バイオレンスときどき【初恋】タイトルは何を意味するのか?三池崇史監督の意図を探る

邦画
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窪田正孝が主演の映画
【初恋】

筆者は窪田正孝さんと言えば【HIGH&LOW】
スモーキーの役どころがカッコ良かったなぁと
印象的なのです。

そんな窪田さんが主演の『初恋』というタイトルの映画
には淡~くてキュンとしてしまうような期待しかない!

そんな思惑で見てしまうとそれこそ
ガツンとパンチをくらったような、『初恋』とはかけ離れた
エグイ展開が待ち受けています。

本作が三池崇史監督作品であるということを
知れば納得の一作ですね。

ではなぜ『初恋』というタイトルなのか!

・タイトルの意味
・はちゃめちゃバトルの結末

に着目して解説、考察しています。

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【初恋】あらすじ

両親を知らず孤独に生きてきたボクサーの葛城レオ
天才ボクサーと称され注目を集めていた矢先、
格下と思われる相手のパンチで気を失いKO負けしたレオは
そのまま病院へ運ばれます。

検査の結果、脳に腫瘍ができており、
ボクサーとしての生活はおろか余命も長くはない
と診断されてしまう。

ショックのあまり自暴自棄になり座っていると
占い師が声をかけてくる。

その占い師に健康運を占ってもらうと、
〖健康そのもの〗だと言う。

的外れの結果にレオは
『こんな仕事で金をとりやがって』
と怒りをあらわにし、その場を後にする。

一方、恵まれない家庭で育ち、父親の借金を肩代わり
したモニカは、借金を返すため、自身を売り
薬物中毒になっていた。

モニカは薬のせいでたびたび父親や
幼馴染の幻覚を見るのだった。

レオが夜の町を歩いていると
男から逃げているモニカとすれ違う。

『助けて』と叫ぶモニカを追いかける男を
反射的に殴ってしまう。

倒れた男の上着から落ちていたのは警察手帳だと
いう事に気づき動揺するも、レオのことを〖リュウジ〗と呼ぶ
モニカに促され、二人は手をとり逃げることに・・・。

キャスト
窪田正孝、大森南朋、染谷将太、ベッキー、小西桜子、
藤岡麻美、三浦貴大、村上淳、滝藤賢一、ベンガル、内野聖陽 

以下、ネタバレを含みます
未視聴の方はご注意ください。

本記事の情報は2024年6月時点のものです。
最新の配信状況は各サイトにてご確認くださいませ。

タイトル『初恋』とは何を意味するのか

本作は、日本の極道中国マフィア
その中に潜む裏切り者極道の恋人を殺された女、
そして悪徳刑事が絡んだ抗争。

それに巻き込まれてしまった2人の若者
という構図になっています。

しかしながらその中にちゃんと恋が見え隠れするのです。

レオの初恋

当初のレオは自分の命があとわずかだと知り、
絶望感の中、夜の町を彷徨って後先考えずに
見知らぬ女性を助けました。

しかし、彼女と逃避行をしているうちに
少しずつ芽生えてきた守りたいという気持ち。

途中で、医者からの留守電を聞き、
脳腫瘍という診断が誤診だと判明してもなお
極道やマフィアを相手にしてもひるまずモニカを守る為に
必死になるのです。

そんな真っすぐに相手を思う気持ち
それこそ『恋』と言えるのではないでしょうか。

そしておそらく家族もなく、一流のボクサーになることだけに
打ち込んできたレオにとって、
初めての恋だったのだと思います。

モニカの初恋

モニカは父親に虐待を受ける辛い日々を送っていましたが、
そんな父親を殴り飛ばしてくれたのは
中学時代の同級生の竜司でした。

彼はモニカにとっての英雄であり救世主であると共に
今もなお竜司の幻覚を追い求めてしまいます。

そして竜司の方も、彼が優しく勇敢であっただけではなく、
モニカに対する淡い思いがあったのではないでしょうか。

『初恋』とは純粋なもの

『初恋』といえば、筆者の場合は小学校の低学年時
だったのではないかな?と記憶しています。
(ど~でもいい情報を失礼しましたwww)

