浅倉秋成氏の同名小説を浜辺美波主演で実写映画した
『六人の嘘つきな大学生』。
緊迫した就職活動の最終選考の場で密告事件が発生。
仕組んだ人物は誰なのか?
犯人が自白した理由と最後まで明かされることがなかった
最後の封筒の謎に迫ります。
『六人の嘘つきな大学生』あらすじ
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— 映画『六人の嘘つきな大学生』【公式】 (@6uso_movie) September 2, 2024
▓ 本ポスタービジュアル解禁 ▓
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❝嘘❞に取り込まれた六人。
一秒たりとも目が離せない、
全員嘘つきミステリー。
🎥𝟏𝟏.𝟐𝟐 𝐅𝐫𝐢 𝐑𝐎𝐀𝐃𝐒𝐇𝐎𝐖#六人の嘘つきな大学生 #六嘘 pic.twitter.com/t28Vg62Le4
大手エンターテインメント企業「スピラリンクス」の新卒最終選考に
残った6人の大学生たちは人事部長より、グループディスカッションによって
採用者を決定すると告げられた。
その内容によっては6人全員の採用もあり得ると言う。
6人は一か月後に控えた最終選考のグループディスカッションを前に
ファミレスで集まり自己紹介を行った。
集まったのは早稲田大学社会科学部所属の嶌衣織。
立教大学経済学部の波多野祥吾をはじめ、
リーダーシップを発揮する慶応義塾大学の九賀蒼太。
明治大学で元高校球児の袴田亮。
語学力に長けているお茶の水女子大学の矢代つばさ。
そして公認会計士の資格を持っている一橋大学の森久保公彦。
と優秀な大学生が揃っていた。
6人は全員で採用を勝ち取るための対策を練るべく
定期的に集まることを決め、互いの親交も深まっていった。
ところが最終選考を前に、突然人事部から通達されたのは
採用者はたった一人であるという無情な変更と、
グループディスカッションの課題はその採用者を彼ら自身で選出して欲しい
というものだった・・・。
キャスト
浜辺美波、赤楚衛二、佐野勇斗、山下美月、倉悠貴、西垣匠、
中田青渚、木村了、渡辺大 他
以下、結末までのネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。
本記事の情報は2026年1月時点のものです。
最新の情報は各サイトにてご確認くださいませ。
密告事件を仕組んだ人物は誰?
友情を深めたかに見えた6人の学生たちでしたが、
それは皆で仲良く採用されるという前提があってこそでした。
たった一つの採用枠を争うことになった6人。
そしてあろうことか自分以外の誰かを推薦しなければいけないのです。
そんな緊迫の最終選考で起こったのは仲間を蹴落とす密告事件でした。
暴かれる裏の顔
それぞれが自己PRを行い、15分に一度の頻度で投票が行われ
最多投票数を獲得した者だけが採用者となるルール。
1度目の投票では矢代と森久保以外の受験者に票が入りますが
ここまでリーダーシップを発揮している久賀がやや有利な展開になっていました。
その時、衣織は部屋の隅に置かれた怪しげな封筒を見つけるのです。
その中には各受験者の宛名が記された封筒が6枚入っていました。
久賀が自分宛の封筒の中身を開封すると、
そこには袴田が高校時代に所属していた野球部で同じ部員に対し
いじめを行い、自殺にまで追い込んだ過去が暴露されていました。
それは他者を推薦するというこの最終選考では不利になる密告でした。
そして皆の袴田を見る目が変化していきます。
そんな光景を見て自身に票が入る可能性がなくなったと
嘆く袴田は他の封筒も開封することを望みます。
それぞれの封筒には自分以外の誰かの密告が仕込まれていました。
そして袴田は自身の宛名の封筒を開封しました。
次に暴かれたのは、矢代のキャバクラでのバイト歴でした。
そうして森久保の詐欺まがいの行為、久賀の女性への中絶騒動・・・と
それぞれの過去は暴かれていきました。
暴かれた犯行
次々と暴かれる受験者たちの過去でしたが、
次第に話題は誰がこんなことを仕掛けたのか?という
犯人捜しへと発展していきました。
人事が設置したビデオの録画を見返すとそこには
封筒を設置する森久保の姿が映っていたのです。
しかし森久保本人は人事部に依頼されたと思い込み仕込んだのだと
