『勇者ヨシヒコ』とか『銀魂』とか『新解釈・三國志』
面白いですよね!
その面白さに一役も二役もかっている
あのナチュラルで不思議な笑いを提供してくれる、
佐藤二郎さんが主演を務める
映画【さがす】。
いつもとは違う、深刻な面持ちに興味を持たれて鑑賞された方も多かったのでは?
それは期待を上回る、いつもと違って驚愕な作品でした。
色々と考えさせられる本作では、
タイトルになっている『さがす』が気になる。
ラストの展開はどういう意味?
などの疑問等が沸いたのではないでしょうか?
そこで
この記事では、主人公たちがさがしたもの
そしてあのラストの解釈は?
ということに焦点をあてて以下の内容をまとめてみました。
誰かのお悩みのヒントになりますように!
・智と楓と山内のさがしもの
・視聴者に委ねられたラストの考察
・【さがす】の感想
【さがす】作品概要
ムビステ!週末情報
— MOVIE-STATION[ムビステ!] (@moviestation758) February 16, 2023
▶︎2月17日(金)公開 公開1周年記念 凱旋上映『さがす』
PG12
◎ミッドランドスクエア シネマhttps://t.co/R95Hg8HxmQ#さがす pic.twitter.com/1HXEQrkDfF
監督・脚本 片山慎三
公開 2022年1月21日
PG12のレートですが個人的にはそれ以上な気がしちゃいます。
グロとか苦手な方は要注意です。
ファミリーでの視聴もおススメしませんww
キャスト
原田 智 (佐藤 二郎)
原田 楓 (伊東 蒼)
山内 照巳 (清水 尋也)
ムクドリ (森田 望智)
花山 豊 (石井 正太朗)他
あらすじ
原田家は卓球教室を廃業して無色の父と高校生の娘の2人暮らし。
ある日
20円の所持金不足で万引きをして見つかった父を迎えに行く楓。
そんな楓に父・智は
懸賞金のかかった指名手配犯を見かけたので捕まえたら300万円が手に入る
と言う。
相手にしなかった楓だったが、翌日目を覚ますと智が消えていた・・・。
以下、作品のネタバレを含みます。
未視聴の方はご視聴後、ご来訪をお待ちしています。
智と楓と山内のさがしもの
失踪した父を探す楓は、その過程で指名手配犯の山内に出会い、
父の安否を心配します。
しかしながら
山内が持っていた父の携帯を目の当たりにして、それは一変しました。
行方不明になった父を見つけるのではなく、
楓が知らない父をさがすという目的に。
智は妻をてにかけた罪悪感を消したかったのでしょう。
妻は最後に微笑んでいたという山内の言葉を鵜呑みにします。
智が犯したその行為は正しかったのだと証明する確証を
その後自らも共犯になってさがしていたのです。
本当に人生を終わらせたがっていた唯一の人・ムクドリに
哀願されて、ほほ笑まれて、その瞬間、ムクドリと公子が重なり
智の正義は確証となりました。
山内がさがしていたもの
それは、本当に命を絶ちたい人。
山内自身は、生きることに執着しているように見えましたが、
人生には絶望しているようでした。
生きる目的は、本気の人をさがしていたから・・・。
そんな風に感じました。
そして、本当に命を絶ちたい人とは
自分と同じく人生に絶望してそれしかもう道はない
という、山内と似ている境遇の人。
それが山内がさがしていたもの。
視聴者に委ねられたラストの考察
父に罠を仕掛けた楓は、
父が母にしたこと、
父が山内としたことを探し当ててしまいます。
そして楓が下した決断とは。
通報したのかしなかったのか?
