映画【マイ・ブロークン・マリコ】ネタバレ考察|マリコの最後と手紙の内容とは?

手紙 邦画
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26歳のマリコは突然この世から姿を消してしまった。

親友にさえ何も告げずに…。

マリコの26年という短かすぎる人生の中で、長すぎた暗闇は
その魂をぶち壊してしまいました。

そんなブロークンマリコと残された親友・シイノのロードムービーであり
弱さという名の魂たちが育む友情の物語。

【マイ・ブロークン・マリコ】

あまりに不憫なマリコの一生に視聴者は疑問を思わずにはいられない。

何故マリコは一人で逝ってしまったの?

ラストの手紙には何が書かれてあったの?

そこでこの記事では

孤独なシイノと壊されたマリコの関係性
マリコが一人で旅立った理由
マリコの最後の手紙の内容

に着目して考察しています。

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【マイ・ブロークン・マリコ】あらすじ

果てしなくブラックな企業に営業職として勤務するシイノトモヨ(以下シイノと記載)。

あるお昼休み、シイノが定食屋さんでラーメンをすすっていると
お店のTVから流れてきたニュースに驚愕する。

中野区のイカガワマリコさんが自宅マンションから転落死した

という。

急いで店を後にし、親友のマリコにLINEをしても既読がつかず
電話をかけても応答がない。

受け止められない事態にマリコの自宅マンションへ向かったシイノは
マリコの亡骸は既に直葬されその遺骨は、
マリコに長年に渡って虐待を続けた実父の元にあることを知る。

マリコを苦しめた父が引き取るなど許せなかったシイノは
せめてマリコをあの父親から引き離すため、
マリコの遺骨の強奪を決行する・・・。

以下、作品のネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意くださいませ。

孤独なシイノと壊されたマリコの人生

何もない日なんてない

と言ったマリコの短い人生は傷つけられ、壊される日々でした。

長らく実父から受けてきた虐待の日々。

最愛の母親がマリコを置いて去った日と、母から投げかけられた心無い言葉。

父親から逃れようとも、今度は別の男性から受ける虐待。

虐待の連鎖がとまらなかったマリコの人生。

また傷ついたマリコに怒りや心配を向けてくれるシイノが見たくて
そんな負の連鎖をも受け入れてしまうマリコ

辛いだけの毎日を送るマリコにとって
ギリギリ生きる気力や意味を与えてくれる存在がシイノしかいなかったのです。

ではシイノの方はマリコの面倒をみたり、暴力彼氏を追い払ったり
そんな与えるばかりの存在だったのか

というとそういうわけではなさそうでした。

シイノ自身、家族背景はあまり描かれていませんが
シイノの家庭も暖かかったとは言い難く、
孤独な人生に耐えうるのは、

マリコを支えなければいけない

という使命があったからだったのではないでしょうか。

シイノにとってもまた
めんどくさいマリコ
生きる糧だったのです。

だから
マリコがいなくなったシイノもまた
壊れてもおかしくない状態になってしまいます。

何故マリコは一人で旅立ったのか?

シイノにとっても生きる糧であったマリコ。

シイノにとって唯一無二だったマリコが何の前触れもなく
自分に手紙も残さず、ひっそりと姿を消したのは何故なのか

そのことはシイノの心にショックを与えたと共に
自分が思ったほどにはマリコの助けになっていなかったことを表し
もっとできることがあったと思い込むシイノは
自責の念に駆られることになります。

その不幸はマリコにとっても予想外であった可能性

既に配布が終了となっているコミック購入特典の冊子に、漫画には未掲載の
『マリコの最後の日』
の様子が掲載されています。

その内容はざっくりですが

マリコの部屋の窓に2羽のスズメがやってきます。

マリコは急いでパンを取りに行き、
スズメたちがマリコのちぎったパンをついばむのを
嬉しそうに眺めていました。

が、
その笑顔は曇りはじめ…
風になびくカーテンの外へと吸い込まれてしまうマリコの姿

というもの。

当時、マリコが睡眠薬を大量に摂取していたのは、
壊れすぎて修復不可能になった心を何とか保つための、
痛みや不安を少しでも和らげる
手段だったのかもしれません。

そんな限界に近かったマリコが最後に見たものは何だったのでしょうか?

部屋の外で大きな空を自由に飛びわたる鳥たち。

そんな鳥たちにひきかえ
部屋の内側に居る自分はまるで呪縛のように逃れられない
苦しみに繋がれているようだ。

睡眠薬を服用し、ふらふらでもうろうとしていたかもしれないマリコは
ふと自分もこの窓から飛び出したらもう二度と苦しまなくても
いいのかも。

何もかもから解放されたら、壊される自分から卒業できて
シイノにも迷惑かけずに、めんどくさくない女友達として
生まれ変われるのかも。

そんな幻影を見てしまったマリコは

シイノの前で手首を切ってみせたように、
いつもと同じ、どうせ簡単には終わらない・・・
という潜在意識から勢いで飛び降りてしまったのかもしれません。

だとすれば、その出来事は突発的に起こったことで
本人でさえ予想不可能な不幸だったのでしょう。

ラストの手紙の内容とは

マリコが一人で逝ってしまったこと。

それはシイノにとってあまりにも残酷すぎました。

せめて一緒に逝こうと誘って欲しかった。
手紙も残してくれなかったのは何故なのか。

もう二度と答えは聞けないマリコの幻影と海を見に行く
シイノの旅も終わりを告げました。

そして何も変わらない日常へと自分ひとりで戻っていく

退職も認められず仕事にも復帰したシイノが帰宅すると
マリコからの最後の手紙が届いていました。

マリコが書いた最後の手紙が
シイノを救ったようなラストシーンでしたね。

ではその内容とはどんなものだったのでしょう。

手紙の内容とは?

自分が傍にいながらマリコを救うことが出来なかった。

そう思い込んで自分を責めるシイノにとって
マリコの最後の手紙は救済であり決着の手紙でした。

手紙に何が書いてあったのかをあえて明かさない演出は
逆に言えば、見る人にとって
救われる言葉を当てはめることが出来る

という良い演出に感じました。

あえて筆者的に救われるであろう手紙の内容を
考えるならばそれはやはり

自殺ではなかった

ということを匂わせる内容だったのではないかと思うのです。

つまりは
『生まれ変わったら…』
とか
『いままで有難う』

などの決別の言葉ではなく

『おばあちゃんになったら一緒に飼う猫の名前…考えたよ』

とか
『また花火をしよう』



みたいな
そんなたわいもないいつも通りの手紙だったのではないかと思います。

そして手紙を読みながら
『うん』

と呟くシイノの涙と笑顔は
大切な人を失った悲しみ

それが癒えることはないけれど
自分の記憶の中のマリコと一緒に生きて行こうという
決意が滲み出ているように思いました。

まとめ

シイノに後悔と自責の念を背負わせた
マリコの最後

マリコの手紙については

マリコの転落は突発的で大量の睡眠薬を服用していたことも
 重なった悲劇だった可能性がある。


マリコが最後に書いたシイノへの手紙には
 いつも通りの変わらないマリコが存在した。

と考察してみました。

重いテーマである本作の中に存在した
マキオがシイノにとっても視聴者にとっても
一筋の光のような明るさを醸し出していたのが救いな一作でした。


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