弁明しました。
その時、久賀がこれらの暴露の証拠写真の全てに共通する特徴があると
言います。
それは全て同日に撮影されていること。
そして写真の全てに共通する傷が存在すること。
さらに犯人だけは自身の暴露を痛手の少ないものにするのではないか
という推理。
それらの条件に当てはまる人物が一人だけ存在したのです。
撮影された日に唯一アリバイが証明できない予定がなかった人物。
そしてその人物の裏の顔として暴露された過去は未成年飲酒でした。
皆にはそれまでの暴露内容に比べれば至極軽いものに映ります。
その人物の正体は波多野だったのです。
採用を勝ち取った者
波多野は自身の潔白を主張しますが
そこに居る全員が波多野に疑念を抱いていました。
仲間だと信じ、密かに好意をよせていた衣織までもが
波多野を犯人だと思うアンケートに挙手したのです。
その光景を見た波多野は犯人は自分だと白状し、
自身の封筒の中身である衣織の暴露は何も見つからず白紙なのだと
発言すると手紙を胸ポケットにしまい込み、最後の投票が始まりました。
投票の結果、唯一過去の暴露を免れた衣織に最多の票が集まる結果となり、
採用者は衣織で決定しました。
「犯人、嶌衣織さんへ」
それから8年が経過し、衣織はスピラリンクスの社員として
キャリアを積み脚光を浴びていました。
そんな衣織の元に一人の女性が尋ねて来ます。
彼女は波多野芳恵と名乗りました。
8年前、共に最終選考に残り、最終試験であの暴露事件を引き起こした
犯人・波多野の妹でした。
芳恵は兄は病気を患い他界してしまったと話します。
そして「犯人、嶌衣織さんへ」と書かれた手紙とUSBメモリーを
発見し衣織に届けに訪れたのです。
衣織はUSBメモリーを開こうとしますが、そのパスワードである
「犯人が愛したもの」を解くことができずにいました。
そこで衣織はそもそもあの事件は本当に波多野の犯行だったのか?
もう一度検証を始めたのです。
すると証拠写真を同日に撮影するのは不可能な距離であったことが判明します。
それはすなわち、あの日にアリバイを証明できなかったからといって
波多野が撮影者だとは限らないことを意味していました。
さらにあの最終選考を録画したビデオには
矢代と森久保の不可解な行動が映っていたのです。
封筒を開けた2人はその中から暴露の証拠意外の何かを取り出し
隠していたのです。
さらに波多野の暴露写真の未成年飲酒の件にも違和感が存在しました。
波多野の暴露には散歩サークルのサイトにあった画像が使われていたのです。
しかし波多野が飲んでいた酒の瓶がなぜかピンぼけしたビール瓶に
差し替えられるという謎の手が加えられていました。
衣織は残りの受験者4人をあの部屋に呼び出しました。
そして「犯人、嶌衣織さんへ」と書かれた手紙を見せます。
4人が衣織を真犯人だと思い込みます。
しかしこの手紙の宛名には「犯人」と、「衣織」の間に句読点がうたれており、
その意味は衣織が犯人だという意味ではなく、「犯人」と「衣織」の2人に充てられたもの
だったのです。
真犯人の正体
波多野はもちろん犯人の正体を衣織だとは思っていませんでした。
それゆえにUSBメモリーのパスワード=犯人の好きなもの
が衣織には解けなかったのです。
真犯人はあの日、矢代と森久保の封筒にメモを同封し指示を出していました。
それは「証拠写真は同日に撮られたものであると証言しろ」
という指示でした。
2人はそれに従ったのです。
同日に撮影したと立証されたことで
その日にアリバイがないただ一人の人物・波多野の犯行が
確定視されてしまったのでした。
衣織は真犯人は何故、波多野の暴露写真に細工をしたのだろう?
と疑念を持ちます。
何故ならば証拠写真に使われた散歩サークルの画像の波多野は
すでに酒の瓶を飲んでいるのです。
なのにそれをわざわざ映りの良くない瓶ビールに差し替えた理由が
不可解だったからです。
そしてその疑念こそが真犯人がお酒を飲めず、画像で波多野が飲んでいた瓶が
酒だとわからなかった人物であると導き出しました。
4人の中でお酒を飲めない人物は久賀でした。
真犯人、久賀の口癖「Fair」をパスワードに入力した衣織は
USBメモリーの中身にたどり着いたのでした。
犯人の自白と最後の封筒の謎
波多野は犯人ではありませんでした。
それなのに自分が犯人だと自白した理由とは何だったのでしょうか?