『さよならや』と涙。
卓球のラリーをする親子の映像と共に聞こえるサイレンの音と
楓が父に告げる
『さよならや』の言葉。
楓ももちろん母を愛していました。
だからこそ母にしたことはやはり許せない。
例え母が言葉では願ったことだとしても
それが本心だったのかは誰にもわからない。
そしてそれが本心だったと思わない楓だからこそ
見てしまう母の最後の幻影。
〖母のことと娘のことを忘れたらあかんで〗
智が犯したのは母のことを思うが故の罪だったはず。
智が手を染めたのは娘のことを思うが故の共犯だったはず。
しかし山内のようになってしまっていった智は
いつしか妻のことや娘のことを忘れ
対象の人物のことばかりを考えるようになる。
山内が居なくなってもなお、
妻や娘のことより、新たな相談者のことを考え行動していた。
その姿にもう父の面影はない。
だから
目の前にいる父のような悪魔とは決別する決意を固めたのかもしれません。
ただ、サイレンの音は、偶然通ったパトカーで
楓が通報したわけではない気がしました。
自ら警察へ行って欲しい
という願いを込めて『迎えがきたで』。
けれど、もしかしたら
智は逃げるかもしれません。
家族を突き出したくはない・・・というのも楓の本音。
勝負がついた後のエアラリー
勝負がついたあとの
ピンポン玉のないエアラリーは一体どういう意味だったのでしょう?
この場面のピンポン玉は親子の信頼や絆の象徴だったと考え、
ピンポン玉なしのラリーは
人として父として一線を越えてしまった智への
信頼も絆も見えなくなってしまった証。
でも・・・
親子だから
親子であることは変わらないから
ひとまず、2人の間にあったものは消えてしまったけれど
娘はまだ『さがす』のでしょう。
楓が知っている父の姿を。
だから玉を落とすことがない終わらないエアラリーを続ける・・・。
【さがす】感想
冒頭とラストで入れ替わるように動く、智と山内の心の描写が
非情で見応えがありました。
妻と娘を思う善良な父であり夫であった智
と
偽善を盾に犯罪を犯すことを微塵も気にしない
悪魔のような山内。
2人は出会ってしまいそれぞれ変わっていきます。
智は、超えてはならない一線を越えてしまった結果
少しずつ変貌していくさまが
何を考えているのかわかりずらく恐ろしい。
山内の犯行が明るみに出ると、
自らも片棒をかついだ恐ろしい行いは棚に上げて
自らの保身を考え、山内を貶める恐ろしい計画を実行しようと画策します。
冒頭、ハンマーの素振りをする智には、あの父親の影はもうありません。
対照的に、智の妻・公子を手に懸ける際には
公子が握りしめていたピンポン玉を
無情に踏みつぶした山内。
人間性のかけらもないように思えた凶悪犯は、
妻が全てだった智との交流の中で、愛情に触れました。
智の保身のため嘘で固められた優しさだったにも関わらず、
自分に良くしてくれるその行為が嬉しかったのでしょう。
自分が逮捕されたとしても智のことを絶対に他言しないことを約束します。
その言葉が嘘でないことは、
智が恐ろしいものが入っているに違いないと想像したクーラーボックスに
智と乾杯するためのビールが大量に冷やされていたことでもわかります。
しかし智はそのクーラーボックスの本当の中身を目撃しても
もう思いとどまることはありませんでした。
最後に智に殺される山内が流した涙の意味は一体なんだったのでしょう?
まだ生きたい・・・の涙?
信じはじめていたのに・・・の悲しい涙?
やっぱり、愛情なんて存在しない・・・の絶望の涙?
山内の心の変化の描写には
きっと、どんなに凶悪な人間だったとしても
産まれながらに悪な人間など居ない・・・
そんな意味が込められているように思いました。
そして山内が言った
本当に人生を終わらせたい人など居なかった
という言葉。
『出来ることならば』
『もしもあんなことがなかったら』
『もしも健康であったなら』
生きたい
それが真意なのだと思います。
そしてその人と近しい誰もが願う
生きる道をさがしてほしかった
・・・と。
誰しもが日々の中で答えをさがしているのかもしれません。
生きる意味だったり、
誰かの思いだったり、
自分の未来の選択だったり・・・
でもその度にいつも思わされるのです。
人生の答えなんて誰にもわからない。
ということを。
だからいつまでも
〖さがす・・・。〗のでしょう。
※本記事は2023年5月時点のものです。
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