誰かを意識し、認めてもらいたいという衝動にかられる。
話したいとか、知りたいとか、日々気になってしまう、
そういう存在が初恋の相手でした。

20歳を超えたレオは恋愛初心者ではないのかも
しれません。

しかし『初恋』のように、
それは身体的なものではなく、心で感じる思い

そして感情を取り戻したかのように
より一層ボクシングに打ち込みます。
相手に恥じない自分でいるために。

そんなシンプルで純粋な相手を思う気持ち

それが本作の『初恋』なのだと思いました。

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初恋とバイオレンスの結末

加瀬の策略によってモニカが薬を持ち逃げたと
誤認した中国マフィア

加瀬の裏切りを知った権藤たち極道。

恋人を殺した加瀬に復讐したいジュリ

加瀬と組んだ刑事の大判

極道やマフィアや悪徳刑事に至るまでの抗争に
巻き込まれ中国マフィアの構成員チアチー
銃を向けられるレオとモニカ。

権藤とチアチー

レオがチアチーの行く中華屋のバイトだと気づき、
ボクサーなのか極道なのかどっちか?
問います。

レオがボクサーだと答えるとレオだけを逃がそうと
しますが、命をかけて必死でモニカを守る
レオに『仁』の精神を見て情が沸いてしまうのです。

大抗争の中、最終的に生存したのはレオとモニカそして
大けがを負った極道の権藤
でした。

権藤は全てを見抜いたようで、二人に手を出すことはなく
追ってくる警察から3人は車に乗って逃走します。

しかし、完全には逃げられないと悟る権藤は
レオとモニカを途中で逃がし、
大勢の警察車両から逃げるべく逃走していきます。

そんな権藤の行く手に朝がきます。

『極道に朝日は似合わない』
と笑いながら権藤はそっと目を閉じるのでした・・・。

一方権藤に逃がしてもらったレオとモニカは
服についた血を洗い流しびしょ濡れの姿で
地元を訪ねると竜司とその隣にいる身重の妻
に出会います。

竜司とモニカという2人が共に歩む未来は
叶うことはありませんでしたが、
モニカは竜司に
『おめでとう』
と告げます。

行く宛てがなくなったモニカをレオは
自宅に招きいれます。

その後、レオはボクシングに打ち込み、
勝利した際には喜びの感情を見せるなど、
活気にあふれていました。

モニカも施設に入所し、薬を断ち切るべく
辛い治療を終えます。

そして二人は同じ家に帰っていくのでした・・・。

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【初恋】感想

監督の思惑通り⁈『初恋』というタイトルに騙されて
わくわくしながら視聴を初めたら、
序盤で何かが吹っ飛ぶシーンなどがあり、
こりゃダメかも・・・

と不安になりましたが、それぞれのキャラが皆
主張が激しくて、エンタメとして最高の映画でした。

誰しもが、最初の入口で
〖初恋〗を経験するのでしょう。

でも、時が経つとついつい大切なこと、純粋な気持ち
をないがしろにしがちですよね。

つまらないことで口論になった時には
かつての真っすぐな気持ちを思い出すことにします。

数いた濃い~キャラの中でも筆者は
権藤とチアチーが好きでした。

自分にとっての最高の時代ってありますよね。
そんな最高を、時代が変わっても諦めない権藤は
カッコいい。

そしてチアチーを演じたのはディーン様の妹さんだという
ことですが、『仁』を重んじる心を持った人。

薬を持っていると確信していたモニカを逃がす
ことはチアチーの立場が危うくなりかねないこと。

それでも2人を逃がすチアチーは
彼女自身が思いやりのある人物だということが
伺えます。

そんな彼らの仕事の一環には人の命を奪うという
残虐性を担う日々です。

そういう毎日だったとしても愛情は幸せのシンボル
なのですね。

チアチーは思いやりがある芯の通ったレオに、
武闘派の権藤はその腕で勝負に挑むボクサーのレオに、
それぞれ心が引かれたのかもしれません。

そしてその二人が居たから
大抗争の最中、生き残り、新たに始まる2人の生活
が築けると言っても過言ではないでしょう。


極道であろうと堅気であろうと恋には癒されるのね・・・
と思わされた一作です。

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