映画【シャイロックの子供たち】は原作とは違う?結末の謎をネタバレ考察

邦画
スポンサーリンク

※当サイトはアフィリエイト広告を利用しています

『半沢直樹』『下町ロケット』でお馴染みの
池井戸潤氏の同名小説を映画化した
【シャイロックの子供たち】

井ノ原快彦主演でドラマ化もされている本作ですが
映画版の主人公を演じるのは阿部サダヲ

そしてこの映画版は原作とは違う設定、結末が
話題となりました。

そこで本記事では
異なる原作と映画版の結末についてネタバレ考察しています。

スポンサーリンク

『シャイロックの子供たち』あらすじ

東京第一銀行の長原支店ではお客様相談係の課長代理を務める
西木雅博の元に飲み仲間が相談に来るなど、
穏やかな雰囲気が漂っている。

しかし一方では、行員たちは業績を上げることでしか評価されず、
副支店長をはじめとするパワハラまがいの怒声が飛び交っていた。

なかなか契約をとれない遠藤とは裏腹に
長原支店に赴任してきたばかりの滝野は成績も好調で
期待の的だった。

そんな中、現金の紛失事件が起こった。
田端が取引先へ持参するはずの中から100万円が
消えたのだ。

紛失したお金を探すため全行員が私物に至るまで
検査していると、西木の部下である北川愛理のバッグの中から
無くなった札束の帯が見つかる・・・。

キャスト
阿部サダヲ、上戸彩、玉森裕太、柳葉敏郎、杉本哲太、
佐藤隆太、渡辺いっけい、忍成修吾、木南晴夏、
柄本明、橋爪功、佐々木蔵之介 

【シャイロックの子供たち】を視聴するには

U-NEXTなら井ノ原快彦版『シャイロックの子供たち』も見放題配信中!まずは無料トライアルから

Huluでも絶賛配信中!Disney+とのセットがお得です!

以下、ネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。

本記事の情報は2024年7月時点のものです。
最新の配信状況は各サイトにてご確認くださいませ。

スポンサーリンク

思わぬ展開が待つ映画【シャイロックの子供たち】結末の謎

本作で起こる2つの大事件がストーリーのカギを握ることになります。
・長原支店内での100万円紛失
・江島エステートへの10億の不正融資

2つの事件の結末とは

・100万円紛失事件

江島エステート(石本)に不正な10億円の融資契約を成立させた
滝野でしたが

その途端に石本の支払いは滞りその肩代わりとして滝野自身が
100万円を建て替えなければならなくなりました。

そんな折、田端が持参しようとしていた札束が落ちたのを
偶然拾った滝野はその中から
100万円を抜き取ってしまいます。

しかし滝野が捨てた札の帯がゴミが回収される際に落ちてしまい
半田が拾って嫌がらせのつもりで北川のバックに忍ばせました

しかし半田の行為は西木に見破られ、北川に謝罪をする
ということで落ち着きます。

それでも100万円の行方はわからず、支店長や西木も含めた
役員たちの貯蓄から支払い、行員たちには見つかったと公言しました。

・江島エステートへの10億の不正融資

融資が行われて間もなく、江島エステート宛ての郵便物が
長原支店に戻されたことをきっかけに不審に思った
西木、北川、田端により
その住所の契約者は江島エステートではなく
石本浩一という人物であることが判明
します。

そしてこの融資が最初からこの石本と長原支店の支店長
九条馨による策略だった
ことも判明。

西木は不正融資に加担し、その責任を押し付けられようとしている
滝野にこの事実を打ち明けました。

自分を慕ってくれる息子のためにも
やり直したいと改心した滝野は全てを打ち明け、
刑務所へ。

この事件が発覚したことにより、九条支店長も失脚へ。

ラストが意味深すぎる!

銀行の100万円を盗んでしまった者、
不正融資に加担した者、
かつてギャンブルのために銀行のお金を使い込み
そっと返金
した者、

不正に関わった者たちは銀行を追われていきました。

そしてそれを見届けた後、
西木もまた銀行を去って行きました・・・。

数年後、北川と田端が待ち合わせたその場所に
西木の姿を見た北川でしたが、会うことは叶いませんでした。

そんな北川とすれ違いで颯爽と歩いて行く西木の姿を
捉えて物語は幕を閉じます・・・。

西木は今どこで何をしているのか?
そんな疑問を呈したまま終わる本作。

支店長だった九条は石本と組んで、滝野を騙し、
不正な融資を取り付け金儲けをしていました。

そんな内情を知った西木は銀行マンとして許すことが
できず、九条と石本に倍返しをお見舞いします。

そして西木の倍返しに手を貸してくれたのは
飲み友達の資産家沢崎肇でした。

耐震基準を満たしていないビルを
九条を通して石本に売りつけました。

兄の連帯保証人になり、家族と別居している西木
の事情を知る沢崎は、倍返し作戦で得たお金のうち
西木の借金を返済できる額の大金の札束をそっと差し出します。

西木は受け取れば銀行マンとして終わるのだと躊躇するも
兄に押し付けられた多額の借金のせいで
取り立て屋に追われ家族とも離れ離れの人生に
別れを告げることができるその紙の束を
受け入れてしまいました。

それは西木の銀行マンとしての魂とプライドを
引き換えにした
と言えるのでしょう。

そして思惑は違えど、不正をして銀行を負われた
滝野や九条、そして黒田と同等に陥った西木には
彼らと同様に銀行を去る意外の選択肢はなかったのだと
思われます。

結末で示されたテーマとは

【シャイロックの子供たち】というタイトルにはどんな意味が
あるのでしょうか?

