【ネタバレ考察・感想】映画『月の満ち欠け』は怖い!?それは純愛を超えた救いの物語

邦画
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直木賞を受賞した佐藤正午氏の同名小説を、
映画化した【月の満ち欠け】

演じるのは大泉洋をはじめ、有村架純目黒蓮といった豪華キャスト。

しかしながら
怖い』、『気持ち悪い』といったレビューも多い本作。

しかし
この物語は純愛をも超えた救いの物語であるのではないか?
という視点から感想や考察を綴っています。

ポイント
・『月の満ち欠け』が怖い理由は何?
・これは純愛を超えた救いの物語

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『月の満ち欠け』あらすじ

小山内堅は妻であるとの間に『瑠璃』という娘が誕生し
幸せな3人家族だった。

瑠璃は幼少期に原因不明の高熱におかされる。
熱が下がり元の生活に戻った瑠璃の行動や言動が
以前の娘とは変わってしまったと梢は危惧していた・・・。

その後小学生の瑠璃は、突然姿を消して騒ぎになったものの、
高田馬場に1人で訪れたところを警官に発見され事なきをえる。

娘が高校生になると、堅は新たなプロジェクトを任されることも
決定し、仕事もプライベートも順風満帆だった。

しかしそんな矢先、梢と瑠璃は交通事故にあってしまい
2人とも命を落としてしまう。

失意の中、会社を退職し、故郷へ帰った堅の元を
三角哲彦という男性が訪ねて来た。

彼は生前の瑠璃が自分に会いに来ようとしていた
と話す・・・。

キャスト
大泉洋、有村架純、目黒蓮、伊藤沙莉、
菊池日菜子、田中圭、柴咲コウ 

『月の満ち欠け』を視聴するには

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以下、ネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。

本記事の情報は2024年7月時点のものです。
最新の配信状況は各サイトにてご確認くださいませ。

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『月の満ち欠け』が怖い理由は何?

本作のレビューでは、
『これはホラーだ!』、『怖すぎる!』
といった感想も少なくありません。

それはどんな理由からなのでしょうか?

生まれ変わりの理由

本作では『瑠璃』という同じ女性が2度生まれ変わり
3人の瑠璃が登場しますが、
それは全て同一の魂ということになっています。

そしてこの生まれ変わりが実現する理由は
〖強い思いを残したまま死んでしまったから〗
だというのです。

この強い思いはともすれば
〖執着〗とも捉えられ、短期間恋人であった男性に会うために
どこまでも追って行く女性の執念であるならば
とても怖いという感想に結びつくこともあるようです。

ソシオパス化した田中圭が怖い

一方で最初の瑠璃の夫である正木竜之介が怖いとする意見も
見られました。

瑠璃と出会った頃の正木はとても紳士であり
瑠璃の居場所を求める心の内を読み取り
幸せな居場所へ連れて行ってくれる存在でした。

しかし、結婚するとそんな優しい夫は豹変し、
他人行儀な言葉使いに、妻に対する所有物のような扱い。

そして瑠璃に子供ができないことが判明すると
つらつらと嫌味を並べ立て皮肉めいた言葉で
責め立てるのでした。

それでいて身を引こうとする瑠璃を解放しようとはせず
モノを投げつけ怪我をさせるDV夫。

そんな竜之介が怖すぎると話題になりました。

さらに言えば、最終的には出て行こうとした瑠璃を
追いかけ、目の前で死なせてしまいます。

その後、高校生の小山内瑠璃が歌う姿にかつての妻の面影を
見た正木は、公然の場で高校生の瑠璃の腕を掴み
責め立て連れ去ろうとします。

同じ歌を歌っていただけで、
妻であると認識し生まれ変わりをすんなり受けいれる心理や、
妻を事故に合わせてしまった要因を作ったにも関わらず
〖自分のどこがいけなかったのか〗を問うという完璧へのこだわり

その執着心も怖すぎるという感想に繋がったのでしょう。

しかし、これは映画のお話。
原作の方ではもう少し、正木については
語るところもあるようですよ。

映画だけではわからない物語は原作小説で!

これは純愛を超えた救いの物語

もしも大切な人を失ったら・・・
その先には想像を絶する耐えがたい苦痛が待ち受けるのでしょう。

妻と娘を何の前触れもなく突然失ってしまった堅は、
任されたプロジェクトを辞退したばかりか
会社さえも退職してしまいました。

堅の人生は大きく変動してしまったといえるでしょう。

やっと心が通じ合えたと思った瑠璃を
やはり突然失くした三角もまた、
その死を受け入れることが出来ずに、何年も彷徨っていました。

小山内瑠璃からの連絡を受けて、
堅の元を訪ね、
『お嬢さんは自分の恋人の生まれ変わりだったのではないか』
という疑念をぶつけるという、通常ではありえない行動に
至ってしまうまでに、その心が悲しみにくれたまま時が止まっていた
ことが感じ取れます。

やり残したこと、告げたっかった思い、
そして幸せだったことを告げるための生まれ変わり


それは執着でも純愛でもなく、残された者への
救済だった
ともとらえられるのではないのでしょうか。

再会の意味

最終的に小山内瑠璃の親友である緑坂ゆいの娘として
生まれ変わった7歳の瑠璃は
40代後半になった三角と、やっと再会を果たします。

そして本作をファンタジーとして捉えるなら、
その醍醐味は、どらやきの美味しいカフェから、
僅か7歳の娘を1人で三角の元へ向かわせ
『いってらっしゃい』
と送り出した母親ゆいの心理にあるのではないでしょうか。

それはゆいが無責任なのではなく、
瑠璃がもうゆいの元へ帰っては来ない
ことを理解していたから・・・。

つまり、三角を見つけ駆け出した7歳の瑠璃は
時を戻す雨に打たれ、あの時の2人の姿へと戻ったのであり、
本当の再会、生まれ変わりの旅の終結がここに果たされたのでしょう。

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『月の満ち欠け』感想

もしも、本当に生まれ変わりがあったら、
悲しみの負担が軽減されるのではないかな
という希望もある作品でした。

しかし、本作上での
〖強い思いが生まれ変わりの原因〗であるならば、
田中圭さん演じる正木も間違いなく生まれ変わるのでは?
というサスペンスな一面も・・・。

7歳付近で謎の高熱を発症した後に人格が変わるのならば
6歳までは誰だったのか?

元の人格があったとして、7歳付近でのっとってしまう
なんてことがあるならば、それは間違いなくホラー
になってしまう・・・。

だとすれば7歳までは覚醒?していないだけ
ということに過ぎないのか⁈

その辺の理解がまだ解けない謎として残りました。


堅だけは生まれ変わりを受け入れようとはせず
そんな堅にとって娘が正木瑠璃だったという告白は
冒涜以外の何ものでもありませんでした。

しかし最後の最後で立ち去る間際になって
目の前のゆいの娘である瑠璃と自分の娘の瑠璃の
言葉が重なって、どうにも癒せない悲しみと
娘の言葉に安堵する気持ちが絡まる・・・
そんな複雑な涙は本作いちばんの見せ場だったのでは
ないでしょうか。

しかしながらラストで、介護士さんの娘に生まれ変わってしまった
妻の梢・・・というサプライズが!

これはもう笑ってしまうしかない・・・
しかし、ほんの少しでも堅の癒しになったら良いな
と願う結末でした。

大泉洋さんのコメディが大好物な筆者ですが
失意の父親というシリアスな演技、悲しすぎる涙には
やられてしまいました。

気が付けば自分の前世について思い出そうとしてしまう、
そんな一作です。

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