『踊る大捜査線』シリーズでは影の主役を担う室井慎次のその後を描いた前作
『敗れざる者』に続く後編『生き続ける者』
を視聴しました。
残念ながら酷評の嵐が巻き起こる本作で視聴者がうなった室井慎次の運命とは
どんなものだったのか?
エンドロール後で青島俊作が登場した意味は何なのか?
深読み考察しています。
※前作『敗れざる者』の記事はこちら
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以下、結末までのネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。
本記事の情報は2025年12月時点のものです。
最新の情報は各サイトにてご確認くださいませ。
『生き続ける者』室井慎次の衝撃の結末
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— 『踊る大捜査線 N.E.W.』公式 (@odoru_movief) March 18, 2024
#踊るプロジェクト 再始動https://t.co/J2eL5PfHEY
#室井慎次
2024AUTUMN
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前作で青島との約束を果たせなかった自分を『敗者』であるとして
警視庁から退いた室井でした。
そしてそんな室井は故郷の秋田へ移住し、犯罪孤児となった身よりのない子供たちを
引き取り、彼らが悲しい思いをしないように見守る里親という
新たな使命を果たしていたのです。
前作では秋田で穏やかな生活を送っていた室井の近くの土地で
かつて彼が指揮をとった通称「レインボーブリッジ封鎖できません事件」
の被疑者だった瀬川吉雄が遺体となって発見されたことで
新たな事件に巻き込まれ、警察に復帰を果たす室井慎次の勇姿が見られるもの
と思っていました・・・が・・・。
レインボーブリッジ事件は勝手に解決?!
捜査一課の桜はレインボーブリッジ事件当時、担当者だった室井に捜査の協力を要請
したのです。
そんな折、捜査本部にかかってきた電話の主が、同事件の犯人グループの一人だった
国見昇であると察した室井の証言によって犯人逮捕に至ったのでした。
拘留中の国見が自供を拒んでいたことから室井は取り調べ室を訪れます。
国見と対面した室井はレインボーブリッジ事件で国見の銃弾を受けた
恩田すみれが今もなおその当時の後遺症に苦しみ、警察を退いたこと、
そしてそんな彼女にも今は家族がいることを打ち明けます。
国見自身が崇拝する日向真奈美の娘・杏もまた母親の洗脳下に置かれ
苦悩しているのだと話ました。
つまりは事件の被害者はもとよりその裏には家族の存在があり、
事件が起こることは当時者だけではなく被害者の家族も加害者側の家族も
苦しみを負うことを説いたのです。
そんな室井の言葉に心を打たれた国見はその後あっさり自供します。
そして事件は早々に解決に至りました。
日向真奈美の娘という設定は生きていない
前作で室井の元に現れた日向杏。
室井は杏のことも引き受ける意向を示しますが
実は杏は日向真奈美の娘であると判明しました。
真奈美が娘を青島等ではなく、あえて室井の元へ送った目的とは
何なのか?
室井の家の納屋に火を放って室井の戦闘服を燃やした杏の
宣戦布告で真奈美の復讐が始まるのかと期待しましたが・・・。
杏はタカやリクを室井から引き離そうとするなど嫌がらせを
続けたものの、杏のどの行いも、火を放った事実も攻めることなく
見守り続け、ここに居てもいいと言う室井の優しさに心打たれ
杏もまた早々に良い子へとキャラ変するのでした。
そうであれば杏を日向真奈美の娘にする必要性は感じられなかった
という残念ポイントになってしまいました・・・。
リクとの別れ
室井の子どもたちのうち次男のリクには彼に暴行を振るって
罪を償っている父親・柳町明楽がいました。
そして明楽は釈放されるとリクを引き取りたいと願い出たのです。
児童相談所も血の繋がりに重きを置き、リクを明楽の元に返す決断を
下しました。
これによって室井は今後リクとも明楽とも接触することを禁じられます。
しかし室井は最後に迎えに来た明楽に二度とリクに暴力を振るわないと
約束をさせてリクを見送るのでした。
ところがある夜玄関を開けた室井の元に、帰ってきたのは傷だらけのリクでした。
明楽もまたリクを追って再び室井の元を訪れリクを連れ帰ろうとします。
無論、室井はリクを引き渡すことを拒否し、これに逆上した明楽は
まずは吠え続けるシンペイの首輪をはずして家から追い出し、
斧をとって室井に襲いかかりました。
それを見ていた杏は室井の猟銃を持ち出し、明楽に威嚇の意味を込めて
銃弾を放ちます。
そこへ明楽を見かけて不審に思った秋田県警の乃木が駆け付け
明楽を確保しました。
室井慎次の最後とその意義
事件も解決に至り、再び3人の里親としての日々が訪れた矢先、
明楽に追い出されたシンペイの姿が見当たりませんでした。
外は猛吹雪であることからシンペイの身を案じた
杏が探しに出ようとします。
