同名原作を佐々木蔵之介主演で実写化したドラマの
続編であり完結編となった映画
劇場版『マイホームヒーロー』
家族を守るために闘うごく普通のサラリーマン、哲雄。
対峙するのは半グレ組織。
哲雄は家族を守り抜くことが出来るのか?
結末はハッピーエンドか?バッドエンドか?
ネタバレありで感想、考察を綴っています。
この記事のポイント
・『マイホームヒーロー』の結末はバッドエンド?
・劇場版『マイホームヒーロー』感想
以下、ドラマ版『マイホームヒーロー』のネタバレを含みます。
ご注意くださいませ。
劇場版『マイホームヒーロー』あらすじ
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※初回は1&2話一挙放送 #マイホームヒーローカメラ📸#佐々木蔵之介 #高橋恭平(#なにわ男子) pic.twitter.com/xVk2aOg1N6
妻と娘、そして息子の4人家族で幸せな生活を送っている
ように見えるおもちゃメーカーで働くサラリーマンの鳥栖哲雄。
しかし7年前、娘の零花を殺そうと計画していた
半グレ組織の延人を殺害してしまった過去がある。
その報復の矛先が向けられた哲雄は、延人と同様半グレの恭一に罪をなすりつけ
逃げ切ることに成功した。
だが恭一の告白により息子の仇を取ろうと零花の部屋におとずれた延人の父親
義辰は、哲雄の前で自ら命を絶った。
自らの命を犠牲にしてその罪を哲雄になすりつけ、哲夫が
組織(間野会)の報復対象になるよう仕向けたのだ。
組織に追われることを恐れ、義辰を山中に埋めて隠蔽した哲夫は
家族との日常に戻れたはずだった。
それから7年後の現在、その山中に土砂崩れが起き、義辰の亡骸は公のものとなってしまう。
再び義辰が持っていた10億円の行方を巡って間野会に追われる
こととなった哲雄の運命はいかに・・・。
キャスト
佐々木蔵之介、木村多江、高橋恭平、齋藤飛鳥、宮世琉弥、板倉俊之、
大東駿介、淵上泰史、立川談春、神野三鈴、音尾琢真、津田健次郎 他
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※アニメ版『マイホームヒーロー』はおおよそ実写ドラマ版までのストーリーが
展開されます。
以下、結末のネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。
本記事の情報は2024年11月時点のものです。
最新の情報は各サイトにてご確認くださいませ。
『マイホームヒーロー』の結末はバッドエンド?
ドラマ版では1話で、愛娘の命を狙う悪党を手にかけてしまった哲雄。
その相手が半グレ組織のメンバーだったことで
家族を守るための更なる罪を重ねていくしかありませんでした。
推理小説を書くという趣味が相まって、
全くの素人には真似のできない隠蔽工作や人に罪を被せる作戦が
功を奏してピンチを乗り切ったはずでした。
しかしドラマの最終話のラストシーンでは、
義辰を埋めた山が土砂崩れしたという不穏なニュースが流れて
物語は幕を閉じました。
その続きから始まる本作はいかなる結末を迎えたのでしょうか。
結末までの展開
家族のために罪を犯す父親。
家族のために秘密を守り抜きそのための協力も惜しまない母親。
そんな両親の秘密を知る由もない娘の零花は犯罪者を憎む
警察官になっていました。
山中から義辰の白骨化した遺体が発見されたとあって
義辰が持っていた10億円を巡って間野会を率いる志野が動き出します。
延人も義辰も零花の部屋から消息を絶っていることから
鳥栖哲雄に目をつけた志野は鳥栖家を放火したり
10億円を返せと哲雄を脅します。
そんな哲雄の味方になったのは、間野会の悪事を暴こうとした
フリーライターの父が間野会の窪に殺害された
大沢隼人でした。
2人は同じ敵を倒すため協力して間野会に立ち向かい、
窪を倒すことに成功します。
その後、消えていた恭一が哲雄の前に現れ、哲雄は
7年前、自身の身代わりに間野会に差し出したことを
謝罪し、間野会を壊滅させようと持ち掛けるのでした。
その作戦は隼人が持つ父のデータを露呈させることと
哲雄が画策する志野との心中で決着をつけることでした。
恭一の協力で小屋に志野と2人きりになった哲雄は
ガソリンを撒き、火を放とうとしました。
