【ネタバレ考察】映画『法廷遊戯』馨の目的とラストシーンの謎に迫る

邦画
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実際に弁護士資格を保持し弁護士事務所に所属しているという
五十嵐律人氏のデビュー作である同名小説を永瀬廉主演で映画化された
【法廷遊戯】

弁護士さんならではの視点から生々しく現実味のあふれた
裁判の裏側を覗き見ることができます。

物語のテーマは重く考えさせられる一作です。

本記事ではそんな本作の

・馨の目的とは
・ラストシーンの意味

に着目して解説、推察しています。

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〖法廷遊戯〗あらすじ

弁護士を目指し法科大学院に通う『セイギ』こと久我清義
幼なじみであり同じ施設出身の織本美鈴も同じスクールに
通っていた。

そこでは学内での事案を取り上げた〖無辜ゲーム〗という
学生たちの私的な模擬裁判が行われていた。

このゲームを取り仕切っているのは清義の友人でもある
既に司法試験に合格しているエリート結城馨であった。

ある時、学内で清義のある過去についての中傷が書かれた
ビラが配られる。

清義は16歳の時、自身の居た児童養護施設で
殺傷事件を起こしていたのだった。

清義は〖無辜ゲーム〗にて過去を露呈させた犯人に
立ち向かう・・・。

キャスト
永瀬廉、杉咲花、北村匠、戸塚純貴、黒沢あすか、
柄本明、生瀬勝久、大森南朋、筒井道隆
 他

『法廷遊戯』を視聴するには

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以下、ネタバレを含みます。
未視聴の方はご注意ください。

本記事の情報は2024年7月時点のものです。
最新の情報は各サイトにてご確認くださいませ。

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結城馨の目的とは何か

清義の通うロースクールで〖無辜ゲーム〗を開催し、
在学中に司法試験を突破しながら弁護士を目指さないエリート
である結城馨の目的とは清義と美鈴、そして司法に対する復讐でした。