冒頭で黒田夫妻が観劇していた【ヴェニスの商人】にでてくる
金貸しがシャイロックなのですが、お金を貸した者が返金できなくなった時、
その者の肉という法外な抵当を欲し、ナイフで切ろうとするが
シャイロックには肉を得る権利はあっても一滴の血の権利も持たないとされ
裁判で負けてしまいます。

というのも実はこの裁判を取り仕切っていたのは
シャイロックがお金を貸した者の知人だったからです。
シャイロックにとっては不利といえる裁判でした。

一方でシャイロックが頑なに慈悲の心を拒否し、
法外な抵当を手に入れようとするのは貸した男性への
日頃の嫌がらせへの復讐心からでした。

結末の核心はシャイロックの心情にあり?

黒田夫妻はこの劇を鑑賞して、
〖貸したお金を返せというシャイロックが特別悪人だとは思わない〗
と言う妻と
〖金を返せばいいってもんじゃない〗
と心の中で考える夫という風にそれぞれの立場で、
思うところは違うようでした。

そのように、シャイロックという人物は
果たして悪人と言えるのか、被害者と言ってもよいのか
はっきりと断言できない複雑さが垣間見られるのです。

法外な利益を得ようとしたのだとしても
借りたからには代償は支払うべきだという
シャイロック風な思考を持っていたのが
九条や石本
、なのだということもできるでしょう。

一方で
〖返せばいいというものではない〗
と考える黒田は、そもそも人のお金を拝借して自分の身勝手な理由に
充てるというその強欲さこそが悪であるという認識を
心の奥底では持っていたのではないでしょうか。

『ヴェニスの商人』のシャイロックの結末は改宗させられて幕を閉じます。

そんな風に自ら銀行を去り、自らの汚い感情を受け入れた上で
改心して前へ進んだ
黒田と滝野もまたシャイロックらしいということが
できるのではないでしょうか。

それでは西木はどうなのでしょう。

西木は大金か銀行マンとしての魂なのかという
運命の選択を迫られます。

しかし家族と幸せを重視した末に
大金を選ぶのです。

それを選ぶからには銀行マンとしては
終わりなのだ・・・という信念、
そして実際に全てを見届けて銀行を去っていく西木もまた
シャーロックのようだと言えるのかもしれません。

以下、『シャイロックの子供たち』原作のネタバレを含みます。

映画とは違う小説版『シャイロックの子供たち』を未読の方はコチラからどうぞ

青年漫画版『シャイロックの子供たち』もあります!

『シャイロックの子供たち』 映画と原作の違いを考察

映画【シャイロックの子供たち】と同タイトルの原作では
設定や結末が異なります。

例えば映画では大活躍だった西木の飲み友達の沢崎ですが
映画のオリジナルキャラなんです。

同様に、西木についても大きな相違があります。

原作と映画の大きな違い

映画と原作における大きな違いといえば
主人公西木の立場でしょう。

映画において100万円紛失事件の犯人は、
西木と北川、田端の捜査によって
滝野が怪しいというところまで掴みます。

しかし原作では西木が独自に札束の帯についた指紋
の照合
という捜査を行っています。

そして犯人が判明したであろうタイミングで西木は無断欠勤からの
失踪
してしまい、帯と証拠も盗まれてしまうのです。

最終的に滝野は横領と不正融資に加え、西木の殺害の罪を認めます
しかしながら西木を殺害した実行犯は石本だとしており
殺害方法も遺棄した場所も知らないと供述します。

当の石本は逃走したまま消息を絶ちます。
そんな状況下で
西木の亡骸が見つかることはありませんでした。

原作の結末が描く西木の運命

そんな中で原作には映画に登場しない女性のパート職員
河野晴子の存在がありました。

西木の家族に私物を届けに行く役目を担った河野は
西木が過去に石本の会社の担当だった
という真実を見つけてしまいます。

つまり西木と石本はもともと知り合いだったということ。

もしかしたら西木が滝野をはめた側なのではないか?
だとしたら西木は生きている可能性がある?

石本に襲われた西木は反撃して、命を落としたのは
石本の方だったとしたら・・・。

そして西木は石本に成りすまし、今もどこかで
生きている
のではないか・・・
と推理するのです。

その真相は明かされないまま。
西木のその後は謎に包まれたまま幕を閉じます。

西木の葛藤が反映された結末の解釈

原作と映画で違う西木の立場。

しかし西木がどっち側に転んだのかという結末は
原作も映画も明確には描いていません。

ただ原作でその安否が不明だった西木は
映画のラストで生存を示唆したのではないでしょうか。

沢崎からの報酬を受け取った映画の西木
正義感からの行動だったはずが罪を犯し
別人の人生を生きるはめになった原作の西木

私生活では兄の連帯保証人としてその苦悩を1人で
背負っても誰のことも責めず、
長原支店では部下を信じ、支え、励ました
心優しき西木こそが最もシャイロックに近づいて
しまった
のかもしれません。

スポンサーリンク

〖シャイロックの子供たち〗感想

原作ありきのドラマ化や映画化作品では、
小説や漫画といった本家の方が高評価になることも
珍しくはありません。

しかし本作においては
原作、映画共に甲乙つけがたく、
改変は成功だったのではないかというのが個人的な感想です。

というより西木が黒幕であったことを匂わせる原作において
受けた衝撃を払拭し
家族との幸せを取り戻すために報酬
を受け取り銀行を去る映画の西木で、
あと少し持ちこたえれば
同じ西木の人生において違う運命もあったのではないかと
思わされられるパラレルワールドを見た気分でした。

阿部サダヲさんは何でもできると言っても過言では
ないほどに、どの作品も見応えありますね!

それだけに、映画のラストの西木がどういう状態なのかも
いくらでも受け取りようがあり、にくいねぇ~と思う一作です。

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました