『君の名は。』などの映画プロデューサーである川村元気氏が
大人の恋愛を描いたベストセラー小説
『四月になれば彼女は』を佐藤健を主演に迎え
実写映画化された本作。
佐藤健が演じる藤代俊のかつての恋人と現代の恋人との
深みのある恋愛物語は視聴者それぞれの解釈呼び起こします。
本記事では現在の恋人・弥生の謎の行動や結末の意味について
解説、考察しています。
『四月になれば彼女は』あらすじ
・゚✿。 本ポスタービジュアル解禁 。❀.*
— 映画『四月になれば彼女は』Blu-ray&DVD好評発売中! (@4gatsu_movie) January 14, 2024
お互いの存在を確かめるように
抱きしめ合う二人
“愛を終わらせない方法”と向き合い
さがし求めた先に待つ結末とは…
── それでも人は恋をする ──#四月になれば彼女は
𝟐𝟎𝟐𝟒.𝟑.𝟐𝟐 𝐅𝐫𝐢 𝐑𝐎𝐀𝐃𝐒𝐇𝐎𝐖🌸#佐藤健 #長澤まさみ pic.twitter.com/AjuBLTSyPy
精神科医の藤代俊の元に一通の手紙が届く。
差出人は大学時代の恋人伊予田春だった。
ボリビアのウユニ塩湖を巡っていると言う
旅の途中にしたためたものだった。
その筆からは10年前の淡く切ない恋の余韻が
あふれ出していた。
そんな藤代には現在、坂本弥生という動物園で獣医をしている
婚約者がおり、結婚式場の下見など準備は着々と進んでいた。
誕生日を控えた弥生を祝おうとワインの準備をしていると
弥生がワイングラスを落として割ってしまうのだった。
その夜、不意に弥生が問う。
『愛を終わらせない方法ってなんだ?』
藤代はその問いに真剣に向き合わずに
『何?クイズ?』と受け流した。
誕生日当日は外食で祝う予定を立てていたが
翌朝、別々の寝室で眠る藤代が目覚めると
弥生の姿は消えていた・・・。
キャスト
佐藤健、長澤まさみ、森七菜、仲野太賀、中島歩、
河合優実、ともさかりえ、竹野内豊 他
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以後、結末までのネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。
本記事の情報は2025年6月時点のものです。
最新の配信状況は各サイトにてご確認くださいませ。
弥生の行動の謎
結婚式場を見回るなど、夫婦になることを控えていた
藤代と弥生でしたが、
弥生の誕生日になると突然彼女は失踪してしまいました。
何故突然居なくなったのか?
何処へ何の目的で向かったのか?
推察しています。
ワイングラスは過去の思い出
弥生の誕生日に乾杯しようとワインを取り出す藤代と
グラスを用意する弥生。
しかし弥生は手に持つワイングラスを落として割ってしまいます。
後の回想シーンで判明するのですが
このワイングラスは付き合い始めの初々しくお互いが
互いの気持ちを意識して自分を着飾っていたころ、
初めて一緒に購入した記念のものでした。
いわばそのワイングラスは愛情が絶頂期の証であり
美しく切ない過去の思い出の品だったのです。
そんなグラスの崩壊の音を目の当たりにして
弥生は2人の愛情が壊れかけていることを悟ります。
並んで歯磨きをする2人の姿。
弥生は過去にした同じ質問を藤代になげかけるのです。
【愛情を終わらせない方法はなんでしょう?】
藤代はその質問に答えられなかっただけではなく、
覚えていなかったのです。
そうして弥生は朝が来る前に2人の愛の巣を抜け出し
春の元へ向かったのでした。
弥生が春の元へ向かったのは何故?
弥生はある時を境に藤代に起こった変化を見逃すことはありませんでした。
藤代のかつての恋人の春から手紙が届いたその日から。
弥生と付き合う前に、藤代はその恋以来、恋愛はしていないと
言いました。
それは裏を返せば、その恋を今でも引きづっているということ。
現にその恋の相手である春からの手紙によって
藤代は動揺をせずにはいられませんでした。
弥生は愛情を終わらせない方法は、手に入れないこと
だと信じていました。
藤代が春との恋愛に区切りをつけられないのは
手に入れられなかった春への愛情が今も続いているからなのだと
思い込んだのではないでしょうか。
そして春が書いた手紙を読んだ弥生は、
10年経ったいまでも春が抱く藤代への愛情は終わっていなかった
ことを痛感します。
藤代との愛情を今でも繋ぎ続けている春に会いに行けば、
愛を終わらせない方法がわかるかもしれないと、
願いに似た期待をしたのではないでしょうか。
弥生にとって春は藤代との恋愛を終わらせない救世主だったのです。
衝撃の結末をネタバレ解説
大学時代に写真サークルを通して初恋が始まった
藤代と春でした。
しかし春の父親はシングルファーザーでした。
出て行った母親の代わりに父の身の回りの世話や食事などの家事を
担っていた春は、父親にとってかけがえのない存在となっており、
春が居ないと『苦しい』のだと言うのです。
藤代と春はボリビアのウユニ塩湖やチェコのプラハやアイスランドのレイキャビクなど
を旅する予定を立てていましたが、父親が許可を出すことはありませんでした。
それでも旅を強行しようとした藤代でしたが
出発当日に現れた春は父親の反対を押し切ることができませんでした。
春は藤代か?父親か?を選ぶことが出来なかったと言います。
そうして別れを告げた2人でしたが
藤代も春もお互いへの思いが消えることはなかったのです。
10年の時を経て届いた春からの手紙。
それは春の初恋の記憶でした。
と同時に藤代にとっても春への思いが再生する
瞬間だったのです。
手紙を送った春の意図もわからず、弥生への愛情は本物なのかと
いう疑念も沸き上がってきてしまいます。
弥生への思い
失踪した弥生を探し、妹の純に会いに行った藤代は
純から罵倒されてしまいます。
『精神科医のくせにお姉ちゃんの気持ちわからないんですね
内心、お姉ちゃんが居なくなってホッとしてるでしょ!?』
それでも何も言い返せない藤代は
同僚の精神科医に相談をしてみます。
当初、藤代と弥生は精神科医と患者という関係だったのです。
そして最初に弥生を担当していた同僚は言います。
よくそれで結婚しようと思ったね⁉
初恋の終わりと再生
弥生を探す藤代に大学時代の友人、ペンタックスから
春の訃報の連絡を受けます。
春が最後の時を過ごした施設へ向かうと
春が使っていたカメラを託されるのでした。
藤代が春のカメラのネガを現像していると
看護師の姿をした弥生の姿が映っていたのです。
弥生はあの施設で春と過ごしていたのだと察知した
藤代はペンタックスの車で弥生を探し回ります。
弥生は『春に会うためにここに来た』ことを春自身に告白していました。
何となくわかっていたという春はカメラに弥生の姿を残したのです。
春が捉えた弥生の姿を藤代が見つけてくれることを願って。
藤代はついに海岸に弥生の姿を見つけると駆け寄って抱きしめました。
諦めないと誓う思いをその手に託すように弥生を包みこむ藤代と
愛情への不安や藤代への気持ちが爆発したかのように泣き出す弥生でした。
2人は同棲する部屋に向かって肩を並べ歩きながら
一緒に映画を見ようと話し、
藤代は弥生に動物について語りはじめるのでした。
『四月になれば彼女は』結末の意味
藤代のかつての恋人に寄り添った弥生と
彼女を探しだした藤代は、それぞれの答えを導き出し、
2人で前に進むという覚悟を決めたのでした。
弥生は愛情を終わらせない方法を
手に入れないことだと信じていましたが、
自分を探し出した藤代の手中に収まることで
愛情を実感できたのではないでしょうか。
藤代は弥生に一緒に映画を見ようと、共に過ごす時間を大切にし、
獣医である弥生との共通の会話を繋ぐために
動物について興味を持ち始めました。
藤代が愛を終わらせない方法を解き明かしたのか
わかりません。
しかしながら少なくとも、弥生への愛情をさぼらないという
覚悟で、弥生への関心を繋ぎ、同じ方向を向いて歩いて行くことに
決めたのではないでしょうか。
『四月になれば彼女は』感想
誰かを目の前にしてドキドキしたりすると
それが好きな証だと気づき、それでも
そのきらめく時間はやがて終わる時が訪れることを知ります。
ときめきが終わることによってある種の喪失感みたいなものが
生まれ、愛情が終わったのではないかと不安になるのかもしれません。
しかしながら、ときめきが無くなった関係には
その代わりになるものが存在しているとも言えます。
真の自分をさらけ出せるような関係、
一緒に居ることが誰より安らげる関係は貴重なのではないでしょうか。
本作の中で弥生がこだわる
愛情を終わらせない方法ですが、
本作を鑑賞して答えがわかった人などごく少数なのかもしれません。
それはその答えが人それぞれであるというところにあるのでしょう。
誰にでも通用するような必中の方法なんて存在しないのです。
でもそれこそが他人の心と向き合うことの面白さなのかもしれません。
結末で描かれた藤代の決断のように、
相手への関心を怠らないことはコミュニケーションが途絶えない
重要な姿勢なのだと思いました。
愛情が終わる時、その関係はどんな風に変化していくのか、
それは時に恐ろしく、時に興味深く、君臨する難題ですが、
試行錯誤してその変かにも寄り添い、諦めずに共に闘っていけたら、
道は開けていくのだと希望が持てる一作でした。