するとそこへ恭一の計らいによって父を助けに来た零花が
現れ、心中は阻止されたのです。
恭一はその足で哲雄の妻、歌仙と息子の明の救出に向かい
家族は再会できました。
そして哲雄は零花に両手を差し出したのです。
哲雄の結末とは
哲雄は逮捕され、歌仙は、自分の分まで家族を守って欲しいという哲雄の
願いを聞き入れ明の元にとどまりました。
恭一は7年間、音信不通にしていた母親の元へ帰宅。
窪との闘いで重傷を負った大沢は病院で目覚め、
志野も逮捕され、間野会は壊滅に追いやられました。
事件は解決し、それ以上、鳥栖家が狙われることは、
ありませんでした。
しかし、刑務所に収監された哲雄は犯罪人としてその罪を背負って行かなくてはならず、
家族を手放すことも、家族を守ること
という決意をし、自分は家族から身を引く意思を固めるのでした。
そんな哲雄の元に届いた一通の手紙には
幼い息子明が描いた家族の絵。
そしてそこには『大好きなお父さん』と書かれていたのでした。
ハッピーエンドかバッドエンドか⁈
『大切な人が襲われている時、その手にはナイフがあって・・・』
という台詞で始まる某人気ドラマがありましたね。
本作においても、その瞬間ではないものの、
もしも哲雄が延人を見逃せば、何をしても
零花の命は奪われていた可能性は高かったと思うのです。
そうなると、その人気ドラマの台詞と似たようなシュチュエーション
であると言っても過言ではなく、残酷な未来の想像がよぎった時、
父親は娘を守るためにそれ以外の選択の余地がないと
考え下した結果の行動でした。
そして厄介なのは、その男性が組織に所属していたことでした。
それは哲雄が自首をすれば終わるという状況ではなく、
もし罪を認めれば哲雄のみならず家族も全滅に至る可能性をはらんでいました。
哲雄の行動は自分が罪から逃れたい訳ではなく、
一貫して家族の身の安全を守ることでした。
何度も乗り越えたピンチの末、
ラストでは哲雄は零花によって逮捕されてしまい、
刑期は短くはないことが予想されます。
心の拠り所である家族とも離れる決心をした哲雄のその状況は
バッドエンドを連想させます。
しかし最後の最後で届いた歌仙からの手紙で、
哲雄の行動は報われるのです。
そこには誰1人として欠けることのなかった家族の絵がありました。
そして誰一人として欠けることがなかったのは、
他の誰でもない哲雄が守り抜いたからだと言えるでしょう。
逮捕後も家族の誰も哲雄を見放さず、変わらぬ愛情を抱いていることこそが
哲雄が家族のヒーローとして君臨した証なのではないでしょうか。
ともすれば、娘を失い自分はサラリーマンを続けた世界ではなく、
娘を救い罪人になったとしても哲雄にとっては、ハッピーエンドなのかもしれません。
劇場版『マイホームヒーロー』感想
哲雄の取った行動は法を犯したことに違いはありません。
しかしそれならば娘もその他の家族も守るために
どんな行動を取れば良かったのか?
考えられる変わりの行動を考慮してみても
完璧に守り抜くことは難しく、その答えも簡単には
導きだせるものではなかったのでしょう。
だとすれば『守り切る』目的を果たした哲雄には
きっと後悔はないのです。
しかしそれでも罪の意識が消えることは一生ありません。
ドラマと映画を結ぶ空白の7年間は描かれることはありませんでしたが
恐らく罪の意識に囚われ続け、眠れぬ日々が続き、
息子の誕生時でさえも罪悪感に襲われたかもしれません。
『いつか赦される日がくるのだろうか』
という一文を書いては消していた哲雄の心理。
他でもない哲雄が(自分が幸せになることなど)
赦されることはあり得ないという自責の念にかられ、
日々の生活の中で苦しみ続けていることの表れなのではないでしょうか。
逮捕という結末はあるべき結果でありながら
哲雄にとっての幸せと苦悩が隣り合わせだった日々からの
解放の一歩でもあるのかもしれません。
物語の中で哲雄の刑期について語られることはありませんでした。
哲雄に対する罪の重さをどう感じるのか?
視聴者に委ねられたと言えます。
あなたは情状酌量の余地があると思いますか?
同情と、正義と、強さと、残酷な世界と、そして家族愛と・・・
複雑な感情が絡み合う一作でした。
佐々木蔵之介さんはもちろんのこと、
木村多江さんの凄さと、イケボな声優として名高い津田健次郎さんの怪演
が見所すぎました。