最後の無辜ゲーム

清義と美鈴が弁護士になってから馨が2人に持ち掛けた
最後の〖無辜ゲーム

しかし、同窓会の延長のような面持ちで現場に訪れた
清義が見たものは、
息絶えた馨と血だらけの美鈴でした。

無罪を証明して欲しい

と清義に託す美鈴は逮捕され裁判が行われることになります。

しかし、この事件自体が馨の画策した、
美鈴自身と馨の自殺した父の冤罪を晴らすための
舞台だったのです。

3人の関係性

養護施設で施設長から暴行を受けそうになっていた美鈴を
罪を犯すことで救済した清義。

しかし美鈴は清義が罪に問われないように施設長を脅し
嘘の証言をさせたことで清義も罪に問われることはありませんでした。

お互いを救ったその時から清義と美鈴の絆は固いものになります。

ある日美鈴が痴漢を受けている現場を目撃し、助けた清義でしたが
加害者は2人に金銭を渡すことでなかったことにしようとしました。

それがきっかけで金銭を得られる方法を知った2人は
痴漢被害者をでっちあげる行為を重ねます。

ある時、2人がターゲットにしたのは馨の父であり、
警察官
でした。

馨の父はそんな行為をする美鈴に
『やり直せる』と助言します。

後から来た清義は美鈴を助けようとして
馨の父のリュックをひっぱると、馨の父と美鈴は
階段を転げ落ちて行ったのです。

そのことで聴取を受けた美鈴は馨の父に痴漢を
されたのだと嘘の証言
をします。

司法は美鈴の嘘を見抜けず、有罪になった馨の父
自ら命を絶ってしまったのです。

そして実は馨自身もその現場におり、
一部始終を目撃していたのでした・・・。

罪もない馨の父は自殺に追い込まれ、
冤罪を作った美鈴と清義は弁護士を目指している

父は罪を否認していたにも関わらず
美鈴の嘘を見抜けず冤罪を生んだ司法

そんな現実を受け入れることなどできない馨は
司法と2人へ罪を償わせるという目的のために、
2人と同じロースクールに通い、近づきます。

そして父の冤罪を晴らすための
無辜ゲームを仕掛けたのです。

ラストシーンの意味

仲睦まじそうな清義と馨、
そして二人を見守る美鈴
というラストシーンには
困惑と物悲しさを覚えました。

この場面は、もしも2人が馨の父の事件が起こった
時に罪を認めて償っていれば・・・

実現した未来はこうだった

という描写なのかなと思いました。

もっと言えば、馨の父と二人が出会っていなければ・・・
最初に痴漢をした加害者が2人にお金を渡して
なかったことにする・・・という行動に及んでいなかったら・・・

3人のうちの誰も被害者にも加害者にもなってはいなかった、
ましてや命を落とすこともなかったのです。

そんな笑顔が溢れ穏やかであればあるほど、
その悲劇が際立つ場面でした。

馨の考える報復とは

『同害報復』と言えば、その憎しみから同じ目に合わせる
という意味の込められた復讐の心理が思い浮かびます。

しかし馨はこれに対し、
正当な対価を課すことにより許しを与える
のだと解釈していました。

それは清義に、罪を償わせたい一方で、
許したいという願望もあったからなのではないでしょうか。

ともすれば、叶わなかったラストシーンは馨の願望
であったのかもしれません。

命を落とした馨は見誤ったのか

最後の〖無辜ゲーム〗では、美鈴が罪に問われるのは
殺人未遂のはずでした。

しかし、美鈴は清義の罪を暴くことを目的としている馨を
カメラの死角で刺し命を奪うのです。

そうすることで美鈴と清義の真実
そして馨の父の再審を請求する人物が消えること
となりました。

そんな事態を馨は想定していたのかどうか。

筆者的には想定内だったと考えています。

清義には予め、
『自分に何かあったら墓参りに行ってほしい』
と頼んでいました。

そしてそこには馨の日記が隠されていたのです。

この日記を読み、罪の意識にさいなまれた清義は
美鈴と歩む道を捨て、
自首して罪を償う道を選ぶのです。

自分の生存に関わらず清義の良心と正義に賭けた
いえるのではないでしょうか。

それぞれの正義

馨の仕組んだ計画には馨自身の死はなかったのではないか。

そんな疑念をもった清義は
美鈴が自分を守るために犯した罪の大きさ、
命の重さを痛感するのです。

そしてこうなる過程にあった
自身の罪と向き合い自首する道を選びます。

これまでの人生では2人が一緒に生きることは、
もっと言えば2人がお互いを守るためなら何でもする
ということは、2人にとっての正義でした。

しかし清義は思い知るのです。
2人の正義とは罪を重ねることに他ならない
ということを。

破滅か別れかの選択で別々の道を選ぶ清義。

清義と美鈴の間に立ちふさがる距離は
物理的なものだけではなく、
罪の意識を持ち、新たな正義を持って、やり直せる清義
それでも清義と生きるためにどんな犠牲もいとわない
ことを正義とし、やり直すことができない美鈴

そんな遠く違えた心の距離が2人を分かつのを
誰より思い知ったのは美鈴だったのではないでしょうか。

馨が自らの命をも犠牲にすることをいとわなかったのは
父の死に対し、
自分にももっとできることがあったのではないか
と悔やんでいたからなのでしょう。

父の事件の直接の原因は清義や美鈴にある。
しかしながら、父の命だけは
自分でも救えた可能性はあったのではないか
と疑念を持ち、自責の念にかられていたのではないでしょうか。

正義感が強い馨は、父の命を救えなかった自分への罰
そして清義と美鈴の人生を破滅させる罰

その対価には命がふさわしいと考えたのかもしれません。

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〖法廷遊戯〗感想

子供にとって必要な人生を教えてくれる大人の存在。

もしもその代わりに出会った大人たちの歪みしか見て来なかったなら
何が正しいことなのかさえ見失ってしまうのかもしれません。

同じような境遇で育った2人。
そんな中で美鈴を守るために施設長を刺した清義と、
清義を守る為に自分は泣き寝入りした美鈴。

そんな互いの行動は孤独や絶望から心身を救い
生きることを肯定する存在になったのではないでしょうか。

しかしそれは逆にいえば生きる前提として
お互いがいることが条件
となったということです。

一方で優しく愛情を注いでくれる父の存在があった
からこそ法の正義に絶望し、
残りの人生を自分の夢や友情を育む時間ではなく
復讐に費やした馨の救いは許すことだったのかもしれません。

無表情な馨が考えていたのは、本当に望んでいたのは
救われることだった気がします。

それは2人が罪を認め償うこと。

しかし、最初にことの真実を知った美鈴は
償うことを拒否します。

せめて清義とは面と向かって全てを打ち明け、
目の前で後悔の念や謝罪の言葉を聞けたなら
馨の未来は変わっていたのでしょう。

それでも、清義にとっては
直接謝罪をすることや償う姿を見せられなかったこと
こそが一生許されない証であり、
最大の復讐になったのかもしれません。

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