室井は杏を静止し、3人に風呂を沸かしておいてくれと告げると
一人で雪の中へ向かって行ったのです。
吹雪は止まず、行く末を見守るしかない村の人々や捜索隊でした。
そして翌朝、捜索隊は心肺停止状態で倒れている一人の男性とその横に寄り添い、
断固として離れようとしない一匹の犬を発見します。
それが室井慎次の最後となりました。
室井は自身が狭心症を患っていると知り、村長の長部に3人の養育費を託していたのです。
秋田県警の新城は室井のやり遂げようとしていたことを引き継ぐべく
「室井モデル」と称した取り組みを始めていました。
生前の室井が酔った勢いで子どもたちに語っていた
今後もより多くの犯罪孤児を救いたいという願い。
そしてその願いを語った場所であるロッキングチェアには
「室井モデル」と題された書類を持った新城が、
最初は対立していた村の人々が・・・次々に現れ室井を偲んだのでした。
室井の3人の子どもたちは力を合わせ多くの孤児たちが暮らすことのできる
「室井の家」を完成させることを決意します。
タカは警察に入る目標を糧に東京大学へ進学し、杏は室井の願いを叶える準備を
村の商店で働きながらしていました。
リクは村の石津夫妻の元に身を寄せている?ようです。
ラストで青島登場の意味
「シンペーイ」と叫びながら雪山に消えていった
室井慎次・・・。
これがレジェンドの最後であるということに
驚愕した視聴者も少なくはなかったのではないでしょうか。
しかしあっけにとられながら見せられたエンドロールの後、
お馴染みのBGMと共に登場したのは本作の主役・青島俊作でした。
見覚えのあるコートを身にまとい、颯爽と向かうのは
室井の家でした。
しかし辿りつく前に青島の元に着信が入り、室井の家には立ち寄らず
渋々引き返す彼の姿でこの物語は幕を閉じるのでした。
室井は生きている?!
この青島の登場は、次回作で遂に『踊る大捜査線』が帰って来ること、
そして分析センターに身を置いていた青島が現場に戻ったことを
示唆しているのでしょう。
しかしそれだけではなく、青島が急な呼び出しを受けたとはいえ、
目の前の室井邸に立ち寄らずに背を向けたことには
一つのかすかな希望を感じるのは筆者だけでしょうか。
まだ助かる・・・まだタスかる…マダガスカル!
それ、ひょっとしたら室井はこの時点では生きているのではないのか?
そんな望みを感じずにはいられませんでした。
青島がこの地を訪れたラストでは雪が皆無だったことから
季節は移り変わっていることが伺えます。
ともすればせめて回想シーンか何かで
実は生前、青島と再会していた・・・というエピソードが含まれたり
するのでは?という期待が膨らみます。
大人の事情も関与?
室井さん(柳葉敏郎)と青島(織田裕二)の間の根強く噂される
不仲説も関係しているのではないでしょうか?
個人的には、室井さんを青島と再会させないまま
最後を遂げさせることで、中の人同士の修復が不可能であること
を印象づけていますが、実際はそれほど不仲ではないのではないか?
と予想しています。
むしろそんな不仲説をも話題作りとして楽しみ、次作で室井を復活させることで
視聴者を驚かせる策なんかも存在するのかもしれません。
そして憶測にすぎませんがその背景には柳葉敏郎さん側の
室井慎次を卒業したいという意向が深く絡んでいるのでしょう。
柳葉敏郎さんと言えば、室井慎次に誰よりも愛情を注ぎ、
『踊る』以外の仕事を引き受ける際にも室井に支障が及ばないよう
細心の注意を払って来られたといいます。
そんな柳葉敏郎さんは、『許されざる者』、『生き続ける者』への出演を
当初は拒んだという説もあります。
しかし制作側の熱意に感銘を受けた柳葉さんは
『室井を殉職させて欲しい』との願いを兼ねて
出演を快諾したのだとか。
その意向もあってか?本作の脚本を手掛けた君塚良一氏も最初から柳葉敏郎を
室井慎次から解放する物語として書いたとおっしゃっているようです。
それらの情報からすると柳葉敏郎さんの室井慎次が終息の方向へ
向かっていることは間違いないのでしょう。
しかし今回のラストが柳葉さんの希望するところの「殉職」か?
と問われれば、それは少し違うと思うのも正直なところではないでしょうか。
そしてあんなにも青島との約束を大切にした室井が、彼と再会しないラストは
あり得るのか?それもファンの方ならば残念な点だと思います。
こうした点を踏まえて、個人的には『生き続ける者』の制作時には、
室井慎次に有終の美を飾るべく、
もう一度次回作に向けての出演交渉を行っていた最中だったのではないか?
と推察しています。
室井慎次は雪山という過酷な環境下での心肺停止の状態で見つかっています。
それは絶望的と言えるかもしれませんが、
決定的な描写をあえて避けた理由は何なのか?の説明がつかないのも
また事実ではないでしょうか。
そしてラストで3人の子どもたちを荷台に乗せて車を走らせている
運転手は誰なのか?
このあたりも隠されたままとなっています。
個人的な憶測や願いの比重が多めの感想ですが、
次回作にひょっこり室井慎次が登場するのを願ってやまない
一作となりました(笑)
