福子のお守りを握りしめていたと言います。

そこで伊守に連れられ負傷した身体で福子に会いに行ってみると、
彼女は義男に綺麗なガラスのインクペンを残して亡き人となっていました。

そして伊守も義男の元から戦場へ旅立って行ったのでした。

漫画家志望のお客さん

場面は変わって漫画の原稿を書き上げた義男は
つむじ風と称した子どもを恐怖に陥れ体液を抽出した物を高値で
売りさばくという怪しい事業で会長となっていた尾弥次が
児童誘拐の罪で捕らえられている現場を目撃します。

そして尾弥次の元で働いていた福子の身を案じ走って探しに行きます。
あの豪邸も病院も駆け抜けてやっと見つけた福子でしたが、
義男の呼びかけに振り向いた直後に車に轢かれて飛ばされてしまうのです。

義男は福子を抱き上げ2人は微笑み合い愛情を確かめ合うものの
気づくと福子の姿は消えていました。

そして義男の腕も動かなくなりその場に倒れてしまうのでした。

すると場面は戦時中の義男が撃たれた直後に切り替わり、
伊守ら戦友に見守られて義男は静かに息を引き取ったのでした。

一方で福子の方は日本人の兵士と共に日本へ帰還しようとしていました。

兵士は福子が壁に飾った絵を見て誰が書いたのか?尋ねます。

それに対して福子は良く来てくれた漫画家志望のお客さんが書いてくれた
と答えるのでした。

絵を持っていくのか?聞かれた福子は一瞬
絵を描いた男に思いを馳せますが持っていくことなく
その場を後にするのでした。

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『雨の中の慾情』ラストは夢か?現実か?

この物語を大まかに捉えるならば、前半パートの
売れない漫画家として福子や伊守との三角関係に陥る義男が
夢幻
であり、

後半からラストで描かれる戦時下に少女に撃たれた義男の方が現実である
ととらえることができるでしょう。

そして福子が義男とは別の日本人兵士と出て行く場面も
義男の夢ではなく義男がこの世界から消えた後の福子の現実
なのだと言えるかもしれません。

そこから垣間見える真実は、
義男と福子の本当の関係はお客さんと娼婦という間柄に過ぎなかったことです。

日本へ連れて帰るという義男の決意は固かったものの
福子にとってはその相手は義男ではなくても構わなかった
といえるのかもしれません。

あの状況下で生きていくということはそれだけ過酷なのでしょう。

しかしながら義男が書いた絵の件を問われた福子が
義男のことを思い出しているような描写があり、
義男の存在を忘れ去ったわけではないことも伝わってきます。

義男と福子の結末

負傷して病床に伏せる身である義男に対して伊守が言った

別れってのはな、お前の中でその人を殺しちまうってことだ

という言葉がこの作品の鍵になっていることも重要なポイントと言えるでしょう。

夢か現実かが明確には判断しかねる状況下で
上記のセリフを受けた後、車に轢かれる福子の死が描かれています。

これは義男が最後に夢の中で福子を殺したということなのだと思いました。
そしてその意味は義男が福子との別れを決断したということです。

福子が夢の中で消えた後、義男自体もその場に倒れてしまい
場面は義男が撃たれ伊守や戦友の腕の中で息絶えるような描写になります。

本作で義男が登場する最後のシーンであるこの場面は
義男の死を示唆するものなのか?

だとすれば、この場面以前の物語が全て
義男が一瞬の時の中で描いた希望や願い、欲望などであり、
生きたいと抗う生存本能が見せた夢
だったということなのでしょうか。

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虹の意味が紐解く2つの結末

本作で描かれたのは夢も希望も恋愛もあった一人の日本人兵士・義男が
戦時下で息絶えるまでに見た願いと希望の夢でした。

一瞬の中に詰め込まれた希望の夢は現実の義男の意識に引き戻される
に従い風景を変えて、流暢に日本語を話していた福子も
段々と片言になっていきました。

それがストレートな結末なのだと思います。

ところで本作の中には意味深なモチーフや
戦友が恋敵だったり、医者が悪役だったりする
夢と現実のギャップなど興味深い描写が満載です。

その中でも虹が意味することが何だったのか?
という謎が気になるところでした。

そこでこの虹の意味からもう一つの結末を深読みしてみました。

福子と別れない結末

あの虹はどんな時に現れるのか?
ストレートな結末を迎える物語でのそれは
日本や中国の古来で伝わっていたという不吉の前兆だと推察しています。

そのように義男が最後に見たあの光は
冒頭からの繋ぎであり夢の始まりから義男自身の人生の終わりを示唆していました。

そしてその光が消える時、一瞬先に撃たれて消えた少女の瞳と同じように
義男の瞳からも光が消えていく様が描かれそれが不吉の前兆だったことを
裏付けたように思います。

しかしその虹が不吉の前兆ではなく
世界線が切り替わる時を意味しているとすればまた違った結末が
見えて来るのかもしれません。

例えば冒頭の情事の後に現れた虹は
その情事が夢であったことを明確にしました。

しかし漫画を描き終えてそれを持参しようとした時に
現れた虹ではその前後で同じ様に漫画の原稿を抱えていました。

ともすれば漫画自体は夢でも現実でも描いていた
いうことなのかもしれません。

同様に撃たれてそのまま息絶えてしまった義男と
撃たれて腕や足は失ったものの一命をとりとめた義男という
世界線があったのではないかと深読みしてしまいます。

伊守が義男に言う『別れってのはな・・・』という印象的なセリフも
義男の夢の中の出来事ではなく実際に伊守が義男に言った言葉なのでは
ないでしょうか。

そしてその言葉の裏には
『自分の中でその人を殺さなければ別れることにはならない』
という意味が隠されているように感じたのです。

ともすれば義男は福子を失ったと知ったその後、
別れを受け止めたのではなく、
漫画を描きその中で自身と福子の幸せな未来を残したのではないでしょうか。

だとすれば、想像の中で義男を殺したのは絵を置いて
別の日本人兵と旅立った福子の方だったのかもしれません。

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『雨の中の慾情』感想

成田凌が主演という前情報のみで
油断して視聴してしまった結果、本作のぶっとびぶりに
驚愕しました・・・というのが率直な感想です(笑)。

どれが夢でどれが現実なのかは
巧妙に曖昧に描かれている分、何が正解なのかは
視聴者の好きなように解釈できる物語なのでしょう。

夢の中には実際の義男の戦友たちや助けてくれている軍医が
悪役となって登場してるのが興味深いところです。

義男と共に病床に居る兵士たちにとって軍医の存在は手の限りを尽くして
負傷兵を再び戦地へ送り出す悪魔のような存在だったのかもしれません。

だとすれば「つむじ風」の本当の被害者は負傷兵たち?

では伊守はどうして悪役なのか?
義男が福子の名を口にした時、『???』という反応をした伊守ですが
実際は伊守自身も福子の客になっておりながら名前も認知していなかった
ことや、義男には叶わない相思相愛の恋人の存在が居ることへの
嫉妬の感情などがあるのかもしれません。

これは誰も見たことがない愛の物語

というキャッチコピーの本作。

結局はどんな状況下にいようとも人は誰かを求め
愛情を持ったり持たれたりをもって生きている実感を得る
ということなのでしょうか。

そして愛情を持つ者にとって最も怖いのは物質的な別れよりもむしろ
記憶からの抹消
なのかもしれません。

一人で見ることが推奨される本作ですが(笑)
月並みな幸せさえ手に入れることは案外難しいと
痛感する一作です。

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