そして波多野が自分の胸にしまい込み持ち帰った封筒の中身は
久賀以外知ることはなく幕を閉じました。
波多野の自白に込められた思い
波多野はおそらく自身の暴露写真に手が加えられていたことで
真犯人が最初から自分を犯人に仕立て上げようと画策したことを察知
したのではないでしょうか。
そして他の誰に疑われたとしても、自分の潔白を信じて欲しいと思っていた相手、
衣織さえも波多野を犯人だと思うと手を挙げたのです。
その光景を目の当たりにした波多野には
もう自分の採用はあり得ないと確信したのでしょう。
そもそも採用者がたった一人に変更されたあの時点で
波多野は衣織を採用させることに尽力しようと心に決めていたのでは
ないでしょうか。
波多野にもあの時点ではまだ衣織が犯人ではないという確証もなかったことでしょう。
そうなれば衣織の暴露を止め、自身が罪を被れば衣織の採用は決まる可能性が
高かったのです。
波多野は衣織の採用を決定づけるために自白したのではないでしょうか。
※以下、原作のネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。
衣織の秘密
最後の封筒の中身には衣織の秘密が隠されているはずでした。
中身を知らない波多野は白紙だと言って持ち帰り、
中身を開封することなく処分したのです。
8年後、どうしても自身の暴露内容が気になる衣織は
真犯人である久賀にその内容を皆の前で話して欲しいと迫りますが、
久賀は、もう終わったことだとその申し出を拒否します。
そのことで封筒の中身が白紙ではなかったことは確実です。
では一体そこには何が書かれていたのでしょうか。
実は原作においては衣織の暴露の内容は彼女自身のことではなく、
実は有名人である兄と同居していること、そしてその兄は薬物常習者であるという
秘密でした。
しかし実写版において原作とは異なる想定をあえて深読み推察するならば、
それは衣織のずる賢さに関係する何かだったのではないでしょうか。
衣織は採用枠が一人だけだと判明すると自分に好意を持っている
波多野を利用し自分に票を入れるように頼みました。
しかし自身は波多野ではなく好意を抱いていた久賀に投票を続けたのです。
そしてそれでも衣織に票を入れ続ける波多野に感謝をすることもなく、
無事に採用されると彼を思い出すことも気遣うことも皆無でした。
何としても採用されたいという欲望に打ち勝てなかった
そんな衣織の強欲さを意味する何かを暴かれたのではないかと思いました。
しかし久賀は波多野が衣織のために罪を被り、
最後まで衣織を思い続けたことを悟り、あえて衣織を汚すまねを
避けたのだと思います。
それがせめてもの波多野に対する久賀の償いだったのではないでしょうか。
『六人の嘘つきな大学生』感想
真犯人の正体が久賀だという予想は当たりましたか?
筆者は断然、浜辺美波が演じた衣織が怪しいと思っていました(笑)
しかしながら封筒を最初に開封したのが久賀でしたね。
暴露大会が始まらなければこの復讐は達成できなかったので
それを思えば真犯人の久賀が何事もリーダーシップをとるのは
伏線だったのでしょうね。
緊迫の就職試験を思い出しました。
特に面接なんて、ほんの一瞬でその人を判断し審査するわけですから
それこそ試験管の洞察力とか観察力に左右されると言っても過言ではない
世界なのでしょう。
そんなわけで採用されたい学生たちは誰も彼もが、
そう見られたい姿の仮面を被って挑むのが当然になってくるわけですね。
本作でも最終選考には六人の仮面を被った嘘つきな大学生が集合したわけです。
久賀は誰より優秀で採用されるべき先輩を落とした企業が
集めた学生たちの化けの皮を剥ぐことで大企業のおごりや
そのような選考方法自体に対する否をつきつけたのですが・・・。
結果的には袴田は正義の味方だったし、矢代も親思いの苦労人だったり
・・・と嘘の顔を剥いだとて悪の顔が露呈することはなかったという
オチになりましたね。
久賀がターゲットに選んだのがなぜ波多野だったのか?
波多野があの時の無念を抱えながら消えていかなければならない残酷さは
同情を誘うのではないでしょうか。
しかしながらただ一人化けの皮を剥がされずに採用されたにも関わらず、
8年経過してすっかり後輩に厳しい冷たいキャリアになっていた
(ように映りました)衣織が、波多野が残したメッセージによって
「ここからが始まり」なんだと決意のような前進をするラスト。
それはもしかしたら何かに押しつぶされて悪に傾きそうになっていた衣織
の善を波多野が救ったという希望なのではないか?
善ばかりで満たされた人間など皆無であり、それはちょっとしたことで
崩れ去りかねない危ういものなのだ。
人のために罪を被った波多野までもが一時は憎悪に囚われてしまったように。
ともすれば人の裏側や心の奥など誰にもわからないからこそ、
その人が大切な存在ならば一つの失敗で見限るのではなく
向き合って本心を確かめるということが大切なんだと思わされる
一作でした。
